世界の揚陸艦4選!自衛隊「輸送艦おおすみ型」の3つ弱点と任務

「戦争映画」は、ただ国同士が争う映画ではない。

迫力ある戦闘シーンだけでなく、涙なしには語れない数々の人間ドラマがある。

数ある戦争映画の中でも、今回は実話を元にしたエピソードのみを厳選して紹介する。

一度は見ておきたい実話の戦争映画5選!

揚陸作戦と聞けば、沖合に悠然と漂泊した大型揚陸艦から小型揚陸艇などに兵隊を乗せて、浜に向かって一斉に攻めるというシーンを思い浮かべる方が多いのではないだろうか?

現代の戦闘で、もしこの作戦を行うとなれば、揚陸部隊を派出する前にミサイルの飽和攻撃をうけて揚陸艦ごと大破、撃沈することになるだろう。

各国は長距離対艦ミサイルを開発しており、衛星からの監視や航空機による遠距離探知、攻撃を企図している。

一昔前の揚陸艦による着上陸作戦は、戦艦の主砲による艦砲射撃と同じく、過去の遺物となりつつある。

現代の強襲揚陸艦には攻撃ヘリ、輸送ヘリをはじめアメリカ海軍のようにF-35Bステルス戦闘機を搭載する能力を持っている。

海上自衛隊においては揚陸艦を保有していないものの、輸送艦「おおすみ型」がその替わりを担っている。

今回は、フランス、イギリス、アメリカの揚陸艦の仕組みや搭載できる車両や航空機、また輸送艦「おおすみ型」の特徴と弱点について解説していこう。

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世界第2位の大きさ。フランス海軍ミストラル級

フランス海軍の唯一の強襲揚陸艦であるミストラル級は現在3隻が就役している。

艦内には航空機格納庫、車両甲板のほか、ウェルドック内には揚陸艇を2~4隻搭載できる能力を持ち、それぞれに階層の違う甲板を設けたことから船体が背の高い自動車運搬船のような形になっているのが特徴だ。

ウェルドックとは、揚陸艦特有の機能で、艦尾のハッチを開いてバラストタンクに海水を注入し、その重みで艦尾を下げることでドック内に海水をいれる。

溜まった海水により揚陸艇が浮き上がることで艦内から発進するという仕組みである。

簡単にいえば、大型船の中に小型船が入っている状態である。

1層目の航空機格納庫の面積は、約1800㎡、2層目の車両甲板の面積は約2650㎡、そして3層目のウェルドック兼車両格納庫は長さ57m、幅15mであり、揚陸作戦では戦車13両を含む60両の車両のほか450名~最大900名の揚陸部隊を運搬する能力をもつ。

ヘリコプターは攻撃ヘリや輸送ヘリなど16機搭載可能であるが、サイズによってはそれ以上の搭載も可能となっている。

艦内の格納庫から飛行甲板にヘリコプターを運搬するエレベーターは艦橋後部と艦尾に各1基備えられている。

満載排水量は21800トン、全長199m、動力はディーゼルエレクトリックにより航続距離は11000マイル(約20400km)である。

4機の発電機とポッド式推進器は合計19000馬力を発揮し、速力は19kt(約35km)である。

飛行甲板は長さ199m、幅32mであり、他国との合同訓練時において大型ヘリコプターCH-53やオスプレイの着艦も可能な広さである。

ただし、現在はF-35BのようなSTOVL機の運用は予定されていない。

ミストラル級はフランスだけでなく他国に輸出もされており、準同型艦2隻がエジプト海軍で姉妹艦として運用されている。

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海上自衛隊「輸送艦おおすみ型」の性能と弱点

海上自衛隊では揚陸艦という船種は保有しておらず、現在は輸送「おおすみ型」がその任務を担っている。

1993年から1999年にかけ「おおすみ」「しもきた」「くにさき」の3隻が就役している。

2022年の任務では海底火山爆発により被害をうけたトンガに災害派遣で支援物資を運搬した。

海上自衛隊初となったフラットな全通甲板は前部が車両甲板、後部が飛行甲板となっており、陸上自衛隊の大型へリCH-47チヌークを2機搭載できるほか、UH-60やオスプレイも着艦できる。

護衛艦の艦載機であるSH-60J/Kのように固定の搭載機ではなく、任務に応じて各種ヘリコプターを搭載できるようになっている。

艦内の車両格納庫には戦車18両、トラック38両が搭載できるほか、ウェルドック内にはLCACと呼ばれるエアークッション艇2隻を搭載できる。

さらに、このLCACに車両や人員を乗せてビーチから上陸することが可能である。

LCACについては他の動画で詳しく解説しているので、そちらをご覧いただきたい。

揚陸艦として機能するために、陸上自衛隊の水陸機動団が運用する水陸両用車AAV7の運用ができるようにウェルドックと艦尾のハッチは改修工事を受けている。

輸送艦おおすみの満載排水量は14,000トン、全長178m、動力はディーゼルで速力は22ノット(時速約40㎞)である。

通常、戦闘艦艇の速力は平均30ノット(約55km)であるが、各国の揚陸艦の速力は20kt前後とあまり速力がでない。

その理由として、速度性能よりも搭載能力を優先しており、空母のように艦載機を発艦させることもないため高速を出す必要がないからである。

「おおすみ」の車両用エレベーターは前甲板と艦橋後部の2箇所に設置されている。

チヌークなどの大型ヘリは艦内に収容できないため、海外派遣などの長期航海では防錆処置をして甲板上に係止することとなる。

ところで、おおすみ型には弱点といえる点が3つ考えられる。

1つ目は、おおすみ、しもきた、くにさきに乗艦できる揚陸部隊は3隻で約1000名という点である。

しかし、陸上自衛隊の水陸機動団は3000人規模になる予定で3分の1の人員しか輸送することができず、水陸機動団を強化しても100%の実力を発揮することができない。

2つ目は、「おおすみ型」のウェルドックはもともとLCACを運用する構想で設計されている。

改修工事により水陸両用車AAV7の運用も可能となったが、この2つのビークルは水深が浅いため、他国が搭載しているような大型のLCUといった揚陸艇を搭載することができない。

多様な任務が可能なLCUが今後も搭載できないのは欠点といえるだろう。

3つ目は、他国の揚陸艦のように航空機の格納庫や整備能力がないことから本格的運用能力がないことだ。

へりの運搬や一時的な発着艦の場所として提供しているのが現状であり、航空攻撃による支援などができないため、揚陸部隊を現場まで援護するという任務ができない。

本来、輸送艦という船種であるため、仕方がないといえばそうなるが、揚陸艦を保有しない日本にとってこれらは重要な課題といえるだろう。

防衛省は「今後の水陸両用戦を考慮して新たな艦艇について検討する」と発表している。

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ウェルドックのない揚陸艦 イギリス海軍「オーシャン」

揚陸艦オーシャンはインヴィンシブル級の船体をベースとして建造され、1隻のみで同型艦はない。

搭載機はヘリコプターが最大18機であるが、F-35BやハリアーのようなSTOVL機の運用も可能である。

揚陸部隊の輸送能力は約800名で、揚陸艦としては珍しくウェルドックはないが艦内には車両輸送用のLCVPを4隻、各種車両は40両を搭載できる。

「オーシャン」の満載排水量は22000トン、全長203m、動力は当初ガスタービンの予定だったが、予算を抑えるためにディーゼルになっており18, 300馬力とやや低いため速力は

19ノット(時速約35㎞)となっている。

飛行甲板も他国の揚陸艦より狭く、長さ170m、幅32mである。

現在はブラジルに売却され再就役しており、売却価格は当時のレートで約120億円であった。

売却資金は空母クイーンエリザベスの整備費として活用している。

世界最大の揚陸艦アメリカ海軍  「アメリカ級」

世界最大にして米海軍最新の強襲揚陸艦が「アメリカ級」である。

航空機搭載を重視するためウェルドックを廃止したが、揚陸艇やLCACの搭載ができず重車両の運搬などができず海兵隊の不満が続出したため、3番艦からはウェルドックが復活している。

満載排水44,000トン、全長260m最大幅60m、動力は6基の発電機と2基の推進モーターにより速力22ノットを発揮。

各種航空機を合計40機搭載でき、その内F-35Bが最大23機と揚陸部隊約1700名を搭載できる。

F-35Bを搭載できる「アメリカ級」は軽空母としても戦力的価値は高いといえる。

さらにアメリカ海軍の揚陸艦は空母打撃群のようなグループで行動する。

空母打撃群をストライクグループと呼ぶのに対し、揚陸作戦部隊は遠征打撃群(エクスペディショナリーストライクグループ)と呼ばれ、強襲揚陸艦1隻、ドック型揚陸艦2隻、ドック型輸送揚陸艦2隻、という強力なグループで行動する。

ドック型揚陸艦とは、艦内に巨大なウェルドックを設けて大型の上陸用舟艇やLCACを最大5隻搭載でき揚陸時の効率化を目的とした艦艇だ。

一方、ドック型輸送揚陸艦とはウェルドックのサイズを縮小化する替わりに、貨物輸送用の区画を広げ、輸送能力を向上させた艦艇のことである。

8角形の巨大なマストが目を引くが、これはアンテナや各種センサー類が装備されたAEMとよばれる複合材料のステルスマストである。

このようにアメリカ海軍は3種類の揚陸艦をグループとして運用することで、それぞれの弱点をカバーして、あらゆる任務に対応できるようになっている。

各国が揚陸艦を保有する理由

広大な飛行甲板とウェルドックを設け、STOVL機やヘリコプターを始め、LCACや揚陸艇を搭載し、空と海から兵力を速やかに展開させる強襲揚陸艦は、現在各国海軍が保有し、さらに建造が続けられている、

韓国のドクト型、中国の075型揚陸艦など、周辺国海軍も揚陸艦の建造を行っている。

多くの海軍が強襲揚陸艦を建造する理由は、空、海、陸のどの場所でも展開でき多用途性と柔軟性をもち、多くの任務に対応できるからである。

有事の際だけでなく、人道支援や災害派遣でも医療スタッフや機材を搭載して現場に運搬するなど多用途な任務に対応できる。

それが揚陸艦である。

「戦争映画」は、ただ国同士が争う映画ではない。

迫力ある戦闘シーンだけでなく、涙なしには語れない数々の人間ドラマがある。

数ある戦争映画の中でも、今回は実話を元にしたエピソードのみを厳選して紹介する。

一度は見ておきたい実話の戦争映画5選!