潜水艦「らいげい」川崎重工が建造した戦後31隻目の潜水艦!対地攻撃も可能へ
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たった1発の魚雷で空母や揚陸艦などの重要ユニットを無力化できる兵器。

それが潜水艦だ。

川崎重工業で海上自衛隊の最新鋭潜水艦「らいげい」が進水した。

「らいげい」は、雷と鯨という二つの強力な自然の力が融合しており、帝国海軍での命名実績はなく、史上初めての命名例となる。

「らいげい」は、そうりゅう型潜水艦の後継である「たいげい型」潜水艦の4番艦にあたり、全長84メートル、全幅9.1メートルという寸法は前型と同じであるが2倍以上のエネルギー密度を有している。

建造には約702億円が投じられ、乗員は約70人。

注目すべきは、女性乗員のために設けられた専用居住エリアである。

今回は、最新鋭潜水艦「らいげい」の能力と対艦、対地攻撃も可能となった新型ミサイルについて解説していこう。

しまかぜ

この内容は動画でも見れるよ!

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潜水艦の隠密性を左右する動力装置。2倍以上のエネルギー密度へ

潜水艦の最も強力な特性は、その隠密性にある。

海中に姿を隠して敵に気付かれることなく、水上艦艇や他の潜水艦を攻撃できる能力は、潜水艦を究極のステルス兵器として位置づけている。

一部の潜水艦は、地上目標に対して巡航ミサイルを使用することができ、さらには核弾頭を搭載した潜水艦発射弾道ミサイルを運用し、抑止力としての役割も果たしている。

現代の高度に発展した探知装置や対潜戦兵器の存在下でも潜水艦の探知や撃沈は容易ではなく、海中に潜った後は、その位置が特定できない。

潜行時間が長ければ長いほど、その存在を隠すことができる。

そのため、敵に見つからないためにも騒音を最小限に抑え、長時間の潜航能力を持つことが、潜水艦の隠密性をさらに高める要素となる。

日本海上自衛隊の「そうりゅう型」潜水艦は、その低振動と静粛性で世界的に評価されてきたが、新たな進化を遂げた「たいげい型」が登場している。

「たいげい型」は「そうりゅう型」の高性能を継承しつつ、さらに探知性能や被探知防止能力を強化し、新型戦闘管理システムの導入によって情報処理能力も向上させている。

特筆すべき点は、たいげい型の電力系統に革命をもたらすGSユアサ製のリチウムイオン蓄電池の搭載だ。

この技術は、従来の鉛電池の2倍以上のエネルギー密度を持ち、水中での航続力を飛躍的に向上させるもので、日本が世界に先駆けて導入した。

2017年に始まった新型潜水艦「たいげい」型の建造は、非原子力の通常動力潜水艦として世界トップクラスの潜航性能を目指している。

リチウムイオン蓄電池は、より多くの電力を迅速に充電・放電できるだけでなく、水素ガスの発生も防ぐため、潜水艦の設計に新たな局面をもたらしている。

「たいげい型」は最初の3番艦まで川崎重工業製のV型12気筒ディーゼル機関を使用していたが、4番艦「らいげい」からは新型のディーゼル機関を搭載している。

この新型エンジンは発電効率を高めた新しいスノーケルシステムに対応しており、潜水艦特有の過酷な環境に適応するための特化機能を備えている。

潜水艦は、ディーゼルエンジンで発電し、その電力を用いてモーターを駆動させ、スクリューを回転させることで推進力を得る。

潜航中に充電するためには、スノーケルと呼ばれる特殊な吸排気装置を使用し、海面上に露出させてディーゼルエンジンを回す。

しかし、「たいげい」型の4番艦からは、潜航中でも迅速に蓄電池を充電できる新型スノーケル発電システムが導入された。

これにより、従来に比べて効率的に潜水艦を充電することが可能となった。

また、「そうりゅう型」と同じく艦尾舵はX字型で設計されており、少ない操作で細かな動きができ、水中での運動性能が優れている点や、着底時の舵損傷リスクが低減されている点が挙げられる。

「そうりゅう型」8番艦の「せきりゅう」以降の潜水艦に搭載されている魚雷防御システム(TCM)も装備されており、これにより敵潜水艦から発射された魚雷を回避する能力が向上している。

現在、2022年10月に進水した3番艦「じんげい」が2024年3月の就役に向けて準備を進めている。

「じんげい」の兵器は魚雷だけでなく、後に説明する対艦ミサイルも装填できるようになっている。

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敵艦艇を1発で撃沈する「たいげい型」の18式魚雷

深海で航行する潜水艦を探知する際の主な手段は、その潜水艦が発する雑音の探知である。

潜水艦はエンジンやモーター、スクリューなどの動作によって特有の音を発し、相手はこの音を水中で拾うことでその位置を特定しようと試みる。

そして、その音を分析することで、味方か敵の潜水艦かを識別することができるのである。

敵と判別した場合、正確な位置を特定して魚雷攻撃を行う。

海上自衛隊の最新鋭潜水艦である「たいげい」型は、従来の89式魚雷のアップデート版である新型の18式魚雷を備えている。

この進化した武装体系の中心には、艦首の先端上部に設置された533ミリメートルの魚雷発射管6門がある。

これらの発射管は、ただ魚雷を放つだけでなく、海上目標に対して水中から発射する対艦ミサイル「ハープーン・ブロック2」も装備可能である。

このミサイルの射程は248キロメートルに及び、GPS誘導による対地攻撃能力が付与されており、トマホークのように必要に応じて地上目標への攻撃も可能である。

この技術的進展は、日本の海上防衛戦略において重要な意味を持つ。

より高い精度と射程での攻撃能力は、日本周辺の安全保障環境に対応するために不可欠であり、これにより「たいげい」型は、海上自衛隊の戦力を一段と高めることが期待されている。

さらに海上自衛隊は、潜水艦に女性自衛官を配置するための新しい取り組みを展開している。

これに伴い、潜水艦内の居住区には女性専用の寝室が設けられ、プライバシーを確保するために仕切りやシャワー室へのカーテンが設置された。

このような改良は、男女隊員の動線を整理し、女性隊員が安心して勤務できる環境を実現することを目指している。

これは、海上自衛隊において歴史的な出来事であり、日本の「大和撫子」が海の安全を守る役割を担うことになる。

そのような中、潜水艦の建造費が増大していることが問題となっている。

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951億円まで高騰する潜水艦の建造費

日本の潜水艦建造の現状は、年々増加するコストの重圧のもとで進行している。

三菱造船所と川崎重工業は、交替で「たいげい型潜水艦」の建造を担当しており、さらに5番艦と6番艦がそれぞれ建造中である。

目を見張るのは、建造費の急激な上昇である。

2021年度予算で5番艦の建造費は684億円とされ、翌年の6番艦では736億円、続く7番艦では808億円となった。

そして2024年度の予算要求では、さらに跳ね上がり8番艦の建造費は951億円に達するとされている。

この費用の増大は、主に資材の価格上昇に起因している。

海上自衛隊における潜水艦の配備数は、現在「おやしお型」8隻、「そうりゅう型」12隻、「たいげい型」2隻の合計22隻である。

この中で最も古い「おやしお型」の艦が順次退役していくため、海自はこれを補充する形で、毎年1隻のペースで新型潜水艦を調達し続けると見られる。

しかし、このような状況の中で、建造コストの上昇は日本の防衛予算に大きな影響を及ぼす可能性があり、今後の動向に注目が集まっている。

原子力潜水艦を保有しない日本にとって、通常動力型潜水艦の性能向上は重要な挑戦である。

原子力潜水艦が提供する長距離航続能力や持続的な潜航能力には及ばないが、日本は技術革新を通じて、これらの制約を克服しようとしている。

エンジン効率の最適化、ノイズの低減、高性能電池の開発など、多角的なアプローチで通常動力型潜水艦の機能を強化している。

特に、リチウムイオン蓄電池の導入は、潜航時間の延長と運用の柔軟性を大きく改善しており、非原子力潜水艦の可能性を新たな次元に引き上げている。

これらの努力は、日本の海上自衛隊にとって、戦略的な海洋防衛能力の確立に不可欠である。

2020年度の計画に基づき2021年3月に建造が始まった「らいげい」は、今後内装工事や性能試験を経て、2025年3月に海上自衛隊に引き渡される予定だ。

潜水艦基地は横須賀と呉の2カ所しかないが、その配備先は、まだ決まっていない。

次の動画では、潜水艦の構造と乗員たちの生活について前半と後半の2回に分けて解説しよう。

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