【戦車キラー】A-10サンダーボルトの近接航空支援!ウクライナに提供か?
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「戦車キラー」と呼ばれる航空機をご存じだろうか?

戦場における「究極の航空支援機」として、その名を轟かせるA-10サンダーボルト。

戦車と対峙する際にその真価を発揮するこの航空機は、まさに「戦車キラー」として恐れられている。

1977年のデビュー以降、A-10は敵の地上部隊にとっては悪夢のような存在となり、今日に至るまでその地位を不動のものとしている。

では、一体どのような技術と設計が、A-10をこのような恐るべき攻撃機へと昇華させたのか?

それは、単なる攻撃力の強化だけではない。

地上軍への援護という独自の役割を担うための設計が施されているのだ。

今回は、A-10サンダーボルトの強力な30mmアヴェンジャーガトリング砲と驚きの防御力の秘密について解説していこう。

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A-10サンダーボルト 戦車破壊の究極兵器

A-10サンダーボルトは、アメリカ空軍が開発した攻撃機である。

敵の戦車や装甲車などを含む、地上のあらゆる目標を攻撃し、作戦行動を行う近接航空支援を目的として開発された航空機である。

運用開始は1977年で既に40年以上が経過しているが、未だに現役である。

それまで近接航空支援は、戦闘機の副次的任務として考えられていたが、ベトナム戦争を機に、この任務の重要性が再認識されるようになった。

また当時のヨーロッパにおいて、強力な戦力を持っていたソ連軍の戦車部隊を撃破できる能力を持った航空機が必要とされてきた。

それまでは地上攻撃専用の攻撃機は存在していなかったため、A-10には、独特な設計が行われている。

A-10の主翼は、先端が下方に曲げられており、これにより飛行中に発生する翼端渦流が抑制され、低高度における運動性が良好となり、攻撃機としての機敏な操縦性を確保できるようになっている。

また戦闘機とは違い、速度性能を捨てることで、低空、低速での運動性能を追求した設計になっている。

このため、爆弾や機関砲による攻撃を精密に行うことが可能となったのだ。

戦闘爆撃機では攻撃が困難とされていた小型で低速で移動する目標に対しては、555km程度の巡航速度で飛行を行い、攻撃を行うことが可能になっている。

着陸装置は丈夫に作られており、短距離離発着陸能力をもっているため、攻撃を受けた悪条件下の滑走路でも作戦行動を行うことを可能としている。

油圧系統は二重化されており、予備の操縦系統により油圧系統や翼の一部を失っても帰投することを可能としている。

主脚は、引き込み時も収容部から一部露出した状態になっている。

これは、もし被弾したことにより脚がでない状況に陥り、胴体着陸を余儀なくされることになっても、機体下部の損傷を軽減させ着陸できるようになっている。

このように、非常に高性能なA-10であるが、アメリカはウクライナに対してA-10サンダーボルト攻撃機も相当数を譲渡するのでは、とも囁かれている

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ウクライナ紛争の転換点 A-10による航空優勢の闘い

現在のウクライナ紛争においてロシア軍は、南部戦線においては幾重にも防衛線を築いている。

ウクライナ戦争は、両軍共に消耗戦の様相を呈してきている。

兵器の不足を補うために旧式の兵器が多く投入されているロシアは、戦車の不足を補うためにT-62やT-54といった旧式戦車を前線に投入している。

一方、ウクライナも旧式のレオパルドをドイツから供与されている。

かつて米ソ冷戦時に登場した東西の両戦車が、ウクライナを舞台として現代において相まみえることになろうとは、誰が予測したであろうか?

ウクライナ軍が一気にロシア軍を押し返すことができていない要因の一つとしては航空優勢を取れていないということが挙げられる。

これはロシアにも同じことが言える。

攻撃を行う時には、最初に敵の空軍戦力を壊滅させて制空権を確保してから地上軍を進行させるのがセオリーであると言える。

ロシア軍は当初の攻撃でウクライナ空軍は壊滅したと思い込み侵攻を行い思わぬ反撃を受けている。

現在は、お互いの空軍機が、地上軍を攻撃しているというのが現状である。

今後のウクライナ軍が占領地を奪回するには航空優勢を確保して空陸一体となった攻撃をしていく必要があるだろう。

A-10をこの地域において戦術的に適用させるには、この航空優勢の確保が必須の条件となるであろう。

後に解説するA-10の30mm機関砲は、高速で発射される大口径の徹甲弾を使用し、戦車の最も脆弱な部分である上部の装甲や砲塔に対して攻撃する。

低速で低空飛行を行い、正確に照準して戦車を攻撃することが可能である。

戦車以外にも、ロシアの対空ミサイルも非常に脅威となる存在である。

そのためロシアの防空システムを無力化する必要がある。

これができればA-10は大いに活躍ができるだろう。

米軍では旧式化していても現在戦において有効な戦力となっている航空機が他にも存在している。

B-52がまさにそれだ。

米軍が最新の爆撃機であるB-21と旧式の爆撃機であるB-52を共に配備していることには大きな意味がある。

高度に防備された重要な目標に対する攻撃においてB-21は極めて有効な兵器であるといえるが、脅威の少ない敵軍やゲリラなどの武装勢力の攻撃に対して非常に高価なB-21を使用するのはコストパフォーマンスが悪い。

これらの目標に対する攻撃はB-52が適していると言えるだろう。

A-10も状況に応じた使用をすれば大きな力を発揮するはずだ。

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A-10の頑丈な構造と圧倒的な破壊力

A-10は、機首の部分に、30mmGAU-8アヴェンジャーガトリング砲を装備している。

この砲は、米軍の航空機搭載用機関砲としては最大の攻撃力を持っている。

銃身は7本からなり、発射速度は毎分3,900発と4200発のいずれかを選択できるようになっている。

精度は1330mの距離で射撃した場合、直径6mに80%の弾丸が到達するようになっている。

GAU-8は主に対戦車攻撃用として使用され、そこで使用される対装甲用焼夷徹甲弾の弾芯には、劣化ウラニウムが使用されている。

いわゆる劣化ウラン弾だ。

主翼と胴体下の11ヶ所には様々な兵器を装備でき、最大で7tを超える搭載能力を持っている。

その他としてはTV誘導または赤外線誘導のマーベリック空対地ミサイルの装備も可能だ。

またA-10は自衛用として片翼に電波妨害装置と2発のAIM-9サイドワインダーミサイルを携行することもできる。

機体は非常に堅固な構造になっており、エンジン一基、垂直尾翼1枚、昇降舵1枚、それに片方の外翼を失っても飛行可能なように設計されている。

コックピット及び操縦系統の主要部分はチタン装甲で保護されている。

『バスタブ』とも呼ばれるこの部分は、23mm砲のみならず57mm砲の攻撃にも耐えられるようになっている。

4個ある燃料タンクは、機体中央に集められ被弾の際に機体が発火しないよう配慮されている。

湾岸戦争においてA-10は参加機の半数にあたる約70機が被弾したが、損失は6機にとどまっている。

さらには、384箇所にわたる損傷を受けていながら生還した機なども存在する。

ちなみに”湾岸戦争におけるアメリカ空軍のA-10パイロットの死者はわずか1名、しかもその死因は食中毒であったという伝説が存在する。

時代とともに旧式化し、退役が囁かれ始めてきたA-10ではあったが、その有効性が見直される事態が発生した。

それが1991年に発生した湾岸戦争だ。

この戦争でA-10は以下のように絶大な威力を発揮した。

A-10が湾岸戦争で破壊した記録

イラク軍の戦車987両
装甲兵員輸送車約500両
指揮車両などを含む各車両249台
トラック1106台
レーダーサイト96ヶ所
指揮所など28ヶ所
スカッドミサイル発射台51基

それまで米空軍はF-16で近接航空支援を行い、A-10を更新させる方針であったが、この活躍により考えを改めている。

A-10Cサンダーボルト 近代化改修でどう変わった

現在配備されているA-10は、全機に対して近代化改修が行われており、A-10Cと呼ばれる高性能な攻撃機に姿を変えている。

これにより大幅に対地攻撃能力が向上した。

従来のA-10に対する攻撃の指示は「音声無線」で行われており、この情報のみでは、目標を正確に捉えることができず、攻撃は非常に困難であった。

そのため実戦では誤射も発生している。

近代化されたA-10Cは、自らが敵目標を正確に捉えて攻撃できる能力が装備されている。

速度性能や兵装搭載量は以前と同じであるが、装備がIT化され、新たに「赤外線前方監視装置」や「統合戦術情報分配システム」が搭載されている。

赤外線前方監視装置を搭載することにより、A-10は夜間においても敵目標の映像を取得することが可能となり、その映像は動画で地上の味方部隊に対してリアルタイムで送信できるようになっている。

統合戦術情報分配システムは、A-10Cで得られた情報を味方の戦闘機、早期警戒機、イージス艦、そして地上の各部隊間で相互にやり取りができる戦術ネットワークである。

これによって地上軍はA-10Cに対して攻撃目標を正確に伝達することができるようになった。

またコックピットには、液晶画面にGPS、ネットワークと統合されたデジタルマップが表示され、ナビゲーション及び照準に使用できるようになっている。

A-10Cは、地上軍から情報分配システムを通じ、攻撃目標の正確な位置が送られてくる。

その目標は赤外線装置によって照準されるため、攻撃要請から短時間でミサイルや誘導爆弾を正確に命中させることが可能である。

このように近代化されたA-10Cではあるが、時代の波には逆らえず、今後、米空軍は、予算削減とF-35などの新戦闘機の運用に注力することを理由にA-10の退役を希望している。

このA-10の削減及び退役の流れは以前から始まっていたが、その都度アメリカ議会の反対によって阻止されている。

反対する理由は、地上部隊支援を専門とする機体が他にないというものである。

それ以外には、A-10が退役すれば、配備されている部隊の人員が削減されることにより所属基地の雇用が失われ、統廃合の対象になってしまうことが懸念されることが考えられる。

54機のA-10退役が計画されており、これが承認されれば、いよいよ退役が始まることになるだろう。

次の動画では、地下60mの施設を吹き飛ばす「バンカーバスター」の威力と仕組みについて解説しよう。

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