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2022年12月26日、海上自衛隊幹部学校に所属する1等海佐の隊員が、元海自OBに機密扱いの情報を漏らしたとして懲戒免職となった。
自衛隊では、過去に軍事情報が漏洩するという重大な事案が発生している。
軍事情報とは、軍事作戦の内容や、動員数などに関する情報から飛行場、港などの構内図、写真なども含まれる。
また兵器の詳細な設計図や、性能などもが他国に知られれば軍事上不利になる情報である。
そのため、各国では軍事機密の漏洩を防止するための法律を定めている。
現在では自衛隊法や、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法に漏洩した場合の罰則が規定されている。
今回は、イージス艦、早期警戒機、潜水艦の機密情報が自衛隊員により漏洩させられた事件について解説していこう。
自衛隊員により漏洩させられた事件を動画でも解説するよ!
中国人の妻を持つ隊員からイージス艦情報漏洩
海上自衛隊の某部隊において、わいせつ画像のコピーファイルからイージス艦の構造図面など800ページにも及ぶ資料が流出したという事実が明らかになった。
秘密情報が添付されていることに気づかずにファイル交換したため、情報が拡散したとみられる。
この2等海曹は中国国籍の妻をもち、出入国管理及び難民認定法違反の容疑で調べていた際、押収した外付けハードディスク内にから、それらのデータが発見された。
中国人妻はこの件に関しては、全否定しておりマスコミが名誉を傷つけたとして提訴することも検討していた。
持ち出した情報は極めて秘匿性の高い「特別防衛秘密」に当たるとし、日米相互防衛援助協定に伴う秘密保護法違反の疑いで捜査を進めた。
しかし、この2等海曹は1995年から1999年にイージス艦「きりしま」に乗艦していたが、エンジンなどの機関科担当であるため、システムの中枢部である戦闘指揮所に入れる立場ではなかった。
このことから、情報の流出元や経路を特定するために捜査当局は慎重に捜査を進めた。
すると、この事件の発端になったのは実は、他の部隊の3等海佐であることが分かった。
この3等海佐は開発隊群プログラム業務隊という、兵器の開発に携わる重要な部隊に属していた。
流出した情報には、最高軍事機密ともいえるレーダー性能の限界や10基以上のミサイルを探知し迎撃する最新鋭の「イージスシステム」などの秘匿情報が含まれていた。
迎撃プログラムや使用する電波の周波数などが含まれている可能性があり、日米間だけではなく同システムを採用している他の国の安全保障すらも脅かす恐れもあり、当時の海上幕僚長の辞任の一因ともなった。
3等海佐は特別防衛秘密が含まれていると認識した上で情報を拡散していたことから極めて悪質な行為であるとし、初の日米相互防衛援助協定に伴う秘密保護法違反の容疑で起訴された。
また、海上自衛隊の第1術科学校では一連の事案に関わったとして隊員5名が書類送検され、防衛省が発表した懲戒処分状況によると、本事案に関与した隊員3名は懲戒免職、17名が6日以上の停職となり、防衛省・自衛隊創設以来最悪の機密情報漏洩事件となった。
中国武官への潜水艦機密情報流出
2005年、中国大使館の武官が、海上自衛隊の海将補から日本の潜水艦に関する機密情報を入手している疑いが発覚した。
発覚した経緯は、ある薬事法違反事件が発生し警視庁の生活安全部が、貿易会社と健康食品を扱う中国人女性を薬事法違反の疑いで逮捕したことがきっかけである。
その中国人女性の自宅の家宅捜査を進めていると、なんと海上自衛隊の海将補に関する資料が大量に発見されたのだ。
海将補という階級は全16階級の中でも2番目という高級幹部であり、旧海軍でいえば中将にあたる非常に高い階級である。
逮捕された中国人の女性の夫は中国大使館で働いている武官であることが判明し、武官が怪しい動きをしていることもわかった。
そこで武官と元海将補の周辺の捜査を本格的に開始した。
捜査を進めていると武官がなぜ海将補らに近づいたのか、その目的が判明した。
当時の中国では台湾侵攻や東シナ海進出のため海軍の強化を図っていた。
そこで中国がロシアから中古の潜水艦を購入。
しかし、ロシア製の潜水艦はスクリューの音が大きいため、海上自衛隊の静かなスクリューの技術を求めていた。
日本の潜水艦の静音性や、ステルス機能は世界最高水準であり、しかも海中の音波を反射しにくくなる無反響タイルの技術などもある。
世界最高レベルである潜水艦の技術を欲しがって武官は海将補らに近づいていたのだ。
ところが、公安の捜査が自身に迫っていることを知った武官は中国に帰国、海将補らは容疑を否認したことにより確たる証拠がなく立件することはできなかった。
しかし、状況証拠では日本の潜水艦機密情報が中国に流出した可能性は高いとみられている。
もし中国に日本の潜水艦機密情報が漏洩していた場合、中国の潜水艦の技術向上はもちろん対抗策をとられ日本の安全保障を脅かすことになる。
1等空佐 早期警戒機E-2Dのデータを譲渡
2013年、アメリカ政府から提供され早期警戒機E-2Dの性能データの入ったUSBメモリーを日本の商社の社員に提供し、その商社経由でライバル米航空機メーカーに渡り、問題視したメーカー側が米政府に通報したことにより発覚した。
元1等空佐は日米相互防衛援助協定に伴う秘密保護法違反の容疑で逮捕、起訴された。
研究開発部計画課長であった、この1等空佐は、装備品の改善や、研究開発に携わる部門の研究室長であったにもかかわらず、2010年ごろアメリカから提供されたE-2Dに関する電子データ情報を航空入間基地でパソコンの画面に表示させ、閲覧権限のない航空関連商社社員らに閲覧させ、USBメモリーにその情報を保存し譲渡した。
元1等空佐と商社の間に金銭のやりとりは確認されていない。
「E-2D」は航空自衛隊で運用されている「E-2C」の後継機として導入され、元1等空佐はその情報に触れることができる立場であり、平成29年に退職していた。
当時の防衛相は「国民の信頼を損ない、日米間の信頼関係を揺るがしかねない事案」と述べた。
第3国への流出は確認されていないのが唯一の救いかもしれない。
SNSでの作戦行動や艦艇入港の漏洩
SNSが普及してきた現代において、YouTubeやツイッターなどに情報が漏洩してしまう場合もある。
例えば2007年にYouTubeに仮想敵国特殊部隊への対処法や自衛隊格闘術の指導をするための教育ビデオが流出したことがある。
このビデオは自衛隊関係者が教養の一環として視聴するもので機密情報には属さないものの、ボウガンや銃器の使用方法や射撃、殺人術を含む近接格闘などを説明していることから、犯罪を企てている者に悪用される恐れがあるとし防衛省は公式に遺憾の意を表明した。
また、第33次派遣海賊対処行動水上部隊としてソマリア沖で活動中だった「護衛艦あさぎり」にて艦長の2等海佐が非公開であった出入港に関わる投稿を自身のスマートフォンを使ってFacebookに複数回投稿してることがわかった。
さらに、最高機密であるはずの潜水艦の艦内の映像もでさえ、SNSを通して投稿される事態も起きている。
潜水艦の作戦行動は各国海軍の中でも最も秘匿性の高く、潜水艦の乗員たちもそのことは理解しているはずである。
情報収集や便利なコミュニケーションツールであるSNSであるが、その発達にともない自衛隊の情報漏洩も増加している。
また、サイバー攻撃や不正アクセスなどのリスクもあることから、自衛隊においてはその対策を強化している。
次の動画では、中国の潜水艦が日本近海で偵察活動を行った目的と護衛艦による追跡事案について解説しよう。
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