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輸送機からミサイルの雨を降らす兵器をご存じだろうか?
その兵器の名は、アメリカ空軍が開発した「ラピッド・ドラゴン」である。
現代の軍事戦略において、輸送機の役割とその進化は重要なものとなっている。
輸送機は単に人員や物資を運搬するだけでなく、戦略的および戦術的な軍用機としての機能を担い、多様な任務を遂行している
今回は、輸送機の概念を一新した新兵器「ラピッド・ドラゴン」について、その仕組みと使用方法、そして最新の技術開発について解説していこう。
この内容は動画でも見れるよ!
輸送機の進化!現代戦の新たな主役
輸送機は、人員や物資の輸送を目的とする軍用機である。
空軍による空輸任務は、大きく分けて戦略空輸と戦術空輸に分けられる。
戦略空輸は、物資を、ある地域から別の活動地域に空輸する任務である。
後方の補給基地から、前線の集積基地に運び込むもので、通常は大量の物資を長距離輸送することになる。
一方、戦術空輸は、集積施設に運ばれた物資をさらに前線に輸送して、末端の部隊に兵員や、物資などを輸送するものである。
固定翼機が着陸できないような場所への補給では、空中投下が実施される。
また平時においては、各基地間での物資や人員の輸送などの業務も行っているほか、空中給油機も、輸送任務を兼用することがある。
例えば航空自衛隊では、KC-767を「空中給油・輸送機」と呼称している。
輸送機には攻撃用として改良された機種も存在しており、これは「ガンシップ」と呼ばれている。
ガンシップとは、アメリカ空軍がベトナム戦争中に南ベトナム解放民族戦線への対抗策の一環として、歩兵などへの攻撃を目的として輸送機の機体を流用し開発した攻撃機である。
ガンシップは、攻撃目標に対して低空左旋回を行いながら、胴体内部に装備した7.62mmミニガンや20mmバルカン砲などで攻撃することが可能となっている。
地上からの対空機関砲やミサイル攻撃への対処として、主要部分に装甲を施すとともにチャフや電子妨害などの防御システムが装備されている。
しかし、低空における機動性の低いガンシップの生存性向上には限界がある。
ガンシップは、敵戦闘機や防空兵器に対しては無力であり、絶対的な航空優勢を確保しなければ機体の安全が望めない。
また、機体そのものが高価なこともあり、大規模にガンシップを運用できるのは、アメリカ軍のみである。
近年では、装備を火砲からマーベリックや、ヘルファイアなど空対地ミサイルに切り替えている。
輸送機を使用するメリットは機体が大型の為、弾薬を大量に搭載できる点である。
このガンシップの発想を受け継いで、新たに登場したのが、革新的弾薬パレットである「ラピッド・ドラゴン」だ。
米空軍の新兵器!ラピッド・ドラゴンとは何か?
「ラピッド・ドラゴン」は、米空軍とロッキード・マーティン社が開発を進めている装備であり、輸送機が物資を空中投下するのと同じ要領で、巡航ミサイルをプラットフォームから投下・発射することのできる弾薬兵器システムだ。
輸送機は本来、戦闘には参加せず、後方における空輸を行うことが主任務である。
そのため攻撃機能は保有していない。
その輸送機を改良無しで、攻撃能力を付与させ、攻撃機化することができる装備だ。
国防総省、空軍司令部、戦略的開発計画および実験局、空軍研究所の下、2019年12月にラピッド・ドラゴンの、研究プログラムが発足された。
C-130やC-17には、爆撃機のようなウェポンベイや、主翼にミサイルや爆弾を懸架するためのハードポイントは設置されてない。
ラピッド・ドラゴンでは長距離巡航ミサイルが使用される。
射程1000kmを有し、スタンドオフ攻撃が可能な精密誘導の巡航ミサイルである。
通常のミサイルとは違い、巡航ミサイルは長射程であるため、敵からの攻撃を受ける心配はなく、輸送機でも安全な領域から攻撃が可能だ。
米空軍は、輸送機を必要に応じて攻撃兵器の運搬機に変身させる「アーセナルプレーン構想」を進めている。
ラピッド・ドラゴンの、投下の手順としては、まず、ラピッド・ドラゴンシステムを搭載した標準パレットを後部貨物扉から空中に投下させたのちに、パラシュートが開き、パレットの落下姿勢を安定させる。
その後、ラックに収納されているミサイルが垂直に分離し落下する。
そして、ラックから分離されたミサイルは折りたたまれていた主翼と垂直尾翼を展開してエンジン点火後に目標に向かって飛行していくという方式である。
米空軍は飛行中のC-130Jからラピッド・ドラゴンを搭載したパレットを投下して想定通り分離することを確認したと発表した。
ラピッド・ドラゴンから分離されたミサイルは、主翼と垂直尾翼を展開して安定した飛行姿勢を保つことに成功し、目標に命中することが確認された。
輸送機の新戦略「ラピッド・ドラゴン」による飽和攻撃
ラピッド・ドラゴンは、サイズの異なる兵器の空中投下にも対応できる可能性もあり、小型無人航空機を大量に搭載して空中投下すれば、戦局を有利に進めることができるという意見もある。
今後登場してくる新兵器のプラットフォームとなる可能性を秘めていると言えるだろう。
C-17輸送機の場合、ラピッド・ドラゴンのラックを3段×3列で搭載した標準パレットを4枚搭載可能で計36発、C-130輸送機なら2段×3列で搭載した標準パレットを2枚搭載可能であり、ミサイルを計12発運搬することが可能となる。
アメリカ空軍のB-1B爆撃機が搭載可能なミサイルが24発であることを考えると、爆撃機以上の数の搭載が可能ということになる。
新たな兵器が開発されたわけではなく、既存の輸送機と巡航ミサイルを融合させることにより、多数の巡航ミサイルによる飽和攻撃が可能となるのである。
地上や艦艇から発射するより、航空機から発射される巡航ミサイルの方が、遥かに広範囲の目標を攻撃することが可能であり、柔軟な作戦も行えることを考えると、将来的にも極めて有効な兵器となるであろう。
現在、世界において爆撃機を保有している国は、アメリカ、ロシア、中国の3国のみである。
爆撃機を保有していないその他の国々、はラピッド・ドラゴンを導入することで、爆撃機と同等あるいは、それ以上の攻撃力を持たせることできるため、輸送機の新たな戦略的運用が可能となってくるのである。
ただし、爆弾や空対地ミサイル、空対艦ミサイルなどは搭載できないことを考えると、必ずしも爆撃機にとって代わる存在になるとは言い切れない。
しかし、これを使用すれば爆撃機の補助戦力としての輸送機を使用することは可能である。
搭載する輸送機には、目標情報の入力に使用される戦闘管理システムの追加装備が必要となるが、機体に対する改修は必要としない。
また巡航ミサイルは、長射程であり敵国の基地を攻撃可能な点を考えてみても、抑止力を高める効果十分にあると思われる。
航空自衛隊C-2輸送機にミサイル搭載計画
防衛省は、敵基地攻撃能力の一環として航空自衛隊のC-2輸送機に長射程ミサイルを搭載させることを検討している。
敵の射程外から攻撃する「スタンド・オフ防衛能力」を持たせることが目標であり、ミサイルを積んだ容器を投下させ、空中でエンジンに点火、発射させる方式であり、アメリカ軍と同様の技術開発が進んでいる。
2023年度予算に関連経費として約36億円が計上され、24年度まで技術研究を行った後、本格的な開発に着手する見通しだ。
搭載するミサイルについてはF15戦闘機用として導入される、射程約900キロの米国製「JASSM」や、開発中の約1000キロの射程を持つ国産ミサイル「12式地対艦誘導弾」改良型の航空機発射型が候補となっている。
スタンド・オフ防衛では、陸上自衛隊の地上発射機や海上自衛隊の護衛艦、空自の戦闘機が遠方から侵攻部隊を迎撃することを想定している。
Cー2は輸送機であるため、多くのミサイル搭載が見込まれる上に航続距離が長く、長時間空域にとどまることが可能だ。
迎撃手段が広がれば、相手にとって侵攻の難易度が増す。
政府は、昨年策定した防衛力整備計画に「発射プラットフォームのさらなる多様化」を明記し、輸送機搭載システムの検討を盛り込んでいる。
このような攻撃兵器の導入に関しては日本では一部において
「戦争を誘発する危険な行為だ」
「戦争をしたいのか?」
といった発言が散見されるが、「戦争をしたい」などと考えている日本人など、おそらく一人もいないだろう。
いざ戦争が始まれば、真っ先に命の危険にさらされ、多くの仲間を失うことになるそんな戦争を、好んでやろうとする自衛隊員がどこにいるのだろうか?
一番国の平和を願っているのは彼らではないのか?
国防の本来の目的は「いかに戦うか?」ではなく「いかにすれば戦わなくて済むのか?」である。
戦闘が行われるという事は、日頃の防衛体制が不十分であり、油断していた証拠であり、敵国に付け入る余地を与えていることを放置していた結果とも言えるだろう。
国防は「戦争をするため」ではなく「戦争をさせないため」に行うものなのである。
次の動画では、艦艇を1撃で撃沈するアメリカ空軍の新兵器「クイックシンク」について解説しよう。
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