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海上自衛隊では現在、ヘリコプター搭載護衛艦「いずも」と「かが」の二隻を空母として使用できるよう改修が行われている。
搭載する航空機としては、最新鋭のステルス戦闘機であるF-35Bが予定されている。
すでに、いずもの第一回目の改修は終了しており、岩国基地所属の米海兵隊のF-35B戦闘機による離発着試験が行われた。
太平洋戦争が始まる前の海軍力の中心は戦艦であったが、山本五十六連合艦隊司令長官は、これからの戦いは、航空機の戦いが戦争の行方を左右するものとの認識を持ち、空母を中心とした世界初の機動部隊を作った。
そして真珠湾攻撃において米戦艦を撃沈し、その後に行われたマレー沖海戦において、イギリスの新鋭戦艦プリンスオブウェールズを日本の海軍航空隊が撃沈したとういうこともあり、戦艦は空母にその主役の座を明け渡すことになった。
戦後の長い期間を経て、日本はまた、空母を保有しようとしている。
かがの現状といずもへのF-35Bの発着艦試験が動画で見られるので、お楽しみに!
この記事に書かれている内容は
護衛艦「かが」の空母化
現在、日本では、広島県呉市にあるジャパンマリンユナイテッド呉事業所において、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「かが」に対する改修工事が実施されている。
1番艦である「いずも」は先に同様の改修工事が行われている。
通常、艦艇は、5年に1度、造船所のドックにて定期検査が実施されている。
本来であれば、この1回で大規模な改修工事を終了させる予定ではあった。
しかし、艦内区画の整備においては、米軍協力のもとで検証実験や試験を行ない、詳細な検討をすることが必要だと考えられたため、定期検査に合わせるのではなく、各年度において改修を行っていく方針に変更された。
そのため、「かが」の改修においては2021年、2022年、2023年の各年度において実施され、二回目の改修は、2026年および2027年に実施される予定になっている。
なお、同型艦の「いずも」の改修工事は、2019年末から第一回目の改修工事が実施されており、すでに終了している。
二回目の改修は、2022年度末から実施される予定になっており、2024年度中に終了する予定である。
搭載する予定となっているステルス戦闘機F-35Bについては合計で42機を取得する計画となっている。
配備する基地は宮崎県の航空自衛隊、新田原基地を予定している。
この「いずも」と「かが」の両艦は、本来は対潜ヘリコプターを多数搭載し、対潜水艦作戦を主任務とする艦ではあったが、将来的に空母に改造すること念頭に入れた上でF-35Bを搭載可能な設計にされていた可能性が高い。
空母に改造されたとはいえ、いずも型の本来の主任務である対潜水艦作戦がなくなるというわけではなく、あくまで状況に応じて空母としての運用を行うということになっていくだろう。
では、具体的に空母化とは、どのような改修が行われたのだろうか?
護衛艦かがの改修内容
「かが」に搭載する予定となっているF-35Bは、垂直に着艦することが可能で、発艦に関しては、短距離離陸が可能となっている。
現在の甲板では、着艦の際のエンジンから放射される熱に耐えられないという問題点があるため、着艦する区画の一部の飛行甲板に耐熱塗装を施す改修が行われている。
さらには飛行甲板前部に装備された近接防御システムCIWSは、航空機発艦の妨げとなるため撤去されることとなっている。
また飛行甲板の艦首形状は甲板面積を拡大するために四角形にすることが航空機運用上望ましい形であるため、この部分に対しても改修が行われる予定だ。
また航空機の離発着を安全に行えるよう航空管制室の視認性を高めるための工事も予定されている。
改装後には米軍による検証試験も行われる予定になっており、すべての改修を終えるまでの期間は14カ月を見込んでいる。
これによりヘリ空母であった「いずも」と「かが」の両艦は、軽空母として使用が可能になるのである。
2022年度の防衛予算としては61億円が計上されている。
これとは別に米軍に対する技術支援費として12億円が計上されている。
すでに米軍は日本より一足早く、強襲揚陸艦にF-35Bを搭載して運用を行っている。
そのため米軍の協力は必要不可欠であると言える。
搭載されるF-35Bの搭乗員を海上自衛隊が育成するのは困難であると思われるため、航空自衛隊のパイロットが、そのまま搭乗するという形になりそうだ。
これらの改装により日本は、戦後初の空母を保有することとなる。
空母を保有しない海軍は一流とは言えないと言われているが、日本はいよいよ本格的な海軍力を持つ国に変貌してきていると言えるだろう。
では、なぜ今、日本に空母が必要となってきているのだろうか?
日本に空母が必要な理由
中国による海洋進出により、台湾や尖閣諸島方面の緊張が高まっている。
現在、自衛隊が最も力を入れているのは、この南西諸島方面における島嶼防衛である。
その鍵を握るのは、何よりもまず航空戦力である。
航空優勢が確保されていない地域においては、海上自衛隊は動きがとれない状況となる。
護衛艦を航空機の援護をなしで出撃させることは危険きわまりない。
しかし、航空自衛隊の戦闘機は主に領空を侵犯してくる敵機を迎え撃つ防空戦闘が主任務であり、常時艦隊上空の護衛を行うことは不可能である。
さらには南西諸島における航空基地は沖縄県の那覇基地のみである。
つまり、この那覇基地が敵の攻撃を受けて使用不能となれば、海上自衛隊の艦艇は空からの援護を受けることもなく敵と戦わざるを得なくなる。
航空機の攻撃に対しては、イージス艦が艦隊防空を受け持つこととなっている。
イージス艦の防空能力は世界一で、多数の航空機やミサイル攻撃から艦隊を守る能力は優れている。
しかし、イージス艦でも限界があり、多くの敵機が飛来してきた場合は飽和攻撃が予想される。
敵の航空機を追い払う意味においても艦隊には空母が必要になってくるのである。
「いずも」や「かが」搭載されるF-35Bは1艦当たり約10機の搭載が予定されている。
「2艦でも、たかだか20機程度の航空機が運用できるだけ」
「それに何の意味があるんだ?」
と疑問の声を投げかける人もいるかもしれないが、かつてイギリスとアルゼンチンの間で行われたフォークランド紛争でイギリス機動部隊の空母に搭載されていたシーハリアー戦闘機の数も20機程度であった。
しかし、このわずかな機数のシーハリアーが、奪回作戦の大きな鍵を握る貴重な戦力となって大活躍し、作戦成功の立役者となった経緯がある。
現在、ロシアとウクライナとの戦いが行われているが、世界2位のロシアに対し、今だにウクライナは制空権を取られていない。
そのウクライナの空を守っているのは、わずか70機程度の戦闘機である。
制空権を確保しているからこそ、ウクライナ地上軍はロシア軍に対して反撃が可能なのである。
航空機の援護があるのとないのでは、戦闘において大きな差があるといえる。
それが海上での戦いとなるとなおさらである。
航空優勢の先駆けとなる空母
日本の南西諸島において使用できる航空基地は、現在、沖縄県の那覇基地のみである。
航空優勢の確保が第一条件である現代の戦いにおいて、現状は大いに問題であると言っていいだろう。
さいわい、これから導入することになるF-35B戦闘機やC-2輸送機は、短距離離着陸が可能であるため、民間の飛行場でも使用が可能である。
そのため与那国島や宮古島、それに石垣島にある飛行場を、有事の際に基地として使用できるよう現在、交渉が進められている。
敵からの奇襲攻撃に備えて航空機の配備は複数に分散配置するのが理想的である。
そういった意味においても、「いずも」や「かが」は南西諸島における航空優勢を確保するための先駆けとなる存在なのである。
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