台湾有事
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アメリカ太平洋司令官は「中国が今後6年以内に台湾を侵攻し併合するシナリオが、一層現実性を帯びている」と報じた。

また、米上院軍事委員会の聴聞会においても、同様に「中国が6年以内に台湾を侵攻する可能性がある」と主張している。

台湾が設定する防空識別圏に中国の戦闘機や爆撃機がたった5日で延べ150機も侵入していることが問題となっている。

この数は過去最多であり、台湾の閣僚らは中国を非難するとともに、その圧力に屈しない姿勢を示しているものの、挑発ともいえるこの行為はさらに続きそうだ。

一方、中国側は今回の進入について、「中国軍は、連休も返上で、4日連続昼夜を問わず、台湾をパトロールした」と伝えているが、実際は中国による台湾の統一を念頭に置いていると思われる。

軍事力を誇示することで、台湾を屈服させることが目的であろう。

今回は、防空識別圏と領空の違い、また侵入した戦闘機や爆撃機、中国側の目的について解説していこう。

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 防空識別圏、領空とはどのような空域か?

領空は領海と同じく自国の支配が及ぶ空域を指す。

具体的には海岸線から12マイル(約22キロ)離れた地点である領海の上空までとされている。

その外側に設定されているのが防空識別圏である。

防空識別圏に飛行プランのない航空機が侵入した場合、航空自衛隊の戦闘機がすぐさまスクランブル(緊急発進)を行い近接して警告を行う。

警告を無視して領空まで侵入した航空機はは撃墜の対象となる。

分かりやすく言うと、自宅の庭に不審者が侵入しているのと同じ状態である言える。

領空侵犯と呼ばれる言葉を聞いたことがあるかもしれないが、領空侵犯とは、これだけ深刻な状況なのだ。

一方、防空識別圏はADIZ(アジズ)とも呼ばれ(Air Defense Identification Zone)の略である。

各国が領空の外側に設定している空域のことである。

実際は自分たちの支配するエリアではないものの、現代の戦闘機の場合、領空22キロであれば1分半ほどで領土に到達してしまう。

そのため対処できる余裕をもたせるため、国防上の理由により、設定している空域である。

近所を不審者がウロウロしているため、自宅の庭に侵入される前に警察に通報して対処してもらうというのが防空識別圏の概念である。

防空識別圏は法的な根拠がないため、国によってその扱いは異なるが、共通していることとして国際機関の監督を受けない自由な空域に設定していることが多い。

防空識別圏を設定していない国も存在するが、日本やアメリカ、中国などの国家では、国防上の理由から防空識別圏を設け、監視の対象としている。

実際に日本でも連日、挑発目的で中国やロシアの航空機が領空ギリギリまで飛行を行っており、年間900回以上、航空自衛隊の戦闘機が日夜スクランブル発進を行って対応している。

このように空域を指す防空識別圏と領空とは、まったく違った意味である。

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防空識別圏に侵入した中国航空機

J-16

台湾の防空識別圏に侵入した中国機、殲(セン)16、SU-30について触れていこう。

まず、殲16は正式名称を殲撃十六型(J-16)と呼び、中国の戦闘爆撃機である。

外見はF-15やSU-27に似ており、2014年に運用開始した比較的新しい中国の軍用機である。

すでに150機もの機体が中国全土に配備されており、日本のF-15Jに対抗する機体として脅威といえるだろう。

殲16は、もともとSU-27SKと呼ばれるロシアの戦闘機をベースに開発された機体で、ベースの機体に比べて航続距離の延長と電子機器部分のアビオニクスが強化されているのが特徴である。

複座式の機体でミサイル、爆弾ともに電子戦ポッドも搭載できるマルチロール機といっても過言ではない。

ちなみにミサイル、爆弾ともに中国国内の国産化が図られており、自国での調達も容易になっている。

一方、SU-30はロシアから導入した機体である。

こちらは先ほど紹介したSU-27の正統進化系として、SU-27の後継機体という位置づけである。

こちらもマルチロール機として、戦闘、爆撃といった多用途の運用が可能だ。

配備されたのが1999年と殲16に比べてやや古い機体であるが、全世界で630機以上生産されたベストセラー機として技術が確立している。

中国のみならず、タイやインド、リビアなど旧東側諸国以外にも広く輸出され、多くの軍隊で運用されているのが特徴だ。

台湾の防空識別圏に侵入したのは、輸送機や空中給油機、電子戦機、偵察機といった機体ではなく、即座に攻撃が可能な戦闘機や爆撃機が圧倒的に占めていた。

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今回の行動における中国の目的とは?

中国空軍が台湾の防空識別圏に連日侵入しているが、その理由は3つが考えらえる。

それは、

①アメリカに対するけん制とその同盟諸国に対する圧力

②自国の空軍の増強をアピール

③そして台湾への圧力

が挙げられる。

アメリカと中国との関係は冷え切っており、経済以外の交流はほとんどなくなりつつある、そしてアメリカに変わり世界の中心となるべく、アメリカやその同盟国へのけん制や圧力として防空識別圏への侵入を試みている可能性がある。

次に自国の空軍の増強をアピールしてるという見方もある。

防空識別圏への侵入には比較的新しい殲16やSU-30を連日50機近く運用している。

これだけの数の同時運用はアメリカなど一部の超大国と呼ばれる軍事大国以外では不可能である。

中国は、ここまで空軍の戦力を増強したということをアピールしている目的もあるのではないだろうか。

最後が台湾への圧力だ。

台湾は現在半導体の世界的な生産地になっている。

年々世界経済への影響を強めており、昨今起こっている半導体不足では、存在感を示している。

そんな台湾も半導体は中国にも多く供給しているのが事実であり、アメリカや日本にも同時に供給している。

この経済における中立的な立場を脅かし、半導体を中国へ優先的に供給するといった経済面への圧力も兼ねている可能性がある。

これらの理由以外にも中国包囲網と呼ばれる日本と欧米諸国による軍事演習に対する報復という見方もできるであろう。

近年、この活動は日々活発化しており、いずれ防空識別圏を超えて領空にも進出してくる可能性は十分あるのではないだろうか。

いずれにしても台湾への防空識別圏侵入は、東アジアの平和を脅かす行為であることは確かだ。

中国機の防空識別圏侵入 まとめ

ここ最近、中国が台湾の防空識別圏への侵入を繰り返しており、今年に入ってから550機にも及ぶ。

防空識別圏は、領空ではなく台湾の支配下にない空域であるのは確かだ。

しかし、安全保障を脅かしている行為であることは事実である。

このような状況で、さらに懸念されるのが運用されている機体だ。

殲16やSU-30といった航空機は領空を奪うための、高い戦闘能力を持った機体であり、輸送機や偵察機といった挑発目的の侵入ではない。

対応を誤れば撃墜される恐れのある機体で、かなり高いレベルでの挑発といえるだろう。

このような行為を行う理由として、アメリカの台湾干渉などのほか、半導体不足に対しても何かしらの圧力をかけている可能性はある。

中国は艦艇、潜水艦、航空機、ミサイルといった兵力の増強が加速しており「6年以内に台湾を侵攻する能力を備えることになるだろう」とアメリカでは議論されている。

今回の行為は、当分続く可能性があるが、もし台湾侵攻が始まれば、間違いなく南西諸島にも何らかの影響が出るだろう。

日本も中国と尖閣諸島をめぐって領土問題を抱えている以上、注視すべき事態である。

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