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上陸作戦を担う米海兵隊になぞらえて「日本版海兵隊」とも言われる水陸機動団。
この特殊部隊の任務は、離島の防衛と奪還を想定し、それに向けた高度な訓練と準備を行うことにある。
今回は、水陸機動団の特殊装備と訓練内容、そして彼らを運搬する水陸両用車AAV7の弱点について解説していこう。
この記事に書かれている内容は
日本防衛の最前線!水陸機動団の秘密
なぜこのような水陸機動団が必要とされたのだろうか?
この疑問の答えは、中国の侵攻に備えることである。
中国の急激な台頭は、南シナ海における領土主張や尖閣諸島周辺での行動の活発化など、明らかな兆候を示している。
これに対応するため、日本はその防衛能力の強化に乗り出したのだ。
しかし、日本の防衛課題は単純なものではない。
日本本土から離れた1200キロメートルに渡る広大な海洋地帯には、200以上の島々が点在しており、その守りは困難を極める。
それらをいかに効果的に守り、必要に応じて奪還するかは、日本の防衛戦略における重要な課題となっている。
水陸機動団の創設は、このような状況に対応するための一歩である。
水陸両用車AAV、最新鋭の輸送機オスプレイなど、上陸部隊を支える装備の導入は米国からの調達によるものだ。
さらに、与那国島などへの基地新設や戦闘機部隊の拡充、中国艦の動きを警戒する潜水艦の数の増加など、日本は南西諸島の防衛力を着実に強化している。
では、具体的にどのような訓練が行われているのだろうか?
水陸機動団の訓練プログラムは、その厳しさと過酷さで知られており、参加するのは素養試験を通過した精鋭の隊員たちだ。
この訓練は、実戦に近い環境下で行われ、隊員たちは極限状態での能力を磨くことが求められる。
訓練の内容は多岐にわたり、山間部での敵を想定した襲撃訓練や、銃を持っての走行訓練などが含まれる。
これらの訓練は、現実の戦闘状況を想定したもので、隊員たちの戦闘技術と体力、精神力を鍛えることを目的としている。
特に注目すべきは、訓練の最終段階で行われる過酷な試練だ。
隊員たちは、1日に1リットルの水しか与えられず、睡眠時間もない状態で約40キロの装備を背負い、移動を強いられる。
この段階は、隊員たちの肉体的および精神的な限界を試すものであり、実戦での極限状態を想定している。
訓練中には予期せぬトラブルも発生する。
例えば、隊員が滑落して一時行方不明になるといった事故も起こり得る。
これは、実戦での突発的な事態に対処するための備えとしても重要な経験となる。
そして、水陸機動団はその作戦上、特殊な装備を保有している。
水陸機動団の特殊装備とヘリボーン作戦
ヘリボーン作戦、それは、ヘリコプターで地上戦闘部隊を空輸して、前線の歩兵隊や部隊を展開する作戦だ。
特にその中心となるヘリキャスティング隊員たちの活動は、まさに現代戦の最先端を行くものだ。
彼らの任務は、輸送艦から飛び立ったヘリコプターから海上へ降下し、その後目的地に上陸するという極めて困難かつ危険なものである。
では、彼らはどのようにしてこの任務を果たしているのだろう?
まず、隊員たちは高度5メートルの上空から海に飛び降りる。
この時の恐怖を克服し、冷静に行動を続ける能力は、レンジャー資格を持つ隊員が多いことからもうかがえる。
彼らの装備は、水陸両用で迅速に行動できるように設計されている。
例えば、戦闘服には運びやすさを考慮したつかみや、服が脱げないようにするための内部ループが備わっている。
隊員たちは主要火器である89式小銃のほか、後方からの火力支援を行うための60ミリ迫撃砲を携行する。
この迫撃砲は、携帯性と迅速な設置を考慮して、分解・組み立てが可能な設計となっている。
さらに、水中での行動では、陸上とは異なる環境に適応するための装備が必要だ。
例えば、進行方向を示す防水・防圧の水中コンパスや、水中で障害物を切断するための特殊なナイフなどがある。
また、救命胴衣の下には、89式小銃の弾倉や救急キットなどが収納された戦闘装着帯が装着されている。
隊員たちは着水後、手に持った戦闘フィンを足に装着し、推進力を高めて進む。
そして上陸後は、海水を排出できる特殊な戦闘靴に履き替える。
これら一連の行動は、敵に気付かれないよう静かに、そして迅速に行われる。
夜間の闇に紛れて行われる任務では、ハンドライトを使った合図や指示が重要な役割を果たす。
このようにヘリキャスティング隊員の任務は、高度な技術と精密な装備、そして隊員たちの勇気と練度の高さが結集された結果である。
そして、彼らの移動に欠かせないのが水陸両用車AAV7である。
水陸両用車AAV7の限界 米海兵隊が強襲揚陸作戦を止めた理由
水陸機動団の存在が話題となる中で、特に注目されるのが水陸両用車「AAV7」の活躍だ。
この車両は、海上から直接上陸し、隊員を運搬しつつ攻撃も可能な高度な能力を持つ。
では、AAV7が具体的にどのような特徴を持ち、どのような課題に直面しているのだろうか?
全幅:3.3m 全長:8.2m 全高:3.3m
重量:約24トン
乗員数:3人+上陸要員(最大)21人
最高速度:約72km/h(地上)、約13km/h(水上)
主要火器:12.7mm重機関銃、40mm自動てき弾銃
AAV7の基本スペックは、全長8.2メートル、全幅3.3メートル、全高3.3メートル、重量約24トンというサイズで、地上では最高速度約72km/h、水上では約13km/hとなっている。
乗員は3人プラス上陸要員21人までが乗車可能で、武装としては12.7mm重機関銃と40mm自動てき弾銃を搭載している。
操縦には大型特殊免許と小型船舶免許(1級)が必要だ。
AAV7の運用シナリオは、沖合に停泊した輸送艦から発進し、敵の射程圏外の安全海域で待機後、一斉に上陸を開始するというものだ。
全車が横一列に並び、隠蔽効果を高めるため発煙機や発煙弾を使用しながら上陸し、上陸後は隊員たちが迅速に車両から下車して戦闘に移る。
しかし、AAV7にはいくつかの課題も指摘されている。
その一つが、水中での速度が遅いこと。
さらに、南西諸島での作戦遂行に必要な環礁を走破する能力に疑問が持たれていることだ。
これらの課題を受け、三菱重工業はAAV7の後継となる水陸両用車「MAV」の開発を進めており、米海兵隊からも関心が示されている。
しかしながら、高速水陸両用車の必要性自体が問われている。
現代の戦場における対戦車兵器の射程や精度の向上、安価なミサイルの普及、精密誘導砲弾や自爆型ドローンの登場など、これらの要因により、従来のような強襲揚陸作戦の有効性が低下しているとの指摘もある。
実際に米海兵隊は、朝鮮戦争以来、強襲揚陸作戦を行っていない。
現代の先進国の軍隊では、大規模な戦死者を出す「ノルマンディー上陸作戦」や「硫黄島(いおうとう)上陸作戦」のような戦術が許容されにくい状況にある。
さらに、現代の上陸作戦では、敵前強襲上陸作戦を想定しておらず、むしろ40キロ以上離れた沖合からの作戦が検討されている。
このため、米海兵隊はEFV(Expeditionary Fighting Vehicle)の調達を諦め、AAV7の近代化計画も中止している。
では、防衛省がなぜ南西諸島での運用に適さないとされるAAV7を52両も調達したのだろうか。
AAV7が有効に利用できるのは、宮古島や沖縄本島など特定のビーチに限られる可能性がある。
これらの課題と疑問を抱えながらも、AAV7は依然として日本の水陸機動団にとって重要な役割を果たしている。
そのような課題を抱える中、隊員たちは命がけの脱出訓練を行い練度を維持している。
2分以内に全員脱出!過酷な訓練と海での生存戦略
水陸機動団の隊員たちにとって、極めて厳しい訓練の一つが「ダンカー」と呼ばれる緊急脱出訓練である。
この訓練は、AAV7やCH47輸送ヘリの胴体部分を実寸大で再現したコンテナ型ユニットを用いて行われる。
最深部が5メートルの訓練用プールに沈められたユニットから脱出するというものだ。
訓練は
①ユニットが傾くことなく真下に水没
②90度傾き横倒しで水没
③上下逆さまに水没する
という3つのパターンで実施される。
AAV7やCH47に搭乗する隊員は、この訓練を必修とし、2年ごとに再訓練を受ける必要がある。
実際の場合、AAV7の破片や漏れた油が目に入ることで視界が奪われる可能性があるため、訓練は目を閉じた状態で感覚だけで脱出を試みる。
水の流れ込みによりユニットは迅速に沈んでいき、モーター音と共に天地が逆転する。
数十秒後には最初の隊員が水面に浮上し、最後の6人目までには約2分が必要だ。
隊員たちは「緊急呼吸装置(EBS)」という小型酸素ボンベを使用しながら、シートベルトを外し、EBSを装着し、脱出用ハッチから外へ出る。
隊員は座席位置に応じてハッチの位置を頭に叩き込む必要があり、「この座席位置ならハッチの取っ手は75度の方向だ」といった具体的な知識が求められる。
冷静さと信頼関係がポイントとなる。ハッチを開ける係や脱出する順番は座席位置で決まり、訓練では予め決められた順序に従って行動する。上下逆さまパターンでは、右後方の隊員がハッチを開け、右列が脱出し終えた後に左列がユニット外に出るといった具合だ。
また、新人隊員の基礎訓練もプールの一角で行われている。
これはユニットを使用する直前の段階で、「ストレッチャー」と呼ばれる回転するイスに固定された状態で、逆さまにプールに沈められる訓練である。
このような訓練は、実戦での緊急事態に対応できる能力を養うため不可欠であり、水陸機動団の隊員たちが直面する過酷な現実を示している。
視聴者の皆さんは、このような極限の訓練にどのような感想を抱くだろうか?
これらの訓練が、隊員たちの命を救う重要な基盤となっていることを忘れてはならない。
水陸機動団は、単独での活動ではなく、海上自衛隊や航空自衛隊との連携の中でその能力を発揮することである。
専守防衛というポリシーの下、日本はこれまで攻撃的な上陸作戦能力を避けてきたが、水陸機動団の発足により、その方針に変化が生まれている。
次に動画では、中国による台湾侵攻が起きた場合の自衛隊の被害シミュレーションについて解説しよう。
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