【米軍の無謀な夢】世界初のステルスヘリコプターの開発を断念した理由
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数あるヘリコプターの中で、開発段階まで進んだが生産が中止になった偵察兼戦闘ヘリコプターが存在したのをご存じであろうか?

今から約30年ほど前、1996年の1月4日のことである。

アメリカの地に、ステルス技術を搭載したヘリコプター、RAH-66「コマンチ」という名の航空機が、静かにその姿を現した。

この機体は、その名の通り、アメリカ陸軍にとって「無音の戦士」を意味する存在であった。

その名はステルスヘリコプターRAH-66である。

今回は、世界初のステルスヘリコプターRAH-66の性能と最強とされる攻撃ヘリアパッチとの比較について解説していこう。

しまかぜ

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ステルスヘリコプターRAH-66コマンチの開発計画

コマンチとも呼ばれ、アメリカ陸軍が開発していたと言われる偵察と攻撃を兼ねたヘリコプターである。

アメリカ合衆国のボーリング・ヘリコプターズとシコルスキーとの2社によって開発されていた。

LHX計画という、輸送・観測・攻撃の3種を持ち合わせたヘリコプターを開発する計画に基づいて進められていた。

敵からレーダーやセンサーで発見されにくい能力「ステルス性能」が初めて備えられたヘリコプターとしても知られており、観測ヘリコプターOH-58Dカイオワの後続となる機体として注目され、関係者から期待が高まっていた。

1988年に開発が始まったにも関わらず、2004年に生産がストップしてしまった悲しき機体で、幻のヘリコプターと呼ばれることもある。

生産がストップしてしまった理由として、開発に必要な費用が高額でつぎ込まれていたことや無人機の出現により有人機の不必要、重量増加と性能低下などのことが挙げられている。

また、開発されていた当時は、レーダーシステムが発達していたということもあって超低空飛行をするステルス性を備えることはいかがなものなのか、懐疑的になる者もいた。

加えて、ステルス性能を備えたにも関わらずうまく機能せず、アンテナの不調や飛行の不安定、尾翼の構造の不安定など試験段階で問題となる点がたくさん出てきてしまったのである。

その後、開発に時間を掛けていく中、9.11同時多発テロが起き、財政難やアフガン戦争で無人機での情報収集が可能となり、軍もRAH-66の開発にメリットを見出せなくなっていったのである。

こうして、RAH-66は生産がストップしてしまったのだ。

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ステルスヘリコプター驚異のステルス性と墜落した機体

ステルス技術の進化における一つのバロメーター、レーダー断面積(RCS)を見ると、戦闘ヘリ「アパッチ」のRCSの360分の1という数値が出ている。

これは、どれほど「アパッチ」よりもステルス性能に優れているかを示す驚異的なデータだ。

しかし、ステルス性はレーダーだけではなく、他の感知手段からも逃れなければならない。

そのため、コマンチは赤外線や音響に対しても低減される設計がされている。

エンジンの熱やローターの音、これらは敵に位置を知られる要因となるが、それを最小限に抑える技術が施されているのである。

ステルス性能の高いヘリコプターはレーダーに探知されにくい。

ステルス性能が高いほど、敵から発見されて攻撃されることなく、自分から容易に攻撃を仕掛けることが可能だ。

他にも、安全に支援物資を運搬することや情報収集も容易に行えるであろう。

急襲作戦として特殊部隊を輸送する手段としても使用されたことも報道されている。

活躍という輝かしい話ではなくなってしまうかもしれないが、ステルス性のヘリコプターの話で一般人までも知られるような事件がある。

有名なものではウサマ・ビンラディン暗殺作戦での墜落事故が挙げられるだろう。

作戦中にステルス性能を持つ新型2機のヘリコプターのうち1機が墜落したという事件だ。

墜落した原因は、操縦者によるミスだと報告されている。

墜落した米軍の新型ヘリコプターに関する情報を、パキスタンが中国に譲り渡したと、14日付の英タイムズ紙が伝えた。

当時の報道では、無許可で新型ヘリの情報を譲渡することは、アメリカとパキスタンの関係を悪化させるかもしれないなどの意見が見られたわけだが、そういった多くの意見の中に、使用されたステルスヘリコプターはRAH-66なのではないかとステルスヘリコプターが使用された可能性を含んだ意見も見られた。

実際は、ステルス型UH-60ブラックホークヘリコプター2機、でいずれにせよ機体の形状からステルスヘリコプターであることに変わりはないと考えられている。

不幸な事件であったものの、最終的に強襲作戦は成功したのは事実で、ステルスヘリコプターの認知度を少なからず上げたと言える事件かもしれない。

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 アパッチAH-64D戦闘ヘリコプターとの比較

ステルス性に優れた機体ならRAH-66コマンチが上で、武装の度合いならAH-64Dアパッチ・ロングボウが優れている。

AH-64Dはベトナム戦争でも使用されたAH-1の後継機種とも言われる。

最高速度、巡航速度などの起動性や搭載兵器はこのようになっている。

AH-64D アパッチとRAH-66 コマンチは、どちらもアメリカの高度な攻撃ヘリコプターであるが、異なる特徴と能力を持っている。

AH-64Dアパッチのスペック

・最高速度266km
・巡航速度210km
・航続距離490km
・横方向・後進方向ともに最大時速81km
・上昇限度約6400m
・固定武装:M230A1 30mm機関砲×1
・通常武装
AGM-114ヘルファイア 対戦車ミサイル
AIM-92スティンガー 空対空ミサイル
ハイドラ70ロケット弾

RAH-66コマンチのスペック

・最高速度324km
・巡航速度306km
・航続距離485km
・上昇限度4560m
・横方向での最高速度139km
・後進速度時速130km
・固定武装:XM301 3砲身20mm機関砲(装弾数500発)
・内部ウェポンベイ
AGM-114 ヘルファイア空対地
対戦車ミサイル×6
AIM-92 スティンガー空対空ミサイル×12

 

これらの公開記録から、横や後進の最高速度や巡航速度は、RAH-66の方が上だが、航続距離や上昇限度はAH-64Dが上であると見て取れる。

続いて、武装について見ていくと、AH-64Dは機体前部下面に30㎜機関砲を固定武装として装備し、スタブ翼下に70mmロケット弾最大76発、ヘルファイアミサイル最大16発がそれぞれ搭載できる。

欠点として、ステルス性能は備えられておらず、エンジン音が大きいことから、敵に気づかれやすいところが挙げられる。

RAH-66は、エンジン音が低く抑えられている。ステルス性能を備えており、正面からのレーダー反射面積はアパッチよりも360分の1の大きさになることが利点だ。

また、部品点数も極力低くしているため、内部部品のメンテナンスもしやすいという点も挙げられる。

機首の下方部には20mmのガトリング砲、左右のウェポンベイに合計6か所の兵器搭載ステーションが仕込まれている。

対戦車ミサイルヘルファイヤー最大6発、70ミリロケット弾ハイドラ70最大24発、対空ミサイルスティンガー最大12発を搭載することが可能だ。

機外にも兵器搭載ステーションを8カ所取りつけることも可能だが、搭載した際、、ステルス性能が損なわれてしまう。

両機は各々異なる戦術的なニーズに対応するように設計されており、その性能と特徴は任務の要件によるため、搭載されている武装のレベルで言うならアパッチ・ロングボウの方が上と言えるだろう。

ステルスヘリコプターRAH-66コマンチは、生産される機会はなくなってしまったが、このステルスヘリコプターは後のヘリコプターの開発に対する重要な知見を提供してくれたのではないだろうか。

後続となる機体の開発技術に受け継がれるだけではなく、ゲームやアニメなどで登場するほど業界外にも注目された機体でもある。

しかし、ドローンやAIなどの次世代テクノロジーが出てきた中、不調でもあったステルス性を疑問視する、不要論を掲げる人が出てくるのも少なくない。

今後ステルスヘリコプターの開発技術を受け継ぎ、アップデートされたステルス機体が出てくるのかどうかは今後の展開に期待したいところである。

次の動画では、中国が開発した初のステルス戦闘機J-20の実力について解説しよう。

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