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海軍史における衝撃的な艦艇事故をご存じだろうか?
過去には、海上自衛隊の護衛艦「くらま」が関門海峡で韓国船と激突し大炎上。
さらに、アメリカ海軍のイージス駆逐艦「フィッツジェラルド」が静岡沖でフィリピン船と衝突し、乗員7名が悲劇的な運命に。
そして2021年、潜水艦「そうりゅう」と貨物船との衝突事故など、これらの事件は海上での技術、訓練、そして対応能力の重要性を強く思い起こさせる。
今回は、過去に起きたこれらの悲劇的な艦艇事故について、その被害と原因を詳しく解説していこう。
この記事に書かれている内容は
艦内650度!21人が負傷した大火災 米海軍の誇り「ボノムリシャール」の悲劇
アメリカ海軍の強襲揚陸艦ボノムリシャールは、海兵隊の上陸作戦をサポートする特化した軍艦だ。
この船は、1,100名の海兵に加え、1,900名の海兵隊員が乗船できる世界最大のワスプ級強襲揚陸艦であった。
海岸線に近づきつつ兵士や装備を安全に上陸させる役割を果たす。
さらに、最新鋭のF-35Bジェット戦闘機を運用することができ、航空攻撃の支援も可能だった。
2012年以降、この艦は日本の佐世保基地を母港にして活動していたが、2020年7月12日には悲劇が襲った。
ボノム・リシャールがサンディエゴ港で保守整備と改修のために停泊していた際、大規模な火災に見舞われた。
船内で発生した火災は約650度に達し、それにより船内のアルミニウムが溶解する事態に至った。
この高温で、船内の配線やプラスチック、その他の可燃物が一瞬にして炎に飲み込まれる状況が生じたのだ。
火事は朝8時30分ごろに始まり、激しい炎と爆発音が特徴で、消火作業は約5日間に及んだ。
この事故により、船の上部構造は甚大な損傷を受け、コントロールルームや船体の下部にも影響が出たが、沈没は免れた。
約160名の乗員と60名の請負業者が乗船しており、21名が負傷した。
火災によって約400万ガロンの重油と100万ガロンの消火用水が漏れ出し、周辺環境にも深刻な影響を及ぼした。
この事例からもわかるように、船の火災はその発火源や燃料により予想を超える被害を引き起こすことがある。
火災の結果、艦の修理には30億ドル以上が必要とされ、5年から7年の時間がかかると見積もられた。
しかし、最終的にはコストパフォーマンスが合わないと判断され、退役が決定された。
ボノムリシャールは過去にも活躍の場を見せ、湾岸戦争やイラク戦争での上陸支援、ハリケーン・カトリーナの救助活動など、数々の重要な任務を遂行してきた。
南シナ海での緊張が中国や北朝鮮との間で高まっている中、ボノム・リシャールの火災事故による機能の喪失は、海軍の作戦能力に大きな打撃を与えるであろう。
関門海峡の悲劇!海上自衛隊「くらま」と韓国船の衝突事故
海上自衛隊の護衛艦「くらま」と韓国籍のコンテナ船「カリナ・スター」が2018年4月9日、関門海峡で激しく衝突する事故が発生した。
この事故により、「くらま」は左舷の後部に重大な損傷を受け、さらには火災まで発生してしまった。
管制官がコンテナ船に対して、狭い航路で貨物船の左舷側を追い越すよう指示したのは、衝突約3分前のことだった。
しかし、この指示は管制センターのマニュアルに反しており、そのマニュアルには狭い航路での追い越しを禁止すると明記されていた。
このため、門司海保は、管制官のこの不適切な指示が事故につながった可能性があると判断した。
そのため関門海峡を北上中の「カリナ・スター」が突如として進路を変えてしまい「くらま」には回避の余地がなく正面から衝突した。
また、衝突時の貨物船の船員は、台風の影響で運航が困難な状況下にあったため、疲労が蓄積していた可能性が指摘されている。
衝突の衝撃で「くらま」の左舷後部が損傷し、海水が侵入。
この海水が発電機にショートを引き起こし、火災が発生したのだ。
さらに、艦首の倉庫に保管されていた塗料に引火し、その火事を鎮火するまでには10時間半もの長い時間が必要だった。
一方で、関与した韓国船は比較的軽微な損傷で済み、負傷者も出なかった。
火災は艦内の一部を煙で満たし、乗組員は一時的な酸素不足に見舞われた。
この事故で乗員6人が負傷し、艦首部分はほとんどが破壊された状態になった。
幸い大きな人的被害はなかったが、火災が船首から前部砲台に及び、もし弾薬庫に延焼していたら、大爆発を引き起こす可能性があった。
消火作業は長時間にわたり、最終的には弾薬庫への延焼を防ぐことができ、誘爆は避けられた。
事故の後、「くらま」は下関市に係留され、損傷確認と修理が行われた後、さらなる修理のため横須賀基地へと回航された。
くらまの修理には約6カ月と9億円以上の費用が投じられることになった。
この衝突事故の影響は大きく、後に貨物船の船長や乗組員は海難審判所での事情聴取を受けるなど、さまざまな調査が行われた。
この事件は、航路の厳守と船員の健康管理の重要性を改めて浮き彫りにした。
米海軍イージス艦大破!浸水区画に閉じ込められた7人の乗員の命
静岡県沖の伊豆半島でアメリカ海軍のイージス駆逐艦「フィッツジェラルド」とフィリピン船籍のコンテナ船「ACXクリスタル」が衝突する重大事故が発生した。
右舷前方に位置する居住区、通信施設、および機械室が大破し、浸水するという深刻な状況に見舞われた。
この悲劇的な出来事で、浸水区画の居住区などからは19歳から37歳の船員7人の尊い命が失われた。
さらに艦長のブライス・ベンソン中佐は、被害が最も甚大だった右舷の上級士官居住区に位置する自らの艦長室で負傷した。
この衝突の際、艦長も船室に閉じ込められたが、他の船員5人がハンマーを使用してドアを破壊し、何とか救出された。
修復に関しては、その費用が約3億9,800万ドルにのぼる見積もりが出されており、この中には高性能なSPY-1Dレーダーの新規購入費用も含まれている。
このレーダーの費用だけで1500万ドル以上が必要とされている。
さらに、上部構造に生じたゆがみがSPY-1レーダーの機能に悪影響を及ぼす可能性があるため、修復の必要性については疑問を持つ声も上がった。
一方で、衝突を受けた「ACXクリスタル」は船首に損傷を受けたものの、乗組員20人の中で負傷者は出ていない。
事故前に「ACXクリスタル」が不可解なUターンを行っており、その理由についてはまだ明らかになっていない。
重大な事故の責任を問う形で、アメリカ海軍は「フィッツジェラルド」の艦長を解任し、他にも十数名の船員に対する処分が行われた。
海事法では、右舷側にいる船に進路を譲るべきとされており、事故発生時に右舷側に損傷を受けていたフィッツジェラルドにも一定の責任があるとされている。
フィッツジェラルドは、東日本大震災が発生した際、被災地の救援活動「トモダチ作戦」に積極的に参加した。この作戦では、行方不明者の捜索や救助活動を行うと同時に、必要な物資の輸送を担う重要な役割を果たした。
この事故は、航海の安全管理や船員の疲労度について重要な問題提起を行っており、今後の海上での安全対策強化につながる可能性がある。
潜水艦「そうりゅう」大事故!貨物船との衝突で乗組員3名負傷、通信断絶
2021年2月6日、潜水艦「そうりゅう」は約90名の乗組員を乗せ、広島県呉市の潜水艦基地を出港した。
この航海は、船体修理後の長期メンテナンス後に乗組員のスキルを再び高めることが目的だった。
この時、貨物船「オーシャン・アルテミス」は、船長を含む20名の乗組員と共に中国の青島から岡山県倉敷市の水島港へ向かっていた。
全長229メートルの「オーシャン・アルテミス」は、海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」とほぼ同じサイズである。
2月8日午前10時55分頃、高知県足摺岬の南東約50キロの太平洋上で、「そうりゅう」は潜望鏡を出すために海面近くまで浮上しようとしていた。
潜望鏡やアンテナを海面に現すこの深度は「露頂」と呼ばれる。
そこで、後方から接近してきた「オーシャン・アルテミス」が「そうりゅう」の右側面に接触したのだ。
「そうりゅう」は全長84メートルで、対する「オーシャン・アルテミス」の全長は229メートル。
これは、軽自動車と大型トラックが衝突するようなもので、重量も3,000トン対50,000トンと大きな差があった。
衝突により「そうりゅう」には大きな衝撃が走り、乗組員3名が怪我を負い、艦橋右側と「潜舵」が破損した。
また、通信アンテナも損傷し、外部との通信能力を失う事態に陥った。
事故発生から約3時間20分後の午後2時20分頃、「そうりゅう」は携帯電話が使えるエリアに移動し、第1潜水隊群に状況を報告した。
一方、「オーシャン・アルテミス」のダメージは船首付近に擦過痕と約20センチの亀裂が見られる程度で、大きな問題はなく、その場を離れた。
この衝突事故の主因は、潜水艦「そうりゅう」が浮上手続き中に、ソーナーで探知した「オーシャン・アルテミス」の音波を他の遠くの船と誤認したことにある。
「そうりゅう」は浮上前にソーナーを使用して周囲の音を確認していたが、特定のエンジン音を検知できなかったため、安全だと判断し、近隣に船はいないと結論づけた。
これらの事象は、技術、訓練、そして対応能力の重要性を強く思い起こさせる。
特に深海での操作は常に危険と隣り合わせであり、乗組員の安全が最優先事項となる。
最後に、全ての乗組員の安全を祈りつつ、今この瞬間にも日本の海の平和と安全を守ってくれている自衛官たちの存在を忘れてはならない。
彼らの尽力と献身があってこそ、我々は安心して日常を過ごすことができるのだ。
次の動画では、脱出不可能な深海で起きた潜水艦の悲劇的な事故について解説しよう。
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