悲惨な潜水艦事故。乗員全員死亡!ロシア、インドネシア、日本の事故
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現代の潜水艦は、海軍において空母と並んで中心的な存在となる艦である。

他の軍艦との大きな違いとしては、行動中は、ほとんど水上に姿を現すことなく水中を航行しているため、敵に探知される可能性は極めて低い。

ただし、艦内は非常に狭く、計器をはじめとする各種装置が、ぎっしりと詰め込まれており、乗組員は、その隙間で生活することを強いられる。

艦長室以外に個室はなく、昼とも夜ともわからない生活が、航海中は延々と続く。

特に音を出せば敵艦のパッシブソーナーに探知される恐れがあるので、防音には細心の注意を払う必要がある。

そのため、艦内の至るところに音を出さないよう、あらゆる措置が施されている。

このように潜水艦の乗組員は、極めて過酷な状況の中で勤務している。

今回は、過去に起きたロシア海軍クルスクの撃沈疑惑、インドネシア海軍の電源喪失による圧壊事故、帝国海軍の壮絶な事故について解説していこう。

しまかぜ

潜水艦事故の詳細を動画でも解説しているので、最後まで見てね!

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ロシア原子力潜水艦クルスク 爆発事故

2000年8月12日、ロシアのセヴェロモルスク港の沖合140キロの地点において、ロシアの原子力潜水艦クルスクが爆発を起こし、水深108mの海底に沈没した。

当日クルスクは、バレンツ海において訓練を実施していたが、突然、通信が途絶えて所在が不明となったことから捜索が行われていた。

ノルウェーの地震研究所や近くの海域にいた他の潜水艦からは2度の爆発音が確認されていた。

クルスクの前方部分が破損していたため、ロシア調査団は、他国の潜水艦または大型戦艦等との衝突説をあげている。

しかしその証拠はなく、イギリスは支援を表明するがロシア側は軍事機密であるクルスクには近寄らせようとしなかった。

アメリカやイギリスは、潜水艦に搭載していた魚雷が何らかの理由で爆発したのが事故の原因と考えられるとの発表をしている。

また、発射実験の海域にまぎれ込んで撃沈されたのではないかという説も出ている。

救助作業は行われたが、悪天候のため作業は難航した。

そのためロシアは他国に救助要請を出し、イギリスとノルウェーの両国が救助活動を行うこととなった。

翌日、水深108mの海底で潜水艦クルスクは発見されたが、 脱出用のハッチが破損していたため救出作業は難航し、9日後にようやくハッチを開けることに成功した。

しかし、残念ながら生存者の発見には至らず、乗組員118名全員の死亡が確認された。

爆発は起こしたものの周辺の海域に放射能漏れは確認されなかった。

その後、船体は、ロシアとアメリカの企業が合同で引き上げることとなり、作業が実施されたが、クルスク内部の破壊の度合いが酷かった上に、悪天候ということもあり、打ち切りとなった。

船体の内部調査の結果、12人の遺体と乗組員が残した手記のみが引き上げられた。

その手記には

「この区画には23名いるが、火災からの二酸化炭素が充満して気分が悪い。脱出するにも減圧に耐えられない」といった内容が書き込まれていた。

この救出の模様は、当時テレビ中継され、多く人たちが、乗組員の無事を願っていたが、残念な結果となった。

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インドネシア潜水艦「KRIナンガラ402」 電源喪失による圧壊

2021年4月21日未明、インドネシア海軍の潜水艦「KRIナンガラ 402」は、バリ島北方海域において魚雷発射訓練を行うため、潜航を開始したが、その直後に連絡が途絶えた。

その後、海底に沈没している同艦が発見された。

事故原因としては、何らかの原因で電源が喪失したため、艦は浮上することができず深海にむけ沈下を続け、ついに可能潜航深度を超えてしまった。

そのため船体が水圧に耐えられず圧壊を起こしたと考えられている。

残念ながらKRIナンガラ 402の乗組員53名は、全員が死亡 している。

このように潜水艦の事故においては、水上艦のように救助できる場合は、ほとんどなく、全員が助からない場合がほとんどであるのが特徴である。

調査の結果、船体は水深850mの海底に沈んでいることが確認されたが、 その場所は急斜面になっており、艦は崖に引っかかっている状態であることがわかった。

当海域の最大水深は、1590mにもなり、下手をすれば艦が、そこまで沈下してしまう可能性もある。

さらには、ナンガラ 402は3つに破断されている状態で、 艦内には魚雷三本が残ったままになっていることから、引き揚げ作業には、最新の注意を払う必要があった。

ナンガラ 402の引き上げ作業については、突如、中国海軍からサルベージ救難艦三隻を派遣し、回収作業の支援をしたいとの打診があり、インドネシア政府は、これを受け入れた。

救難艦には、水中で活動可能なロボットを装備し、震度4500mの水深であっても 回収活動が可能な能力を持っているため、インドネシア側は歓迎し、現在作業工程の協議が進められている。

しかし、その一方では、この中国の支援は、本当に善意に基づく支援なのか、それとも何か裏があるのではないかという疑問の声も出てきている。

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ロシア潜水艇 海底ケーブル巻き込み事故

2005年8月4日、ロシア海軍の小型潜航艇「AS-28」が、カムチャツカ半島南部沖の海域において浮上がきなくなり、水深200mの海底に取り残された。

この潜水艇は、事故を起こした潜水艦を救出することを目的としていた艦であったが、皮肉なことに、自らが救出されるハメになったのである。

原因としては、艦のスクリューに漁網が引っかかり、さらに 通信ケーブルをも巻き込んでしまったのが原因と思われる。

地元メディアの情報によると 艦内の酸素供給能力は最大でも5日間と言われていた。

ロシアは2000年8月に起きたロシア原潜クルスクの、あの痛ましい事故が 脳裏をよぎった。

しかし、今回はアメリカとイギリスが無人潜航艇を送って迅速な救出作戦が行われた。

また日本に対してもロシアより救出要請があったため、海上自衛隊の「潜水艦救難艦ちよだ」「掃海母艦うらが」「掃海艇うわじま」「ゆげしま」の計4隻の艦艇が派遣された。

結果的には、イギリスの無人潜航艇がいち早く到着し、ケーブルを切断することにより 潜水艇は無事浮上することができたため、海上自衛隊の艦艇に出番はなかった。

しかしこの日本の行動は、ロシアから大いに感謝され、イワノフロシア国防大臣から当時の大野防衛庁長官に対して「日本が最初に行動を起こしてくれた。この恩は永久に忘れない」との電話連絡があり、さらにはプーチン大統領より、派遣部隊指揮官に対して、ロシア連邦名誉勲章まで送られている。

そして、これをきっかけにしてロシアの軍艦と海上自衛隊の軍艦がお互いの国の港を親善訪問するということにまで発展した。

現在、日本とロシアは、ウクライナ戦争により関係が悪化している。

しかし、このような心温まる交流があったという事実も忘れてはならない。

帝国海軍 第六潜水艇の最期

1910年明治43年4月15日、帝国海軍の第六潜水艇の訓練中における事故の内容は衝撃的であった。

訓練の内容は、エンジンを始動させたまま煙突が海面上にでる深度で航行するというものであった。

しかし、何らかの原因で煙突内に海水が侵入し、浮上できなくなるというトラブルに見舞われた。

必死の復旧作業も虚しく、艦は海底に着底したままその後、浮上することはなかった。

翌日、救助活動が行われ、佐久間艇長以下乗組員14名の遺体が発見された。

死因は酸欠による二酸化炭素中毒であった。

しかし、その時の艦内の光景に誰もが目を疑った。

全乗組員14人のうち12人が誰一人持ち場から離れることなく、配置についている状態で死亡していたのである。

残りの2人も、破損個所で発見されており、最後まで修復に当たっていたと思われる。

佐久間艇長は薄れゆく意識の中で、事故原因や事故の経過、潜水艇の将来、さらに乗組員の遺族までを慮った遺書をノートに書き記していたという。

この話は日本のみならず世界で知れ渡り、多くの讃美の声が寄せられている。

佐久間艇長の遺書の内容

「小官の不注意により陛下の艇を沈め部下を殺す、誠に申し訳なし、されど艇員一同、死に至るまで皆よくその職を守り、沈着に事を処せり、我れ等は国家のため職に倒れ死といえども、ただただ遺憾とする所は、天下の士はこの誤りをもって将来潜水艇の発展に打撃を与うるに至らざるやを憂うるにあり」

「願わくば諸君益々勉励もってこの誤解なく、将来潜水艇の発展研究に全力を尽くされん事を。さすれば我れ等一つも遺憾とするところなし」

「沈没の原因。ガソリン潜航の際、過度探入せしため、スルイスバルブを締めんとせしも、途中チエン切れ、よって手にて之を閉めたるも後れ、後部に満水せり。約二十五度の傾斜にて沈降せり」

「沈据後の状況。一、傾斜約仰角十三度位 一、配電盤つかりたるため電灯消え、電纜(でんらん、ケーブルのこと)燃え悪ガスを発生、呼吸に困難を感ぜり。十四日午前十時頃沈没す、この悪ガスの下に手動ポンプにて排水につとむ」

「一、沈下と共にメインタンクを排水せり。灯り消えゲージ見えざるども、メインタンクは排水し終われるものと認む」

「電流は全く使用するにあたわず、電液は漏れるも少々、海水は入らず、クロリンガス発生せず、残気は五百ポンド位なり。ただただ頼むところは、手動ポンプあるのみ。ツリムは安全のためヨビ浮量六百、モーターの時は二百位とせり。右十一時四十五分、司令塔の灯りにて記す」

「溢入の水に侵され、乗員大部衣湿ふ寒冷を感ず、余は常に潜水艇員は沈着細心の注意を要すると共に大胆に行動せざれば、その発展を望むべからず。細心の余り萎縮せざらん事を戒めたり。世の人はこの失敗を以てあるいは嘲笑するものあらん、されど我は前言の誤まりなきを確信す」

「一、司令塔の深度は五十二を示し、排水に努めども十二時までは底止して動かず、この辺深度は十尋(ひろ)位なれば、正しきものならん 一、潜水艇員士卒は、抜群中の抜群者より採用するを要す。かかるときに困る故、幸い本艇員は皆良くその職を尽くせり、満足に思ふ」

「我れは常に家を出ずれば死を期す、されば遺言状は既に『カラサキ』引き出しの中にあり。(これ但し私事に関する事を言う必要なし、田口浅見兄よ、之を愚父に致されよ)」

「公遺言 謹んで陛下に申す。我が部下の遺族をして窮する者無からしめ給わらん事を、我が念頭に懸かるもの、これあるのみ。右の諸君によろしく。一、斎藤大臣 一、島村中将 一、藤井中佐 一、名和少尉 一、山下少将 一、成田少将」 「(気圧たかまり鼓膜破らるる如き感あり)一、小栗大佐 一、井出大佐 一、松村中佐(純一) 一、松村大佐(竜) 一、松村少佐(菊)(小生の兄なり)一、船越大佐、一、成田綱太郎先生 一、生田小金次先生」

「十二時三十分、呼吸非常に苦しい。ガソリンをブローアウトせししつもりなれども、ガソリンにようた。一、中野大佐 十二時四十分なり ……」

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