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戦術輸送機のベストセラー「C-130」
その誕生から70年、今も世界中で活躍するC-130は、優れた離着陸能力と輸送能力を持ち、人道支援や災害救助で不可欠な存在だ。
南極の雪原に着陸できるLC-130や、空母への発着艦実験成功例まで、その柔軟性と多用途性は圧巻である。
C-130が成し遂げた偉業とその進化の歴史を徹底解説するとともに、実際に使用された2つの作戦を紹介していこう。
この記事に書かれている内容は
C-130輸送機 空母にも着艦!あらゆる地形に対応する驚異の性能
輸送機は戦闘機やステルス機と異なり、洗練されたデザインは持ち合わせていないが、その存在感は兵站の要として非常に重要である。
特にアメリカ軍が約70年前に開発したC-130 大型輸送機は、航空自衛隊や海上自衛隊をはじめ、世界69ヶ国で2,500機以上が活躍し、現在も生産が続けられていることからも「戦術輸送機のベストセラー」と称される。
C-130は、4つのロールス・ロイス製エンジンによって強大な推力を発揮し、時速600km、航続距離1,900kmという卓越した性能を誇る。
また、高浮力着陸装置を備えており、荒れた路面や滑走路のない砂漠地帯、さらにはスキーを装備したバリエーションであるLC-130は南極の雪面にも着陸できる特性を持つ。
このような幅広い地形への対応能力と優れた輸送力からその運用の幅広さがうかがえる。
離陸距離1,100m、着陸距離520mでの離着陸が可能であるため、前線の簡易飛行場でも活躍できる。
この短距離離着陸と不整地離着陸能力が、災害救助やインフラ未整備地域での人道支援に不可欠である。
驚くべきは、その巨体にも関わらず、過去に空母「フォレスタル」を使った発着艦実験に成功している点だ。
1960年代、アメリカ海軍は空母「フォレスタル」を使用して、C-130輸送機の発着艦能力を試験し、その試みは成功を収めた。
双発の輸送機「C-2 グレイハウンド」と比較して、C-130は搭載量や速度が大きく、より多くの人員や貨物を迅速に運べる可能性があったためだ。
しかしC-130は空母での運用を前提とした設計ではないため、主翼や垂直尾翼の折りたたみができず、また機体も非常に大きい。
そのため、この航空機が常時空母艦載機として使われることは想定されていなかった。
この試験の本来の意図は、非常時において空母へのC-130の運用が可能かどうかを探ることにあった。
C-130はその柔軟な設計から様々な派生型が誕生している。
例えば、空中給油型、救難救助型、気象観測型などがあり、特にC-130E型からはパレット輸送に対応し、このシステムは後に軍用貨物輸送の標準的な方法として確立された。
航空自衛隊でもこの方式が採用されており、効率的な物資の輸送が可能となっている。
また、C-130はその汎用性を生かして、「空の救急救命室」としての役割も果たしている。
最大97パレットの医療機材及び医療スタッフを搭載可能で、安定した高度の中で患者を運ぶことができる。
手術は行えないが、緊急医療を必要とする患者を前線から安全地帯へ迅速に転送するための重要な役割を担っている。
また、攻撃支援としてガンシップとしての運用では、ナイトビジョン照準装置やレーザー照準装置を装備し、ガトリング機銃や機関砲、榴弾砲、さらには翼に装着されたロケット砲を備え、戦場での火力支援を提供する。
空中給油機としては、より高性能なエンジンと6枚羽の複合材プロペラによるパワーアップと騒音低減を実現している。
大型の給油用タンクを胴体内に装備し、毎分1,000リットルを超える給油能力を持つ。
このタンクは取り外し可能で、必要に応じて貨物スペースとしても活用できる。
C-130H輸送機はその太い胴体を特徴とし、これまでの輸送機をしのぐ卓越した積載能力を持っている。
この機体は、車両を搭載するためのランプを駆使してヘリコプターや6輪装甲車、さらにはパレット貨物や人員を含む様々な大型貨物の搭載が可能だ。
最大で19トンの貨物を空輸する能力を有しており、貨物室の設計はトラックの荷台の高さに合わせてあり、トラックからの直接積み込みが容易にできるようになっている。
後に解説するガザ地区への食糧の空中投下も行われた。
座席を設置した際には、武装した兵員92名を乗せることができ、空挺兵をパラシュートで降下させる場合には64名を運ぶことが可能である。
C-130輸送機はその初飛行から70年近くが経過しようとしているが、今なお世界中の空を飛び続けている。
日本では、航空自衛隊と海上自衛隊によって運用されており、その信頼性と実績は揺るぎないものがある。
それでは、C-130が実際の作戦に使用された2つの事例について解説しよう。
【危険】ガザ地区への支援物資空中投下がもたらした悲劇
1つは記憶に新しいガザ地区への人道支援である。
アメリカ中央軍が、イスラエルとハマスの激しい衝突により食糧危機に直面しているパレスチナのガザ地区に対して、空から人道支援物資を投下した。
国連によると、地区内の人口の約四分の一にあたる50万人以上が飢餓状態にある。
地上の交通路は、治安の悪化が進み、陸路による支援物資の運搬及び配布が困難な状況だ。
2機のC-130輸送機が合計で4万6000食分のレーションを空中から投下し、イギリスも10トンの水、米、食用油、小麦粉、缶詰、粉ミルクなどの食料を同様に落とした。
しかし、航空機で運ぶことができる支援物資の量には限りがあり、地上での効果的な回収や分配が課題であるため、大規模な人道危機を解決するためには、トラックを使った大量輸送が必要不可欠である。
最近の支援では、車列を組んだトラック5台が約100トンの救命支援物資を運べる能力を持っているが、空中投下ではそのほんの一部しか届けられなかった。
この厳しい状況の中、人々は生き延びるために何とか食料を求めている。
ところが悲惨な事故が発生し、食料を積んだトラックに群がった100人以上が命を落とす事態にまで至った。
さらに危険なのが空中からの物資投下だ。
この方法で援助を受けようとした結果、18人のパレスチナ人が死亡するという痛ましい事件が発生した。
その内訳は、12人が食料を求めて海に飛び込み溺死、残る6人は物資が落ちた際に押し寄せた群衆によって踏みつけられ死亡したと報告されている。
ほかにも空中投下による悲劇が続いている。
数十個の援助物資がパラシュートで北部海岸近くに落下した様子が目撃され、人々が物資を求めて走り出す光景が広がっている
しかし、この救援方法が時として危険を伴うことがある。
難民キャンプ近くでの一コマでは、コンテナが急速に降下し、その過程でバラバラになり、破片がちらばる様子が捉えられた。
また、パラシュートが機能せパレットがガザ住居ビルに高速で落下し、その結果、地上の住民5人が死亡し、10人が負傷した事例も報告されている。
一部の負傷者は重傷を負っており、医療現場はさらに圧迫されている。
どの国がこれらの空中投下を行ったのかは明らかにされていないが、事故の可能性があることは痛感させられる。
人道支援団体からは、空中投下が引き起こすリスクとその効果については大きな議論が巻き起こっている。
【衝撃】1979年のアメリカ大使館人質救出作戦でのC-130の悲劇
2つ目の事例は、C-130輸送機が使用された衝撃的な事例がアメリカ大使館人質救出作戦である。
1979年11月、イランのテヘランに位置するアメリカ大使館が突如として襲撃される事件が発生した。
この時、イスラム革命の渦中にあったイランで、52名の米国大使館員が人質として捕らえられた。
この危機に対処するため、アメリカは「イーグルクロー作戦」と称する救出計画を立案し、特殊部隊デルタフォースを含むアメリカ軍の4軍が総動員された。
作戦は2日間にわたって展開される予定だった。
計画によれば、ヘリコプターとC-130輸送機がテヘラン南東約320マイルにあるポイントで合流し、ヘリコプターはC-130輸送機から燃料を補給し、戦闘部隊をピックアップする手筈だった。
その後、部隊はヘリコプターで更に山岳地帯へと空輸され、翌日の夜に救出作戦が実行される予定であった。
しかし、計画は順調に進まなかった。
作戦中、部隊は中東特有の「ハブーブ」と呼ばれる砂嵐に遭遇し、その激しい風が原因でヘリコプターとC-130輸送機の間で空中衝突が発生するなど、重大なトラブルに見舞われた。
これらの一連のアクシデントが原因で、救出作戦は最終的に失敗に終わることとなった。
そして「クレジットスポーツ作戦」は、イーグルクロー作戦に続いて計画されたもう一つの救出作戦である。
この作戦では、C-130輸送機が中心的な役割を果たす予定であり、特に注目されたのはその改造された離着陸の装置だ。
具体的には、C-130の胴体に取り付けられた補助推進ロケットを使用して、離陸と着陸の際の加速と減速をサポートし、必要な距離を極端に短縮する技術が試みられた。
この高度な技術は、特にテヘラン中心部のような限られた空間での迅速な人質奪還作戦を可能にするために開発されたものである。
作戦の一環として行われたテスト飛行では、この独特な離着陸方式が実際に試されたが、訓練中の事故が発生し、結局作戦は中止に追い込まれることとなった。
その映像からは、この高度な技術がもたらす可能性と同時に、関連するリスクもうかがえる。
また、同様の技術が現在でもイスラエル特殊部隊のC-130に採用されているとの情報もあり、その技術的な遺産がどのように引き継がれているかを示している。
このような技術の進展は、特殊作戦における戦術的な革新として、非常に重要な意味を持つものであり、それが実戦にどのように役立てられあるかは、今後の軍事技術の発展に大きな影響を与えるだろう。
次の動画では輸送機から大量のミサイルの雨を降らす新兵器「ラピッドドラゴン」について解説しよう。
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