潜水艦はくげい

「戦争映画」は、ただ国同士が争う映画ではない。

迫力ある戦闘シーンだけでなく、涙なしには語れない数々の人間ドラマがある。

数ある戦争映画の中でも、今回は実話を元にしたエピソードのみを厳選して紹介する。

一度は見ておきたい実話の戦争映画5選!

2021年10月14日、海上自衛隊の最新鋭潜水艦「はくげい」が進水した。

1番艦の「たいげい」は試験潜水艦になることから、実運用型としては最初の艦といえる。

就役は2023年3月の予定で、日本の潜水艦技術の結晶ともいえる最新鋭艦である。

中国メディアは最新鋭の潜水艦「はくげい」が進水したことを「警戒!日本最強の潜水艦が進水」との見出しで伝えている。

周りを海でかこまれた海洋国である日本にとって、潜水艦の存在は非常に重要な戦力である。

一方、北朝鮮は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を行っており、中国の海洋進出も年々激しくなっている。

日本の潜水艦は、その静粛性や戦術など世界トップレベルともいわれており、「はくげい」はリチウムイオン電池、光ファイバーソーナー、女性乗組員の採用など、新たな取り組みが行われている。

今回は、最新鋭潜水艦「はくげい」の能力やリチウムイオン電池によるメリット、また海上自衛隊の潜水艦の歴史について解説していこう。

しまかぜ

最新鋭潜水艦「はくげい」の迫力の進水式のシーンが記事の最後に動画でも見られるよ!

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新型潜水艦「はくげい」が進水

潜水艦はくげい

海上自衛隊の新型潜水艦「はくげい」は、旧海軍の潜水母艦「大鯨」が名前の由来となっている。

「白鯨(はくげい)」とは、白いマッコウクジラを表している。

この艦の命名については、海自の各部隊から募集が行われた。

はくげいは、現在海自が保有している、「そうりゅう型」潜水艦の後継艦にあたる、最新鋭の「たいげい型」潜水艦の2番艦である。

基準排水量3000トン、全長84メートル、全幅9.1メートル、深さ10.4メートル、建造費約720億円、乗員約70人の海自最大の潜水艦であり、世界でも最大級のディーゼル潜水艦である。

起工は2019年1月25日で2023年3月に引き渡し予定である。

1番艦の「たいげい」から海上自衛隊初となる女性の潜水艦乗組員が搭乗しているのが特徴である。

女性隊員用の寝室やシャワー室も完備されており、最近の女性自衛官の進出は目覚ましく、女性パイロット、女性艦長、などが既に活躍している。

ひと昔前までは、プライベートの問題もあり、狭い潜水艦で女性が一緒に勤務するということは、まず考えられなかったことである。

しかし、少子化で隊員確保が困難な自衛隊にとっては貴重な戦力であることは間違いない。

主機関はディーゼルエンジンとリチウムイオン電池を組み合わせた潜水艦では世界初となる方式が採用されているのが特徴だ。

「そうりゅう型」と比べると高性能シュノーケルを装備したことにより静粛性が高まっており、光ファイバーを使用してのソナーシステムにより探知能力も向上している。

兵装は533mm魚雷発射管6門を装備し、最新式の18式魚雷と対艦ミサイル「ハープーン」を搭載可能である。

18式魚雷は89式魚雷の後継であり音響画像センサーやアクティブ磁気近接起爆装置を搭載しており、2022年2月に導入予定である。

また、おとり魚雷(デコイ)を発射することによる潜水艦魚雷発射防御システムも搭載している。

潜水艦基地は横須賀と呉の2か所しかないが、就役後の配備先は現在未定である。

今後の任務においては、その隠密性を生かして日本周辺海域における監視活動を行い、有事になれば水中において相手の艦艇を待ち受けて攻撃をする役目を負っている。

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世界初のリチウムイオン電池動力とは?

「おうりゅう」から導入されたのが、世界初となるリチウムイオン電池による動力である。

リチウムイオン電池のメリット として、従来のAIPエンジンより早い速度で航行することが可能

「そうりゅう型」に採用されていたAIPエンジンは、艦内タンクに貯蔵された液体酸素を高圧酸素としケロシンを燃料として使用している。

しかし、これは水中航行時間を延ばすものであり、あくまでも補助動力として使われる。

水中でAIPエンジンは低速で敵艦に忍び寄り、攻撃を掛ける待ち伏せ攻撃には適しているが、一旦攻撃を掛けた後、居場所を知られた潜水艦は、速度が遅いために反撃から逃れることが困難になる。

2つ目のメリットとして、充電時間を短縮できる点だ。

リチウムイオン電池は従来の鉛電池よりも充電時間が短くて済む。

通常型動力潜水艦は、どうしても電池の充電のためにシュノーケルと呼ばれる吸気筒を海面上に出して空気を取り入れてエンジンを回す必要がある。

当然これでは敵のレーダーに捉えられて発見される危険性があり、なおかつエンジン音が発生するため静粛性が低下する。

リチウムイオン電池は、これに要する時間を短縮できることが大きなメリットと言える。

3つ目のメリットとして水素ガスが発生しない点が挙げられる。

従来の潜水艦で使用されている鉛蓄電池では、もし何らかの原因で浸水し海水が電池に触れると大量の水素ガスが発生して、乗員たちが危険な目にあう恐れがある。

リチウムイオン電池はそのような水素ガスが発生しないことが安全面でも有利といえる。

4つ目のメリットは構造が簡単であるということだ。

そうりゅう型ではバッテリーと充電のためのディーゼルエンジンの他に、AIPエンジンを搭載する必要があったために構造が複雑であった。

それが本来のディーゼルエンジン+電池の構造となり整備が簡単になった。

デメリットについては現時点では、まだ明確にはなっていないが、さらなる性能の向上を図っていく必要があると思われる。

ただし、アメリカ海軍についてはリチウムイオン電池は火災の危険性があるという理由などから、その安全性が懐疑的である。

海上自衛隊の潜水艦は今まで16隻体制を維持してきたが、それが一気に6隻も増強され1番艦の「たいげい」で22隻体制となった。

これには大きな意味がある。

近年の中国海軍の増強ぶりには目を見張るものがあり、今までのように軍艦の数は多いが大部分は旧式艦ばかりと言われていたころは違って、近代化した軍艦を続々と建造し、今では空母やイージス艦に匹敵するレンハイ級という駆逐艦も保有している。

性能面においても脅威となる存在になっているのは間違いなく、もはや海上自衛隊が優勢と呼ばれていたのは過去の話になりつつあるというのが現状だ。

しかし、その成長著しい中国海軍にも弱点がある。

それは対潜水艦能力が低いということだ。

中国海軍は広域での海中の潜水艦を捜索する対潜哨戒機をほとんど保有していない。

これはつまり事前に周辺海域に敵潜水艦が潜んでいる確認ができないということであり、日本の潜水艦が艦隊に近づいてくるまで探知は困難であるということになる。

いかに空母を始めとする強力な艦隊を派遣しようとも海中に潜んでいる潜水艦から突如として奇襲攻撃をかけられるのは相手にとって大きな脅威となる。

つまり日本にとって、22隻の潜水艦は重要な抑止力となるのだ。

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海上自衛隊の潜水艦の歴史

海上自衛隊の潜水艦は、昭和30年、米海軍のガトー級潜水艦ミンゴを貸与されて「くろしお」と命名して保有したのが始まりである。

そして昭和34年に国産潜水艦「おやしお」が建造され、本格的な運用は1970代以降になる。

当時は日本海から太平洋へ進出しようとするソ連海軍に対して津軽、宗谷、対馬の3海峡を主に監視する役目を担っていた。

潜水艦の形状は当初は船の形に近かったものが、やがては水中で行動しやすいように丸みを帯びた涙滴型潜水艦に改良され「うずしお型」がこれにあたる。

「うずしお型」の次に就役したのが「ゆうしお型」である。

80式魚雷、ハープーンミサイル、曳航ソナーを搭載し、1993年には静粛性が改善された89式魚雷を搭載した「はるしお」型が登場する。

1998年 船体が涙滴型から葉巻型に変更された「おやしお」型が登場し、船体全体をゴム張りにすることにより敵のソーナー音の反射を抑えることにより静粛性が向上した。

さらにソーナーの性能向上、システム自動化による人員削減も行われている。

その後、2009年に「そうりゅう型」が登場し、AIP(非大気依存推進装置)を搭載したことにより潜航時間が大幅に向上した。

また舵が十字型からX字型に変更されたことにより、水中での旋回性能が格段に向上した。

潜水艦の命名については今までは海の事象や湖に関する名が付けられていたが「そうりゅう型」以降は想像上の動物の名がつけられるようになっている。

また「そうりゅう型」の8番艦である「せきりゅう」より対魚雷用防御装置(デコイと呼ばれるおとり魚雷発射装置)が搭載されている。

そして、2020年 「そうりゅう型」の11番艦「おうりゅう」からAIPエンジンを取りやめ鉛電池から世界初のリチウムイオン電池に変更。

バッテリーで有名なGSユアサが防衛装備庁と契約し、潜水艦用リチウムイオン電池の開発を行った。

これにより水中での移動速度が大幅に向上しており、将来的には潜水艦発射巡航ミサイルの搭載も検討されている。

軍事衛星から逃れる潜水艦

現在、世界では多くの人口衛星が打ち上げられている。

日本でも情報収集衛星という名で衛星を打ち上げており、宇宙から地上の様子を監視できるようになっている。

ということは海上に浮んでいる艦艇は宇宙から丸見えの状態になっているということになる。

艦艇は母港を出港した時点で、その情報は筒抜けになっており、その行動や編成も暴露されており、軍事衛星からは逃れることはできない。

しかし、ただ一つ、その監視が不可能なビークルがある。

それが潜水艦だ。

ほとんど海中で行動しており海上に姿を表さない潜水艦は軍事衛星から撮影される確率はかなり低い。

周囲を海に囲まれている日本を攻めるには、その海を制する必要がある。

これを制海権という。

日本に対して侵略を企む国の艦隊にとって、どこに潜んで、どこから攻撃してくるかわからない潜水艦の存在はとてつもない脅威となる。

「攻撃すれば、こちらも大きな被害を被るかもしれない」

「侵略はやめた方がよさそうだ」と相手に思わせる。

これが抑止力だ。

海上自衛隊の潜水艦は、これからも、その重要な役目を背負っていく。

「戦争映画」は、ただ国同士が争う映画ではない。

迫力ある戦闘シーンだけでなく、涙なしには語れない数々の人間ドラマがある。

数ある戦争映画の中でも、今回は実話を元にしたエピソードのみを厳選して紹介する。

一度は見ておきたい実話の戦争映画5選!