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ロシアが世界一の核兵器を保有しているため、NATOやアメリカも手を出せないことは事実である。
世の中にはさまざまな兵器があるが、その中に戦略兵器というものがある。
具体的には相手国の重要かつ中枢的な役割を持つ公共的な施設・建物を始め、軍事基地、そして軍事関連の工場や研修所などを大規模に攻撃していくことで経済基盤の機能を奪い、国家としての活動に大きな支障を与えることだ。
つまり、圧倒的な破壊力で敵の戦争遂行・継続能力を喪失させることを目的に使用される兵器を意味しているのである。
広島と長崎に投下された原子爆弾は一瞬にして、大勢の命と建物を焦土化した。
自国の本土や敵国周辺から相手の国の中心地域を打撃することができ、戦争指導組織・生産施設・インフラ網・最重要軍事施設などを戦略ターゲットとして、ICBMと呼ばれる大陸間弾道ミサイル、潜水艦発射弾道ミサイル、長距離爆撃機などが挙げられる。
今回はロシアが保有している3つの種類の戦略兵器である、TU160爆撃機、原子力潜水艦ボレイ型、大陸間弾道ミサイルサタン2について解説していこう。
TU160爆撃機、原子力潜水艦ボレイ型、大陸間弾道ミサイルサタン2の動画も見てね!
この記事に書かれている内容は
戦略爆撃機TU-160
ロシアの戦略爆撃機に「TU-160」と呼ばれる航空機がある。
この爆撃機は、世界でもっとも強力な爆撃機の1つとして認められている。
TU-160は、旧ソ連時代に設計・開発された戦略爆撃機であり、可変後退翼を備えた超音速飛行が可能となっている。
TU-160の原型となる機体は、1981年12月に初飛行を成功させて1987年から実践配備は始まったのだが、ソ連が崩壊したことや、その後のロシアの経済が不安定であったことから、試作機を含めて、35機の生産で完了していた。
さらに、老朽化が進んだことで2010年頃には15機程度まで落ち込むことになったが、ロシアの成長拡大の中でプーチン大統領の命により改良型の開発と生産が始まることになったのだ。
その改良型が、TU-160Mと呼ばれる機体であり50機の調達が計画されていると言われている。
すでに10機が発注されていると見られているのだが、新たなTU-160Mは機体の80%程のシステムが新たに更新されており、近代化されていると見られている。
日本海でF-35Aの追跡に対し、可変翼を変形させ、アフターバーナーをオンにしたことで、最高時速2200キロ(マッハ1.8)まで加速し時速1930キロ(マッハ1.6)のF-35Aを振り切ったことがある。
武器類は機体中央の分割されたタンデムに配置される兵器倉に格納されており、機体の外に装備されることはない。
通常爆弾の最大積載量は18トンとなっているが、ミサイルを含む攻撃兵器類を搭載した場合の最大積載量は40トンにもなる。
ミサイルはAS-15A、もしくはAS-15B、核巡航ミサイルを6発装着している回転式ランチャーを各兵器倉毎に1基ずつ搭載し、最大12発となる。
AS-16短距離攻撃ミサイルにいたっては、1つの兵器倉に12発搭載して最大24発を収納することができるのだ。
これらの兵装類は、新たに更新されたレーダー、マルチチャンネルデジタル衛星通信システム、自己防衛システムなどにより、超高度からでも正確な照準で爆撃できるようになっている。
原子力潜水艦ボレイ型
潜水艦は一度海に潜ると、その場所は不明となり、どこからでも相手の国に核弾頭を発射することができるため、非常に脅威の高い戦略核兵器といえる。
原子力潜水艦ボレイ型は、ロシア海軍の弾道ミサイルを搭載した潜水艦である。
「プロジェクト955」と呼ばれる第955号計画の戦略任務を持つミサイル潜水巡洋艦であるが、ロシアでは第4世代の新しいタイプの戦略原子力潜水艦で、これまでの戦略原潜の2倍~3倍の能力を有すると見られている。
設計は、これまでソビエト連邦で開発された弾道ミサイル潜水艦のタイフーン型は踏襲せずに、デルタ型原子力潜水艦の流れを組んでおり、SLBMと呼ばれる潜水艦発射弾道ミサイルが小型化されたことで、ミサイル搭載区画が低くなっている点が特徴だ。
そのため船体は攻撃型原子力潜水艦と大きな差がなくなっている。
セイルは逆台形の傾斜となったことでステルス性が高まっており、1番艦はポンプジェット推進方式が取り入れられているものと推察される。
搭載弾道ミサイルは、デルタ5が16基搭載されているが、2番艦・3番艦は船体を延長さることにより、弾道ミサイルを20基搭載するという計画になっていた。
しかし、3番艦・4番艦も建造計画の過程の中で紆余曲折あり、最終的には16発となりそうだ。
原子力潜水艦ボレイ型に搭載される弾道ミサイルは原型であるトーポリMに比べて小型化されているため、最大10個の核弾頭が搭載可能。
射程距離は8,000km~10,000kmまで飛翔する能力を持つ。
その結果、超長距離からの攻撃が可能となったのだ。
このように原子力潜水艦ボレイ型はあらゆる海中からの運用が可能なため、ロシア海軍の中核をなす存在と言っても過言ではない。
大陸間弾道ミサイル「サタン2」
ロシアが保有する大陸間弾道ミサイル「サタン2」は、北大西洋条約機構(NATO)が命名したコードネームである。
このミサイルが注目されるきっかけは、2018年3月1日にプーチン大統領が演説で取り上げたことだ。
国内向けの演説ではあったものの、アメリカのミサイル防衛システムでも阻止することができない新型兵器と位置付けられた。
サタン2には10〜16の核弾頭を搭載することができ、射程距離は11,000km以上で地上のいかなる場所でも攻撃可能な射程距離を持つ。
速度はマッハ20という極超音速でロシアからアメリカ西海岸まで、わずか12分で弾着させることができる。
ロシアの仮想敵国、特に米国にとって紛れもない脅威となる弾道ミサイルだ。
正式には、RS-28と呼ばれるミサイルだがサルマトとも呼ばれ、総重量200トン、弾頭重量は100トンにも及ぶ。
その威力は、日本の国土の2倍を吹き飛ばせるエネルギーと言われている。
これまでの北極経由の最短飛行ルートを取るだけでなく、南極経由での長距離飛行でもアメリカ大陸へ射程に収めることができる点が大きな特徴と言えよう。
マッハ20という超音速で飛行し、分裂することで予測飛行コースを回避する機能があるために、イージス・アショア”というミサイル迎撃システムですら迎撃は事実上不可能であるという。
アメリカと対峙するロシア
現在、ロシアがウクライナ侵攻で欧米諸国から大きな非難を浴びている。
しかし、今のところ、アメリカがロシアと直接対峙することを明言していないものの、いつ世界大戦レベルの争いが勃発してもおかしくはない状況だ。
プーチン大統領は核兵器の使用を仄めかして世界を恫喝しているが、ここに挙げた戦略爆撃機TU-160・ 原子力潜水艦ボレイ型・大陸間弾道ミサイルサタン2などの戦略的兵器は、ロシア本国とアメリカとの戦いを実現させるための兵器と言ってもいい。
すでにこれらの戦略兵器が実践配備されているのであれば、ロシア VS アメリカ・欧州という第3次世界大戦がいつ始まってもおかしくはないのである。
このような悪夢が現実に起きないことを祈るばかりだ。
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