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ウクライナ保安庁(SBU)所属のスナイパーが3800メートル離れた場所から敵の軍人を射殺したと発表した。
これは、従来の世界記録である3540メートルを超える記録だ。
公式に確認されれば、歴代最長の狙撃距離記録となる
スナイパーは、「確実に戦意を失くす」よう、指揮官や先頭に立つ兵士を狙撃するという。
彼らの存在は「味方にとっては英雄であり、敵にとっては恐怖と憎しみの対象」である。
今回は、世界記録を破ったウクライナのスナイパーの技術と使用したライフル、過去の狙撃事件について解説していこう。
驚愕!世界記録を破ったウクライナ狙撃手の戦略と技術
ウクライナ側は「スナイパー」の高い能力をアピールする動画を公開した。
公開された映像には、ぼやけて揺れ動いている拡大画面の中に、3人の兵士が見える。
発射された弾丸は約9秒かけて標的に到達し、その中の1人が銃撃を受けたかのように倒れ、後方にいた2人が驚いたように身を伏せる様子が収められている。
SBU側は「スナイパーは、驚くべき距離で効果的に作戦し得る卓越した能力を示した」
「SBUの狙撃手は成功裏に行われた射撃で世界記録を立てた。従来の世界記録をおよそ260メートルも上回った」とした。
SBUの狙撃手は、ウクライナが独自に作った「ホライズンズ・ロード」ライフルを使ったと伝えられている。
このライフルの公式に知られている有効射程は2.5キロで、ストックを伸ばしたときの銃の長さは182センチに達するという。
このライフルは、山岳地帯・砂漠およびその他の接近が困難な作戦地域で効果的に作戦を遂行できるように設計されたものだといわれる。
SBU側は「保安庁のエージェントがウクライナで製作されたライフルを使用し、記録を立てたということは非常に意味がある」と付け加えた。
従来の狙撃の世界記録は3540メートルで、2017年にカナダの特殊部隊に所属するスナイパーがイラクで立てた。
それ以前は、英国のスナイパー、クレイグ・ハリソンがアフガニスタンでタリバンの要員を2475メートルの距離から射殺したのが最長記録だった。
狙撃手の役割は、単に遠くの敵を撃つこと以上のものだ。
3キロメートル先の目標を探知し、敵の小隊を秘密裏に排除する能力は、戦場での彼らの重要性を強調している。
狙撃手にとって最初の任務は、周辺環境の微細な変化に注意を払うことである。
都市部では、窓や屋根の変化、日常と異なる動きを探ることが求められる。
すべてが潜在的なリスクとなり得るのだ。
任務遂行には、ライフルだけではなく、チームの分を合わせると車一台には収まらないほどの多くの装備が必要である。
極寒の中、素顔を隠す目出し帽を被るなど、環境に適応しながらの行動が必須となる。
狙撃手は、最大1.5キロメートル先の標的を捉えるライフル以外にも、身を隠す場所を掘るためのシャベル、弾薬、そして援護射撃と偵察を行う数名のチームメイトを必要とする。
通常、このチームは5、6人で構成され、最低でも4人は必要だ。照準器を長時間覗き続けることは精神的にも肉体的にも負担となる。
しかし、それ以上に試練となるのは、ロシアやウクライナのように厳しい寒さの中での長時間の待機だ。
目標に正確に命中させるためには、風の強さや方向、目標までの距離、気温や湿度などの気象条件、さらに地球の自転による影響まで、多くの要素を計算に含める必要がある。
特に、長距離狙撃では地球の自転を考慮することが重要である。
これはコリオリ効果と呼ばれ、北半球では弾丸が右に、南半球では左に偏る現象を引き起こす。
狙撃手は、この偏差までも考慮して照準を調整し、目標に正確に命中させなければならない。
また、温度と湿度も、弾丸の飛行に大きく影響する。
高温では空気が薄くなり、弾丸はより遠くまで飛ぶことが可能になる。
反対に、低温では空気が密になり、弾丸の速度が落ちることがある。
また、湿度が高い場合は、空気中の水分が弾丸の速度を遅くする抵抗となる。
これらの詳細な計算と準備は、狙撃手の任務を極めて複雑なものにしている。
しかし、それらを正確に実行することで、狙撃手は戦場での決定的な役割を果たすことができる。
では、スナイパーライフルは一体どのくらいの距離まで届くのだろうか?
世界最長狙撃記録を塗り替えたスナイパーライフルの力
スナイパーライフルの能力を理解するには、射程距離の二つの基本的な区分を把握することが重要だ。
それは「有効射程距離」と「最大射程距離」である。
有効射程距離とは、弾がその性能を保持し、目標に確実に命中することが可能な最遠距離を指す。
一方、最大射程距離は、弾薬が物理的に届くことができる最遠距離だ。
異なる銃器の有効射程は大きく異なり、例えばハンドガンは20~50メートル、サブマシンガンは20~100メートル、アサルトライフルは300~600メートル、そしてスナイパーライフルは600~2,000メートル程度とされている。
この有効射程距離は、銃器自体が持つスペック上の性能に基づいており、射手の技量に依存しない、理論上誰にでも達成可能な射程である。
スナイパーライフルは、小さな弾丸を使用する場合、自然界の影響を受けやすく、有効射程範囲は100~600メートルほどとなる。
しかし、適切な弾薬と熟練した射手によっては、1.5キロメートルやそれ以上の距離にある人間サイズの目標にも一撃で命中させることが可能だ。
実際、米軍のスナイパーは一般に600~1,200メートルの距離で狙撃を行い、より遠い目標に対しては特別な技術と銃器の限界を超えた能力が求められる。
歴史的に見ても、アフガニスタン紛争ではオーストラリア軍のスナイパーが2,815メートルの距離での狙撃に成功し、2015年7月時点でこれは世界最長の狙撃距離記録となっていた。
その後、フランス国防省は3,695メートルのターゲット狙撃に成功したことを発表し、新たな記録を樹立した。
ロシアのスナイパーライフル「通称スクラム」は、408シャイタック弾を使用し、その最大有効射程距離は4,178メートルに及ぶ。
2000m先でも十分な破壊力と命中精度を維持できるように長距離狙撃銃向けに開発された弾薬である。
純度の高いアルミニウムで製作された約1.5メートルの重いバレルにより、マイナス40度からプラス65度までの気温差にも影響されずに正常に機能し、その結果、著しい威力と重量を有している。
また、別のウクライナのライフル専門メーカー、スニペックス社が開発した「スニペックス・アリゲーター」というライフルも存在し、6400メートル以上離れたターゲットを狙撃できると報じられている。
このライフルについては、公式記録はまだ公開されていないものの、情報筋によると新しい狙撃距離の世界記録を達成したとされている。
狙撃手の技術が導いた歴史的事件 ケネディからモスクワ劇場占拠まで
スナイパーをめぐる過去の有名な事件であるジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件は、1963年11月22日にテキサス州ダラスで発生した。
狙撃手リー・ハーヴェイ・オズワルドは、テキサス書籍倉庫ビルの6階から、パレード中のケネディ大統領の車列に向けて銃を撃った。
この事件はアメリカ史上最も衝撃的な瞬間の一つであり、後に多くの調査や陰謀論を生むこととなる。
オズワルドは元海兵隊員で、狙撃の訓練を受けていたとされ、その技術がこの歴史的瞬間を引き起こす原因となった。
この事件はアメリカだけでなく、世界中に深い影響を与えた。
他に有名な狙撃手による事件として、1993年に発生したモスクワ劇場占拠事件が挙げられる。
この事件では、チェチェン共和国の独立を求める武装グループがモスクワの劇場を占拠し、約850人の人質を取った。
ロシア特殊部隊は狙撃手を含む多数の兵力を動員して対応し、緊迫した人質救出作戦を展開した。狙撃手たちは特に重要な役割を果たし、人質救出の鍵を握る犯人の排除に貢献した。
この事件は、狙撃手が重大な犯罪対策において果たすことができる役割の一例を示している。
狙撃の世界記録は、これまでにも幾度となく更新されてきたが、その都度、人間と技術の限界を超える試みがなされてきた。
狙撃手は、ただ遠くの目標を撃つだけではなく、厳しい自然環境や心理的なプレッシャーの中で、精密な計算と技術を駆使して任務を遂行する。
風の強さや方向、気温や湿度、さらには地球の自転といった要素を考慮し、一発の射撃で命中させることは、極めて高度な技術を要する。
ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件やモスクワ劇場占拠事件など、歴史に残る瞬間において、狙撃手の技術が重大な影響を与えたことは、狙撃手が持つ力の大きさを物語っている。
次の動画では、命中率94%を誇る最も正確な砲弾「エクスカリバー」について解説しよう。
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