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2023年4月20日、オランダとデンマークは、ドイツ製の戦車「レオパルト2」A4型14両の共同購入に合意したことを発表した。
今回の供与で、ウクライナに対してEU諸国が提供したレオパルト2は85両となった。
希望していた100両には届いていないが、かなりの数のレオパルト2がウクライナに届くことになる。
85両となると、旅団1つに完全配備が可能な数だ。
今回の共同購入の14両が到着するのは2024年になるようだが、反攻作戦で破壊される戦車の補充にはなると考えられている。
レオパルト2は西側諸国で広く使われている戦車で、ウクライナ側の反攻作戦の要となる可能性が高い機種だ。
今回は、そのレオパルト2の強さの秘密のほか、ウクライナに専用工場が計画されていることについて解説していこう。
この記事に書かれている内容は
世界最強の戦車レオパルト2の特徴
レオパルト2は、アメリアkのM1エイブラムスと並び、攻撃力と防御力、機動力の3つが高い水準で均衡のとれた「世界最強の戦車」と言われている。
レオパルト2が搭載する120ミリ滑腔(かっこう)砲はロシアの戦車の装甲を貫通する攻撃力を持っている。
滑腔砲は1950年代に開発が始まり、世界に先駆けてソ連の戦車が実戦配備した。
滑腔砲は、砲弾が殆ど回転せず飛翔するため、安定系の砲弾に向いている。
レオパルト2は、1979年にドイツで開発された戦車だ。
この年は東西冷戦の真っ只中であり、西ドイツがソ連を中心とした東側諸国と戦うために大量生産された。
しかし、東西冷戦は1991年に終結。
大量の戦車は維持管理のコストがかかるため、早急にお役御免となった。
そこで中古戦車市場に安価で放出され、ドイツブランドも相まって西側諸国に広まった戦車である。
現在ではNATO16ヵ国がレオパルト2を合計2300両保有している。
ギリシャ353両
スペイン327両
ドイツ321両
トルコ316両
ポーランド247両
フィンランド200両など
なぜここまでNATOで使われているのだろうか?
その背景には、ドイツ製への信頼感とサポート体制、さらにディーゼルエンジンという使いやすさも背景にある。
レオパルト2は堅実な戦車だが、状況に応じて改造の余地を残している戦車でもある。
改造・改修は購入した国自ら行うこともできるが、メーカーとドイツ政府が仕様変更などに応じている。
また、多くの国に広まって使われており、管理や訓練がしやすくなっている。
各国で使用のノウハウが蓄積されているため、さらに広まりやすくなったといえるだろう。
ディーゼルエンジンを使っているという点も使いやすさに磨きをかけている。
ディーゼルエンジンはガソリンエンジンにくらべ燃費効率が良い。
また、ディーゼルエンジンに使われる軽油は引火しにくいため、攻撃されても爆発炎上のリスクが低くなる。
最高速度は68キロメートル、燃料タンクは1160リットルで、燃費も比較的良いとされる。
リスク管理や運用コストの点でも、レオパルト2は優れているといえるだろう。
現在主に使用されているレオパルト2は、A4(従来型)A6(最新型)の2種類だ。
T-72を主力とするロシア側は「A4には勝てる」と豪語している。
確かにロシアのT-90戦車と比較した場合、A4よりも上ではないかという指摘も一部ある。
そのため、最新型のA6混在の戦車部隊がどう活躍するのか注目されている。
ドイツがウクライナにレオパルト2の工場を計画
レオパルト2を生産しているドイツの防衛産業会社「ラインメタル」が、ウクライナ国内に戦車生産工場の開設を計画していると明かした。
年間400台もの生産スピードを想定しており、ウクライナ国内への迅速な戦車供給を見越している。
また、この工場ではレオパルト2だけでなく、最新鋭のデジタル化戦車「パンター」の生産も可能とのこと。
生産工場ができるということは修理拠点にもなる。
レオパルトを中心としたウクライナの戦車戦力が変わるときが近いだろう。
そこで気になるのがロシアへの影響だ。
ロシア側はこのニュースに対してミサイル攻撃を示唆するような声明を発表したが、それを見越してラインメタルは防空システムの設置された場所に開設する予定とも明かしている。
ロシアに対しても警戒を緩めない方針だ。
また、それに先んじてラインメタルは、ウクライナとの国境にほど近いルーマニア北部サトゥマーレ近郊に整備拠点の開設を進めている。
ここで整備されるのはレオパルト2だけでなく、自走榴弾砲や歩兵戦闘車「マルダー」などだ。
装甲兵員輸送車、軍用トラックなどの輸送車両も対応できる。
さらにNATOの戦闘車両にも対応できるため、NATOからウクライナへ送られる戦闘車両をピストン式に整備して送り込むこともできるようになった。
まさにNATO側からの後方支援の要となるだろう。
レオパルト2生産拠点が開設されるまでにここで整備や改修を行えれば、戦闘車両の配備・補充もスムーズとなる。
NATO諸国が現在供与している戦車は、実は一気に送ることができていない。
長年使っていなかったり、現在の戦闘に合っていなかったりと改修・修理が必要なためだ。
現在も続々と修理・改修を終えたものから輸送が開始されている。
今回この拠点ができれば、さらにスムーズにウクライナへの戦車供与が進むだろう。
被弾した戦車を回収するARVの役割
戦車を使う戦場では、実は「戦車回収車(ARV)」という車両が活躍しているのをご存知だろうか。
戦車回収車とは、文字通り戦車を回収する車両のことだ。
戦車は破壊されたり電子制御が不可能になり自力での走行ができなくなると、まず人力での回収は不可能だ。
また、自重によってぬかるみにはまって身動きできなくなってしまったり、爆撃や地雷などによってひっくり返ってしまうこともある。
それらを回収・修理できれば、戦車部隊の維持管理が可能だ。
そのためには戦車を回収する車両が必要となる。
そこで作られたのが戦車回収車である。
戦車回収車は戦車部隊の要ともいわれるほど重要な車両だ。
回収だけならトラックで牽引することも可能かもしれないが、大型化・重量化が進んだ現代戦車を牽引できる馬力のトラックはそれほど多くない。
そのため「戦車を回収するための特殊車両」が必要になったといういきさつである。
現代の戦車回収車はキャタピラ走行が主流で、見た目はさほど戦車と変わりない。
ほとんどの戦車回収車が、そのパワーを利用するために戦車を改造して作られたものだからだ。
また、現代になって開発された戦車は、戦車回収車とセットで開発されることも多い。
砲塔をなくす代わりに専用の牽引・吊り上げ装置を配備することが多いため、払い下げになった戦車回収車は重量物牽引車としても使える。
実は、戦車回収車はウクライナでも活躍しているようだ。
ウクライナ軍ではロシア側戦力から接収したT-62旧式戦車を改造し、T-62の形をしたARVに仕立て上げた。
T-62はキャタピラを用いているため、戦車の走れる場所なら随行できる。
戦車部隊と随行すれば、いざ戦車が動けなくなっても救出できるし、敵戦力の戦車を回収して自陣の戦力とすることも可能だ。
元々ARVがさほど多くなかったウクライナ軍では、T-62のパワーを活かした貴重なARV戦力となりつつある。
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