海上自衛隊【次期哨戒ヘリコプター】SH-60L。魔改造で3つの新装備
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海上自衛隊といえば、護衛艦や潜水艦が浮かぶが、ヘリコプターも非常に重要な任務を担っていることをご存じだろうか?

SH-60Lは、海上自衛隊が現在保有しているSH-60Kの改良型として開発された哨戒ヘリコプターである。

哨戒ヘリコプターとは、敵の航空機や艦艇など、護衛艦が探知できない距離を上空から捜索したり、潜水艦を探知したりすることが主な任務である。

つまり、ヘリコプターなしで敵潜水艦に勝利することは厳しいといえる。

新型ヘリコプターのSH-60Lは陸上基地や艦艇に搭載され、主に対潜水艦任務に就くことになる。

航空機による対潜水艦作戦については、現在、哨戒機と哨戒ヘリコプターが、その任務に就いている。

哨戒機については、現在P-1とP-3Cの2機種が配備されており、対潜ヘリコプターよりも広域にわたる海域の哨戒を行っており、1機で四国ほどの広大な海域に潜む潜水艦を探知することが可能である。

これに対し、哨戒ヘリコプターは、ホバリング機能により限定された範囲内で哨戒機では探知の難しい海域での警戒活動を行う航空機である。

今回は海上自衛隊で運用されているSH-60Kの次世代ヘリコプターとなるSH-60Lの性能や、現在活躍しているSH-60JとKの違いについて解説していこう。

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哨戒ヘリコプターの任務は敵潜水艦を撃沈

潜水艦乗りが一番怖がる相手、それがこの哨戒ヘリコプターだ。

哨戒機とは違い哨戒ヘリコプターはホバリング、つまり空中で停止することが可能である。

そして吊り下げ式ソーナーを海面に入れて水中に潜む敵潜水艦を探知するのである。

ソーナーには大きく分けてアクティブソーナーとパッシブソーナーの2種類がある。

アクティブソーナーは、こちらから音を発して潜水艦に当たった音がはね返ってくる音を捉えることにより敵潜水艦を探知するものだ。

一方、パッシブソーナーは敵潜水艦が発するエンジン音やスクリュー音、モーター音などを捉えて探知する方法である。

艦艇と共同で探知しつつ潜水艦の位置を計算して、最終的に魚雷を投下して撃沈することが最終目的である。

その周辺海域にいる潜水艦は音を出せば、探知されるため身動きがとれなくなるのである。

現在、多くの艦艇には、この哨戒ヘリコプターが発着艦できる飛行甲板が設置されており、対潜戦訓練では海と空の両方から捜索を行っている。

P-1などの哨戒機と比べると速度や武装、航続距離において劣る部分があるものの、発着艦に関しては飛行甲板のスぺースさえあれば運用が可能なので艦載機として各国海軍も搭載している。

艦船に哨戒ヘリコプターを搭載し始めたのは旧日本陸軍が保有していた揚陸艦あきつ丸に搭載された「カ号観測機」(かごうかんそくき)が始まりであり、砲兵の弾着観測や対潜哨戒に使用された。

また哨戒ヘリコプターは護衛艦よりも圧倒的に速力が速いため人員や物資の輸送、急患の運搬などに使用されている。

東日本大震災などの災害時においては、被災状況の確認や被災者の捜索、救助または離島への医官の巡回診療の支援など通常の任務以外の災害対処においても、幅広い活動を行っている。

今後、日本で災害が起きた時にも大いに役に立つ存在であると言えるだろう。

では、現在主流であるSH-60Kヘリコプターから次期哨戒ヘリであるSH-60Lはどうのように進化するのであろうか?

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次期哨戒ヘリコプターSH-60Lの3つの新型装備

海上自衛隊が新しく保有するSH-60Lは初飛行が2021年5月12日に行われており、現在は運用に向けて試験を行っている段階である。

本機はSH-60Kを原型としており、その能力向上型として開発され、主に新型ソーナー、自動識別装置、新型魚雷が装備される。

SHー60Kと比べて性能的に向上したこととしては、トランスミッションの性能向上や中間ギヤボックス、ティルギアボックスの補強及びテイルローターブレードのピッチ角度の範囲拡大などが挙げられる。

これにより操舵範囲が広がり、特定条件下における機体の剛性不足も改善されている。

またソーナーについては護衛艦など他のユニットが送信したソーナー音もキャッチできるマルチスタティックソーナーが可能となり、情報を統一化することにより探知能力の向上が図られている。

それ以外には、自動船舶識別装置と呼ばれる識別装置や赤外線カメラを搭載することにより警戒監視能力が向上している。

兵装については新たに開発された12式魚雷が搭載されることになっている。

今まで使用されていた97式魚雷との大きな違いは97式魚雷が外洋や深海における敵潜水艦への攻撃を想定して開発されたのに対し、12式魚雷は、その能力に加えて、魚雷の音響探知や誘導に高度な技術が必要とされる沿岸や浅瀬における対処能力が追加されている。

2021年9月28日に飛行試験機が防衛装備庁へ納入されており、その後に性能確認試験を経て令和5年度末に部隊使用承認を受ける予定だ。

ロシアや中国の潜水艦は高性能化が、どんどん向上している現状において、それに対処するために海上自衛隊の哨戒ヘリコプターも、更なる対潜水艦能力の向上が求められているのである。

潜水艦を探知する側と探知されまいとする側とのせめぎ合いが現在行われているのである。

では、現在運用しているSH-60Jと60Kではどのような違いがあるのかご存じだろうか?

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現在運用中のSH-60JとSH-60Kの違いや見分け方

外見上の違いとしてはメインローターブレードの端の部分だ。

60Jは、このブレードが真っすぐなのに対し60Kは先が曲がった形状になっている。

これは翼端渦を軽減するために必要とされるものである。

翼端渦とは、飛行中に主翼の先端部分で生じる空気の渦のことであり、この渦により空気抵抗が発生し、燃料が無駄に消費されるのである。

旅客機の翼に対しても取り入れられているのを見たことがある方もいるだろう。

つまり翼端を曲げることにより空気の渦が翼に巻きこみずらくなり、その結果として抵抗が減り燃料が節約できるという効果が生まれるが、最大速力が若干遅くなることは否めない。

その他の違いとして窓の数である。

60Jは窓が一つなのに対して60Kは2つに増えており、2分割のスライドドアになっている。

また、機体の左側にある窓が60Jは丸形なのに対し60Kは四角になっている点が挙げられる。

半球状のバブルウインドと呼ばれるこの窓は、搭乗員が周囲の状況を確認しやすいように、このような形になっている。

兵装面での違いについては、60JではMK.46魚雷と74式機関銃のみの装備であったのに対し、60Kは97式魚雷、対潜爆弾、それにヘルファイアⅡ空対艦ミサイルを搭載できるようになっており、対水上艦攻撃も可能になっている。

設計面での違いについては、60Jの乗員が乗るキャビンが狭く輸送時に作業がやりにくかったために、SH-60Kではキャビンが前方が33cm、高さが15cm延長されており、これにより床面積も2.1平方メートルから3.1平方メートルに増加している。

また搭乗可能乗員数も4人増えて12人になっている。

なお、重量増加を補うためにエンジンは今までは1800馬力であったものが2055馬力のものに改装されている。

世界2位の対潜能力を誇る海上自衛隊

現在の海上自衛隊の対潜水艦能力はアメリカに次ぐ世界第二位であると言われている。

日本はどうして対潜水艦能力向上に、これほど力を注いでいるのか?

それは日本の国土が大きく関係している。

日本は島国であり、石油を始めとする生活に必要となる、あらゆる資源のほとんどを外国からの輸入に依存している。

それら資源を日本に運ぶ大部分は船により輸送されている。

では、その船が日本に来る途中で敵潜水艦に攻撃され大部分が撃沈されてしまえば、日本はどのような状況に陥るか想像してみた人はいるだろうか?

あらゆる生活用品が不足し始め、ガソリンスタンドに行ってもガソリンがない、コンビニに行っても食料が売っていない、このようなことが現実に起こりうるのである。

極端に言えば日本本土に対する攻撃を一切することなく日本を屈服させることが可能なのである。

そうならないためにも海上自衛隊は今後も対潜水艦作戦を向上させていく必要があるのである。

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