北朝鮮脱北者の危険な脱北方法！失敗したら死を選択。絶望と希望が交差する境界地帯

北朝鮮の「脱北者たち」、彼らは一体どのような方法で国から抜け出し、生活しているのだろうか？

もし、脱北に失敗した場合どのような厳しい罰を受けるのだろうか？

違法なルートを通じて中国に到達し、厳格な国境警備を突破することを余儀なくされている脱北者たち。

今回は、北朝鮮から逃れる脱北者たちの逃走方法と、強制送還された後の地獄のような日々について解説していこう。

北朝鮮からの逃避行と追撃の果てに見える現実

北朝鮮は1990年代半ばに、壮絶な食糧危機に直面した。

その結果、人口の一部を占める100万人以上が命を落とし、生き残った者たちは樹皮や草、虫を食べて生存した。

また、停電も常習的に発生している。

中国には、1万人から30万人の北朝鮮人が潜伏していると推測されている。

一方で、1998年以降、33,000人以上の脱北者が韓国に到着し、そのうちの70%以上が女性だ。

これらの人々の大半は、朝鮮系中国人と混住している北朝鮮と接する境界地域に集まっている。

しかし、現状での脱北者の規模は、誰も予想できない。

それは脱北者たちが発見され、厳しい罰に直面する恐怖から、彼らが姿を隠しているからだ。

これらの人々は自国の法律に違反するルートを経由し、中国の厳格な国境警備を突破して中国に到達した。彼らと接触するのは勇敢なジャーナリストや活動家を除き、ほぼ不可能だ。

隣国北朝鮮との友好的な関係を維持するため、また、新たな北朝鮮人の流入を防ぐために厳格な強制送還政策を実施している中国は、脱北者の存在を実質的に認めていない。

だが、このほぼ目立たない脱北者たちの一部が時折、世界の目に触れることがある。

それは、北京の外交施設に避難する家族がいるときだ。

過去に北朝鮮出身と思われる5人組の男女が、日本の総領事館がある瀋陽で、中国の武装警察ともみ合う様子が目撃された。

その一家のうちの2名は総領事館の内部に逃げ込むことができたが、それも束の間、敷地に侵入した武装警察によって引きずり出されてしまった。

そして、総領事館の出入り口近くで3名が武装警察に捕まえられ、拘束されたのだ。

中国は、事件が発生する度に新たな越境ルートを封じ、何百人もの脱北者を母国に送り返し、何千人もの北朝鮮人の流入を阻止してきた。

生きるための逃走　脱北者たちの絶望と希望

多くの人々は、「温かくておいしい食事をたべたい」といった理由だけで、中国に向けて国境を越える動機となっている。

1990年代の北朝鮮の経済崩壊、特に1994年から1995年にかけて発生した深刻な農業災害による飢饉は、大規模な脱北者を生み出す主因と広く認識されている。

飢餓と絶望から何十万人もの人々が救援を求めて国境を越えた。食糧事情が最悪の状態に陥った時期には、何百万人もの北朝鮮人が、疾病や飢餓のために国内で亡くなった。

しかしながら、食糧危機は現在でも終息の兆しが見えない。

この悲惨な危機が、厳格な社会制度の緩和と制度の衰退を引き起こした。

職場での食糧配給が停止し、国内での移動および国境を越える移動の規制が緩和され、人々が生存するために競争し、闇市場が生まれた。

在韓米軍等の情報によれば、2020年以降の北朝鮮は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、中朝国境線から1キロ以内に無許可で近づく者を無条件で射殺するように指示しているという。

北朝鮮から中国に逃れる脱北者は、中国の公安部の監視を避けて韓国等を目指している。

しかし、それはどうやって可能なのだろうか。その答えは、脱北を支援するブローカーが存在することだ。一人の脱北には通常約90万円という費用がかかる。

だが、金正恩政権が確立して以降、国境警備が強化されたことで、その費用は年々増え続け、現在では約177万円に達しているとされている。

北朝鮮と中国の国境地域にはアムノッカンという川が流れ、ここから中国に渡ることができる。

だが、ここで脱北を試みる者が命を落とす事例も稀ではない。

南に位置する韓国には脱北者のための避難所が設けられているが、国境地帯には厳重な軍事監視と地雷が存在する。

直接韓国に逃れる道は実質的に閉ざされているため、多くの脱北者は北方にある中国国境を目指す。

脱北者たちは夜闇に紛れ、監視者の目を逃れるように鉄条網を抜け、国境を流れる川を歩いて渡る。

そして、そこで待機している仲介者の元へと向かう。

国境に近い民家に3日間身を隠した後、何人かのブローカーに引き続き、河南省を経由して同自治区へと進む。

長距離移動の際は、IDチェックが少ない公共バスを用いることが多いが、救急車やトラックも利用することがある。

しかし、北朝鮮から韓国への逃避行を図る脱北者は、中国で性的人身売買に遭遇するという危険も含む。

もし捕まえられて北朝鮮に引き返されると、拷問や投獄、最悪の場合は死が待ち受けているという恐怖も存在する。

このような危険を顧みず、彼らは自由を求め、飢餓から逃れるためにまさに必死なのである。

そして、その先にあるのは、新たな生活の光景だけではなく、人間の尊厳を回復する機会でもある。

そのため、逃避行は容易ではないが、彼らにとっては他に選択肢が無いのだ。

脱北に失敗した北朝鮮人の末路

（政治犯収容所）

北朝鮮からの逃亡者の大部分は、安全な避難所を求めて中国にある各国の大使館へと向かうが、ほとんどの人々が中国の警察によって逮捕され、強制的に北朝鮮へと戻されることになる。

彼らが故郷に戻れば、生きていく場所などは存在しない。

北朝鮮に強制送還された脱北者たちは、厳重に出国制限が設けられている国に無許可で出国した罪に問われ、死刑を含む厳しい刑罰を受けることになる。

脱北行為は「北朝鮮に対する反逆行為」に等しいとされ、この闘争において裏切りや密告は常に存在する。

今日、約10万人以上の北朝鮮人が収容所、政治犯収容所、強制労働所に抑留されていると推定されている。

これらの人々は、過酷な労働、拷問、飢餓といった厳しい環境を耐えなければならない。

脱北を試み失敗し逮捕された場合、動くことは許されず、唯一許されるのは呼吸することのみだ。

逮捕されて3日目、取調室に連れて行かれ、隣室からは拷問による叫び声と打撃音が響いてくる。

一ヶ月以上も留置されると、冬季はマイナス20度まで下がるが、暖房設備は一切提供されない。

男女別に10畳程度の部屋に詰め込まれる囚人たちは、人間としての尊厳を奪われ、何時間もの暴力的な尋問を受ける。

脱北者の待遇は、脱北の動機や住んでいた地域により変わる。

国境地帯に住み、食料を求めて中国に入るケースや、韓国や宗教団体との接触がない場合は、罪に問われず解放されることもある。

だが、自身の意志で脱北を試みた場合、刑罰は非常に厳しくなる。

罪を認めれば数年の刑務所刑、最悪の場合、政治犯収容所に送られる。証言が一致しなければ、革製のベルトで背中を打たれ、ヒーターに顔を近づけられる。

過去には、北朝鮮の元高官の家族が脱北を試み、中国の雲南省で逮捕され、ラオスを経由してタイに向かう途中で、全員が毒を飲んで死亡するという惨事が起きた。

中国で毒を飲んで死ぬ方が、北朝鮮に戻されて殺されるより人間らしい最後を迎えられると彼らは決断したのだ。

脱北が失敗に終わり、自らの命を絶つ人々の数は増え続けている。

脱北行為自体が、生命を失うほどの大きなリスクを伴う。そのような現状では、強い決意があっても行動に移すことは困難だ。

加えて、北朝鮮から逃れようとしたものの、人身売買の結果として何年も性的労働を強いられ、ビルの一室に閉じ込められる若い女性たちもいる。

脱北者が直面する現実とその危険性は、あまりにも過酷である。

北朝鮮から逃れ出す者たちの体験は、我々が想像することすら難しいほどの壮絶さを伴う。

その過酷な道のりと、その後の生活の苦難は、自由と人間らしい生活を強く求める彼らの意志の強さを示している。