悲願の哨戒機P-1の性能!上空から水中の潜水艦を探知する方法とは?
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初の純国産であり、世界トップレベルの対潜哨戒機 P-1。

P-3哨戒機の後継機として、現在海上自衛隊、厚木基地に配備されている。

第1次世界大戦以降、海の忍者といわれる潜水艦の登場により、艦艇はなすすべもなく撃沈された。

それに対抗するために、開発されたのが潜水艦からの攻撃が不可能な対潜哨戒機である。

海上自衛隊には艦艇や潜水艦のほかにも航空部隊があり、ヘリコプターや哨戒機といった航空機が配備されている。

現在、約1万1000人が航空部隊に所属しており、輸送機や救難機、情報収集機などを合わせると、約230機もの航空機を運用している。

その中でもP-3やP-1といった哨戒機は毎日のように日本周辺海域を監視飛行して上空から不審船などの情報収集を行っている。

今回は、戦後初の国産哨戒機であるP-1について、また P-3 から進化した性能について解説していこう。

しまかぜ

対潜哨戒機の役割やカッコいいフライトのシーンを動画でも楽しんでね!

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哨戒機の任務とは?

哨戒機の任務とは?

海上自衛隊は現在、哨戒機としてP-1とP-3の2種類を運用している。

哨戒機は毎日4機が日本周辺の監視ルートを8時間ほど飛行してローテーションを組み、24時間態勢でパトロールを行っていると言われている。

哨戒機の本来の任務は上空から各センサーを使用して潜水艦を捜索、探知、攻撃することである。

平時においては、日本周辺海域の不審船や対象船舶などを捜索するためのパトロールを行っている。

不審船や潜望鏡などを確認すると、情報収集のために撮影を行い海自艦艇や海上保安庁と連携して対処する。

国内だけでなく、海外にも派遣されており、2009年6月からはアフリカのジブチ共和国を拠点として2機のP-3 が派遣され、ソマリア沖やアデン湾で海賊対処行動の任務についている。

アデン湾には護衛艦も1隻派遣されており、P-3と情報交換等を行い日々の任務に従事している。

これまでに、13万隻以上の船舶の識別を行い、そのうち海賊船と疑いのある船舶情報を1万件以上、各国海軍や海上自衛隊の護衛艦に提供している。

また、2年に一度ハワイ沖で行われるRIMPACとよばれる各国海軍との合同訓練では、ハワイの基地に終結して、各国海軍とともに数々の訓練に参加している。

このように哨戒機は、日本周辺の監視をはじめ、海外にも展開して活動している。

P-3 の老朽化にともない、新しく開発された P-1 であるが、その性能は何が違うのだろうか?

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P-3とP-1の性能を比較

P-3はアメリカ、ロッキードマーチン社によって製造され、オライオンというニックネームで親しまれている。

初飛行は1958 年で、それ以来、海自の主力哨戒機として活躍している。

海上自衛隊は最終的に101機の P-3を調達しており、それだけの数を保有したのはアメリカと日本だけである。

P-3のスペックはこのようになっている。

P-3のスペック

全長 35.6m 全幅 30.4m 全高10.3m
重量 30.3トン
乗員11名
最大速力760km
航続距離 6700km
エンジン 4910 馬力×4
兵装:魚雷、対潜爆弾、対艦ミサイルなど

 

もとは旅客機をベースとしている機体のため、多くの機器を搭載してもスペースに余裕があり、長時間のフライトに備えて、簡易ベッドを備えるなどクルーたちのストレスを緩和してくれる構造となっている。

海自では P-3 を現在54 機保有しているが、調達から40年近く経過し老朽化により今後はP-1 がその任務を引き継ぐことになる。

現在のところ、海上自衛隊の哨戒機の3分の1がすでにP-1に変わっているが、配備に遅れが出ているため、P-3の機体に延命措置が施され、まだまだ活躍は続きそうだ。

P-1の開発であるが機体は川崎重工、エンジンは IHIがを担当した。

レーダーやシステム、機内の装備品にいたるまで国産化されており、まさに日本の技術の結晶といえる哨戒機である。

国産初の哨戒機として 2007年に初飛行を行い、現在、厚木基地に配備されている。

P-1 はもとから哨戒機として開発が行われたため、P-3 よりも優れている点が多い。

P-1のスペック

全長38m 全幅 35.4m 全高12.1m
重量38トン
乗員13名
最大速力996km
ターボファンエンジン×4
航統距離 8000km
価格:約170億円
兵装:魚雷、対潜爆弾、対艦ミサイルなど

P-1は機体、エンジン、電子センサー、レーダーなどもすべて国産であり、P-3との見た目の特徴の違いはP-3 がプロペラ機であるのに対し、P-1 はジェット機であることだ。

そのため、速力はP-3よりも200キロほど速く、高高度を飛行することができる。

速力が上がったことから現場海域に迅速に展開でき、潜水艦を捜索、探知できる確率も向上している。

P-1の設計図は約4万枚にも及び、エンジンに水や砂、海水を吸い込ませるなどして最悪の状況を想定して試験が進められていった。

その結果、P-3 のターボプロップエンジンよりも静かなからジェットエンジンが完成したのだ。

また、P-1は対潜能力だけでなく、敵艦艇を探知、識別し攻撃できる能力ももっている。

対艦ミサイル「ハーブーン」を8発搭載することができ、小型マーベリックミサイルも運用できる。

そして、世界初となる「フライバイライト」を採用している。

航空機は一般的には「フライバイワイヤ」と呼ばれるシステムでパイロットが操縦する動きを電気信号に変えて、ワイヤーでその動きを伝えるものであるが、P-1 の「フライバイライト」は光ファイバーでパイロットの操縦信号を送る。

その理由は機体重量を1gでも軽くしたいという、開発者たちの願いからであった。

さらに、P-3よりも多くのソノブイを搭載することができるため、より広範囲の海域で潜水艦を捜索することができる。


ソノブイとは、筒状のセンサーで、それを海に投下するとセンサーが作動して水中に潜む潜水艦の音を探知する。

そのデータを機上で分析することで、どの位置にどんなタイプの潜水艦が存在するかが判明する。

ソノブイの探知状況を頼りに、徐々に潜水艦が存在すると思われるエリアを狭めていき、最終的に魚雷を投下して攻撃するというのが本来の任務である。

また、P-1とP-3の後ろに「しっぽ」のような長い棒が装備されているが、これはMAD(磁気探知装置)と呼ばれるもので、水中の潜水艦が発生する「わずかな磁場の乱れ」を探知して、上空から水中の潜水艦を探知するセンサーである。

自らが発生する機体の磁気の影響がもっとも少ない後部に装備されている。

P-3、P-1 の対潜能力は非常に高く、海自潜水艦との対潜訓練では、その捜索能力の高さから潜水艦乗りから嫌がられる存在でもある。

また、P-1 にはAI(人口知能)を搭載した戦闘指揮システムが装備されており、そのときの状況にあったベストな戦術を提示してくれるため、クルーは操縦に集中することができるのだ。

魚雷を搭載する際も、P-3 と比べると装填作業がしやすいように格納扉が改良され、コックピットからの視界も広範囲が確認できるように工夫されている。

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P-3の派生型 UP-3D、EP-3

P-3 は、訓練でも使用するため任務に応じて派生型が存在する。

その1つが UP-3D で、山口県の岩国基地に3機のみ配備されている。

UP-3Dは訓練用の妨害電波を艦艇に向けて送信することができる。

電子戦訓練では、相手のレーダーや通信系を妨害することで電子戦環境を意図的に作意して訓練を行うことができる。

また、UP-3D は対空射撃訓練の支援機として、標的をワイヤーで引っ張りながら飛行し、その標的に向かって艦艇が主砲を発射するという任務も行う。

このように P-3 は訓練用に改良された UP-3D としても活躍している。

一方、EP-3という機体も配備されており、任務は対象国などの電波収集を行うことだ。

背中にコブがあるのが特徴で、これは上空で敵艦艇などの電波を受信するためのアンテナである。

国産の電波収集機材を搭載しており、P-3の長い航続距離を活かして日本周辺を飛行して、対象国から送信されるレーダーや通信波を傍受する。

そのデータは機内でも分析可能であるが、基地に持ち帰ることでより高精度な分析を行う。

収集したデータを分析、蓄積することで、敵の搭載しているレーダーの種類や周波数などが判別できるようになる。

それに対抗する機器を開発したり、電波が発せられている場所を特定して敵を探知するなど、艦隊の支援を行うことができる機体である。

EP-3 は、その任務の特性上、非常に機密事項の多い航空機で、自衛隊員でも関係者以外は搭乗することができない。

P-1、P-3 哨戒機まとめ

長年の悲願であった国産哨戒機 P-1

P-3 で培ったノウハウは国産のP-1 にも受け継がれ対潜能力や監視能力はさらに向上している。

哨戒機は平時の監視飛行はもちろんのこと、有事の際は艦艇とともに作戦を遂行する。

四方を海で囲まれた日本では有事の際、敵は空と海から侵攻してくる。

艦艇や潜水艦を早期に探知し、識別から攻撃段階に速やかに移行するためには哨戒機は必須であり、その戦力は非常に重要となってくる。

P-3 の老朽化に伴い、順次 P-1 へと変わっていくが、すべてのP-3 が P-1 になるまでは、まだ長い年月がかかることが予想される。

これからもP-1とP-3 は海上自衛隊の主力哨戒機であり、日本の海を守り続けていくだろう。

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