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最先端の巡航ミサイル「ストームシャドー」この武器がウクライナに与えた新たな力は、まるで古い物語の中の魔法の剣のように、ウクライナ軍の戦況を一変させる可能性を秘めている。
「ストームシャドー」は、欧州製の高精度長距離巡航ミサイルである。
その特徴は、目標に対して精密な打撃を与える能力にあり、まさにゲームチェンジャーである
今回は、ロシアの潜水艦や輸送艦、そして補給路を破壊した「ストームシャドー」について、その特徴について解説していこう。
この記事に書かれている内容は
ウクライナ戦争を変える長距離ミサイル「ストームシャドー」の脅威
「ストームシャドー」と呼ばれるこの巡航ミサイルは、フランスとイギリスの共同開発により1990年代末に誕生し、2000年代初頭から運用が開始された。
この高度な兵器は、通常560kmという長距離射程を誇るが、ウクライナへの提供に際しては、その射程が250kmに制限されている。
このミサイルの特徴は、敵の防空範囲外から攻撃可能な「スタンドオフミサイル」としての能力にある。
攻撃対象から離れた位置から発射されるミサイルの一種で、その主な特徴は射程距離の長さにある。
これにより、戦闘機や艦船のような発射プラットフォームは、敵の防空システムの射程圏外に留まることができ、安全性が大幅に向上する。
様々な弾頭を選択できる柔軟性を持ち、通常の弾頭だけでなく、クラスター爆弾や核弾頭の装着も可能であることが特徴である。
ターゲットとなるのは、敵の防空施設、軍事基地、指揮所、戦略的なインフラ、さらにはバンカーのような堅固な建造物まで、多岐にわたる。
ここで注目すべきは、アメリカがウクライナに供与した「ハイマース」ロケット砲との比較だ。
ハイマースの射程は80kmに過ぎないが、ストームシャドーはそれを大きく上回る。
戦闘機から発射されるこのミサイルは、ウクライナのパイロットにとって前線から距離を置きながらの安全な作戦遂行を可能にする。
発射された後は、低高度飛行で敵レーダーをかいくぐり、赤外線探知機を用いて標的を正確に捉える。
しかし、イギリスはこのミサイルがロシアのものと同等ではないと警告しており、ロシアがさらに長射程のミサイルを保有している可能性を指摘している。
ソビエトの遺産 Su-24だけが装備できるストームシャドー
ウクライナ空軍の保有する航空機の中で、「ストームシャドー」を搭載できるのはSu(スホーイ)-24だけであり、その数は極めて限られている。
ソビエト連邦の解体時、ウクライナは約200機のSu-24を引き継いだが、2014年には運用可能な機体はわずか20機に減少していた。
2015年には、予備役を含めても、稼働可能なSu-24は47機に過ぎなかった。
さらに、これまでに17機以上のSu-24が撃墜され、大多数が攻撃型のSu-24Mであったことから「ストームシャドー」を搭載できる機体はほんの数機に限られてしまっている。
ウクライナ軍の航空機は、すべてソビエト製である一方、ストームシャドーはトーネード、ミラージュ2000、ラファール、ユーロファイターなど西側諸国の機種に搭載されている。
このミサイルの特徴は、重量1300キログラムの弾頭と、2段式タンデム弾頭による強力な破壊力にある。
最初の弾頭が対象の壁を破壊し、2番目の弾頭が内部で爆発することで、コンクリートや鋼鉄製の標的を内側から破壊する。
STORM SHADOW IS A CRUISE MISSILE . PRODUCED BY FRANCE & UK . THIS MISSILE CAN RESIST THE ELECTRONIC CONFUSION & CAN DESTROY ANY PROTECTED MILITARY FACILITY pic.twitter.com/YCMGx2cilj
— عبدالله الحربي (@1396_t) January 17, 2024
しかし、ウクライナ空軍の機体は、重いミサイルを搭載する上で制限があり、耐重量が1000kg未満となっているため、ストームシャドーを搭載できるのはSu-24のみである。
Su-24の優れた点は、高速かつ低空飛行能力にあり、敵のレーダーや防空システムを巧みに回避しながら目標に接近することができる。
変動翼設計は、異なる飛行速度や任務に応じて翼の角度を調整可能で、これにより多様な作戦行動が可能だ。
ただし、この機体は設計が古く、最新の戦闘機と比較すると電子機器やセンサー面での劣りが指摘される。
しかし、ウクライナ空軍にとっては、特にストームシャドーミサイルの運用能力を付与することで、戦術的価値が高まっている。
Su-24はウクライナの航空戦力の中核を担い、幅広い軍事作戦でその能力を発揮しているのである。
ストームシャドーの威力!ウクライナが仕掛ける戦略
ロシアによる一方的なクリミア併合後、ウクライナ軍はセバストポリのロシア海軍黒海艦隊司令部に対して戦略的攻撃を実施し、その成功をSNSで発表した。
この攻撃では、修理中の潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」と揚陸艦「ミンスク」が損傷を受けた。
使用された「ストームシャドー」は、ドック内の船舶を内部から破壊することに成功し、ドック自体も長期間使用不能となり、黒海艦隊に大きな運用上の影響を与えた。
揚陸艦「ミンスク」には甚大な損害を与えるとともに、黒海艦隊司令部への攻撃により、ロシア南部軍司令官のロマンチュク大将が戦死した可能性があるとの噂が立っている。
「ストームシャドー」には、特に厚い防壁を破壊するために開発された約400kgの二重貫通(タンデム)弾頭が装備されており、これが船舶に対しても強力な破壊力を発揮したことは明らかである。
ウクライナの空軍と海軍は、320kmの長距離からセバストポリを攻撃できる兵器を他にも保有している。
海軍の対艦ミサイルとしては、対地攻撃用に改良されたハープーンやネプチューンがある。
ウクライナ軍参謀本部の主目的は軍艦の破壊であり、特にセバストポリのドックで整備中だった軍艦の破壊が狙いだった。
この攻撃により、ロシア潜水艦は修復不可能なほど破壊され、ロシア海軍が第2次世界大戦後初めて戦闘で失った潜水艦となった。
この事実は、現代戦における新たな転換点を示している。
さらに、ウクライナ軍は戦略的に重要な2つの橋、クリミア半島とヘルソン州を結ぶチョンハル橋を攻撃した。
チョンハル橋は、特に重要な位置を占めている。
この橋はヘルソン地方のロシア軍部隊とクリミアを結ぶ主要な補給路であり、この攻撃はロシア軍にとって大きな打撃となる。
ウクライナ軍によるこの攻撃は、ロシアの実効支配下にある地域に対する圧力を高め、ロシア軍の補給路を断つことで戦況に影響を与える意図があると見られている。
この攻撃は、ウクライナ軍が現在の戦況において、より積極的な戦術を取っていることを示している。
クリミア半島とヘルソン州を結ぶ橋を攻撃することで、ロシア軍の補給線を断ち切り、さらなる戦略的優位を築くことを狙っているのだ。
ロシアのレーダーを欺くウクライナ軍の秘策
マッハ0.8で飛行するストームシャドーの速度では、敵の対空システムに簡単に捉えられそうに見える。
しかし、実際には低空飛行能力とステルス性能を兼ね備えており、レーダーによる探知を困難にしている。
ウクライナ軍は、ロシアの防空システムに対抗するために、巧妙な戦術を展開している。
その一つが、ロシア側のレーダーを妨害し、地対空ミサイルの発射を未然に防ぐ作戦だ。
さらに、ロシアの防空ミサイルを無駄撃ちさせるために「おとりミサイル」を利用する戦術、そして、防空システムの注意をそらしながら異なる方向からストームシャドーを撃ち込む方法もある。
これらの複合的な戦術により、ウクライナ軍はロシアの防空システムを効果的に混乱させている可能性がある。
ロシア軍は、2014年のクリミア侵攻時に、その地域に最先端のレーダーシステムや地対空ミサイル、対空砲などを大量配備しており、その中には射程240キロメートルのS-400ミサイルシステムも含まれていた。
さらに、ウクライナ南部ヘルソン州の占領後には、長射程のS-300ミサイルシステムも配置された。
これらの防空システムは複雑で強力なものであったが、ストームシャドーと1970年代に開発されたSu-24Mが安全に通過するには十分ではなかった。
ウクライナ軍は、おそらく奪還したヘルソン州北部にレーダー妨害装置を設置し、電子戦によってロシアのレーダーを撹乱した可能性もある。
このように、ウクライナ軍は複数の戦術を駆使して、ロシアの防空システムを巧みに打ち破っているのである。
次の動画では、命中率94%を誇る最も正確な砲弾「エクスカリバー」について解説しよう。
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