オスプレイV-22が自衛隊「木更津駐屯地」に配備!その任務とは?
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「オスプレイ」という航空機の名前をニュースなどで聞いたことがある人は多いだろう。

滑走路がない場所からでもヘリのように垂直離着陸でき、飛び立ったあとはエンジンを横向きにして高速で飛行できる輸送機である。

航空機には大きく2 種類のタイプがあり、翼のある飛行機が固定翼機、ヘリコプターを回転翼機と呼ぶ。

オスプレイはこの両方を兼ね備えた航空機であり、この方式は世界でもオスプレイが始めて実用化されたものである。

オスプレイが誕生したきっかけとなったのが、1980年イランのアメリカ大使館から人質を救出するために行われた「イーグル・クロー作戦」の失敗である。

Operation Eagle Claw, a Plot Foiled by God - Khamenei.ir

この作戦では、人質奪還のためにヘリコプターが使用されたが、航続距離が短いため途中で給油の必要があった。

しかし、中東のすさまじい砂嵐に見舞われ作戦は中止。

さらに撤退中に砂嵐の影響で給油機 C-130 に接触し大炎上、多数の死傷者を出したという事件だ。

この作戦が失敗したことにより、ヘリではなく高速で長距離を移動でき、垂直離着陸ができる航空機の必要性が浮き彫りとなった。

それを可能にするのがオスプレイだ。

The Supreme Guide to the Bell Boeing V-22 Osprey Infographic

今回はオスプレイ V-22 について、そのスペックと任務、島嶼奪還(とうしょだっかん)作戦、また、オスプレイならではの操縦の難しさなどを解説していこう。

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オスプレイV-22がついに日本に配備!

運搬船「グリーンリッジ」から山口県…:垂直離着陸機V22オスプレイ 写真特集:時事ドットコム

2012年、2機のオスプレイ V-22 がアメリカから自動車運搬船「グリーンリッジ」で岩国基地に輸送された。

機体整備を行ったのち、2020年7月に陸上自衛隊、木更津駐屯地に配備され、ついに日本での活動がはじまったのだ。

岩国基地から木更津駐屯地までの距離は約 800km、オスプレイは途中燃料補給をせず、約2時間で到着できる高速性と飛行性能を備えている。

予定では今後、合計5機のオスプレイが配備されることとなっている。

オスプレイには海兵隊向けの MV-22B、空軍向けの CV-22B、海軍向けの CM-22Bの3のタイプがある。

そして、日本に配備されるオスプレイは MV-22Bの最新版である V-22だ。

当初は水陸機動団がある九州の佐賀空港に駐屯地が作られ、そこに配備される予定であったが、

地元住民との調整が難航したため、木更津駐屯地に5年間の期間限定で暫定配備されることとなった。

オスプレイ配備計画>木更津配備の時期未定に コロナ影響で整備見通せず|行政・社会|佐賀新聞ニュース|佐賀新聞LiVE

パイロットや整備員の養成については、2016年からアメリカのノースカロライナ州「海兵隊航空基地」に派遣され、オスプレイに関する操縦や整備に関する知識と技能を身につけるための教育を受けている。

Becoming a Marine Corps Pilot

オスプレイは特殊な飛行形態のため、パイロットは非常に難しい操縦を習得しなければならない。

では、そんなオスプレイのスペックはどのようになっているのか見てみよう。

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オスプレイ V-22 のスペックを解説

Japanese Self-Defense Forces began V-22 flight operations marking the first international partner to fly the US military aircraft – The Aviation Geek Club

オスプレイのスペックはこのようになっている。

オスプレイのスペック

・全長 17.5m、全幅 15.2m
・プロペラ直径11.6m
・巡航速度約460km
・最高速度約509km
・搭載能力1万2000kg
・航続距離約1700km
・搭乗員3名
・その他24名搭乗可能

エンジンはロールスロイス製のターボプロップエンジンが搭載されており6150 馬力を発生する。

燃料タンクは約 6500L が搭載可能であるが、南西諸島など島が多く距離の長いエリアで活動することを考慮し1000Lのタンクを追加で装備し航続距離を伸ばすことができる。

さらに空中給油プローブがあるため、作戦飛行中に給油機 KC-130 などから飛行しながら給油を受けることも可能だ。

Bell Boeing V-22 Osprey Deploys Refueling Equipment In Flight Test | DefenceTalk

このようにオスプレイは高速性や航続距離などヘリコプターではかなわない性能を誇る。

ただ、オスプレイは攻撃機ではないため、ミサイルや機銃などの武器は装備されておらず、自己防御のためのミサイル警報装置や敵ミサイルから追尾を外すために発射されるデコイと呼ばれるチャフやフレアといった「おとり」が装備されている。

他には、偵察のための赤外線を用いた暗視装置や各種通信用アンテナが装備されている。

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オスプレイの操縦がなぜ難しいのか?

オスプレイは固定翼と回転翼の2種類の飛行形態があるため、他の航空機とは違った独自の操縦装置がある。

それがエンジンを横向きにから上向き、もしくはその逆にする装置で、これはパイロットが手動で行う必要がある。

上向きにした場合、垂直離着陸やホバリング状態などヘリモードとなり、ヘリコプターに似た操縦方法になる。

例えば、固定翼の場合、風を後ろから受けることは速力の増加などメリットになるが、ヘリコプターの場合、追い風はホバリングを不安定にさせ、操縦が難しくなるため禁止されている。

また、追い風を受けている中でのエンジンの転換操縦は危険なため行ってはならない。

オスプレイは固定翼と回転翼のメリットを兼ね備えた航空機であるが、垂直離陸から水平飛行への移行時がもっとも不安定で操縦も難しく、パイロットは厳しい訓練を受け、これらを熟知して操縦しているのだ。

オスプレイの概要が分かったところで、その任務について解説していこう。

オスプレイの任務① 占領された尖閣を取り戻せ!

Senakaku/Diaoyu dispute: Japan votes to change status of islands also claimed by China - CNN

日本は大小合わせて多くの島からなる国である。

とくに南西諸島海域では近年、中国の勢力が拡大しており、万が一尖閣諸島などに上陸され侵攻を許してまった場合に奪還する必要が出てくる。

その時に、揚陸部隊の水陸両用車や揚陸艇、ヘリコプターなどと共同で、島嶼奪還作戦を行うのがオスプレイ V-22の任務である。

南北に長い日本列島は、南西諸島だけで 1200km にも及ぶ。

この距離は、札幌から熊本までに相当し、この区城内だけでも離島は2500、有人島は200 にも及び、南西諸島をカバーするには、高速で長距離を移動できるオスプレイの飛行性能が作戦のカギを握ることになる。

佐賀空港から飛び立ったオスプレイは佐世保の相浦駐屯地で水陸機動団の隊員を搭乗させて、南西諸島を目指す。

途中、海上自衛隊の護衛艦に着艦し燃料補給を行った後、占領された島を目指し奪還作戦を決行する。というシナリオが予想される。

水陸機動団も使うAAV7が米軍で沈没事故、1人死亡、8人が行方不明│ミリレポ|ミリタリー関係の総合メディア

水陸機動団は2018年3月27日に陸上自衛隊で発足し、水陸両用車 AAV7や偵察ボートを保有しており、中国などが尖閣諸島を占領した際に、上陸して奪還作戦を決行する部隊である。

まさにアメリカ海兵隊の日本バージョンである。2019年の国際演習のため、海外でアメリカ海兵隊と共同訓練を実施、隊員達は日々厳しい訓練を行っており練度も向上している。

オスプレイの任務② 災害派遣死傷者多数!現場へ急行せよ

地震や津波、台風などの災害派遣といえば通常ヘリコプターでの救助や物資の運搬が一般的である。

しかし、オスプレイもヘリコプターと同じような任務を行うことが可能だ。

その理由はヘリコプターのよりも速力が速く、また垂直離着陸が可能なため、飛行場がない場所でも救助や物資輸送が行うことができる点である。

また、離島などで急患が発生した場合のドクターヘリの代わりとしてもオスプレイが活躍する。

滑走路のない小さな島でも着陸することができ、飛行中はヘリコプターよりも高速で長距離を輸送できるため、目的の病院まで速やかに送り届けることもできる。

キャビンには 24名の乗員を乗せることができるが、担架の場合 12 床まで設置でき、災害で発生したケガ人を固定して病院に送ることもできる。

Bell-Boeing V-22 "Osprey" | Osprey, Starship design, Boeing

2010年6月に、アフガニスタンで作戦に参加していた多国籍軍のヘリコプターが不時着した際、2機のオスプレイが救助に向かった。

最短距離で現場に向かうため、山脈を越えるため高度約4500mを飛行し、片道640km もの距離をわずか4時間で往復し32名のアメリカ兵を救出した。

オスプレイV-22  まとめ

ついに日本でもオスプレイが導入され、日の丸オスプレイが大空をはばたく日がやってきた。

配備まで数多くの困難を乗り越え、準備を進めてきた関係者や隊員達は大きな喜びとともに、航空安全に対する意識をさらに引き締めているであろう。

今後、災害派遣や急患輸送などでオスプレイV-22 が活躍するニュースを見ることがあるかもしれない。

また、いつやってくるか分からない有事に備えて、水陸機動団と連携して日々訓練を行っている隊員達。

オスプレイの主任務は水陸機動団の輸送支援であるため、その駐屯地が4つある九州への配備が一番効率的ではあるものの、住民との調整が難航している

せっかくの性能や優秀な隊員達がそろっていても、訓練環境がベストでなく、規制により十分な運用ができなければ宝の持ち腐れとなってしまう。

近年の中国の動向を見るかぎり、日本の安全保障のためにも、効率のいい運用やオスプレイの能力を最大限発揮できる環境が整うことを望む。

また、我が国の安全を守るために、日々厳しい訓練を行っている隊員達がいることも忘れてはならない。

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