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航空自衛隊には現在、主力戦闘機として、F-2・F-15・F-35Aが配備されている。
保有機数は2021年度で432機で、前年度よりも24機減少しているもののステルス戦闘機F-35Aは4機増えている。
中国やロシア機へのスクランブル(緊急発進)が多い日本海側の部隊では要撃能力の高い F-15 が配備されており、太平洋側や西側の部隊には、艦艇による侵攻を防ぎ、島嶼防衛を目的とした対艦、対地攻撃能力の高いF-2が配備されている。
そして、50年間日本の空を守ってきたF-4 が退役し、後継機としてステルス戦闘機F-35Aが三沢基地に配備されている。
今回は、航空自隊が誇る主力戦闘機F-2、F-15、F-35A の特徴やスペック、装備などについて解説していこう。
航空自隊の3種類の主力戦闘機のカッコいい姿を動画でもみてね!
どんな任務にも対応できるマルチファイター F-2
2006年3月に退役したF-1 の後継機として導入されたのがF-2 である。
航空自衛隊が F-2 に求めていた性能は次の通りである。
・全天候運用能力
・高度な電子戦能力
・対艦ミサイルを4発搭載
・短距離ミサイルを2~4発搭載
・中距離ミサイルを2~4発搭載
・対艦攻撃における450 マイル以上の戦闘行動半径
この条件を満たすため、アメリカのF-16 をベースに協同開発を行ったのが F-2 である。
F-2 のスペックはこのようになっている。
全長:16m 全幅:11m 全高5m
最大速力:マッハ2
戦闘行動半径:450 マイル(約830km)
航続距離:約2,900km
最大離陸重量:22,100kg
価格:132億円
最大速力はマッハ2で約2,500km の速度を出すことができ、航続距離は2,900km と非常に長いのが特徴である。
戦闘行動範半径とは、軍用機がある基地から離陸した後、任務を達成して同じ基地に帰還できると期待できる距離のことである。
最大離陸重量とは、武器や燃料を搭載して離陸できる最大の重量で、これを上回る重量では離陸することができない。
航空自衛隊は単座型のF-2Aと複座型のF-2B を92 機保有している。
機体は F-16 をベースとしているが、複合軽量素材の使用、大出力高性能エンジン、主翼形状の違いなど、F-16 とは異なる機体となっている。
デジタル飛行システムを採用しており、機体の姿勢が崩れた場合でも、自動的に飛行姿勢を修正して墜落のリスクを軽減してくれるほか、着陸時にはドラッグシュートと呼ばれるパラシュートが開き、減速をサポートしてくれる。
搭載兵器はMk82 500 ポンド爆弾、赤外線誘導爆弾、ASM-1、2対艦ミサイル、ロケット弾ポッド、AAM-3 対空ミサイルなどである。
対艦ミサイルASM-1 の性能はアメリカのハープーンやフランスのエグゾセといった実績のあるミサイルと同等で、実際に50km の発射実験で成功している。
その後、飛躍的に性能が向上した ASM-2 が日本で開発された。
ASM-1の誘導方式がレーダーであるのに対し、ASM-2 は赤外線誘導になったため、チャフと呼ばれるレーダーを反射する「おとり」を発射されても、誘引されることなく、エンジンなどの熱源に向かって飛翔していく。
また、F-16 と同じ位置に512発の 20mmバルカン砲を1門装備している。
周囲を海に囲まれた日本周辺での戦闘を想定し、対艦ミサイル4発を搭載できるように設計されている。
さらに誘導爆弾 JDAM も装備できることから、対地攻撃で敵施設などを正確に破壊することもできる。
航続距離を伸ばすために、燃料タンクが追加でき、胴体下には300 ガロン(約1136L)、主翼下には600 ガロン(約2271L)の増槽を携行できる。
レーダーは三菱電機が開発したフェーズドアレイレーダーAPG-1を装備している。
従来の回転式レーダーからフェーズドアレイレーダーになったことで、ビームの方向が電子制御されるため、広範囲を高速でサーチすることができる。
その能力は同時処理目標10以上、艦艇などの大型目標であれば100 マイル以上(約 200km)、戦闘機などの小型目標であれば、35 マイル(約65km)程度まで探知可能である。
コックピットはヘッドアップディスプレイのほか、各計器類には、兵装やシステム状況、地上のマップなどが表示される。
操縦はF-16と同様のサイドスティック型を採用している。
Fー2は当初1機当り 80 億円という価格であったが、開発の遅れなどから132億円まで高騰している。
また、機体のサイズが小さいため、F-15 のように近代化のアップデートが難しく、ミサイル搭載数にも限界があるため、計画は早期に打ち切りとなった。
F-2は防衛において、迫り来る敵機を攻撃しつつ、海上への対艦攻撃、また、上陸した敵勢力に対し対地爆撃も行うことができるマルチファイターである。
対空戦無敗の最強戦闘機F-15
F-15は1972年、アメリカのマクドネル・ダグラス社(現ボーイング社)により開発され、当時「世界最強の戦機」として誇示された。
湾岸戦争でも多国籍軍により多くのF-15 が投入され、イラク機の撃墜や空爆を行った。
高性能な機体だけに1機当り150億円という価格で、導入した国はアメリカ、日本、サウジアラビア、イスラエルの4カ国ほどしかないが、全世界で1233機が生産されている。
日本では専守防衛の観点から、攻撃してくる敵に対し、対応できるだけの能力を持っていることを基準に探用が決定した。
航空自隊ではF-15の運用を1981年から開始し、213 機を保有している。F-15 のスペックはこのようになっている。
・全長:19.4m全幅:13m全高:5.6m
・最大速力:マッハ2.5
・戦行動半径:1,900km
・航続距離:4,600km
・最大離陸重量:31,000kg20mm 機関砲×1
・空対空レーダーミサイル×4
・空対空赤外線ミサイル×4
・価格:150億円
大出力のターボファンエンジンを2基搭載しており、機体はチタン合金や炭素素材が使用され軽量化が図られている。
そのため、速力が速く、作戦空域まで迅速に進出することができる。我が国では領空に近づく不明航空機を探知した場合、F-15 によるスクランブル(緊急発進)が行われている。
2020年度は、中国やロシアの爆撃機などが日本領空に近接する事象が多発し、スクランブルの回数が725回にも及んでいる。
F-15 が登場してから40年以上、対空戦、いわゆるドッグファイトにおいては無数の記録を持っている。
情報共有システムである LINK16を搭載しており、早期警戒機 E-2D、E-767やイージス艦などが探知した目標をデータリンク経由で共有することができるため、レーダー探知外の広範囲の情報も把握できる。
レーダーはAPG-63 を搭載しており、探知距離の延長、妨害電波への対処能力などが強化されている。
そのため、射程の長い対空ミサイルの搭載も可能となり、妨害をかけられた環境下でも戦闘を継続できる。
航空自衛隊では、F-15の近代化改修を2回に分けて行っており、電子妨害装置やレーダーのアップデート、ミサイル搭載数の増加などさらに戦闘力が向上する。
また、国産の対空ミサイル AAM-5 が追加される。
AAM-5の最大の特徴はパイロットのヘルメットに戦術状況が表示されるHMD が採用されたことである。
パイロットは頭を動かして目標を追うことで、どの方向に対しても AAM-5 を発射することが可能となり、対空戦闘の優位性を確保できる。
そして、周辺国戦闘機のステルス化に対処するために、レーダーで探知できない目標でも赤外線追尾が可能なIRSTや夜間暗視装置NVGの搭載も行われる。
201機中、近代化改修されるのは、単座のF-15Jが67 機、複座のF-15DJ が36 機の計 103機が対象となる。
近代化対象でない F-15は 10機程度が偵察用に改修される予定である。
最新ステルス戦闘機F-35A
F-4 の後継機となった第五世代ステルス戦闘機 F-35A は航空自衛隊に42 機の配備が決定している。ちなみにアメリカ空軍の配備計画は1763 機と圧倒的な数である。
航空自衛隊配備に伴い、アメリカのルーク空軍基地でパイロットの操縦訓練が行われたが、チームのニックネームは忍者の複数形で「ニンジャス」と名づけられた。
F-35は第5世代戦闘機としてF-22 と同じくステルス性の高い機体で9カ国により協同開発された。
(アメリカ、イギリス、イタリア、オランダ、トルコ、オーストラリア、ノルウェー、デンマーク、カナダ)
現在は、日本とイタリアの2カ国のみに自国生産が許可されており、三菱重工業「小牧南工場」で機体の組み立てが行われている。
F-35 は通常離発着型のA、短距離離陸・垂直着陸型のB、空母艦載型の C といった3タイプに分かれる。
日本は航空自衛隊に A型が配備され、護衛艦いずもが空母化された後にB型が搭載される。
F-35 のスペックはこのようになっている。
・全長:15.67m 全幅:10.67m 全高:439m
・重量:13,290kg
・最大離陸重量:31,752kg
・最大速力マッハ:1.6
・戦闘行動半径:590マイル(約1090km)
・航続距離:350マイル(約2200km)
・価格:約47~97億円
F-35 は敵のレーダー反射を抑えるために、エンジン排気口や胴体内の兵器、各センサーやアンテナ類の一体化など、露出部をなるべく少なくし、つなぎ目をなくす設計が施されている。
機体の特徴的な模様もステルス性を追求した結果であり、これは機体の溶接部などの段差や溝にレーダー波吸収素材を使用したシールを貼ることで、レーダー反射の要因を完全に排除している。
F-35A の主翼はF-15 よりも大きくなっているため、搭載燃料は予備タンクなしで8278kgを搭載でき、1000km を超える戦闘行動半径が得られる。
通常はステルス性を重視するために、ウエポンベイと呼ばれる胴体内にミサイルや爆弾が格納されている。
ミッションによりステルス性を犠牲にして、胴体下に5箇所、主翼下6箇所に増槽(燃料タンク)やミサイルを追加装備することもでき、通常の4倍の兵装を搭載できるようになる。
レーダーはF-22のAPG-77をF-35 用に改良したフェーズドアレイレーダーAPG-81 対空や対地モードに切り替えられる。
F-35Aの機体に合わせるため小型化された影響で、最大探知距離は約90 マイル(約 170km) とAPG-77よりも短くなっている。
しかし、高度なネットワークとセンサーで従来の偵察機の5倍の監視能力を備えており、6機のF-35Aで従来の戦闘機 14 機分の戦闘力に匹敵する。
兵装はF-35A型のみに固定装備された 25mm機関砲のほか、対空ミサイル、対艦ミサイル、巡航ミサイル、JDAM 誘導爆弾など各種兵器を装備できる。
2019年9月、航空自衛隊三沢基のF-35Aが訓練中に三陸沖に墜落した。捜索の結果、機体の一部が海上から発見され、パイロットは見つかっていないが、残念ながら死亡と判定された。
原因はパイロットの「空間識失調」による平衡感覚を失う現象で、経験豊富なパイロットでも発生することがあるという。
自分の感覚ではなく、計器を信じて操縦するしかなく、非常に恐ろしい現象である。
航空自衛隊の主力戦闘機まとめ
かつては冷戦の影響に伴い、スクランブル発進は北海道や東北の部隊が中心であった。
しかし、現在は中国機が頻繁に往来し、沖縄の第9航空団では、ほぼ毎日のように F-15 がスクランブル対応に追われている。
そのため、那覇基地に配備されるF-15の数は40機にも及ぶ。
敵機への対応はなるべく国土から離れた位置で行われる。
それは、万が一ドッグファイトが始まって、墜落した場合、国民への被害を防ぐためである。
スクランブルが下令された場合、昼夜関係なく数分以内に離陸して不明機への対応を行う必要がある。
「対領空侵犯措置」は戦後から現在に至るまで続いており、これからも航空自衛隊は日本の空と国民を守り続けていくだろう。
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