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1月24日、東シナ海にて米海軍F-35Cステルス戦闘機が空母「カール・ビンソン」の甲板に衝突したのち、海に転落した。
幸い操縦士と乗員に死者は出ていないものの、中国政府による機体の引き上げを防ぐために、米側は回収活動の準備を急いでいる。
現在、世界各国において導入が進んでいるステルス戦闘機であるが、代表的なものがアメリカが開発したF-35である。
F-35には用途に応じて3種類タイプが存在している。
空軍機として各飛行場において使用するF-35A、短距離離陸や垂直着陸が可能でカタパルトのない揚陸艦で運用可能なF-35B、そして原子力空母を始めとする大型空母の艦載機であるF-35Cである。
航空自衛隊はF4ファントムの後継機としてF-35Aを105機、F-35Bを42機の計147機を保有する予定だ。
この機数はアメリカの次に多い数である。
F-35Bは現在改修工事が行われているヘリ空母いずもや、かがの艦載機として使用される予定だ。
最新のテクノロジーを装備したF-35においても、高価な機体や優秀なパイロットを失う事故が起きている。
今回は、F-35の墜落事故について航空自衛隊、イギリス空母クイーンエリザベス、アメリカ海兵隊で発生した事故の詳細と、その原因について解説していこう。
F-35墜落の瞬間の動画もあるで、最後まで見てね!
三沢基地 F-35A墜落事故
英軍のF-35B地中海で墜落
2021年11月17日、イギリス海軍の空母クイーンエリザベスの艦載機であるF-35Bが地中海において訓練中に海に墜落した。
パイロットは無事救出されている。
アメリカ海軍とイギリス海軍は共同で訓練を行っており、その際に起きた事故である。
この墜落に関しては事故映像が流出しており、飛行甲板上を、ゆっくりと滑走するF-35Bの姿が写し出されている。
事故原因としては甲板上で異物の吸い込みなどを防止するためにエンジンの吸気口に取り付けているエアインテークカバーを、外さずに付けたままの状態で発進したことが原因である。
パイロットが途中それに気付いて機体を停止させようとしたが間に合わず墜落したものであるということが判明した。
完全なヒューマンエラーで、基本的な点検を怠ったがために1機1億ポンド(約153億円)の機体が失われてしまったのである。
Fー35Bが墜落した地点は東地中海のトルコとイスラエル、エジプトに囲まれている海域の水深1760mの海底である。
イギリスはロシアが墜落したF-35Bの機体を回収することを恐れて東地中海における対潜水艦活動を行っている。
また回収に関しては、アメリカとイタリア共同で行う予定である。
F-35Bがロシアの手に渡れば、その機密は明らかにされてアメリカやイギリスは軍事的に大きな痛手を被ることになる。
かつてソ連空軍のミグ25戦闘機が北海道の函館空港に緊急着陸し、その全貌が明らかにされたのと同じような状況が、今度は逆に自分達の身に降りかかってくることになりかねないのである。
そのためにも早急に機体の回収を急いで行っていく必要がある。
単なるヒューマンエラーが、ここまで大きな事態を引き起こすことになってしまったのである。
アメリカでは、空中給油中に接触による墜落事故が発生している。
カリフォルニア州における米海兵隊F-35B墜落事故
2020年9月30日、アメリカ海軍の第3海兵隊航空団所属のF-35Bが墜落した。
事故の原因は南カリフォルニアにおいて行われたKC-130J空中給油機から給油中に同機との接触により起きた。
墜落したパイロットは緊急脱出しており、給油機の乗員も無事であったことが不幸中の幸いである。
KC-130Jは衝突によりエンジン2基が停止し、さらには4基全てのエンジンのプロペラブレードが折れ曲がり、燃料漏れまで起こしており、一つ間違えれば空中で大爆発といった大惨事になるところであった。
なおこのF-35Bは、かつて在日米軍の岩国基地所属の機体であったことが確認されているが、事故当時は在日米軍の所属ではなかった。
この事故について防衛省は「空中給油上の事故であり、機体そのものの安全性に問題となるものではない」という見解を示している。
アメリカ空軍のF-35Bによる事故は今回で2回目であり、1回目は2018年9月にサウスカロライナにおいて訓練中に墜落している。
原因に関しては「製造上の欠陥により飛行中に燃料管が破裂し、エンジン動力が失われた」と判断された。
米軍は、まず全ての米軍基地と他国が保有している全てのF-35について一時飛行停止の措置を取るように指示を出し、燃料管に不具合があることを確認した。
全機に対して燃料管の確認を行い、不具合があれば交換し異常のない機体については飛行訓練を再開させるという処置をとった。
本来、航空機は機体に詰め込んだ燃料分の距離しか飛行することはできない。
通常であれば燃料が少なくなれば基地に帰還して燃料を補給しなくてはならない。
しかし、空中給油機は、その作業を空中で行うのである。
これにより戦闘機の航続距離は増大し、より遠くの目標まで攻撃することが可能になる。
空中給油は給油機から延ばされるノズルを、自分の機体のわずか10cmほどの給油口に飛行しながら合わせるという非常に高度なテクニックが要求されるものであるため、常に危険と隣り合わせであることは言うまでもない。
戦闘機の事故について
航空機の事故については大きく分けて2種類あると言える。
一つは機体の構造的欠陥によるもの。
そしてもう一つは人員的なヒューマンエラーによるものである。
一部の報道において「事故が起きたのに飛行を再開するのが早すぎないか」と疑問の声が挙がるときがあるが、それは機体の故障ではなく乗員の誤操作によるものであると判断されたためである。
機体の欠陥であると判断されれば原因が判明するまで全機を飛行停止にする。
これが基本的な流れである。
沖縄でオスプレイが墜落後、飛行再開が早かったのも、操縦ミスによるものと判断されたからである。
航空機の性能がますます進化していくにしたがって、事故による機体やパイロットが失われることは、以前よりは遥かに少なくなってきたとはいえ、今後も日常の点検や整備を怠ってはいけない。
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