政府専用機
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政府専用機は総理大臣や天皇陛下、政府要人などの輸送を行う特別な航空機で「空飛ぶ官邸」とも呼ばれる。

アメリカでは「エアフォース・ワン」と呼ばれる専用機があり、同じく大統領などの要人を乗せるための航空機だ。

また、政府関係者だけでなく、首相らの動向を報じるための記者たちも同乗するため、首脳会談などを行う記者会見スペースも設けられている。

過去には、邦人輸送をおこなった事実もあり、要人だけでなく緊急事態の際の救出にも運用されている。

今回は、政府専用機の機体の性能や2機同時に運用する理由、そしてパイロットやCAの選定基準について解説していこう。

しまかぜ

政府専用機の豪華な内部や活躍を動画でも見られるよ!

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政府専用機とはどんな航空機か?

現在日本政府が所有している政府専用機は二代目となり、機体の種類は「ボーイング777-300ER」で2019年4月1日から運用が開始されている。

この機体はアメリカのボーイング社が開発した「ボーイング777‐200」から胴体を延長した「ボーイング777‐300」の航続距離延長モデルである。

この機体が選ばれた理由として、世界中の主要都市を直行便で結ぶことができる航続距離と、貴賓室(きひんしつ)や執務室を備える事のできるスペースがあり、すでに国内の航空会社で運用実績がある事が決めてとなり、二代目政府専用機に選定された。

機体性能は巡航速度:約925km/h 航続距離:約14,000kmで先代のボーイング747‐400と比べて航続距離が1000km程延長されている。

巡航速度はさほど変わっていないが、初代機のエンジンが4基搭載されていたのに対して、世界で最も強力と言われるターボファンエンジン2基を搭載、結果として燃費が大幅に向上し環境にも配慮した形だ。

機体内部は登場する要人や記者、運航要員向けに設計されており、777‐300ERの乗員が最大500名以上なのに対して政府専用機は乗員150名となっている。

操縦席や機体前方にある貴賓室の構造は防犯上の理由で公開されていないが、随行員室はビジネスクラスと同等、一般客室はプレミアムエコノミークラスと同等の使用となっている。

政府専用機の主な用途は、天皇陛下や首相などの日本国の要人が国際会議などのために外国訪問する際に、安全に移動するために用いられる。

また外国での有事には在外邦人の退避とそれに伴う自衛隊員の移送にも使用される。

2013年1月22日に発生した「アルジェリア人質事件」においては、初代機が初の在外邦人輸送任務に用いられた他、2021年8月のアフガニスタン紛争におけるタリバン攻勢では現行機が在外邦人及び現地のアフガニスタン人を移送する任務を行った。

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政府専用機のパイロットはどうやって選ばれる?

政府専用機はパイロットをはじめ、機内サービスを担当する職員はすべて航空自衛隊の隊員であり、 航空支援集団傘下の特別航空輸送隊に所属している。

民間航空会社の職員ではない理由として、政府専用機の乗組員は国賓の海外移送だけではなく、突発的に起こる国際平和協力業務や有事の際の在外邦人の輸送及び国際緊急援助活動にも対応できるよう、平時から厳しい訓練を積み重ねている自衛隊員を採用しているのだ。

パイロットは選定を受けた者が、教育課程時に航空法に定められた国家資格の「事業用操縦士」を取得し、さらに7か月間の教育を受け、ボーイング777-300ER型限定の操縦士免許を取得しなければならない。

通常、航空整備員は、航空整備士免許を所得せずに自衛隊機を整備することができるのだが、 政府専用機の整備隊員においては2年間の部外委託教育課程により、国家資格の一等航空整備士を取得する事となっている。

同じく航空士、機上無線員も同様に部外教育を受け国家資を取得する。

民間の客室乗務員に相当する特別空中輸送員は試験に合格後一か月の訓練、民間の航空会社で3か月の研修を受け、さらに特別航空輸送隊の訓練の後に最終試験を合格して初めて空中輸送員として配属される。

任務内容は客室乗務員同様に乗客への接遇、荷物搭載業務と緊急時における搭乗者の安全確保が主な内容である。

政府専用機の所属は航空自衛隊千歳基地であるが、通常時は千歳基地に併設されている新千歳空港の専用ハンガーに格納されている。

なぜ東京の羽田空港ではなく、北海道の千歳空港に配備されているのかというと、パイトロットや客実乗務員は全て航空自衛官だからである。

羽田空港で運用することに野党やマスコミ、反自衛隊の住民などが大反対したため、土地が広く特別輸送隊もある千歳空港が選ばれたのだ。

運用と整備は、初代機においては国際線運航及びサービス業務経験実績から日本航空とそのグループ企業が一括して請け負っていたが、日本航空が会社更生法適応を受けて2010年からは日本貨物航空に委託した。

二代目は当初から現在まで全日本空輸に一括して委託している。

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なぜ2機同時飛行するのか? 戦闘機の護衛はつくのか?

政府専用機はアメリカの大統領専用機エア・フォース・ワンと同様に 運用する際は2機同時に飛ばす事が原則となっている。

「撃墜されるリスクを考えて、どちらに要人が乗っているか分からないようにするため」などと言われることがあるが、実際の理由は要人が搭乗している主務機にトラブルが発生した場合、速やかに副務機に乗り換えられるようにするためだ。

本来は予備機としてさらに1機ある事が望ましいとされ、防衛庁、防衛相も3機目の予算を原案に組み込んでいたが、一度目はバブル崩壊による長期の不況、二度目はミサイル防衛予算が膨大になった事の煽りを受けて、どちらも導入を断念した形となり、現在も2機体制での運用が続いている。

政府専用機の運航において、自衛隊の戦闘機が護衛として随伴する事はない。

自衛隊機は防空識別圏を超えて他国の領空に入る行為は認められておらず、日本国内では安全が確保されており、護衛機を飛ばす必要性がないからだ。

しかし国際会議などではホスト国が各国の要人が乗った政府専用機を出迎えるための護衛機を随伴させる事がある。

2018年に安倍元首相がヨルダン訪問時には、ヨルダン空軍のF-16戦闘機が政府専用機をエスコートとする姿が見受けられた。

政府専用機の元となったB777‐300ERはエアバス社のA380とボーイング747型の旅客機に次ぐ巨大な旅客機である。

その余裕のあるワイドボディだからこそ実現できた座席数が、政府専用機として採用される決め手となった。

日本政府が2代目の政府専用機の選定時、重要視した項目の一つが乗客座席数だ。

政府専用機の運用に置いて要人移送だけでは無く、国際救助も重要な任務であり乗客座席数は他の国の政府専用機以上に重要な要素である。

しかし政府専用機である以上は貴賓室に執務室、報道陣向けの座席や会議室をどうしても用意しなければならず、それらの特別席の利便性を損なっては本末転倒だ。

それら特別席を用意しつつ乗客用の座席を150席用意できる事が出来たのがB777‐300ERだったという訳である。

そもそもB777‐300ERは初代政府専用機でもあるB747‐400の後継機として開発された旅客機でもあり、そういう意味ではまさに二代目としてはまさに適任な機体だったのである。

政府専用機 まとめ

政府専用機はその名前の通り、政府の要人輸送が主な任務であり世界各国の政府が所有している。

しかし、邦人の救難や国際救助活動を念頭に置いて選定、運用されている日本政府専用機は非常に特異な存在であると言える。

初代機、二代目機ともに在外邦人の緊急輸送任務を経験し、数少ないながらも在外邦人の命を救った事は紛れもない事実である。

また初代機は2002年には当時のドイツ首相ゲアハルト・シュレーダー氏が、当時の日本首相小泉純一郎氏と相乗りし、機内で日独首脳会談が行われるという異例の事態も経験した事がある。

日本政府専用機は要人輸送という任務の枠を超えた活躍をしており、外交、国際平和活動に置いて非常な役割を担ってきた。

そして、さらに難しくなっていくであろう諸国との外交を裏から支え、そしていつ来るかわからない有事にそなえて、政府専用機と特別輸送航空隊は今日も厳しい訓練に励んでいる。

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