海上自衛隊の極秘任務艦!海自隊員も知らない音響測定艦の秘密とは?

「戦争映画」は、ただ国同士が争う映画ではない。

迫力ある戦闘シーンだけでなく、涙なしには語れない数々の人間ドラマがある。

数ある戦争映画の中でも、今回は実話を元にしたエピソードのみを厳選して紹介する。

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海上自衛隊には極秘任務を行う音響測定艦という艦艇が存在する。

しかし、その任務はベールに包まれており、 どの隊員も「どこで何をしているフネなのかよく分からない」と口をそろえる。

この音響測定艦は戦闘を行う艦艇ではないため、主砲やミサイル、 近接防御システムなどは一切装備していない。

替わりに数千mにもおよぶ長大なセンサーを搭載している。

そして必ず単独で行動する。

さらに、その船体の形も護衛艦とまったく違うことに気づくだろう。

2隻のフネをあわせたような独特の船体形状をしている。

この形も極秘任務を行うための理由があるのだ。

今回は、海上自衛隊の中でも謎に包まれている音響測定艦について、その極秘任務と船体の特徴、また開発の背景について解説していこう。

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音響測定艦の極秘任務 敵は中国とロシア

日本は周囲を海に囲まれており、 もし戦争になれば、敵は空か海から攻めてくることになる。

空はレーダー網が張り巡らされており、近接する目標は全て探知される。

しかし、海中には潜水艦という脅威が存在する。

潜水艦の強みは相手に気付かれずに攻撃を加える能力だ。

音響測定艦とは、海中に潜む潜水艦の音紋を収集することが目的である。

音紋とは潜水艦が発する固有の音のことである。

人間でいうなら、その人が誰であるかを識別するための指紋や声のようなものである。

潜水艦は潜航中、 空気が使えないためエンジンを回すことはなく、充電した電気や原子力によって発生したエネルギーで推力を得ている。

しかし、まったくの無音で潜航することはできず、何かしらの音を発生する。

スクリューの水切り音や、それにつながるシャフトの回転音、電源系統やモーター、船体が水中を進むときの音など、地球上にいる限り必ず何かしらの音が発生する。

このわずかな音を収集、記録、そして分析することで、警察が指紋を頼りに犯人を特定するのと同じように音を頼りに潜水艦の特定が可能となるのだ。

人間の指紋や声が人それぞれ異なっているのと同じように潜水艦の音紋はそのタイプによってそれぞれ異なってくる。

この音紋情報を共有した艦艇や潜水艦、航空機が日本周辺海域をパトロールすることで、探知した潜水艦がどの国のどの型かを特定するのだ。

潜水艦の映画などで音を聞くソーナー員が「敵潜水艦探知、ロシアのタイフーン級と思われる」 などという台詞を聞くことあるが、 まさに音紋データにより類別して報告するシーンを描いたものである。

このように音響測定艦という特殊なフネが海中の音を拾い集めることで、各国潜水艦の膨大なデータベースを作りあげているのだ。

海中では潜水艦を電波で探知することはできないため、 音波のみが情報収集の手段となる。

音響測定艦の行動が相手国に知られた場合、 何かしらの対策をとられる恐れがあるため、 作戦海域や出入港予定などは秘密扱いとなっており、同じ海上自衛隊員でも関係者以外知ることはできない。

では、海上自衛隊の音響測定艦は実際どのような方法で潜水艦の音を収集しているのだろうか?」

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巨大音響センサー 「サータス」

ひびき型音響測定艦は平成3年に1番艦 「ひびき」 が就役し、翌年には2番艦の「はりま」 が、 そして令和3年に3番艦の 「あき」が就役している。

水中の潜水艦の音を収集するために使用されるのが、 SURTASS (サータス) と呼ばれる音響センサーである。

サータスはそれ自体の長さが約2600mもあり、それを曳くための曳航ケーブルが約1800m あるため、全体の長さは約4400mにも及ぶ長大な音響センサーとなる。

サータス自体はアメリカのUQQ-2 というセンサーであるため、 アメリカ軍人が乗艦して支援を受けている。

このサータスを約3ノット (時速約5km) という低速で曳き、深度 150m~500m 程度まで沈めた状態で作戦海域を1ヶ月以上航海しながら収集活動を行う。

サータスは非常に広範囲の音を探知できるシステムで、 その探知距離は海中の水質状況にもよるが、 500km以上遠くの潜水艦の音を拾うことが可能である。

空中と水中という違いはあるもののイージス艦のSPY レーダーにも匹敵するほどの探知能力といえる。

収集した潜水艦の音は陸上の分析部隊隊に送られ、 音紋のデータ分析が行われる。

ひびき型では音響収集時に影響しないように静粛性が図られており、エンジンはディーゼルエレクトリック方式により電気で推進力を得ている。

発電機も船体の高い位置に配置されており、なるべく自艦の音が水中に入らないような構造がとられている。

このフネが必ず単独で行動する理由の1つは他の艦艇の雑音が入らないようにするためでもある。

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双胴船になった理由とひびき型の特徴

ひびき型の一番の特徴とも言えるのが船体の形だ。

これは胴体が二つある双胴船、もしくはSWATH (スワス)と呼ばれる形で、左右独立して海中に没して浮力を得ている。

海中部分は潜水艦のような形状をしており船体が2隻の小型潜水艦の上にまたがっているような形である。

なぜひびき型がこのような双胴船でなければならないのだろうか?

サータスを曳航しながら収集活動をする際、海上は常に天候が良いとは限らず、荒天の中を走ることもある。

その場合、通常の船体では波の影響で直進性が悪くなり探知能力に影響が出る。

そのため、 荒天時でも安定性の高い船体が求められ検討した結果、行き着いたが双胴船であった。

双胴船は海に浸かっている面積が通常の船体と比較して小さいため波の影響を受けにくいというメリットがある。

当時、世界的に見ても大型の双胴船としては三井造船が開発して「かいよう」 が唯一の船舶であった。

「ひびき」はこのノウハウを踏まえて建造されたため、 アメリカよりも後発であったにもかかわらず、先に完成させることに成功した。

一方アメリカは国内に双胴船のノウハウがなく建造に難航していたが、現在は5隻の音響測定艦が活動している。

海上自衛隊隊は「ひびき」「はりま」「 あき」の3隻体勢となったことで、それぞれが整備、訓練、 任務行動というローテーションが組めることで、 常に音紋収集が行える体勢が整った。

また、音響測定艦は海上自衛隊初となるクルー制を 2017年から採用している。

通常の護衛艦では乗員が固定されているが、ひびき型では3隻を4つのクルーが交代して乗り込むことで稼働率を上げている。

現在続々と建造が行われている新型護衛艦 FFMにおいてもクルー制が採用される予定である。

ひびき型は任務の特性上、2ヶ月近い長期間の航海となるため艦内にはトレーニングルームや野菜栽培器があり、太陽光を伝送する特殊照明も備えつけられている。

また急患や物資の輸送のため大型のMH-53 も着艦できる広いヘリ甲板も設けられている。

音響測定艦が開発された背景

海上自衛隊で平成3年、4年と連続してこの特殊な艦艇が建造された背景には、冷戦時代にソ連が建造した潜水艦の静粛性が向上したことが要因である。

さらに原子力潜水艦の登場により、長期間の潜航状態が可能となったため浮上する機会が減り、艦艇や航空機がレーダー探知できる可能性は極めて低くなった。

一方、アメリカは冷戦初期に相手の音を探知すして場所を特定するパッシブ戦に重点を置き、ソ連の潜水艦に対する対抗策を図ってきた。

しかし、ソ連は諜報活動により、 アメリカの作戦に気づき、 さらに静粛性が向上した潜水艦を建造し大量配備を始めた。

これによりアメリカのパッシブ戦のシステムが脆弱化してしまったため、 米軍対戦部隊隊が圧倒される事態となった。

この事態から脱却するために開発されたのが、 通常のパッシブより広範囲かつ小さな音も探知できるサータスである。

現在、海上自衛隊は世界屈指の対戦能力を誇っており、そのためには各国の潜水艦のデータを集める音響測定艦の存在は重要な存在といえる。

その音響測定艦の能力を相手に知られることは対戦能力を損なう恐れがあるため、海上自衛隊内ですら極秘となっているのだ。

 

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