世界のステルス戦闘機の全貌。13年間極秘にされたF-117のテクノロジー
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1991年、湾岸戦争でステルス技術を世界に知らしめたアメリカの新型戦闘機。

それが世界初のステルス機F-117ナイトホークである。

F-117の登場以降、レーダーや赤外線センサーに探知されない技術を「ステルス」と呼ばれるようになった。

現在、実戦配備されているステルス機はアメリカのF-22、F-35をはじめ、ロシアのSu-57、中国のJ-20の4機種である。

しまかぜ

ステルス技術とはどのようなテクノロジーなのかについて動画でも解説するよ!

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13年間極秘にされたF-117ナイトホーク

1975年、アメリカ空軍は敵に探知されないステルス性の高い戦闘機の開発をロッキードマーチンとノースロップに発注した。

ロッキードマーチンは長年にわたりステルス技術が施された戦闘機を極秘で開発しており、計画スタートから13年目の1988年に、ようやくその姿を世に現したステルス戦闘機F-117ナイトホーク。

レーダーは送信した電波が物体に当たり、跳ね返ってきた反射波をアンテナで受信することで、そこ物体が存在することを認識する装置である。

逆にいえば、反射波をアンテナの方向に返さなければ物体は映像として映らない。

これを利用して、F-117では送信された電波をレーダーアンテナの方向に反射しないように緻密に計算された角度で機体が作られている。

F-117は、その見た目から分かるように多面体で構成された機体形状を採用し、赤外線センサーにも探知されないように高温となるアフターバーナーを装備しないなど飛行性能を犠牲にしてステルス性を高めている。

ステルス形状では、基本的に送信された電波を4つの方向に分散して反射させるようになっている。

つまり、反射した方向にレーダーアンテナがなければ、レーダーに映らないステルス状態となるのだ。

機体の形状だけでなく、コックピット内に入り込んだ電波が反射したり、機体の溶接面など接合部分で反射したりする場合もあるため、キャノピーにコーティングが施されたり、溶接部分に特殊なテープを貼ったりして局限までステルス性を高めている。

実戦での活躍であるが、F-117は湾岸戦争で開戦初日からイラク軍の重要施設に対し2000ポンドレーザー誘導爆弾を投下して防空網を破壊した。

その後、コソボ紛争やアフガン戦争、イラク戦争でも活躍したが、コソボでセルビア軍のミサイルにより1機が撃墜された。

その残骸はベオグラードの航空博物館に展示されているが、墜落後に中国が残骸の一部を地元民から買収したことが明らかになっている。

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世界最強のステルス戦闘機F-22ラプター

アメリカ空軍のF-22ラプターは世界初の第5世代戦闘機で、現在世界最強の機体とされている。

その理由は、他の追随を許さないステルス性の高さである。

ステルス機の指標となるのがRCSとよばれるレーダー反射断面積である。

この数値が小さければ小さいほどレーダーに探知されにくいということになる。

では、各機体のRCSを比較してみよう。

第4世代戦闘機のF-15は15㎡、F-16は4㎡、ステルス戦闘機F-35は0.005㎡²である。

しかし、ステルス機の中でもっともRCSが小さいF-22のRCSは0.0005㎡と極めて小さく、この数値はなんと昆虫並みである。

19mの機体と、わずか数センチの昆虫がほぼ同じレーダー反射断面積になるのだ。

ただし、昆虫も高い性能のレーダーであれば捉えられることから、F-22もまったくレーダーに映らないというわけではない。

低いRCSは空中にあるノイズに紛れ込むための迷彩服といったイメージである。

通常はあえてレーダーに探知されやすいように反射を大きくするレーダーリフレクターを装備しており、諸外国が本当のステルス性能を分析することは困難である。

ステルス性を追求したがためにF-117のように戦闘機としての性能がダウンするようであれば本末転倒となるため、F-22においては戦闘機とステルス性のバランスが取れた機体となっている。

実用化されている戦闘用のターボファンの中では、もっともハイパワーのエンジンを2基装備し、最大速度はマッハ2.25(時速約2800km)でアフターバーナーを使用せずとも、マッハ1.5を出すことができる。

これはF-15やF-16のアフターバーナー使用時の推力を上回るパワーである。

兵器についてはステルス性を低下させいないように、すべて機体内部のウエポンベイに格納されている。

空気取り入れ口側面にはサイドワインダー、胴体下には対空ミサイルと対地爆弾が格納できる。

アメリカはF-22を187機調達しており、日本やオーストラリア、イスラエルが導入に興味をしめしたものの、秘密保全の観点からアメリカの輸出禁止措置が解除されず、現在アメリカ空軍だけが保有している戦闘機である。

なお、アメリカが開発したF-35については他の動画で詳しく解説しているのでそちらをご覧いただきたい。

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敵ステルス機を探知できるロシアSu-57

アメリカがF-22を導入した結果、それに対して危機感を覚えたロシアはステルス機の開発を始めた。

そしてF-22の開発から遅れること20年、ステルス性能と高い運動性能を備えたロシア初のステルス戦闘機であるSu-57が完成した。

Su-57はF-22と機体形状が似ているものの一回り大きな機体で、制空任務をメインとする多用途戦闘機である。

F-22と大きく異なるのは双発のエンジンが離れた位置に配置されていることだ。

この構造により機体後部でも揚力を発生させることができ、運動性と航続性の向上が実現できる。

エンジンはF-22に匹敵するパワーをもち、アフターバーナーなしでマッハ1.6の超音速巡航ができ最大速度はマッハ2.0(時速約2500km)を発揮する。

兵装についてはF-22と同様に胴体内のウェポンベイに格納されるが、前後に2つ並んで格納される構造となっている。

ウェポンベイのハッチのサイズから推測すると長さ4m、幅1m以上とされ、ロシア製のミサイルを前後に並べて搭載すれば最大8発が搭載可能である。

またSu-57にはLバンドレーダーが装備されており、これは地上の防空監視レーダーと同じ波長のレーダーで、相手のステルス機を遠距離で探知できる能力をもつ。

しかしながら、ステルス性能については機体に打ち込まれたリベットがむき出しであることから、それが原因でステルス性を損なうのではないかと言われている。

プーチン大統領は2028年までにSu-57を76機調達する予定であると述べている。

中国初のステルス戦闘機J-20

J-20は中国がアメリカのF-22に対抗して開発した20mを超える世界一巨大なステルス戦闘機である。

J-20は事実上アジア初の第5世代戦闘機となる。

大柄な機体から搭載兵器や航続距離はF-22を上回るとされている。

J-20の特徴として、運動性能を高めるために主翼が小型化されており、低速時に不安定になることを解消する目的から機体前部にカナード翼がついている。

カナードはステルス性には不利とされているが、中国はF-22と同等のステルス性能であると主張している。

一方、アメリカ側はJ-20のステルス性能は30年前のF-117程度であり、F-22と比較するまでもないと述べている。

国産エンジンWS10を搭載しており、F-22と同じくアフターバーナーなしで超音速巡航ができるスーパークルーズ能力を持つとされ、最大速度はマッハ1.8(時速約2200km)を発揮する。

J-20は2017年から中国空軍配備されているが、内陸での試験飛行を行っているものと推測される。

ステルス機は時代遅れか?

アメリカ空軍のF-22ラプターが初飛行して20年以上が経過し、その後ステルスF-35、Su-57、J-20の合計4機種しか配備されていない。

ステルス機の開発がなぜ遅いのか?

それは開発費の高騰と費用対効果が悪いことが原因だ。

F-22の開発費は673億ドル、F-35においては4065億ドルもの開発費がかかっている。

そして1機あたりの価格も通常の戦闘機の数倍の金額となる。

さらに軍事ドローンの登場により偵察や監視、攻撃までも可能となっており、リスクを犯して敵地に投入することが躊躇されるようになってきている。

こうなるとステルス機は価格が高い割には使用頻度が少ない兵器となってしまうのだ。

今後AIの進歩に伴い、さらに高度な軍事ドローンが開発されれば、戦闘機という概念自体がなくなる日もやってくるかもしれない。

次の動画では、世界発のステルス無人機による空中給油について解説しよう。

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