陸上自衛隊【普通科の奪還作戦】人にしかできない任務がそこにある
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有事の際、最終的に戦闘の決着を付ける部隊。

それが陸上自衛隊の普通科である。
普通科とは地上戦闘における主力部隊として、総合的な戦闘能力を有しあらゆる局面に対応する部隊である。

普通科あっての陸上自衛隊といっても過言ではないほど重要な地位を占める。

陸上自衛隊には戦車部隊がある機甲科や航空機を要撃する高射特科、各種通信機器で情報を伝達する通信科など全部で16種類の職種に分かれている。

その中でも最も隊員の数が多く、陸上自衛隊の主力とも言えるのが普通科である。

しまかぜ

動画でも陸上自衛隊の普通科の任務と敵陣地確保までの作戦を解説するよ

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あらゆる局面に対応する普通科

陸上自衛隊の普通科とはいわゆる「歩兵部隊」のことである。

歩兵は世界中のどの軍隊であっても基本戦力であり、兵器が進歩して無人化が進む現代においても歩兵の重要性は変わらない。

戦場において遠距離からのミサイル攻撃や爆弾でも制圧できない建物の中や自然などの障害物に分け入り、敵と民間人を識別して攻撃し、占拠できるのは最終的には歩兵の力である。

また、占拠した地に常駐することで敵部隊を寄せ付けないためにも、歩兵は重要な役割を担っているのだ。

アメリカ軍によるイラク、アフガニスタンへの攻撃では空爆や特殊部隊の活躍により制圧することはできたものの、歩兵部隊の常駐が少なかったため、その後の治安は安定せず、混乱が続いていた。

つまり、陣地奪還後も、普通科の任務は続き、その地域の治安維持や継続した統治は装備のハイテク化が進んだ現代においても人間にしかできないのである。

また、現代の陸上戦闘では、歩兵部隊は戦車などの騎兵部隊と、りゅう弾砲などの火力を有する砲兵部隊と共同で作戦を遂行する。

圧倒的火力を誇る戦車や砲も至近距離の敵歩兵には対処しづらいため、この3つの部隊が連携して弱点を補うことで作戦を遂行する。

歩兵は陸上自衛隊では普通科と呼ばれるが、なぜそのような名称になったのだろうか?まず、専守防衛の観点から兵いう文字を嫌ったものと推測され、もっとも一般的で戦闘に「普(あまね)く通じる」部隊という意味で普通科と名づけられたとされる。

普通科の任務は、近接戦闘にて敵を撃破し目的とする地域を奪還、占領して確保することである。

そのため、普通科は第一線で活躍するための火力や機動力、指揮通信能力など多くの機能を有しており、バランスのとれた総合的な戦闘力をもつ。

では、普通科が目的の地点を奪還するまでの作戦についてみていこう。

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敵陣地確保までの作戦

普通科が目的地を確保するための一連の流れであるが、まず戦闘地域へ前進する際は、野戦特科の155mmりゅう弾砲FH70などの火力で敵陣地を遠距離攻撃する。

155mmりゅう弾砲は毎分3~6発、射程は弾種により24km~30kmに達し、砲弾を連続砲撃して敵を圧倒する役割をもつ。

次に、普通科部隊が装甲車や高機動車などで敵陣地付近まで移動し、侵攻を開始する際は戦車部隊である機甲科が支援する。

機甲科は戦車、水陸両用車、偵察部隊があり、圧倒的な火力により敵を撃破する。

普通科が侵攻する際に、もし地雷原などを発見した場合は、施設科による処理が行われる。

施設科とは普通科を支援するために各種器材を使い、障害となるものの処理や陣地の構成、川を渡るための渡河作業などを行う。

地雷の除去は70式地雷原爆破装置などが使用される。

これは小型の爆弾が多数つけられたロープをロケット弾で発射し、着地後に爆発した圧力により地雷を起爆させ地雷原を突破する。

1回の発射で距離100m以上、幅50mの範囲を処理でき除去率は80%以上とされている。

敵部隊と合戦状態になった場合、離れた位置から重迫撃砲中隊の120mm迫撃砲RTや81mm迫撃砲などの火力により障害物の陰に隠れた敵の頭上から攻撃を浴びせる。

120mm迫撃砲は普通科が保有する最大の火砲で、砲弾は89cm、重さ18.7kgで、毎分12~20発の攻撃が可能である。

射程は通常弾なら8,100m、ロケット補助推進弾なら13,000mに達する投射火力をもつ。

迫撃砲により部隊が前進する前に可能な限り敵の戦闘力を減じておくのである。

そして、普通科にとって脅威となる敵の戦車部隊に対しては、87式対戦車誘導弾をもって撃破する。

87式対戦車誘導弾は人力でも運搬可能なサイズで、発射機とレーザー照射機からなる。

目標に当たって反射した赤外線レーザーをたどってミサイルを誘導する方式で、射程は2000mである。

また、敵の逃げ道をふさぐために、航空科のヘリコプターにより戦闘人員を輸送して、橋などの経路を占領する。

航空科は各種へリコプターを運用して、ヘリからの攻撃や航空偵察、部隊の移動や物資の輸送を行う部隊である。

このようにして敵部隊を追い詰めていき、待機位置から定められた位置へ敵を排除しつつ、攻撃と援護に分かれて目的地まで100m、50mと前進する。

また、小高い丘や建物からは狙撃班も援護射撃をしつつ、部隊の前進を支援する。

普通科は各部隊からの支援を受けながら、目的の地点を目指して前進していく、まさに命がけの第一線部隊なのである。

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初動部隊FAST-Force(ファストフォース)による人命救助

陸上自衛隊の普通科は有事の際に、国民を守ってくれるだけではない。

地震や台風、集中豪雨など自然災害の多い日本では、たびたび災害派遣により陸上自衛隊の普通科が活躍しているのを報道で目にすることがある。

今や自衛隊への派遣要請は毎年のように行われており、大小あわせると年間500件以上の災害派遣が行われている。

そのため、自衛隊の中でも最も国民が身近に感じるのが普通科ではないだろうか?

自衛隊では災害派遣などの緊急事態にすぐに対応できるように「FAST-Force」と呼ばれる初動部隊が存在する。

この部隊の編成は隊員3,900名、車両1,100台航空機40機で、すぐに対応できるように24時間態勢で待機している。

静岡県熱海市において発生した盛り土による土石流では、第34普通科連隊30名が現場に急行し、行方不明者4名の命を救った。

また2021年に発生した佐賀県の大雨被害では、第16普通科連隊など730名が派遣され、多くの人命救助を行っている。

物資の運搬や炊飯、給水、入浴施設の提供など幅広い活躍を行っている。

また東日本大震災では、予備自衛官にも召集がかかり、前代未聞の陸海空10万人の自衛官が災害派遣に従事した。

さらに普通科は災害派遣だけにとどまらず、支援活動にも従事している。

たとえば大阪城など高所での危険が伴う清掃作業など、日頃の訓練で鍛えた隊員たちが行ったこともある。

北海道の札幌雪祭りでは、イベントの一環として巨大な雪のオブジェの製作を第18普通科連隊が60年にわたって支援している。

このように地域での活躍や協力も多く、普通科はなくてはならない存在といえる。

近年、ドローンやサイバー攻撃などハイテク化する戦闘であるが、人間が中心の歩兵部隊である普通科の重要性は昔と変わっていない。

どんなにテクノロジーが発達しても、最後は人にしかできない任務がそこにあるからである。

陸上自衛隊の普通科は日本の平和を維持するため、そして自然災害から国民を守るために日々訓練に励んでいる。

次の動画では、陸上自衛隊が誇る戦闘車両について解説しよう。

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