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海上自衛隊には艦艇や潜水艦の他に、海から浜辺に戦車や人員を上陸させるLCAC(エルキャック)と呼ばれるビークルがある。
LCACとはエアクッション方式の、いわゆるホバークラフトのことである。
災害派遣や水陸両用戦訓練で活躍しており、海上自衛隊に6艇配備されており、輸送艦に2隻ずつ搭載できる。
乗組員には高度な技術が求められ、航空機を操縦するのと同様に操縦士は常に厳しい訓練を行っている。
LCACの本来の任務は、占領された島の奪還作戦でビーチングを行うことだ。
今回は、海上自衛隊の中でも特殊な乗り物であるLCACの性能や実戦での作戦、また災害派遣での活躍について解説していこう。
LCACの迫力の水上走行や上陸の様子が動画でも見られるのでお楽しみに!
海上自衛隊のLCAC(エルキャック)とはどのような乗り物か?
LCACとはアメリカ海軍と海上自衛隊で使用されているエアクッション方式の揚陸艇、いわゆるホバークラフトである。
船体底部のラバー製構造物に空気を注入し、噴出して浮き上がる仕組みだ。
「Landing Craft Air Cushion」の頭文字からLCAC(エルキャック)と呼ばれている。
LCACのスペックはこのようになっている。
全長:26.80m 最大幅:14.33m
吃水:0.78 m
満載排水量:166.6トン
主機:ガスタービンエンジン×4基
出力:15,000馬力
最大速力:74㎞
搭載可能重量:50トン
航続距離:約190㎞
乗員:5名
LCACは水上航行のほか、波打ち際や砂浜などもそのまま航行できる乗り物で、プロペラによって推進力を得て、出力は15,000馬力であり約40ノット(時速約74km)の速度で航行することが可能だ。
最大で約50トンの物資を揚陸できる能力を持つため、M1エイブラムス戦車や90式戦車なら1両、水陸両用車のAAV7であれば3両、LAV装輪装甲車ならば4両を積載して上陸地点まで運搬することができる。
車両甲板はプロペラによる騒音や風圧が非常に大きいため、そのままでは人員を搭載することができないが、人員輸送用のモジュールを用いることで民間人なら最大約180名を一度に輸送することが可能となっており、災害時などにも活躍する。
海上自衛隊では上陸作戦や物資等を陸揚げする揚陸作戦用途に向けて、緊急時の対応や維持整備上の観点などから国内産とする予定であった。
しかし、調達コストやライフサイクルコストの低減、既存の教育体系を活用できるメリットなどが評価され、米国の製造企業からLCACを一般輸入することとなった。
海上自衛隊は6艇のLCACを保有しており、輸送艦「おおすみ」「しもきた」「くにさき」に2艇ずつ収容されている。
導入当初はおおすみ型輸送艦の搭載艇扱いとされていたが、2004年より第1輸送隊第1エアクッション艇隊が編成されて自衛艦籍に編入。
これにより、状況に応じて母艦搭載を変更できる柔軟な運用が可能となっている。
また、喫水0mなので海中の障害物の影響を受けずに運用が可能であるため、災害時の人員・物資のピストン輸送などでも威力を見せる。
実戦でLCACはどのような作戦に使用するのか?
LCACは上陸戦や揚陸作戦などで、兵員や車両といった上陸部隊を乗せて短い距離を搬送し、岸辺に接舷または直接乗り上げて上陸させるために用いられる。
上陸用舟艇は第一次世界大戦と第二次世界大戦の間に世界各国で研究が進められ、船首を形成する板が前方に倒れて渡し板となる典型的な方式が開発された。
人員輸送用の小型のものから複数の戦車を輸送可能なものまで、様々な種類の舟艇が実用化されている。
上陸用舟艇は欧州西部戦線における米英のノルマンディー上陸作戦をはじめ、日中戦争における日本の上陸作戦、太平洋戦線における日米英の各上陸作戦などの多くの上陸作戦で使用された。
適度な輸送能力をもち運航が容易であったことから揚陸任務や雑用任務など幅広く用いられている。
エアクッション艇方式は、一般的な船舶では侵入が難しい浅瀬や海岸、湿地などでの行動を可能にするうえ、高速で航行出来ることなどから軍事作戦の幅を拡大させるものとして、第二次世界大戦後に実用化され広まっている。
かつては主に近海・浅海域や河川の哨戒などで投入されていたが、大型化・高性能化が進んだ現在では揚陸時の輸送任務においても大きな役割を担っている。
通常、エアクッション艇は母艦となる揚陸艇と共に運用される場合が多いが、沿岸警備隊が運用するケースもあり、この場合は揚陸任務のほかに港湾を持たない島への各種輸送任務も兼ねている。
LCACには自衛用として設けられた銃座が3箇所あり、汎用機関銃を1箇所に搭載し、残り2箇所には汎用機関銃のほかに重機関銃や自動擲弾銃などを搭載することができる。
また、火力支援用としての用途も模索されており、ガトリング砲の搭載が試みられているほか、ロケット弾や対戦車ミサイルの搭載も検討されている。
災害派遣で活躍したLCAC
空気圧によって浮上し、プロペラの風力で移動するエアクッション艇であるLCACは、海上作戦輸送などの軍事行動のみならず、平時においては国際緊急援助活動や在外邦人等輸送、災害派遣、国際平和維持活動等にも対応しており、大規模災害時の救援活動などでも目覚ましい活躍をみせている。
甚大な被害を出した東日本大震災では、建物の倒壊や土砂崩れ、道路の陥没などにより陸路は寸断されており、陸上自衛隊や警察、消防などが車両で被災地に到達するることが困難な状況であった。
また、巨大な津波に襲われた海岸部においては港湾が壊滅状態となっていたり、海中には飲み込まれた建造物や船舶、車両などの瓦礫が堆積・散乱していたために、通常の艦艇では接岸も不可能な状態となっていた。
このような、通常の方法では容易く被災地に近づくことができない状況の中、沖合に停泊させた輸送艦から発進させたLCACが衣料品や生活物資を届けたり、住民の輸送などを行うピストン輸送航行で活躍した。
災害時は生活支援の手段としての機能を果たしており、LCACが世間の注目を浴びた出来事でもあった。
海中の障害物の影響を受けることなく、輸送艦から海岸へと乗り入れられるエアクッション艇のLCACは、災害の多い日本においては災害対応の場が今後も増えていくものであろうと考えられている。
事実、地方自治体との防災訓練は年々増加傾向にあり、物資輸送やLCAC操縦士養成などの訓練等に加え、訓練を含む海外派遣があった場合に、現在の輸送艦3隻体勢では対応が困難になりつつある。
また、東日本大震災時には海上自衛隊と陸上自衛隊の連携が上手く取れていなかった面もあるため、今後起こりうるであろう災害に備えるためにも、よりスムーズでスピーディな対応を可能とするための様々な取り組みが必要とされている。
LCAC まとめ
エアクッション艇は「夢の乗り物」といわれ、近未来の交通機関として民間旅客用にも用いられており、日本各地での運航もあったことから乗船した経験がある方もいるだろう。
欠点が次第に判明するにしたがい、民間交通としては次第に休止や廃止されていってしまったが、レジャー用途などでは愛好者も少なくない。
また、軍用用途でのエアクッション艇は徐々に活躍の場を広げており、軍事行動のみならず救援活動の重要なファクターとして注目されいてる乗り物である。
災害大国である日本においては、東日本大震災での活躍が認められて以降、LCACは救援行動の要として活動の範囲を広げていく可能性が高いと考えられるため、より柔軟な運用を可能とする環境などを整える時期が来ているのかもしれない。
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