ウクライナのドローン攻撃。提供されたスイッチブレードとフェニックスゴーストの戦果

「戦争映画」は、ただ国同士が争う映画ではない。

迫力ある戦闘シーンだけでなく、涙なしには語れない数々の人間ドラマがある。

数ある戦争映画の中でも、今回は実話を元にしたエピソードのみを厳選して紹介する。

一度は見ておきたい実話の戦争映画5選!

ロシア軍とウクライナ軍の激しい戦いが続いている。

ここまで長期化に及んだのは、ウクライナ軍の激しい抵抗があったからだ。

ウクライナ軍の抵抗に力を持たせた要因として、確実に言えることは軍事ドローンの活躍である。

当初、ロシアによって、あっけなく制空権を奪われるであろうと予想されていたウクライナだが、それを食い止めたのはウクライナ軍が有効かつ速やかに「軍事ドローン」を使用したからである。

小国が大国に攻め入られたとき、そして制空権を奪われないためにはどのような軍事ドローンの運用方法が必要なのか。

この戦争から学ぶ点は多い。

さらに、この戦争は新しい軍事ビジネスとして「軍事ドローン」の開発が求められる可能性が高いことも示唆している。

今回は、ウクライナがアメリカから提供された自爆型軍事ドローンのスイッチブレードとフェニックスゴーストについて、またロシアの戦車部隊を撃破したバイラクタルTB2について解説していこう。

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自爆型カミカゼドローン スイッチブレードの威力

2022年3月、アメリカは自爆型軍事ドローン「スイッチブレード」をウクライナに提供した。

「スイッチブレード」はアメリカの会社エアロバイトメント社の攻撃用ドローンで、300型と600型の2種類のタイプが存在する。

「スイッチブレード」はもともと航空支援などが受けられない時などに素早く対処するための兵器で兵士が背負って運べるほどコンパクトに収納できる。

スイッチブレード300は飛行範囲が10キロメートル、600は90キロメートルと拡大されておりアップグレード版である。

どちらもオペレーターの指示によって、いつでもミッションの遂行と停止が可能だ。

遠隔操作・自立飛行が可能であり、搭載されたカメラにより偵察映像を確認できるほか、炸薬弾頭を備えているので兵士はもちろん、車両や艦艇を破壊することも可能という、恐るべき軍事ドローンである。

ウクライナ軍はこのドローンの操作動画を公開し、タブレット端末でロシア軍戦車を破壊することに成功している。

軍事ドローンは上空から地上に特攻攻撃を行うことも可能だ。

そのためロシア軍は死亡者よりも負傷者が続出し、稼働やコストを大きく消耗することとなった。

しかも「スイッチブレード」は自爆だけでなく、搭載した爆弾を地上に落下させることもできロシア軍は多くの車列、破壊のダメージを受けた。

兵士が「スイッチブレード」の組立や操作に慣れてしまえば、わずか数分で目標に甚大な被害を与えることができるのだ。

300型は特に「空飛ぶショットガン」と呼ばれているほど扱いやすく、コストも低い。

現地では自爆を企図して突っ込んでくる「スイッチブレード」を「カミカゼドローン」と呼ぶことも多い。

この単語を、ウクライナ国内ニュースで耳にしない日はないほどだ。

ウクライナ側の発表では、この「スイッチブレード」によりロシア連邦保安庁の要員の攻撃に成功、ロシア領内の石油貯蔵施設や兵器庫といったさまざまな施設の攻撃にも成功している。

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ウクライナのために開発されたフェニックスゴーストの性能

2022年4月、アメリカはさらに追加支援として軍事ドローン「フェニックスゴースト」をウクライナに提供した。

この「フェニックスゴースト」、実は突如、ウクライナへの提供が決定した新型軍事ドローンであるため情報も全て非公開であり世界の注目を集めた。

当初、その性能は「スイッチブレード」と同様と想定されていた。

ところが「フェニックスゴースト」は滞空時間が「スイッチブレード」の300型が15分、600型が40分であるのに対し6時間もの滞空時間が可能である。

自力での垂直離陸が可能であるため、発進システムが不要という脅威のシステムを搭載している軍事ドローンである。

滞空時間の長さは、近くのロシア軍の戦車や車両ではなく、遠距離にある多連装ロケットなどの兵器破壊を可能としたのである。

もともと「使い捨て無人機」として「フェニックスゴースト」は製造された軍事ドローンで機体には赤外線センサーが搭載されているため、夜間飛行も可能である。

後日、「フェニックスゴースト」はウクライナ軍のロシア軍攻撃のための要望を反映させた上で製造された軍事ドローンであることも判明した。

ウクライナ軍はこの「フェニックスゴースト」を利用し、ドンバスの戦闘に備えた。

遠隔操作が可能な「フェニックスゴースト」は、ウクライナ領内にいながらにしてロシア領への攻撃ができるため、ウクライナ軍は自軍の兵を傷つけることなく、ロシアの戦力を削ることが可能となった。

コストパフォーマンスも良く、軍事ドローン1機でロシア兵3名を乗せた戦車1機を破壊することができる。

ロシア軍にとっては、大きなコストをかけて製造した戦車をわずか1機のドローンで破壊されるのだから、たまったものではない。

ウクライナ軍の「フェニックスゴースト」の操縦士への精神被害が少ない点も、非常に注目されたポイントだ。

ウクライナ軍はまさに無傷でロシア軍を破壊する手段を手に入れたと言えるだろう。

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バイラクタルTB2によるミサイル攻撃

「バイラクタルTB2」は、トルコ製の軍事ドローンで、2022年3月にウクライナに投入され、現在はウクライナの大きな戦力となっている。

製造はトルコの軍事企業・バイカル社で軍事ドローン開発の大手企業である。

「バイラクタルTB2」はすでに2020年のナゴルノカラバフの軍事衝突で投入された実績を持つ。

この時、バイラクタルを導入したアゼルバイジャンはこの戦いを有利に進めることができた。

この争いをきっかけに、あらゆる国が「バイラクタルTB2」を購入したことも事実である。

「バイラクタルTB2」は独特な形状をしており、レーダーや視認のしにくい無人機だ。

さらに長距離ミサイルを高精度で発射する機能を搭載しており、ロシア軍の短射程対空対ミサイルや対空機関砲の射程圏外から「バイラクタルTB2」はミサイルを撃つことができる。

「バイラクタルTB2」は2019年からウクライナ軍が使用していたため操作を習得する時間を必要とせず、むしろ慣れている軍事兵器であったことは、ウクライナ軍にとって吉報だっただろう。

「バイラクタルTB2」が挙げた戦果は大きい。

ロシア軍の装甲車の破壊、ロシア軍ヘリコプターの爆破、ロシア海軍の巡視船2隻の爆破などは、すべてこの軍事ドローンの貢献による勝利である。

ロシア軍の爆弾貯蔵庫の破壊に成功したことも報道されており、ウクライナ軍の「バイラクタルTB2」に対する機体は高まるばかりだ。

ロシア軍も2022年7月に入ってからは、「バイラクタルTB2」専用レーダーを戦車に搭載するなどの対策を行っており、何度か「バイラクタルTB2」は撃墜されている。

ところが2022年8月には、ウクライナにこの「バイラクタルTB2」の製造工場ができるとトルコ側の発表があった。

ロシアの大統領府報道官はこれに対し、「必ず破壊してやる」と宣告。

つまり、バイラクタルTB2の脅威をロシアが認めていることを露呈させることになったのだ。

ウクライナの戦局を変えた軍事ドローン

2022年2月にロシア軍がウクライナへの軍事侵攻を開始した際、ロシア軍は早い段階で勝利を予想していたことは疑いようがない。

ロシア軍は優れた航空機で制空権を奪取できると予想していた。

ところが実際は、すでにその制空権システムは旧式のものとなっており、より最先端のシステムを搭載するウクライナ軍のドローン攻撃に遅れを取ったのである。

当初、ウクライナの首都であるキエフ奪取を目的と掲げていたプーチン大統領の目論見は、あえなく失敗した。

軍事ドローンは小国が大国の脅威に備えるために必須の軍事兵器であることが、世界中に証明されたことになる。

現在はロシア軍の対ドローン対策が進行し、以前ほどの効果はなくなったと見る専門家も多い。

しかし8月にはウクライナに「バイラクタルTB2」の工場ができることがわかっている。

今後もドローン戦争は続くであろう。

「戦争映画」は、ただ国同士が争う映画ではない。

迫力ある戦闘シーンだけでなく、涙なしには語れない数々の人間ドラマがある。

数ある戦争映画の中でも、今回は実話を元にしたエピソードのみを厳選して紹介する。

一度は見ておきたい実話の戦争映画5選!