世界4か国のフリゲート艦を比較!海自FFM「もがみ型」護衛艦の戦闘力は?
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海上自衛隊に、これまでにない新しいコンセプトの新型護衛艦「FFM」が就役した。

2020年11月、2番艦の「くまの」が三井造船玉野艦船工場で就役し、年明け 2021年3月に1番艦の「もがみ」が三菱重工業長崎造船所で就役した。

FFMとはフリゲートという艦種を表す記号で、DDは汎用護衛艦、DDHは「いずも」などのへリコプター護衛艦、DDGはイージス艦などのミサイル護衛艦をそれぞれ表している。

海自にフリゲートを表す記号が使われるのは、1953年、パトロールフリゲートの「くす型護衛艦」以来である。

予定では今後 22 隻のFFMを建造予定であり、海自ではDDについで隻数の多いタイプとなる。

今回は、海自の新型護衛艦FFM「もがみ型」と、韓国、中国、アメリカのフリゲート艦との比較を解説していこう。

しまかぜ

4か国のフルゲートの特徴や武器を比較した動画も見てね!

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新型護衛艦「もがみ型」のコンセプト

まず、「もがみ型」の見た目であるが、従来の護衛艦とはまったく違った形になっていることに気づく。

これは、ステルス性を向上させるために緻密に計算された船体形状となっており、敵のレーダーによる早期探知を防止するためだ。

マストも従来のように、レーダーやアンテナがむき出しであったタイプから、すべてのセンサーはマストの内部に格納されたステルスマストに変化した。

甲板上の通路や対艦ミサイル、短魚雷発射管、小型ボート、煙突、錨もすべて隔壁内に納められているため、外見はどこに装備されているか分からない。

これらもすべては、徹底したステルス性能を追求しているからであり、敵航空機や艦艇からのレーダー波を反射させないためである。

また、艦番号においては、従来の護衛艦の見慣れた3桁の番号から「もがみ」が1、「くまの」が2と一桁の艦番号となった。

「もがみ型」は従来の汎用護衛艦のDDと比較すると、全体がコンパクト化されている。

排水量は3900トンで、あきづき方やむらさめ型よりも2000トン近くサイズダウンしており、船体のサイズだけでなく、乗員数も半分近く減っているのが特徴だ。

通常DDタイプは 150名前後、イージス艦は 250名前後の乗員であるが FFMは90名となっており、自動化により、かなり少ない人員で運用することが可能となった。

従来までの護衛艦では、航海中の艦橋では操舵員や両舷の見張り員、当直士官などの幹部も合わせる7名前後で当直を行っていたが、「もがみ型」からは3名程度となっており、操舵や見張りもシステムにより商船化されている。

さらに、CICと呼ばれる作戦指揮所にも操縦席があり、カメラが撮影した映像が360°のビデオウォールと呼ばれるモニターに表示され、CIC での操縦が可能となる。

また、ビデオウォールには戦闘に必要なデータが映し出されることで、指揮官が命令や判断ができるようになっている。

ところで、FFMの任務は他の護衛艦とは、すこし異なる点がある。

南西諸島などにおける中国船などの警戒監視をはじめ、有事の際の対空戦、対潜戦、対水上戦に加え、他の護衛艦にはない、機雷戦機能を持っているのが特徴だ。

FFMは水上無人機、水中無人機、無人機雷処理といった3タイプの無人機を搭載しており、機雷発見から爆破処理までをすべてCIC からコントロールして行うことできる。

これにより、一歩間違えれば命を落としかねない危険な機雷処理を無人機で行うことが可能となった。

このように、従来の護衛艦よりも乗員は半分近く減ってはいるものの、多くの任務をこなすことができるのがFFMである。

また、護衛艦として初となるサイドスラスターが装備されているのもFFMならではである。

サイドスラスターとは、船体下部に横向きに装備されたスクリューのことであり、これにより横移動が可能となり、従来の護衛艦が入港できなかった岸壁にも支援船なしで寄港することが可能となる。

ところで、なぜ2番艦の「くまの」が先に就役して、1番艦の「もがみ」が後に就役したかであるが、「もがみ」のエンジンに使用されている、ロールスロイス製の MT30(さんまる)カスタービンの地上試験の際にトラブルが発生し、納入と搭載が遅れたことが原因である。

そのため、先に2番艦の「くまの」が就役し、1番艦の「もがみ」は年明けの2021年3月に遅れて就役したのである。

FFMのエンジンであるが、ガスタービンエンジンが1基、ディーゼルエンジンが2基装備されている。

巡航では燃費のいいディーゼルを使い、作戦で高速を使用する場合はガスターピンを使うことで、燃費効率がよくなるといったメリットがある。

では、お隣の韓国海軍のフリゲートはどうなのだろうか?

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韓国海軍フリゲート「テグ」

韓国海軍もフリゲート艦を保有しており、2018年3月に就役している。

韓国海軍のフリゲート「テグ」はFFX-3という計画のもと、インチョン級フリゲートの改良版として建造され、満載排水量は3650トンであり「もがみ型」とサイズはほぼ変わらない。

兵装については、不明な点が多いが、国産ミサイルのSAM、SSM、SUMを搭載しているもの思われる。

「もがみ型」と同じく、ミサイルは垂直発射装置 VLS が16セル装備されている。

「もがみ型」についても前甲板に 16 セル分の VLS スペースは確保されているものの現在は装備されておらず、改修工事により後付けとなる。

「テグ」は「もがみ型」と比較すると、水面から甲板面の高さが低く、これは韓国近海のみでの運用が想定されており、外洋など海が荒れる海域での作戦を考慮していないためと思われる。

韓国海軍はテグ級フリゲートを今後8隻建造予定であり、現在は2番艦から4番艦までが建造中である。

今後は、FFX-3 計画のもと、さらなる改良が加えられ、イージス艦のような4面のフェーズドアレイレーダーが装備される予定であるが性能は不明である。

ちなみに、タイにも「テグ」と同型艦が輸出されている。

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中国海軍新型フリゲート055型

FFM「くまの」が就役したとき、この話題が中国のネット上で炎上した。

その炎上内容とは「くまの」が中国海軍の 055型駆逐艦のコピーであるというものだった。

つまり、形がそっくりなため、中国の真似をして建造したのではないかと騒がれたのだ。

しかし、ステルス形状を追求すれば、結果、どの国の艦艇も同じような形になるのは当然のことであり、似通ったデザインになるのはいたしかたない。

逆に、中国の戦闘機 J-31 はアメリカ空軍のF-35ラプラーと瓜二つではないだろうか。

中国海軍のフリゲート「ジャンカイII型」は2008年~2019年の間に 30 隻が就役している。また 055 型と呼ばれる新型フリゲートの計画がすでに始まっており、空母「遼寧」(りょうねい)
とともに空母機動部隊として行動できるように、エンジンはガスタービンにより高速化され、出力は152000 馬力であり、日本のこんごう型イージスの 100000 馬力よりも大きなパワーを発揮する。

ミサイルは VLS が前部64セル、後部48セルの合計 112 発を搭載でき、これも日本のイージス艦よりも20発近く多い弾数となる。

さらに大型ヘリコプターZシリーズの運用もできるように全長 180m、満載排水量13000トンと大型化されており、日本の最新イージス艦「まや型」よりも全長やトン数が大きく、もはやフリゲートではなく、巡洋艦といってもいいほどのサイズである。

レーダーもイージスの SPYレーダーのようなフェーズドアレイの「ドラゴンアイ」が4面に装備されており、従来よりも探知距離が60%向上しており、半径600キロ程度まで探知が可能である。

ミサイルも射程 200キロの HHQ-9A や射程 540キロの対艦、対地ミサイル YJ-18、トマホークに類似した射程 1000キロにも及ぶ対地ミサイル CJ-10 なども搭載可能で、どのミサイルも海上自衛隊よりも高い能力を持っている。

055型は中国、大連の造船所で5隻が進水しており、今後 20隻が建造予定で「もがみ型」の建造計画である22隻とほぼ同じ隻数となっている。

さらに改良型の 055A型と呼ばれるタイプでは、新兵器であるレールガンやレーザー砲の搭載も視野に入れており、すでに起工されていると言われている。

アメリカ海軍フリゲート「コンステレーション級」

コンステレーション級は沿海域戦闘艦 LCS 「フリーダム」の後継として計画されている、新型フリゲートである。

就役は2026年予定で、満載排水量は6700トン、垂直発射装置 VLSは32 セルであり「もがみ型」の2倍のミサイル数になる。

ミサイルは最新の対空ミサイル SM-6と従来のSM-2を搭載する予定である。

対艦ミサイルは従来までは8発がスタンダードであったが、コンステレーション級では、16発が搭載される予定で、これは近年、中国が海軍力を増強していることに対する強化であると思われる。

また、イージスシステムを搭載するのではないかとも言われており、レーダーもイージス艦と同様のSPY-6が搭載される予定である。

哨戒ヘリコプターと無人偵察機も1基格納できる能力をもつ。

兵装やシステムを考えると、他の国のフリゲートと比較しても相当な有力クラスであり、イージスシステムが搭載されれば、ミニイージスといっても過言でないほど強力な装備である。●諸

諸外国のフリゲート まとめ

海外のフリゲート艦と比較しても、「もがみ型」はスマートでシャープな印象を受ける。

戦闘機も第5世代からはステルス設計が当たり前となり、世界各国の海軍においても艦艇のステルス化は進化している。

中国では、新型フリゲートの055A 型にレールガンやレーザー砲といった次世代の兵器が搭載されると言われており、近い将来、中国の空母打撃群の艦隊防空、指揮、対艦攻撃の中枢を担うと見られる。

空母「遼寧」に続き2隻目の「山東」も就役しており、沖宮間を通峡する空母艦隊を海上自衛隊が追跡している。

また、尖閣諸島周辺では、中国船舶による不法侵入が日常茶飯事となり、さらに中国海警には武器使用が承認されたことにより、いつ海上保安庁の巡視船や日本の漁船に発砲されても、おかしくない状態にまでエスカレートしている

今後、中国海軍の増強に対して、適切に対処できるだけの防衛力を自衛隊は備えていかなければ、手遅れになってしまう。

憲法の改正も視野にいれ、防衛力と同時に法整備も同時に進めていかなくてはならないのではないだろうか。

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