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2021年、国籍不明潜水艦が、奄美大島東の接続水域を潜航しながら北西に向けて進んでいることを防衛省が伝えた。
潜水艦が領海を航行する場合には、海面に浮上し、国旗を立てなければならないが、接続水域内においては潜航することが認められている。
なぜ、領海に近づく潜水艦をあらかじめ探知することができのだろうか?
実は、日本の周辺には今まで秘密とされてきた驚くべきセンサーが張り巡らされているのだ。
今回は、日米が極秘で運用している対中国潜水艦の海底センサーについて、その探知能力と役割について解説していこう。
この記事に書かれている内容は
日本の海底ケーブル網SOSUS 潜水艦探知の最前線
SOSUS(ソーサス)とは、アメリカ海軍が、旧ソ連の潜水艦を探知するために開発した音響監視システムである。
海底にケーブルを敷設し、そのケーブルに音を探知するソーナーを等間隔で設置することにより、周辺を航行する潜水艦を探知することができるようになっている。
日本では、アメリカのSOSUSと同様に侵入してくる潜水艦を探知するため、海底にケーブル網が張り巡らされており、それに聴音センサーが設置されている。
この事実は、1974年9月6日に行われた国会答弁において明らかになっている。
それによると、このセンサーは日本海、太平洋、東シナ海に設置されており、海中音を陸上に音波として伝達する基礎実験が行われているということであり、現在においてもこの装置は改修を続けながら使用されている。
この日本のセンサーとアメリカのSOSUSは海底で繋がっており、新型のSOSUSが対中国用として日米で共同運用されている。
海底に設置された秘密ケーブル「SOSUS」の役割
このソーナーは、極めて高感度であり、艦艇や航空機が使用するソーナーとは比較にならないほどの探知能力を持っている。
ケーブルは、陸上の観測所まで繋がっており、探知した情報は、即座に伝達されるという仕組みだ。
アメリカ軍は、このSOSUSを、世界の各海域に設置していると思われるが、細部の場所については、トップシークレットにあたる情報であるため非公開となっている。
太平洋地域における最新型SOSUSは、沖縄県うるま市の米海軍ホワイトビーチ基地内の海上自衛隊沖縄海洋観測所を拠点としている。
ここから海底に伸びるケーブルは、九州南部や台湾沖に向かって数百キロに渡り延びており、途中に設置された水中聴音機が重要な役割を果たしている。
この観測所では、海上自衛隊と米海軍の要員が共同で勤務し、収集された情報は両国間で共有されている。
また、青森県の下北海洋観測所からは、北海道東部沖にかけても同様のシステムが運用され、主にロシア潜水艦の監視に注力している。
これらの最新型SOSUSは、日米安全保障体制の重要な秘密とされ、敷設の詳細などは明かされていない。
このシステムに関する情報は、日本ではごく限られた政府高官にのみ共有されている。
一方、中国海軍も潜水艦の監視体制を強化しており、軍幹部によると「反潜網」と称されるシステムが、青島や上海などの海軍基地や重要港湾を中心に東シナ海や黄海に展開されているという。
SOSUSには音響探知以外の方法でも潜水艦を捉えることができるような技術が取り入れられている。
「水中電場センサー」は潜水艦が海中で発するわずかな電流を感知し、探知する方法であり、アース不良や地磁気中の船体運動による電流発生などを探知することができる。
また「水中磁気センサー」は、名前の通り、潜水艦の磁気を感知して潜水艦を発見する方法である。
鋼製の船体は、どうしても磁気を伴うため、水中で有効となる探知方法である。
探知成功の実例としては1962年におきたキューバ危機において、ソ連海軍のフォックストロット型潜水艦の探知に成功した。
また、1963年の「スレッシャー」、及び1968年の「スコーピオン」原子力潜水艦の喪失事故の際には、沈没位置特定にも重要な役割を果たしている。
海底ケーブルは、周辺国の潜水艦が侵入することを未然に防ぐために設置された防衛手段なのである。
さらに日本には、後に説明する「太平洋東北ケーブルセンサー網」においても潜水艦を探知することが可能となっている。
次世代潜水艦095型と日本の安全保障課題”
現在における中国海軍の潜水艦保有数は、弾道ミサイル搭載原子力潜水艦7隻、攻撃型原子力潜水艦11隻、通常型潜水艦51隻の合計69隻であり、海上自衛隊の潜水艦保有数の22隻を大きく上回っている。
今後、中国は、静音性の優れた次世代潜水艦「095型」を就役させる計画である。
従来の対潜水艦戦は、対潜哨戒機や対潜ヘリコプター、水上艦艇などが連携することにより探知することができたが、近年の潜水艦は格段に静粛性が向上したことにより、探知が困難となってきている。
しかし日本の対潜水艦対処能力は非常に高く、侵入してきた中国潜水艦は、ことごとく海上自衛隊によって探知されており、その能力の高さが証明されている。
しかし、日本には防衛戦略としての課題は多い。
その一つに法整備の問題がある。
2004年、中国海軍の「漢(ハン)型原子力潜水艦」が石垣島周辺海域を領海侵犯した。
日本は中国潜水艦の行動を完璧に探知することに成功したものの、海上警備行動の発令が遅れ、領海侵犯後、30分もの間、必要な対処ができなかったことが大きな問題となった。
事前に、海上保安庁では対処不可能な潜水艦と判明していたにもかかわらず、国土交通省と防衛庁間の調整、および政治決断に時間がかかったためである。
本件の経過を受け、明らかに海上保安庁では対応不能な事案に関しては、最初から海上自衛隊が対処するよう運用が改められた。
また、この事案について、正式に中国に抗議したのは事件の数日後になったことから、情報確定の困難さ、有事体制の不備が浮き彫りとなった。
現在、軍隊における行動規定としては、ポジティブリストとネガティブリストという二つのルールが存在している。
自衛隊の行動は、ポジティブリストである。
これは「やっていいことは定められているが、それ以外は政府に判断を仰ぐ必要がある」というルールである。
これに対して外国の軍隊は、ネガティブリストである。
これは「やってはいけないことは定められているが、それ以外は軍に判断を任されている」というルールである。
この違いが何を意味するのか、おわかりだろうか?
自衛隊はハンデを背負って戦うのと同じことなのである。
戦う以前に「戦いのルール」において外国に対して不利な状況になっているのである。
日本における現在の法体形は、自国の防衛力を縛るような状況になっていることに国民は気付くべきではないだろうか?
日本護る海底の番人!東北ケーブルセンサー網の秘密
さらに日本には、このセンサー以外にも潜水艦を探知できるケーブル網が存在している。
対馬海峡や東シナ海などの海域には、「太平洋東北ケーブルセンサー網」と呼ばれる地震や津波対策用として海中の変化を感知するためのケーブル網が設置されている。
これは、1970年代から約30年間の年月をかけて、作られたものであり、海底ケーブルには地震計が一定間隔で備え付けられている。
これは、海中を何かが通過しても探知することが可能となっている。
つまりこの地震計は、周辺を潜航中の潜水艦を探知することも可能なのである。
そして、その性能は、海面から釘を一本落としても、海底の振動を捉えることができると推測されている。
こうしたケーブル網は、マラッカ海峡や南シナ海からインド洋方面、さらには、ハワイまでにも伸びている。
この地震計のセンサーは水中の各情報を感知して地震や津波の発生を発見することができる。
ある番組で「1円玉を海面に落として検知できるか?」という実験を行ったが、何とこれも、わずかな水圧の変化などにより探知できることが確認された。
日本の排他的経済水域や防空識別圏の海域、さらには中国大陸、台湾周辺、朝鮮半島まで、このケーブルの網は敷設されており、外国の潜水艦が侵入してくれば、すぐに探知できるようになっている。
そういった意味において、この太平洋東北ケーブルセンサー網は日本の領海に侵入してくる潜水艦を探知する大きな力となっているのである。
次の動画では、潜水艦乗員の生活や悲惨な事故について解説しよう。
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