ロシアの特殊部隊「スペツナズ」の95％が壊滅！情報戦でしくじったロシア軍

特殊部隊といえば、アメリカのグリーンベレーやネイビーシールズといった名前を聞いたことがある人もいるだろう。

しかし、ロシアのようなやや独自の路線を進む国においては、この特殊部隊の役割や構成も異なってくる。

スペツナズとはロシア語で「特殊任務部隊」の意味であり、その言葉からネイビーシールズなどと同じような組織に思われがちだが、その根本が大きく異なっている。

その活動内容から、通常の部隊とは別の動きを取る部隊や集団である。

今回は、ロシアのスペツナズと他国の特殊部隊との違いについて、また、ウクライナ戦争で95％の戦力を失ったとされる戦闘について解説していこう。

ロシアのスペツナズの役割と武器

スペツナズはアメリカのネイビーシールズやデルタフォースのように特定の部隊を指していると思っている人も多いが、実はスペツナズ は特定の部隊を指すワードではなく、 特殊部隊を意味する総称のことである。

もともとの成り立ちは1950年に設置されたのがはじまりと言われているが、その役割は、NATO諸国に配備された核兵器を排除、破壊することにあった。

その活動実績を生かす形で、のちに指揮系統の破壊壊滅、交通インフラの撹乱などの役割が加わっていった。

設立当初は各120名で構成されたスペツナズは46ほどの部隊が存在したと言われている。

本格的な実戦配備は1979年のアフガニスタン紛争であった。

細分化された抵抗運動の制圧に暗殺計画を導入したことが事の始まりであったとされる。

活動が大きくなるにつれ、いくつかの部隊が解散統合され数百名規模の部隊も出来上がり、戦闘時には空中や水上からの急襲なども行っている。

彼らは、特定の種類の任務と戦術に特化した訓練を受けており、機動性などを重視したスペツナズは、AK-74Mという小銃を装備していることが多く、暗視装置や光学照準器などを装備している。

また、それをさらに短くしたAKS-74Uを装備し、狭い建物や建物内部での活動を想定した部隊もある。

近年では、AK-12を装備し、より狭い場所や限定的な場所での任務も想定されている。

現在ではおよそ15,000人程度の人間がスペツナズに所属しているとされ、そのうちの1,000人程度はグリーンベレーやネイビーシールズなどの特殊部隊レベルの人員、それ以外は中級レベルの人員として汎用的な作戦に関わっている。

スペツナズの装備品は、サバイバルゲーマーなどにも人気があり、レプリカや実物を含めて、通販サイトでも多数出展されている。

また、ゲームキャラクターの悪役のモデルとして描かれる節もあり、その独特の存在感を物語っている。

では、各国の特殊部隊と比較して一体どのような違いがあるのだろうか？

スペツナズと他国の特殊部隊との違い

スペツナズは特殊部隊として構成されているため、その言葉からネイビーシールズなどと同じような組織に思われがちだが、その根本が大きく異なっている。

例えば、ネイビーシールズはアメリカ海軍の特殊部隊であるが属性上、水上での特殊任務を最も得意とするものの、実際には陸海空問わず非限定的な特殊任務を担っており、各個人の能力を見ても極めて総合力の高い集団となっている。

しかしながら、ロシアのスペツナズは、特性として隠密任務を遂行する意味での特殊部隊の色が濃い。

その意味では、陸海空にまたがるような活動となり、極めて部分的な活動となっている。

その背景には、各所にスペツナズが設けられているため、活動領域を絞り専任部隊としての限定的な役割や高い専門性が求められているという背景があるだろう。

例えば、空挺スペツナズは、空挺軍の大規模な上陸作戦の前に敵後方に足場を築くことに特化しており、空挺軍から2,000キロメートル以内の範囲での活動に限定されているのだ。

チェチェン紛争の際のグロイズヌ攻撃に参加した際には空挺スペツナズの静かな仕事ぶりの前にチェチェンの戦闘員は圧倒され、次々に建物の制圧を許したのだった。

海軍スペツナズの大元となったでフロッグマンは1941年にレニングラードとバルチック艦隊を防衛するために作られた特殊部隊だが、明確な目的のもとにレニングラードを救った実績から、現在の海軍スペツナズは海軍施設と艦船の安全確保を目的とした少数精鋭部隊として組織されている。

この部隊は、戦闘時には敵領海内における妨害活動も担うようだ。

限定的な活動であるがゆえに専門性が高く、その分野における特殊作戦を速やかに遂行するロシアのスペツナズは、特殊な状況においては極めて脅威となるだろう。

ところが、ウクライナ戦争ではスペツナズの95％が壊滅したという情報が飛び込んできた。

ウクライナ戦争での壊滅的なダメージ

スペツナズは多様なミッションを遂行するための様々な訓練を受けているにもかかわらず、ウクライナ侵攻においては壊滅的な打撃を受けていると言われている。

一体、何が起きたのだろうか。

1人の隊員を育成するのに4～10年が必要だと言われるスペツナズの95%が壊滅したと報じられており、一部の情報によればウクライナの戦力を軽視した結果ではないかとのことだ。

ロシアは、限られた戦力であり数的にも大きくない軍隊と想定したウクライナに、戦局の初期段階から複数のスペツナズを投入したところ、想定以上の軍備や軍力を有するウクライナ軍にスペツナズが粉砕されたのではないだろうか？

初期の失敗以降も激戦区に残りのスペツナズを投入して戦局の打開を試みるが、ことごとくスペツナズが撃滅され、最終的にその95%が散ったのである。

少数精鋭であるがゆえに想定外に敵軍の規模が大きい場合に対応が難しく、隠密作戦や特殊任務が真骨頂の部隊に激戦を強いるのは筋が違うなどの原因があるとみられ、スペツナズをもとの状態に戻すまでには10年以上が必要ではないかと見られている。

また、ネイビーシールズやグリーンベレーのように屈強な兵士レベルはスペツナズの10％に満たず、そのほとんどが一般歩兵と変わらない戦闘力であったことも原因となっただろう。

当初からのロシアの兵士数不足もあり、戦局と能力の見合わない状況での投入がこの事態を招いたのであった。

世界に誇る特殊戦力を失ったロシアは、十分に訓練の行き届かない国民に過酷な徴兵を強いており、戦局打開は極めて難しいとも見られている。

情報戦でしくじったロシア

ロシアがウクライナを進行した際に、大方ロシアが大規模な兵器や軍備を用いて、まるで弱い者いじめのようにウクライナを制圧するのではないか、という見方をした人も多かっただろう。

しかしながら、ふたを開けてみれば戦局や相手の軍備を見誤った、ある意味では戦争の真骨頂でもある情報戦でしくじったロシアが形勢不利な状況であるこの現状。

世界各国は、どのように受け止めただろうか。

少なくとも、ロシア自体がこのような現状であることを想定はしていなかったのではないだろう。

明るみに出た不利な状況を挽回したいのか、または隠したいのか、ロシアは「じり貧状態」での攻撃を続けている。

このまま戦闘を継続することに何の意味や価値を見出しているのだろうか。

一日も早くウクライナ戦争が終結することを願うばかりだ。

次に動画では、ウクライナ軍が使用した「死の光線」と呼ばれる兵器について解説しよう。