航空自衛隊「KC-767」空中給油の仕組み!接触事故で墜落
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ボーイング社が開発した空中給油・輸送機KC-767。

ベストセラー旅客機である「767」をベースに開発され、現在日本とイタリアの2ヶ国のみで運用されており、航空自衛隊、第404(よんまるよん)飛行隊では4機を保有している。

空中給油機はそれ専用の航空機として、いちから開発されることはあまりなく、旅客機や輸送機を改造するのが一般的だ。

複数の戦闘機に燃料補給するため、中身はほとんど燃料タンクと思われがちであるが、機内は通常の一般席と貨物室である。

燃料は主翼の中のタンクに収められている。

今回は、空中給油機KC-767の給油の仕組みと、戦闘機への空中給油が航続距離を延ばすだけではない意外な理由、また接触事故について解説していこう。

しまかぜ

KC-767が空中給油を実際に行う動画も最後にあるので見てね!

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給油機KC-767とはどのような航空機か?

KC-767

KC-767は世界最先端の空中給油機で物資の輸送、及び人員の輸送を可能とし、空中で戦闘機群に燃料補給を行うことができる航空機だ。

スペックはこのようになっている。

KC-767のスペック

・全長:48.51m  全幅:47.57m  全高:15.9m
・乗員:4名~8名(機長、副機長、給油作業員)
・最高速度: 時速1000km
・航続距離 約7.200㎞(貨物30トン)
・給油量  毎分約4100L
・搭載量 人員200名 貨物パレット6枚 小型トラック4台

速力は最大で約1000キロで、人員は4名~8名で運用できることから、少ない人数で任務を行える航空機として活動している。

航続距離は、貨物を30トン乗せた状態なら約7200キロで、貨物を搭載しない場合は10000キロ以上の飛行が可能である。

この輸送能力は航空自衛隊の戦術輸送機では最大である。

肝心の空中給油の能力であるが、当時、自衛隊は一度の空中給油で8機の戦闘機群への空中給油を可能とする事を前提に、アメリカに条件付きで提示した。

この条件を飲む形でKC-767は開発され、現在においては一つのノズルで8機の戦闘機群に給油を可能としている。

KC-767空中給油

機体の後部に配置された「ブーム」と呼ばれる給油パイプをオペレーターが目視で操作し、給油を受ける航空機の給油口にこれを差し込む「フライング・ブーム」と呼ばれる方式で空中給油を行う。

KC-767は5台のカメラを使いブームの映像を見ながら、オペレーターが操作することで、6mのブームの位置を確認しながら給油を行う仕組みだ。

金属製のパイプのため気流の影響を受けにくく、毎分1000ガロン(約4100L)もの燃料を送油することができる。

また、柔軟な運用を可能にするため、空中給油機は給油用と自機用の燃料を同一のタンクに搭載するように作られていることが多い。

航空自衛隊は4機のみの保有であるが、アメリカ空軍はKC-135を700機以上保有していた。

では、なぜわざわざ危険を冒してまでも空中で給油をする必要があるのだろうか?

それには、戦闘機の航続距離を伸ばす以外の重要な理由があるのだ。

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空中給油のメリットやデメリット

空中給油KC-767

戦闘機など軍用機の能力は、空中給油機の支援がなければ、その能力を十分に発揮することができない。

空給油のメリットであるが、航空機の航続距離を延ばすだけと思われがちだが、実はそれ以外にもっと重要なことがある。

それが、最大離陸重量だ。

最大離陸重量とは、戦闘機が滑走路から離陸することができる、総重量のことである。

最大離陸重量を上回ると、離陸ができないのである。

いったん離陸してしまえば、最大離陸重量を上回っても飛行することは可能だ。

つまり、武器をフル装備にする代わりに、燃料を減らした状態で離陸し、空中で給油することで、燃料も装備もフル状態になるため、戦闘機の持つ能力を100%発揮することが可能になるだ。

これが、危険を冒してまで空中給油を行う理由の1つでもある。

また、洋上の空母で燃料給油を行う場合、空母側に大量に燃料を積載して自由に燃料補給をできるのがメリットであるが、問題は敵に空母の位置が暴露する恐れがある。

そのため、高高度で燃料を補給する空中給油のほうがレーダーにも捉えられにくいというメリットがある。

作戦飛行で探知されるかは敵のレーダー性能が左右するため、その能力が高ければ高高度でも探知することが可能であるが、性能が劣っていた場合、存在を知られることなく燃料補給が可能となる。

ただ、空中給油で補給できるのは燃料のみで弾薬は補給できないため、弾薬を打ち尽くしている場合は基地や空母に帰る必要が出てくる。

あくまで燃料のみを空中で補給することしかできないため、空母のほうが安全性が高く、弾薬の補充も可能というメリットもある。

空中給油は航空機同士の距離がかなり近接するため危険と隣り合わせで、接触事故による事故事例もあり、危険な給油法であることは間違いない。

過去に接触事故で墜落した事例もある。

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空中給油中で起きた接触事故

航空機同士が空中でかなり近い距離まで近接し、同じ高度、速力を維持して飛行するにはかなり高度な技術を要するのは言うまでもない。

気流の状況も常に一定とは限らず、一歩間違えれば接触事故が起こる危険と隣り合わせの任務である。

2018年12月6日の午前1時40分ごろ、高知県室戸岬沖の太平洋上において、アメリカ海兵隊の戦闘機F/A-18D「ホーネット」、同じくアメリカ海兵隊の空中給油機KC-130J「スーパーハーキュリーズ」の2機が墜落、両機の乗員7名が行方不明になる事故が発生した。

これを受けて米軍および自衛隊による捜索救難が行われ、同日正午にF/A-18Dの乗員2名を自衛隊機が救助、残念ながら1名は殉職。

KC-130Jの乗員5名の捜索が続けられた。

事故の原因は調査中であり、明らかにされていないため断定することはできないが、戦闘機と空中給油機の2機が墜落した原因は夜間空中給油訓練において、不意に接触したのではないかと見られている。

空中給油が受けられる航空機は?

航空自衛隊の主力戦闘機であるF-2やF-15、F-35は空中給油を受けることが可能である。

今年退役となる、F-4EJ改においては、導入当時の政治的な理由から空中給油能力が除外されている。

F-15との空中給油では、高度7000m、速度750キロをお互いに維持しながら行う。

他にもE-767早期警戒管制機のような哨戒機にも燃料給油を可能としており、継続距離を延ばすことが可能である。

早期警戒機は空中で広範囲にわたり敵を探知し、そのデータを戦闘機や艦艇に送信する役割も果たす。

いうなれば陸上に設置されたレーダー施設が空を飛んでいるようなものであり、戦闘機が探知できない目標を早期に探知して、そのデータを共有する。

そのため任務上、空中に滞在する時間が長く、空中給油は重要になってくる。

空中給油機KC-767 まとめ

2001年に採用が決定されたKC-767は別名タンカーとも呼ばれ、まさに空中のガソリンスタンドである。

戦闘機に比べると、空中給油機は地味な存在であるが、空中給油機がなければ、日本の制空権確保と戦闘の運命を左右するといっても過言ではない。

戦闘機は離陸して作戦エリアに進出して交戦したのち、帰りの分の燃料も残しておく必要がある。

そのため、交戦で十分に燃料が使えない場合、戦況が不利になる恐れもある。

KC-767は戦闘機の行動半径を大幅にアップすることができるとともに、ミ戦闘機のミサイルや爆弾をフル装備で戦闘に立ち向かわせることができる重要な航空機である。

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