【海上の要塞】遠征洋上基地「ミゲルキース」の重要任務と空母との違い
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現在、日本を取り巻く 周辺国による脅威は、かなり高まってきていると言える。

特に中国海軍による海洋進出が目立ってきており、6年後には台湾に侵攻してくるのではないかと予想されている。

その台湾と尖閣諸島の距離は、わずか約170キロしか離れていない。

そのため日本は尖閣諸島周辺の与那国島、 宮古島 に陸上自衛隊 の基地を建設し おり、石垣島にも新たに基地を作る予定である。

さらに日本版海兵隊 とも言える「水陸機動団」も設立している。

在日米軍も、日本と同じく中国の海洋進出に対処するため遠征洋上基地とも呼ばれる艦艇「ミゲルキース」を横須賀を拠点とする米第七艦隊に派遣し、作戦能力の向上を図っている。

周辺を海に囲まれた日本にとって兵員を迅速に移動させ、展開させる手段としての洋上基地の役割は極めて重要である。

今回は、遠征洋上基地ミゲルキースとはどのような艦艇か、空母との違いや日本に寄港した理由について解説していこう。

しまかぜ

ミゲルキースの迫力ある船体や着艦するヘリの動画も見てね!

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遠征洋上基地ミゲルキースとはどのような艦艇か?

ミゲルキースは、正式には遠征移送ドック(ESD) と呼ばれる艦種に含まれる。

ESD は強襲揚陸作戦任務を行う際の海上基地としての役割を持っている。

通常、上陸作戦においては強襲揚陸艦が使用されるが、大規模な揚陸作戦を行うには 、近くにある港湾を使用して人員や物資、 車両装備 などを積み込む必要がある。

しかし外国においては、政治的な問題により使用できない場合もある。

そのため、その港湾に替わる海上における兵站基地の役割を持った艦が、このミゲルキースである。

5隻が建造予定であり、現在3隻が就航中である。

基準排水量は81,435 トン、全長 239m 最大幅50m、 機関方式は ディーゼル エレクトリック方式と呼ばれ、エンジンで発電機を動かし 、それにより発生した電力で電動機を回し 推進する方式が取られている 。

最大速力は15ノット(約27㎞)で通常の艦艇と比較すると半分程度の速力しか出せないが、洋上基地という任務を考慮すると妥当といえる。

航続距離は 9500マイル(約15300㎞)を走ることができる。

ヘリコプター離着陸用の甲板や指揮通信施設が設置されている。

また複合艇と呼ばれる硬質ゴムボートや磁気掃海具などを搭載することも可能になっている。

なお揚陸艦のようにLCACと呼ばれるエアクッション型揚陸艇は搭載していない。

ミゲルキースは2021年の5月に就役したばかりの新鋭艦で、沖縄県の沖合や長崎県の沿岸で停泊しているのが確認されている。

日本に寄港している理由としては海洋進出を強める中国に対する牽制を念頭に置いた対応と思われる。

次に、遠征洋上基地と言われているミゲルキースと空母の違いについて説明しよう。

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遠征洋上基地と空母の違い

ミゲルキースは海上において強襲揚陸艦などに対して、あらゆる人員、 物資などを積み込むことができる「動く港」としての機能を持っている。

人員や物資を艦に積み込む作業は、洋上では不可能であり岸壁が必要となる 。

その岸壁の役割を持つのが ミゲルキースである。

第二次大戦のノルマンディー 上陸作戦時においても米軍は マルベリー と呼ばれる人工の岸壁を海岸に浮かべて上陸作戦の支援を行ったこともある。

航空機としては輸送ヘリコプターであるCH-53を2機 搭載している。

これに対し空母は戦闘機や攻撃機、 それに早期警戒機など多数の航空機を搭載して作戦行動を行うことのできる「動く飛行場」としての 機能を持っている。

速度に関しては戦闘行動を行う空母は30ノット (約48㎞)という高速で航行できるのに対し、ミゲルキースは後方支援という役割もあり、敵と直接戦闘することがないために最大速度は低速である。

また 空母の甲板は航空機が発艦しやすいように艦首部分を上向きにしたスキージャンプ 甲板と呼ばれるものやカタパルトを搭載し、それにより航空機を発艦させるものなどがあるのに対し て、ミゲルキース には、 そのような設備はなく、ヘリの離着陸が可能な甲板を持つのみである。

空母は機動部隊の中心として敵艦隊や敵基地を攻撃する役割を持っているのに対し、ミゲルキースは上陸部隊の中心として、後方においての揚陸艦に対する補給や支援を行う役割を持っている。

地上にある港や基地、 航空基地は当然移動はできない。

ミゲルキースや空母は 、それらの施設を海上において自由に移動させることができる極めて重要な意味をもつ艦だといえる。

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遠征洋上基地ミゲルキースが日本に寄港した理由

なぜミゲルキースがわざわざハワイから日本に寄港したのか?

現状の尖閣諸島周辺における中国海警船による度重なる領海侵入や台湾に対する中国空軍の多数機による領空侵犯など緊張を高めてきている。

そのような中国軍に対する抑止力として寄港した可能性が 高い。

大陸においての戦闘では人員、 燃料、 弾薬、食料の補給に関しては主に車両や鉄道が使われている。

これに対して島国においての戦闘は、その補給の手段は船に頼るしかない。

補給は戦闘において重要な意味をもつ。

ロシアとウクライナの戦闘においては、補給路をウクライナ軍に度々攻撃されているロシア軍は燃料や弾薬、 食料が枯渇 して後退を余儀なくされている。

燃料や弾薬がなければ戦車も単なる鉄の塊に過ぎないのである。

あえて言うなら戦闘より補給の方が重要であるというのも過言ではない。

日本の南西諸島の島嶼防衛時において、離島に展開している兵士に対する補給が途絶えれば、兵士の士気は下がる。

かつてのガタルカナルの戦いにおける日本軍 のようなことになりかねない。

アメリカ軍は、その点、補給に関しては万全の体制を敷いているといえる。

何しろ100m 後退すれば 、そこでアイスクリーム が食べられるというジョークも言えるほど、充分な補給体制が確保できるようになっている。

このようなことが可能なのは、おそらく世界でも アメリカのみであろう。

ミゲルキースは、その補給の中心としての機能を持つという意味において、海洋進出を企む中国軍にとって大きな脅威となっていることは間違いないだろう。

中国の台湾侵攻と尖閣諸島

ロシアとウクライナ の戦争では空と陸の戦いが主流 なのに対して中国と台湾の戦争では、それに上陸作戦を含む海の戦いが入ってくる。

それは日本も同じことがいえる。

国境越えて、いきなり敵の陸軍が進行するということはなく、人員や装備は揚陸艦に乗せて運ぶ必要がある。

それだけではなく、その上陸部隊に対して燃料、弾薬、食料などを絶えず供給していかなければならないという面においては、中国の台湾侵攻はウクライナよりハードルが高い。

しかし、中国海軍の最近の増強ぶりは、すさまじく 近い将来、 台湾に侵攻してくる可能性は 充分にあると思われる。

そうなれば日本も他人事ではなくなり、尖閣諸島も攻撃対象にされる可能性が出てくる。

戦争はミリタリーバランスが崩れた時に起こるのである。

自衛隊は在日米軍と協力して、その力を誇示する必要がある。

戦争は戦う前からもう始まっているのである。

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