イージス艦の性能がスゴイ!開発の経緯とイージスシステムの能力を解説
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世界最強の艦艇といわれる「イージス艦」

ギリシャ神話の最高神「ゼウス」が娘「アテナ」に与えた、あらゆる邪悪を払うという「イージスの盾」に由来している。

高性能コンピューターを搭載し、目標の捜索、探知、情報処理までイージスシステムが処理し、多くの目標に対し同時に対処する能力をもつ。

その分、建造費は高額額で、通常の護衛艦が500億円前後であるのに対し、イージス艦は1,700億円近くする。

その価格を大きく占めるのがイージスシステムである。

今回は、イージス艦が開発された経緯と、イージスシステムの能力、また弾道ミサイル対処について解説していこう。

しまかぜ

日米イージス艦のズバ抜けた実力を動画でも解説してるよ!

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イージス艦の始まりと種類

イージス艦とは高度な防空能力と戦闘指揮システムである「イージスシステム」を搭載した艦艇のことである。

現在、イージス艦を保有しているのは、アメリカ、日本のほか、韓国、スペイン、ノルウェー、オーストラリアである。

最も多いのがアメリカ海軍で 現在100隻近いイージス艦が就役しており、海上自衛隊は8隻である。

イージスシステムは今から約60年前の1960年頃にアメリカ海軍で研究、開発されたものだ。

当時、ソビエト連邦からの対艦ミサイル飽和攻撃をもっとも恐れていたアメリカ海軍は、目標の捜索、探知、追尾と同時に自分が発射したミサイルを誘導できる「タイフォン・システム」を開発した。

しかし、膨大な経費と研究の難航から1964年に中止となった。

その後、タイフォンシステムに変わる艦隊防空システムの研究が続けられ、1973年に現在のイージス艦が装備している SPY-1(スパイワン)レーダーのテストを陸上施設で開始、翌年には洋上でのテストが行われた。

そして、世界で初となるイージス CG-47「タイコンデロガ」が 1983年1月に就役した。

1番艦のタイコンデロガを筆頭に、合計 27隻のイージス艦が建造されることとなる。

一般的にアメリカのイージス艦のシップネームは活躍した人の名前がつけられるが、1番艦の「タイコンデロガ」は人ではなく、要塞の名前である。

タイコンデロガ級の建造費は高く、さらに隻数を増やすことが困難と考えられ、アメリカ海軍は新型イージスの計画を始める。

「イージス II」と呼ばれた新型イージスの1番艦が DDG-51 「アーレイバーク」である。

1991年7月に就役したアーレイバークを皮切りに 2021年現在までに60隻以上が就役しており、アメリカ海軍は世界最多のイージス艦保有国でもある。

アーレイバークはフライトI、フライトII、フライトIIA、フライトIII といった4種類のタイプに分類される。

違いを簡単に説明すると次のようになる。

イージス艦の種類

フライトI: タイコンデロガ級イージスシステムを受け継ぎ、当初からイージス艦として計画された。

フライト II : フライトIから電子戦能力の向上が図られているが現在はフライトI も改修されている。

フライト IIA:沿岸域への作戦や対潜戦に対応するため 2 機のヘリを搭載できる格納庫が設けられている。

フライト III: 弾道ミサイル対処や対空戦能力向上のためSPY-I レーダーが SPY-6 に変更されている。

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SPY-1レーダーとイージスシステムの驚くべき性能

イージス艦に必ず装備されているのがSPY-1レーダーだ。

遠距離で航空機やミサイルなどの目標を探知、追尾する場合、目視では到底不可能なため、必要となるのがレーダーである。

ちなみにレーダーとは「radio detecting and ranging」の頭文字をとったものである。

レーダーは電波を送信して目標に当たって跳ね返ってくることで、方位と距離を知ることができる。

通常レーダーといえば回転しながら目標を探知するタイプであるが、イージス艦に装備されているSPY-1フェーズド・アレイ・レーダーは回転せずに、常に 360°どの方向からくる敵も探知
することができる。

つまり、天頂を含め死角がないレーダーといえる。

SPYレーダーの探知距離や捕捉目標数は明らかにされていないが、500km以上遠くの目標でも探知できる能力があるといわれている。

SPYレーダーの周波数はランダムに変更されるため、敵が妨害をかけてきても自動で周波数が切り替わり追尾を継続できるのも特徴である。

ここで、イージス艦による対空戦の概要を解説しよう。

イージスシステムの一部であるSPYレーダーは多数の目標を同時に探知追尾し、システムが自動で敵味方を識別、ミサイルなど脅威の高い目標の場合、迎撃順位を決め、人間が判断する時間がない場合、自動で対空ミサイルSM-2を発射

発射されたSM-2はSPYレーダーにより目標の位置をアップデートされながら迎撃位置まで誘導される。

迎撃直前にイルミネーターと呼ばれる目標照射レーダーに追尾が切り替わるため、SPYレーダーは多数の目標を同時に対処することができる。

SM-2の射程は160キロ程度といわれるが、さらに遠距離まで飛ぶ種類もある。

イージスシステムの画期的なところは、眼となるSPYレーダーと武器が統合されており、突然の攻撃で人間の判断や思考が間に合わない場合、目標の探知から迎撃まですべてシステムが判断し戦闘を行ってくれる点である。

これが通常の艦艇とイージス艦との大きな違いである。

さらにSPYレーダーは弾道ミサイルを探知し、それを迎撃するためのSM-3を誘導する能力も備えている。

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北朝鮮の弾道ミサイルを撃墜せよ!BMDの任務を与えられたイージス艦

近年、北朝鮮が人工衛星と称する弾道ミサイルの実験を繰り替えしている。

その脅威から日本を守るため、イージス艦は弾道ミサイル防衛(BMD)の任務も任せられている。
BMDとは Ballistic Missile Defense(バリスティック、ミサイル、ディフェンス)の略で弾道ミサイル防衛のことをいう。

SPYレーダーは大気圏外を飛翔する弾道ミサイルを探知する能力も備えており、世界でBMD能力があるのはアメリカ海軍と海上自衛隊のイージス艦だけである。

では、弾道ミサイルを撃墜するまでの流れを解説しよう。

弾道ミサイルが発射される兆候がある場合、事前にイージス艦は所定の作戦海域に展開する。

北朝鮮から発射された弾道ミサイルは、航空自衛隊のレーダーが探知し、その位置情報をイージス艦に送信する。

その情報を元にSPYレーダーが捜索を開始し、探知後は追尾を行う。

弾道ミサイルがブースターを切り離し加速を終えた時点で、イージスシステムが落下地点の計算を開始する。

迎撃の最適な発射タイミングになるとSM-3を発射する。

SM-3は分離しながら弾道ミサイルに向かっていき、最終段階でSPY レーダーの誘導は終了し、迎撃までは弾頭部分の赤外線センサーによる追尾に切り変わり、位置を修正しながら直撃して破壊する。

SM-3は高度100キロ以上の大気圏外を飛翔する弾道ミサイルを撃墜する能力があり、40回以上の迎撃テストでは80%以上の確率で迎撃に成功している。

イージス艦1隻で日本のほとんどの領土を弾道ミサイルから守ることができる能力を備えている。

 

イージス艦の能力まとめ

今回はイージスシステムとSM-2, またBMDについて解説した。

これらの能力はイージス艦だけがもっており他の艦艇では対処できない任務である。

日本の周辺国では、弾道ミサイルの開発が進み、保有数も増加の傾向にある。

また、中国の対艦ミサイルも高速化、長射程化がすすみ、脅威が高くなっているのは間違いない。

こうしたミサイルに対処できるのはイージスシステムを搭載したイージス艦だけであるといっても過言ではない。

最後に、海上自衛隊の艦艇や航空機が 365日一日も休むことなく、南西諸島の領海侵犯や弾道ミサイルから日本を守っていることも忘れてはならない。

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