なぜロシアはウクライナの制空権を奪えない?圧倒的戦力差の裏にあるもの

「戦争映画」は、ただ国同士が争う映画ではない。

迫力ある戦闘シーンだけでなく、涙なしには語れない数々の人間ドラマがある。

数ある戦争映画の中でも、今回は実話を元にしたエピソードのみを厳選して紹介する。

一度は見ておきたい実話の戦争映画5選!

現在、ロシアとウクライナ両国の間では、連日、激しい戦いが繰り広げられている。

当初、圧倒的に優勢と思われていたロシア軍は、ウクライナ軍の猛反撃を受け、キーウ方面においては、占領した地域を全て奪回されるという、誰も想像していなかった状況になってきている。

そして何よりも驚くべき事は、ロシアは、いまだに制空権を確保できていないということである。

制空権とは、読んで字のごとく「空を制する権利」のことである。

つまり制空権を確保するということは、航空優勢を確保できている状況のことを言う。

戦争は、陸海空において実施されるが、最も優先されるのは空の戦いである。

制空権を確保すれば、陸と海での戦いを有利に進めることができる。

制空権を相手国に握られている状況では、その国に勝ち目はないといっても過言ではない。

現在ウクライナ空軍は わずか70機たらずの戦闘機で、ウクライナの上空の制空権を確保している。

今回は、ロシアの作戦上の失敗や誘導兵器やパイロットの技量不足、通信系の弱点について解説していこう。

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ウクライナを甘く見たロシアの失敗

戦争において、まず最初に攻撃目標となるのは、目となる敵のレーダー施設や航空基地である。

これらの目標を攻撃する兵器としては、巡航ミサイルが挙げられる。

戦争序盤において、敵の航空戦力を撃滅する事により、その後の戦闘を有利に展開することができるのである。

ロシア軍も、このセオリー通りの攻撃を行った。

この攻撃により、ウクライナ空軍には多少の損害は出たが、その活動を封じ込めるほどの被害はなかった。

その理由としては、ロシア軍は当初、数日でウクライナを制圧できると甘くみており、徹底した攻撃が行わなかったことが挙げられる 。

湾岸戦争やイラク戦争において、アメリカ軍は開戦当初、巡航ミサイルによる攻撃を加え、敵の主要施設の大部分を破壊し、戦争の主導権をわずか数日で握った。

また情報戦においてロシアは、ウクライナに劣っていたと言えるだろう。

ウクライナは、ロシアがどのように侵攻してくるかという情報を、アメリカから得ていた可能性が高い。

その証拠に、ロシアが攻撃を開始する前に、ウクライナの戦闘機は緊急退避を行っている。

また防空ミサイルや各種レーダー設備においても分散配置し、あらかじめ攻撃に供えていたものと思われる。

ロシア空軍は、この攻撃でウクライナ空軍は壊滅したものと思い込み、陸軍を侵攻させている。

これは作戦上の大きな失敗であったと言える。

侵入してきたロシア軍機は、ウクライナ空軍の戦闘機による思わぬ反撃を受け、 また防空ミサイルからの迎撃もあり、多数の航空機を撃墜されている。

つまりロシアは、相手を過小評価し、準備不足のまま戦争を行ったということである。

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アメリカの兵器支援と精密誘導爆弾の不足

ウクライナに対して供給されている兵器としては、アメリカの個人携帯型対空ミサイル、スティンガーがある。

ロシア空軍機は、ウクライナ軍の防空ミサイルによる迎撃から逃れるため、レーダーに探知されにくい低空を飛んでくる場合が多い。

また悪天候時においても低空飛行を行うことがある。

スティンガーは、そのような低空で飛行してくる航空機を撃墜するのに適したミサイルである。

そのため、かなりの数のロシア機が、このスティンガーの餌食となっている。

また、軍隊の派遣こそしていないものの、アメリカは、ポーランドとウクライナの国境周辺まで早期警戒機を飛行させ、そこから得られた情報を、ウクライナに提供しているものと思われる。

背後にいるアメリカの存在が、現在のウクライナ軍が善戦している大きな要因の一つといえるだろう。

現在の航空戦においは、戦闘機同士の戦いだけではなく、早期警戒機と連携して戦うのが基本となっている。

早期警戒機は、巨大なレーダーを搭載し、上空から極めて広い範囲での探知ができる。

これにより相手より先に敵機を発見し、味方の戦闘機に対して敵機の位置を知らせ、誘導するという空飛ぶレーダーサイトの役割を担っている。

ロシア空軍も早期警戒機を保有してはいるが、性能面においてアメリカに遅れをとっている。

またロシアの航空機は地上の施設を攻撃する際に、無誘導爆弾を使用していることから航空機搭載用の精密誘導ミサイルを、ほとんど保有してないものと考えられる。

いかに優秀なパイロットといえども、通常爆弾で正確に地上目標を攻撃するということは困難である。

つまり低空飛行を行ない、目視で目標を確認しながら爆撃する必要があるため撃墜される危険性が高まる。

こういったことも制空権を取れない要因の一つと考えられる。

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パイロットの技量不足と傍受された通信

パイロットの 操縦技量を保つためには、常に飛行訓練を継続していくことが必要とされる。

ほんの数日、飛行訓練を行わなかっただけで パイロットの技量は、低下してしまうと言われている。

アメリカ空軍や航空自衛隊においては、年間200~300時間の飛行訓練が行われており、パイロットは高い練度を維持している。

またウクライナ空軍のパイロットは、NATOにおける訓練にも参加しており、そこで様々な空中戦における戦術を教わり技量を高めてきていたため、 熟練したパイロットが 、かなりいるものと思われる。

これに対してロシアの航空機は、エンジンの寿命が欧米の航空機よりも短いという欠点がある。

つまり、短い年月でエンジンが寿命を迎えてしまうということになる。

そうなると新しいエンジンと交換しなければならなず、膨大な費用が発生することとなる。

機体寿命の延長を図るため、ロシアのパイロットは飛行訓練時間を制限され、充分な訓練を受けていなかったのではないかと思われる。

それ以外の理由としては、ロシア空軍は、世界第二位と呼ばれる規模の軍を維持しているとはいえ、それを支えていくための充分な経済力を持ち合わせていない。

そのため、正面装備ばかりに予算がとられ、日頃の訓練を行うための予算にまで手が回らない状況になっているのではないだろうか。

また通信系等においてもロシア軍は問題が多いことが指摘されている。

本来、無線は敵に傍受されても内容が分からないように暗号化して送るのが基本となっている。

しかし、ロシア軍の無線設備は性能が悪いため、各部隊とのやりとりを携帯電話で行うという信じられないことを行っている。

これでは情報が相手に筒抜けになり作戦が暴露されるのはいうまでもない。

こういった背景も、ロシア空軍が今だに制空権を握れない要因の一つと言えるだろう。

ソ連時代にも犯した「同じ過ち」

現在のウクライナの戦いのように当初、短期間で制圧できると思っていた敵軍が予想を上回る反撃を見せたという事例は過去にも存在する。

実は、ロシアは以前、ソ連時代にも今回と同じようなことを経験している。

1939年11月30日に起こったフィンランドにおける戦争、いわゆる「冬戦争」においてソ連は、圧倒的に優勢な兵力でフィンランドに侵入した。

しかし、そこでソ連軍はフィンランド軍の反撃を受け、大損害を被り、一時撤退するという事態を招いている。

歴史は繰り返すのである。

そして、歴史から学ばなければならない。

ロシアから奪回したウクライナの各都市において、ロシア兵による数々の戦争犯罪が確認されている。

多くのウクライナ国民が家や家族を失っている。

「21世紀のこの時代に、このような凄惨なことが行われるなんて信じられない」という声も聞く。

しかし、悲しいことに、戦争の本質は過去と何も変わっていない。

それは、これからの未来においても同様なのである。

「戦争映画」は、ただ国同士が争う映画ではない。

迫力ある戦闘シーンだけでなく、涙なしには語れない数々の人間ドラマがある。

数ある戦争映画の中でも、今回は実話を元にしたエピソードのみを厳選して紹介する。

一度は見ておきたい実話の戦争映画5選!