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水雷魚雷は水中を魚のように航行して、目標とする艦艇や潜水艦に向かい破壊することを目的とした兵器である。
もともとは、地上の地雷のように敵に遭遇するまでは海に浮いていた機雷が、自らの推進力で敵艦に向かうように進化した兵器が魚雷である。
魚雷という名前はよく聞くものの、実は「魚型水雷(ぎょけいすいらい)」の略である。
現代の艦艇や潜水艦には必ずといっていいほど装備されており、航空機から投下して攻撃をすることも可能である。
海上自衛隊の艦艇には短魚雷が装備されており、対潜ヘリコプターや対潜哨戒機にも搭載することができる。
太平洋戦争では世界最大の戦艦大和は航空機からの12発の魚雷を集中的に食らって沈没した。
今回は、艦艇が最も恐れる兵器である魚雷の特徴やその破壊力、そして魚雷攻撃を避けるための対抗策について解説していこう。
魚雷のすごい破壊力が動画でも見られるのでお楽しみに!
日本が開発!世界初の酸素魚雷とは?
魚雷はイギリスのロバート·ホワイトが発明したといわれており、1864年に試作された魚雷の性能は全長2m、直径36cmで、かなり細長い形をしており、重量135kg、炸薬量7kg、水中速力は
6ノットであった。
現代の魚雷は艦艇の速力よりも非常に早く、逃げても追尾するため一度発射されると致命的ダメージを与えることができる兵器である。
当時の魚雷の動力は46気圧でボンベに詰められた圧縮空気であり、それをエンジンに送り込むことにより回転運動を発生させ、2枚のスクリューに伝えるといった仕組みであった。
魚雷の性能は、水中速力の速さと爆発によるダメージの大きさが最も重要となる。
その後、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、イタリアの5カ国がそれぞれの国で魚雷開発が行われるようになった。
第二次世界大戦時には、蒸気機関という動力がインフラ化されており、それが魚雷にも応用されたため、日本以外の各国魚雷の速力は大幅に速くなり30~50ノット(時速55~90キロ)まで出せるようになった。
さらに射程も3,000~10,000m、炸薬量は300kg前後まで増加し、速力、破壊力ともに向上していった。
ただし、艦艇や航空機に搭載できるサイズには限界があるため、とにかく巨大化して速力や破壊力を上げるということはできない。
一方、圧縮空気は燃焼に必要な酸素がたった 20%で、残りの80%は必要のない窒素であったため各国では動力に必要な酸素だけを搭載できる魚雷の開発が進められた。
しかし、爆発的な燃焼を起こす酸素をコントロールすることが難しく、武器として搭載するにはリスクが高すぎるということで、戦場では不向きであるとされ、ほとんどの国が開発をあきらめた。
そのような中、開発を継続した国があった。それがわが国「日本」である。
他の国は、燃焼開始時から酸素を使う仕組みで失敗を重ねていたため、日本は燃焼が安定するまでは空気を使い、徐々に酸素に切り替えるという絶妙な制御装置の開発に成功した。
そしてついに、世界初の「酸素魚雷」の開発に至ったのだ。
ただ、酸素魚雷は非常にデリケートな武器であることは変わらず、専門の調整係がつく必要があった。
魚雷の信管の種類
魚雷は目標に当たった瞬間に爆発する兵器と思われているが、直撃せずともダメージを与える種類もある。
魚雷には触発信管や磁気信管などの種類がある。
信管とは、弾薬や爆弾などを炸裂させるための起爆装置のことである。
触発信管魚雷は艦艇の側面を狙って発射する魚雷で、目標に命中した瞬間に爆発して喫水下を破壊、大量の浸水を与えることで行動を奪う。
しかし、艦艇は戦闘中、敵の攻撃に備えて数百という区画をハッチで閉じているため、一箇所に攻撃を食らっても、ある程度の区画のみで浸水を食いとめることができ浮力を維持できる。
確実に撃沈させるためには数発の魚雷を打ち込む必要がある。
実際、太平洋戦争では世界最大の戦艦「大和」でさえ、左舷に魚雷を集中攻撃され沈没している。
大和の壮絶な戦いについては、他の動画で解説しているので、そちらをご覧いただきたい。
一方、磁気信管は、その名の通り艦艇の磁気に反応して爆発する魚雷で、これは非常に強力な威力で、爆発すれば一発で撃沈させることもできる。
フネにはキールと呼ばれる船底の中線を艦首から艦尾まで貫く背骨のような柱が通っている。
このキールが爆発により破壊されると艦艇は重要な支えがなくなり、船体が真っ二つに折れてしまう。
水中からの攻撃のため、防御することが難しく、キールを破損すると一気に崩壊してしまう。
また、魚雷にには短魚雷と長魚雷があり、海自艦艇や対潜航空機が搭載しているのが短魚雷、潜水艦に搭載しているのが長魚雷である。
破壊力が強力なのは潜水艦に搭載している長魚雷である。
短魚雷は長魚雷に比ベればサイズが小さい分、炸薬の量も少ないが、小さいからといってその威力は侮れない。
なぜなら、水中に存在する潜水艦には常に非常に強い水圧がかかっている。
海中では100m潜ると水圧は10気圧になり、500m潜航した場合、1cm四方に50キロもの水圧がかかることになる。
つまり、一発あたれば爆発と水圧で甚大なダメージを与えることができ、水圧でつぶれるか、そのまま海底に沈没することになる。
潜水艦から発射される長魚雷の脅威
長魚雷は、潜水艦に搭載されるタイプの魚雷で、全長が長く、炸薬量も短魚雷より多いため、その威力は計り知れない。
潜水艦から発射される長魚雷はひとたび発射されると、その回避は非常に難しい。
艦艇の最大速力は通常30ノット(約50km)前後が一般的であり、スペック上それ以上の速度は出すことができない。
しかし、魚雷の速力は50ノット前後(約90km)のものがほとんどで、どんなに逃げても追いつかれてしまうのだ。
魚雷は艦艇が出す音を探知して追尾するパッシブタイプと自らが音波を出しながら捜索するアクティブタイプがある。
潜水艦から魚雷が発射された場合、艦艇は魚雷音が水中を進む音(航走音)を探知することでその方位を割り出す。
水中はレーダーを使用することができないため、距離は分からないが方位と音の強弱によりある程度の場所を特定することができる。
魚雷音を探知したならば、こちらも対抗魚雷として短魚雷を発射して速力を最大に上げて回避行動をとる。
対抗魚雷とは、こちらが発射した魚雷の航走音により、敵魚雷のセンサーを妨害するためのいわゆる「おとり魚雷」のことである。
また、艦艇には魚雷から逃げるための「回避装置」が搭載されている艦もある。
海上自衛隊の護衛艦「あきづき型」が装備しているMODと呼ばれる回避装置は、発射すると水中で艦艇に似た音を送信して魚雷をおびき寄せ、「おとり」となる対魚雷防御装置である。
もうひとつのFAJと呼ばれる装置は水中でノイズを発生させ、魚雷のパッシブセンサーを妨害するもので、MODとセットで魚雷から回避するために使用される。
ただし、これらが通用しない有線魚雷というタイプもある。
有線魚雷とは、潜水艦から発射されたあとも細いワイヤーがつながっており、艦内の操作員が目標付近まで操縦できる魚雷である。
ワイヤーがつながっている限り、おとりに引き寄せられることなく目標に向かわせることができるのだ。
ワイヤーの長さは数キロとされ、それ以上はワイヤーが切り離され魚雷が自ら目標に向かっていく。
ロケットブースターを装着した短魚雷「アスロック」
水中に潜む潜水艦を探知し敵潜水艦と識別された時点で艦艇は魚雷攻撃を行う。
海自の護衛艦には2種類の魚雷が装備されており、探知した距離によってその2つを使い分ける。
まず、探知距離が短く、潜水艦が近くに存在する場合は、左右舷に装備されている短魚雷発射管3連装から魚雷を発射する。
しかし、遠距離で探知した場合、短魚雷では射程圏外のため、アスロックと呼ばれる遠距離攻撃用の魚雷が使用される。
アスロックとは短魚雷にロケットブースターが装着されたミサイルで、遠距離にいる潜水艦の存在圏に向けて発射する。
当時の艦艇が装備するソーナーの最大探知距離を考慮して開発されたのがアスロックである。
発射されたアスロックは空中でブースターが分離して、短魚雷がパラシュートで落下して着水したのち、通常の短魚雷と同じく潜水艦に向かっていくという兵器である。
現在の護衛艦はアスロックを垂直発射装置VLSに装填している。
VLSのメリットとして、ミサイルを垂直に収めることで装填数が大幅に増加できることや、種類の違うミサイルを装填できるため、多用な任務に対応できることなどが挙げられる。
海上自衛隊のイージス艦はVLSにアスロックの他、対空ミサイルSM-2、弾道ミサイル迎撃用のSM-3の3種類を装填している。
米艦艇はこれに加えて対地攻撃用のトマホークを搭載している艦もある。
魚雷の仕組み まとめ
魚雷は潜水艦、艦艇、航空機とどのプラットフォームにも搭載できる対戦兵器であり、1発で艦艇を真っ二つに折るほどの破壊力を持っている。
現在、日本を始め、アメリカ、中国、韓国、ロシアなど、ほとんどの国はVLS化により100発近いミサイルを搭載することが可能となった。
今後は、米軍のMQ-8C無人ヘリコプターや無人潜水艇からの魚雷攻撃の兵装になるといわれており、さらに発射プラットフォームの種類が増えていくことで、対潜ドローンのような新たな兵器も開発されていくと予想される。
複数のドローンによる同時魚雷攻撃など、新たな脅威に対処する能力も必要となるだろう。
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