フィンランドとスウェーデンのNATO加盟によるメリットとロシアへの影響
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ロシアによるウクライナ全面侵攻の結果、NATO非加盟国であったフィンランドとスウェーデンは中立を保つ以前の立場から脱却し、加盟を通じた安全保障の求める方向へと舵を切った。

フィンランドは第二次世界大戦終結後、中立主義を採ってきた。

しかし、ロシアによるウクライナへの侵攻は大戦以降で最も衝撃的な出来事となった。

フィンランド政府はNATOへの加盟を申請、翌年3月にはNATOの31番目のメンバー国となった。

フィンランド政府は、NATOへの加盟はフィンランド自体だけでなく、バルト海と北欧地域全体の安定と安全を強化すると評価した。

また、フィンランドの防衛力と危機管理能力がNATOを強化するものと見ている。

さらに、ハンガリーとトルコの議会での承認がまだ完了していないスウェーデンに対しても、なるべく早い段階での加盟がフィンランドの目指すところだ。

NATOの規定では、新たに加盟する国は全加盟国の承認を得なければならない。

スウェーデンとフィンランドは、陸上、海上、航空、そして情報活動という軍事的な領域で、NATOに対して多大な貢献をすると考えられている。

今回は、フィンランドとスウェーデンがNATOに加盟することで得られるメリットについて解説していこう。

しまかぜ

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フィンランドのNATO加盟のメリット

フィンランドがNATOに加わることで、ロシアと接する1344キロメートルの国境を守る軍事力を持つ国がNATOの一部になる。

フィンランドの加盟により、ロシアとNATO加盟国の間の国境線は約2倍に伸びる。

『ミリタリーバランス』によれば、フィンランドの兵力は陸軍が16,000人、海軍が3,500人、空軍が2,700人である。徴兵制度が18歳以上の男性に対して施行され、約550万人の人口から緊急時には約28万人を動員可能だ。

フィンランドの年間軍事費は約60億ドルで、約23,000人の常備軍がある。

徴兵制を採用しており、戦時には28万人まで軍事力を拡大可能で、90万人の予備役が定期的に訓練を行っている。

一部の部隊は最近の戦闘経験を持ち、数名の兵士はアフガニスタンでの西側連合軍として参戦していた。

しかしながら、第二次世界大戦後から現在まで、フィンランドが直接的な軍事的脅威に直面したことはない。

そのため通常編成されている旅団などは訓練用のものだ。

フィンランドは主力戦車約239台を所有し、その中で約179台が稼働可能と見られる。

そのうち、それぞれ約100台を所有するドイツ製のレオパルト 2A4とレオパルト2A6は、支援するためにウクライナに送られた同型の戦車だ。

また、フィンランド軍が保有する数千台の装甲車の中には、スウェーデン製のCV-90歩兵戦闘車が100台以上ある。

これもウクライナに送られたモデルで、世界で最も強力な歩兵戦闘車の一つとされている。

砲兵火力でもフィンランドは優れている。

100基以上の自走砲を保有し、その中には市場で最も人気のある韓国製のK9サンダーも39基含まれている。

さらに、移動式のM270多連装ロケットシステムを29基保有しており、機動性が高いハイマースとともに、ウクライナのロシア軍に対して打撃を与えることが可能だ。

エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランドとともにフィンランドは現在、NATOの対ロシア戦略の最前線を形成している。

55機のアメリカ製戦闘攻撃機F/A-18ホーネットで構成されるフィンランド空軍部隊が、空対空ミサイル「AIM-9サイドワインダー」や空対地巡航ミサイル「AGM-158 」など、アメリカの最新装備を使いながら、同盟国の北東部辺境を監視している。

フィンランド空軍のF/A-18は、2026年から64機のアメリカ製第5世代戦闘機F-35に置き換える計画で、その後継機導入は2030年に完了予定だ。

北極に近いフィンランドのラップランド地方は現在、ヨーロッパ最大のNATO空中戦訓練場となっている。

フィンランド空軍の近代化は進行中であり、特に北欧諸国の空軍と合わせると、「北部の強力な複合戦力」となると考えられている。

フィンランドのバルト海側の海岸線は4442キロに及ぶ。

フィンランドのNATO加盟とスウェーデンの加盟申請により、バルト海は「NATOの湖」となった。

フィンランドの海軍は世界で12番目に大きく、艦隊はミサイル艇8隻と掃海艇10隻を保有している。

同時に、フィンランドと一緒にNATO加盟を申請したスウェーデンの加盟承認の進展も注目されている。

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スウェーデンのNATO加盟に難色

NATOへの参加には30の加盟国から全会一致の賛成が必要となるが、スウェーデンの加盟にトルコは反対している。

スウェーデンの軍事力に関して、NATO加盟国であるトルコは、「対テロ協力」が不十分と主張し、スウェーデンのNATO加盟を一時保留している。

この他にも、ハンガリーもまだ手続きを進行中である。

その理由は、トルコが国内で分離独立を求めるクルド人を「テロリスト」と見なし、厳しく取り締まっている一方で、スウェーデンは多数のクルド人を難民として受け入れ、トルコへの武器輸出を制限しているためだ。

トルコのこのような行動に対する反発から、NATO首脳会議の終わりまでにどのような交渉がまとまるかが焦点となっている。

バルト海に位置するスウェーデンのゴットランド島がNATO軍の基地になれば、この島から約300キロ離れたロシアのカリーニングラードの露艦隊基地の監視や抑止に役立つと思われる。

スウェーデンは長らく軍事的に中立の立場を保ってきたが、ロシアによるウクライナ侵攻を受けてその方針を変え、隣国のフィンランドと共にNATOへの加盟を申請した。

自国のサーブとボフォースという世界的な武器メーカーを持つスウェーデンは、これまでウクライナに多くの武器を提供してきた。

主に、銃火器や携行可能な対戦車兵器であるカールグスタフ、歩兵でも持ち運び可能な対艦ミサイルRBS-17などだ。

また、スウェーデンはロシアの侵略に対抗するため、アーチャー自走榴弾砲をウクライナに供与することを明らかにした。

アーチャーは最強とも言われる自走砲で、発射準備から発射まで全て自動化されており、砲撃地点に到着してからわずか30秒で攻撃が可能だ。

また、最悪の場合、一人でも運用可能だとされている。

しかしながら、その高機能性から、アーチャーを配備しているのはスウェーデン軍のみである。

現在、スウェーデン軍は48両のアーチャーを配備しており、2020年にはさらに24両の追加注文を行い、計72両の配備が予定されている。

この中から12両がウクライナに供給されると見られている。

スウェーデン語で「有翼獅子(ゆうよくじし)」を意味する「グリペン」は、制空から対地攻撃まで可能なマルチロール機であり、比較的安価であるという特徴を持つ。

これは、航続距離やステルス性を妥協することで、コストと性能のバランスを追求した結果である。

武装については、西側標準の対空ミサイルから国産の対艦ミサイルまで、幅広い武器に対応している。

また、現代戦においては、僚機や地上レーダーとの連携が必須となるが、グリペンはこのような戦闘スタイルを前提として設計されており、搭載された電子機器は高い拡張性を持ち、ソフトウェアの更新により対応可能である。

多くの山岳地帯と冬季の豪雪地帯を持つスウェーデンは、これらの地形を利用して戦闘機用ハンガーを各地に建設し、分散配置による全滅のリスクを避けている。

非常時には、これらのハンガーで隠された戦闘機が最寄りの高速道路を利用して離陸する。

そのため、グリペンは雪が降った状態の800m程度の高速道路でも十分に運用可能な短距離離着陸性能を持っており、スウェーデン全土の高速道路を基地とする戦闘機となっている。

スウェーデンとフィンランドのNATO加盟は、地政学的な視点から見ると非常に重要な事象である。

特に、ロシアの近隣国としての位置付け、そして長年にわたる軍事的中立の姿勢を保ってきたこれらの国が加盟を申請するという事実自体が、地域の安全保障環境が大きく変わりつつあることを示している。

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