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「弾薬があれば犠牲は5分の1で済んだ。あんた方がきれいな執務室で肥え太るために彼らは死んだのだ」と。
ロシアの民間軍事会社、ワグネルの創設者、エブゲニー・プリゴジンは軍を激しく非難した。
現在ロシア軍は、多くの兵士を失っており、その補充として訓練もまともに受けていない新兵を動員しているのが現状だ。
初期の戦闘において、多くの指揮官や下士官を失い指揮統制能力が低下し、弾薬も不足している現在のロシア軍は各地で苦戦を強いられている。
そんな中において、唯一ウクライナ軍と戦いを繰り広げている組織がロシアには存在している。
それが「民間軍事会社ワグネル」である。
彼らは、通常の軍隊ではなく、お金で雇われて契約で働く兵隊、つまり「傭兵」である。
現在バフムトでは、ウクライナ軍と、このワグネルとの戦いが熾烈を極めており、一進一退の攻防が続けられている。
今回は、そのワグネルの実態について民間軍事会社とはどのような組織なのか、また受刑者を兵士として前線に立たせることについて解説していこう。
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ロシアの民間軍事会社「ワグネル」とは?
ワグネルは、ロシア政府や、他の国の政府から契約を受けて軍事作戦を行う組織であり、ロシアのサンクトぺテルブルグに、その本部が置かれている。
一般の軍隊との主な違いは、ワグネルが公的な軍事組織ではなく、準軍事組織、つまり、国に所属しない軍隊であるというところである。
つまり民間企業のような組織であり、彼らは公式にはロシア政府からの指示を受けていないため、政府は彼らの行動について責任を持つ必要がないのである。
準軍事組織であるワグネルは、政府が公式に関与したくない軍事作戦において役立つ存在であり、彼らは「プーチンの事実上の私兵」とも呼ばれ、ロシアの民間軍事会社の先駆けとも言われている。
今回のウクライナ戦争でも、重要な作戦に投入されている。
ワグネルは、プーチンと親密な関係を持つ実業家のエフゲニーフリゴジンが所有および資金提供していると言われている。
戦歴としては、ウクライナのドンバス戦争において、ドネツクおよびルガンスク人民共和国分離主義勢力を支援したのを始めとし、その後、シリア、リビア、中央アフリカ、マリなど世界中のさまざまな紛争に参加している。
ワグネルはロシアの国益のために活動することが多く、ロシア国防省から軍事装備を受領し、訓練のためにロシア国防省の施設を使用している。
ワグネルは、ロシア政府が介入した紛争において、犠牲者数や財政的コストを国民から隠匿するために利用されていると推測されている。
しかし今回の戦争で、ワグネルの被害も増えてきており、ロシア国内において戦闘員が不足していることから、囚人からの募集まで行っているというのが現状だ。
2022年12月、米国防総省によると現在ワグネルは、ウクライナに1万人の契約戦闘員と4万人の囚人を含む5万人の戦闘員を投入しているとの主張をした。
おとりに使われた囚人ワグネル
ロシアの受刑者支援団体の調査によると、約3,000人にもおよぶワグネルに所属した囚人兵が、わずか2週間程度の訓練を受けただけで前線に投入され、ほぼ全員が戦死した報告されている。
彼らは前線に派遣されても、一般の兵士とは違う扱いを受けている。
なんと彼らは、おとりの役を背負わされているのである。
ウクライナ軍がいると思われる地域において攻撃をする際は、囚人兵をまず先に進ませる。
そして敵に先に発砲させることにより相手の位置を特定し、後方にいる正規の部隊が、そこに対して攻撃を行うという極めて原始的な戦いを行っているのだ。
そして、そこから逃げ出そうとした囚人兵は、後方のロシア軍からも発砲され逃げることもできなくなる。
つまり前からも後ろからも銃弾が飛んでくるという地獄のような状況で戦っているのである。
人員が不足しているロシア軍は、兵士の募集をしきりに行っているが、徴兵を逃れるために国外に脱出する国民が増えてきたため、現在においては、外国への渡航は禁止されている。
また募集事務所に対する放火も行われている。
囚人に対する募集に関しては、月20万ルーブル(約36万円)の報酬で半年間戦闘に参加すれば、罪を逃れることができるという契約を行っている。
しかし、これら囚人の募集も最近では難しくなってきており、ワグネルは、兵士の募集対象をロシアの高校生まで広げている。
このように正規の徴兵ではなくワグネルのような民間軍事会社で兵隊を募集する理由としては、もし兵士が戦争犯罪を行った場合でも国が責任を問われることは無く、責任の所在を曖昧にできる、また民間軍事会社であれば、犠牲を公式に発表する必要もなくロシア国内の世論対策としても有効という利点もある。
さらには、派遣した国からは、なんらかの見返りが期待できるということが指摘されている。
「弾薬不足」による軍への厳しい非難
無謀な突進攻撃戦術でウクライナの侵略を支えてきたロシアの民間軍事会社、ワグネルの創設者、エブゲニー・プリゴジンは、「故意に弾薬を提供しない」として軍を厳しく非難し、前線からの撤退を宣言した。
「ショイグ!ゲラシモフ!軍の弾薬はどこだ」
投稿された映像では、プリゴジンは国防相と参謀総長を名指しして憤りを表した。
その後、弾薬を供給される目処が立ったということでプリゴジンは、再び攻撃を再開した。
一説には、これが相手を油断させるための作戦ではないかとの憶測が流れた。
しかし、その後、実際に供給された弾薬は、要求量のわずか10%であったことから、プリゴジンは再び政府を批判する声を上げ、さらにウクライナ軍がバフムト南部における反転攻勢を成功させたという事実も公表した。
ワグネルは、政府との対立を強めており、ロシア政府は「陣地から離脱した兵士は国家反逆罪に問われる」という声明を行なった。
ワグネルとロシア政府との溝は深まる一方だ。
ロシアが現在、弾薬不足に陥っている原因の一つとして、ウクライナ軍が使用している高機動ロケット砲ミサイル「ハイマース」の存在が考えられる。
このミサイルは、精密誘導が可能なため、前線の近くにあるロシア軍の弾薬庫は狙い撃ちされ、その多くが破壊されている。
そのためロシア軍は、ハイマースの射程距離より遠くに弾薬庫を移す必要があり、前線への弾薬輸送に時間がかかっているものと思われる。
現在ウクライナ軍はアメリカより18台のハイマースの供与を受けており、今後は20台が追加される予定である。
そして長らくウクライナ軍が公表を控えていたが、実はウクライナ軍には、このハイマースと同等の性能を持つ多連装ロケット砲をすでに開発しており、去年の5月より実戦に投入している。
それがVilkha(ヴィルカ)だ。
Vilkhaは4人乗りで最大で100kmの速度が出せる8輪式のトラックでハイマースの6連式の倍にもなる12連式のロケットランチャーを搭載し、45秒間で全弾を発射することが可能だ。
Vilkhaには3種類のロケット弾があり、それぞれ最大射程が70km、130km、そして現在開発中のものは141kmのものがあり、ハイマースの最大射程80~90kmを上回っている。
公表されている平均誤差半径は10~30mであることから、このミサイルはハイマースの射程外にある弾薬庫の攻撃に大きな効果を発揮していると思われ、これまでに約100台が生産されている。
テロ組織に指定されたワグネル
現在、ウクライナ軍は、西側各国から供与された戦車230台と装甲車1550台で、反撃作戦を計画中である。
一方、英政府はワグネルが政府の直接の支援や認可なしに行動し、多くの国での紛争に関与していることから「テロ組織」に指定する方針だと報じた。
指定されるとワグネルはイスラム国やアルカイダと同等の扱いになることから、ロシアへにとっては大きな打撃となりそうだ。
ロシア軍の攻勢は、ほぼ不可能になりつつあることから、今後は占領地の防衛に移行していくものと思われる。
守勢に立たされたワグネルとロシア軍が、今後どのような戦闘を行うのか、動向が注目される。
次の動画では、ロシア兵を一瞬にして襲う「死の光線」について解説しよう。
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