対戦車地雷の仕組みと威力。バラまかれた地雷を除去する特殊車両とは?
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ウクライナの軍隊は、リモート操作で動くラジオコントロールの車に対人地雷を2個装備し、それをロシアの軍隊に向けて突撃させる「遠隔操作地雷」を製造した。

これらの地雷を試走させては爆発テストを行っている。

兵士はラジオコントロールの車に地雷を2つ取り付けるだけで、その後は遠隔操作で敵の陣地に向けて突撃させ、爆発を引き起こす。

自爆攻撃で突入する攻撃型ドローンは海外で「神風ドローン」と呼ばれているが、これも無人車両によって突撃するシステムである。

地上に設置された対人地雷は、無傷の兵士や民間人がこれを踏むことで爆発を起こす。

だがこの「遠隔操作地雷」は兵士によって操作され、敵の陣地へと突進し、兵士が配置されている塹壕や軍事設備に衝突し爆発を引き起こす。

そのため、地雷原を避けて通る戦車でも、この無人車両をコントロールすることで戦車の下にもぐりこみ破壊するといった戦術を行うことができる。

地上に埋められた対人地雷は、無傷の兵士や民間人がこれを踏むことで爆発を起こす。

「遠隔操作地雷」は兵士によって操作され、敵の陣地へと突進し、兵士が配置されている塹壕や軍事設備に衝突し爆発を引き起こすのだ。

今回は、対戦車地雷の爆発のメカニズムと破壊力、地雷原を突破するための除去方法について解説していこう。

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対戦車地雷の開発の経緯

戦車を狙った地雷である「対戦車地雷」は、第一次世界大戦中の1916年に、ドイツ軍がフランスに侵攻した際に実践導入された戦車への対抗策として、その歴史の幕を開けたのである。

戦車を活用した戦闘が増えるにしたがって、地雷を対戦車式にする対抗策が実戦投入され、1918年辺りには「対戦車式地雷」が使われはじめた。

現在では、戦車や装甲車が移動する幹線道路や産業道路などの要所に配置した待ち伏せ作戦的な使用法もあるが、「対戦車式地雷」が開発された当初は、戦車の可動範囲なども現在ほど大きくなかったこともあり、自軍陣地などへの戦車侵攻などに対しての防衛策としての役割が多かった。

対人であれ、対戦車であれ地雷は、本体に対して一定の圧や重量がかかることで起爆する仕組みを取っている。

一般的には、1960年代に勃発したベトナム戦争のようなゲリラ戦において、見えざる敵や小回りの利く少数部隊に対しての対策として多用されているイメージが強い。

地雷は、技術の進化に伴って起爆に対しては、ひもなどの引力式、人感知センサーや温度感知センサーなどの方式が導入されていった。

陸地以外にも水際や浮遊地雷、空挺地雷、科学地雷などの用途がある幅広い兵器となっている。

ベトナム戦争やカンボジア、ボスニアなどの紛争でも対人地雷が多用され、民間人の生活にも大きな被害をもたらしたことなどから、1983年には「特定通常兵器の使用禁止条約」が発効された。

それほどの影響力をもった危険な兵器、それが「地雷」であり、その威力は戦車の足回りを破壊したり、戦車の機能を無力化する程度にまで及ぶ。

では、対戦車地雷が圧力で爆発するメカニズムはどのようになっているのだろうか?

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対戦車地雷の仕組みと爆発のメカニズム

「対戦車地雷」は戦闘機や戦車のように多額の費用を必要としないコストパフォーマンスに優れた兵器である。

構造はシンプルで、多くの場合はその地雷そのものに圧力がかかることで爆発する圧力式が一般的となっている。

直径は約15~30センチほどで、カーリングのような形状をしていることが多い。

多くの場合は、100キロ以上の重量圧によって起爆する仕組みがほとんどである。

そのため、人間や軽装備の兵士ではなく、戦車や重装備の車両のみを対象とするように設計されている。

地雷の上部にはプレッシャープレート(圧力板)があり、地雷が圧力を感知するための部分で、特定の重量がかかったときに下に動くようになっている。

プレッシャープレートの下には発火装置があり、これは非常に敏感な化学物質でできており、物理的な衝撃を受けると発火する仕組みだ。

プレッシャープレートが下に動くと、この発火装置に直接的な圧力がかかり発火する。

発火装置の発火によって生じる小さな爆発は、地雷内部の主炸薬に伝わる。

主炸薬は大量のエネルギーを急速に放出し、強力な爆発を引き起こすことで、この爆発が人間や車両などに被害を与える仕組みとなっている。

我が国の自衛隊においては、72式型演習対戦車地雷、92式型対戦車地雷が一般的なものとなっている。

アメリカ軍ではM15式対戦車地雷が使用されていうが、摂氏50度以上で自然爆発してしまうという事故も発生している。

地雷と一口に言っても、形式も製造国も様々で、世の中には300種類を超える地雷があるとされている。

対人式なら1個数百円、対戦車式なら1個数千円などの安価で使用できることもあり、多様な種類が開発されていった背景もあるだろう。

安価な兵器でありながら、数億円の戦車を吹き飛ばすといったコストパフォーマンスに優れた兵器である。

軍事資金が豊富ではないロシアやウクライナにおいても、この安価な費用がトリガーとなって、大量に用いられている側面もある。

金属製ではなく木製地雷もあるため、金属探知機が反応せずに見過ごしてしまうといったリスクもある。

また、フェイク地雷は、実際の地雷と同じように見えるものの、爆発はせず、敵の足止めを狙って大量にまかれるといった戦術もある。

敵が特定のルートを選択することを防ぎ、移動を特定の方向に誘導するために使用されることもある。

圧力式以外にもセンサー式、人為的に爆発させるものなどもあり、地雷の種類をすべて把握することは難しいと思われるほどの広がりを見せている。

地雷には不発も多く平均的には10%~40%が不発であるという統計もあるため、そのすべてが爆発し被害を与えることがない前提で大量設置されてしまうとも考えられる。

そのような地雷原を戦車や兵士が通過する場合、その除去はどのように行うのだろうか?

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対戦車地雷への対策、除去方法

今回のウクライナ侵攻では対戦車式地雷が大量に設置され、このすべてを除去するまでには、数十年の除去作業が必要であると見られている。

地雷は、製造や購入に対しては高いコストパフォーマンスを見せているものの、除去となるとコストパフォーマンスという言葉はまるで通用しないという側面がある。

設置にかかる費用の100倍以上の費用や手間がかかってしまうためである。

戦闘時の地雷の対策としては、地雷を感知するセンサーを用いるのが一般的だが、容易に通過できる平坦な移動ルートに配置されていることも多いので移動ルート自体を変えるという物理的な対策もある。

除去に関しては、装甲車や車などの使用で地雷を踏み起爆してしまうことを避けるために、少数のセンサーを持った地雷処理班が地道な作業を行うことが多い。

探知の仕組みについては、中性子を照射することで爆薬の構成物となっている窒素を検出する方法が多い。

安全が確立されているケースでは、このような仕組みを搭載したバギー車両や地雷探知機搭載車を使用することもある。

また、嗅覚の優れた軍用犬を用いて地雷の位置を特定し、処理をする除去方法もある。

地雷があることを知らずに車両が通過してしまうことで民間人が被害にあってしまうケース、農地開拓の際に農民が被害に合ったり、宅地化に伴い住宅関連業者が被害にあうなどの事故も発生しており、ウクライナ侵攻において設置された対戦車地雷の除去については、すでに問題視されており、将来的に世論を巻き込む可能性もある。

民間人への被害と自衛隊派遣

ウクライナ侵攻だけでなく、ベトナム、ボスニア、カンボジアなど地雷が多用された場所では、民間人が被害に合うケースは避けることができない。

悪意のない幼い子供たちが遊んでいて被害に合うこともあれば、生活用水や食料を求め、通行する際に被害にあってしまうこともある。

そういったことから、1983年には「特定通常兵器の使用禁止条約」が発効され、寄付や地雷除去支援を求める動きもある。

自衛隊がPKOの一環としてこういった動きに参加することもあり、我々日本人としても対岸の火事ではない事象のひとつではないだろうか。

戦争を行うことで上がる戦果や国益もあるが、そういった背景には常に民間人や民間施設、子どもたちが存在していることをわすれてはならない。

次の動画では、軍艦を1発で撃沈する魚雷の威力とその仕組みについて解説しよう。

 

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