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近年、中国が急ピッチで空母の建造を行っている。
2016年中国初の空母となる遼寧(りょうねい)が、駆逐艦数隻とともに、沖縄本島と宮古島の間を太平洋に向けて通過したのを海上自衛隊が確認した。
この時、領海への侵入はなかったものの、2018年、2019年と3度にわたり通過している。
航行目的は明らかでないが、海上自衛隊の対応や政府の反応を確認している可能性もある。
中国は2隻目の空母も就役し、さらに3隻目も建造中である。
なぜ、中国はそこまで空母建造を急ぐのか?またその実力はどの程度のものなのか?
また艦載機が足りないといううわさは本当なのか?
今回は中国の空母の謎に迫ってみた。
中国空母についての動画も作ったから最後に見てね!
中国がなぜ空母保有にこだわるのか?
1996年、台湾総括選挙で発生した第三次台湾海峡危機で、アメリカ海軍は空母ニミッツとインディペンデンス率いる2つのストライクグループを派出。
このプレゼンスに当時の中国の軍事力ではまったく対抗することができず、ただ指を食えて見ているだけというみじめな結果に終わった。
その雪辱をはらすために中国は、アメリカに対抗すべく自国でも空母打撃群を持つことを目的とした。
さらに、インド洋、南シナ海、東シナ海と手を広げる中国は、近隣諸国に対して空母打撃群によるプレゼンスを示すことも目的とされる。
この2つは中国が空母保有にこだわる大きな理由でもある。
中国初の空母はロシアの中古
引用:https://blog.goo.ne.jp/sekiseikai_2007
1985年、旧ソ連のニコライエフ造船所にて建造中であった空母ワリヤーグは、ソ連の崩壊により70%の完成度で放置されたままとなった。
その未完成の空母を中国は、ソ連崩壊後に独立国となったウクライナから購入し大連(だいれん)で改修を施した。
2012年、中国海軍初の空母である「遼寧」(りょうねい)が就役した。
就役後は、青島(チンタオ) を母港として中国海軍初の空母を運用するための練習空母という名目で使用された。
遼寧のサイズは、全長305m、幅37~70m、満載排水量59000トン、乗員 1334人、航空要員626人、司令部要員40名
ニミッツ級との大きな違いは、航空機発進時に強制的に加速させるカタパルトは装備されておらず、甲板に14°のいわゆるスキージャンプ勾配がついている点だ。
サイズ的にはニミッツ級やフォード級と比較すると一回り小さい。
遼寧の空母打撃群と艦載機
引用:https://jp.reuters.com/
2016年11月には中国の国営メディア「環球時報」(かんきゅうじほう)が「遼寧はすでに作戦可能となった」と報道。
同年 12月には、中国機動部隊の旗艦となり、遠洋航海で太平洋に進出、その後、南シナ海を航海して周辺国にプレゼンスを示した。12月25日に沖縄宮古島間の海峡を通過しており、その際に海上自衛隊が確認した空母打撃群の編成は以下のようになっており
ミサイル駆逐艦「ルーヤン III」×1隻、「ルーヤン II」 ×2隻
ミサイルフリゲート「ジャンカイ II」×2隻
コルベット「ジャンダオ」×1隻
補給艦「フチ」×1隻
おそらく潜水艦についても1~2が随判していたと推定される。
2018年、中国国防省は記者会見で「遼寧は他の艦艇と共に空母打撃群として作戦可能な段階に入った」と宣言した。
同年、7月には中国大連の造船所にドック入りし、航空管制室の窓の拡張が行われ、発着艦する航空機の視認性が向上している
また、飛行甲板面の拡張や艦橋構造部のステルス化が行われレーダーの反射面積を抑制することが目的と中国の新聞で報じられている。
[itemlink post_id=”1090″]この改修工事は、次の国産初の空母である「山東」(サントン)で改善された部分を遼寧にも反映させるためでもあり、今後第一線の戦力にするためのスペックアップであると考えられる。
ウクライナから受け取ったときに装備されていた対艦ミサイル SS-N-19 のランチャーが撤去され、格納庫が拡張されている。
飛行甲板では最大18機の艦載機の運用が可能とされている。
艦載機についてもウクライナから SU-33(スホーイ33)の試作機であるT-10 を購入し、その機体をコピーしてJ-15が完成した。
しかし、古いレーダーや操縦装置に不具合があり、さらなる改良が必要となったため、現在はJ-15 の生産は停止しているようだ。
格納庫内にはJ-15 戦闘機が 24機、哨戒ヘリコプターZ-9を12機を搭載できるといわれている。
遼寧自体の装備は、近接防御用の対空ミサイル HHQ-10 (18連装)、30 ミリ機関砲 CIWS(シウス)となっている。
空母打撃群の太平洋進出
2020年4月10日には、5隻の艦艇を伴って東シナ海を南下し、宮古海峡を通過、太平洋に進出したのち、北上して台湾近海で演習を行っているのを海上自衛隊が確認している。
このとき、アメリカ海軍の空母セオドアルーズベルトでは艦内で新型コロナウイルスが蔓延しグアムに緊急入港しており、西太平洋には作戦行動中の米空母が1隻もいないという状況に陥っていた。
[itemlink post_id=”1091″]中国は、それを狙っていたのか定かではないが、太平洋に進出しコロナ禍でも影響されないという空母打撃群のプレゼンスを結果的に示すこととなった。
遼寧率いる空母打撃群は毎年、太平洋や南シナ海に進出し軍事演習を行っている。
しかし、行動期間は2週間前後であり、米海軍のストライクグループと比較するとかなり短い航海である。
これは遼寧が長期の行動ができない何らかの不具合があるのではないかと推測されている。
進水後に動力、推進装置に重大な問題が発生しているとされていたのが原因である可能性もある。
今後の中国の空母
現在、遼寧、山東の2隻の空母を保有している中国であるが、2018年上海(シャンハイ)の江南(コウナン)造船所にて新たな空母の建設が確認されている。
中国海軍は2030年までに4個空母打撃群を目標としていると報じられていることから、さらに1隻の建造が予想される。
3隻目の空母からは遼寧、山東のようにカタパルトなしのタイプではなく、最新の電磁カタパルトを使用して艦載機を発艦させる構想もあったが、技術的な問題から蒸気式カタパルトになるようだ。
満水排水量もさらに増え8000トン以上になるとも報じられている。
さらに中国はロシアから入手した原子力空母「ウリヤノフスク級」のデータをもとに、原子力空母を建造する可能性もあると推測されているが、まだ実装するにはリスクが高いという見方もあり、技術面や経済、政治的問題から実現は厳しいようだ。
中国は最終的に6隻体勢で空母を運用する計画を立てている。
アメリカ海軍のストライクグループと比較すると、艦載機の種類も少なく、艦載機パイロットの養成もまだ時間がかかりそうだ。
事実、艦載機パイロットが不足していることから、J-15 戦闘機パイロットを緊急で募集していると報じられており、パイロット不足が露骨に暴露された形となった。
すでに2隻目の空母「山東」の就役も近いことから、さらにパイロット需要が高くなり人員不足問題にあせりが見えている。
中国海軍サイトでパイロットの募集は4500人、そこから1400人まで絞られ、採集選考では56人が艦載機パイロットに選ばれる。
エリート中のエリートしか合格することができない狭き門である。
以上のように人員や技術的にみても中国の空母運用はまだまだ発展途上中である。
しかし、豊富な軍事資金と開発にかける熱意、またそれを可能にする経済力、さらに米中対立の深刻化に伴い、今後われわれの予想を上回る勢いでアメリカ海軍を凌駕する日がやってくるかもしれない。
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