第7艦隊の強大さを支える「横須賀・佐世保基地」の役目と襲撃されたイージス艦
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アメリカ海軍の中でも特に強力とされる「第7艦隊」

日本の横須賀・佐世保を母港とし、インド洋から西太平洋にかけて地球上で最も広範囲を管轄している。

なぜこれほどまでに強大なのだろうか?

今回は、世界最強の艦隊であるアメリカ第7艦隊の強さの秘密と、なぜ横須賀と佐世保を母港としているのか?そして隠された弱点ついて解説していこう。

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北朝鮮を震えさせる第7艦隊 太平洋を制する世界最強の艦隊

アメリカ海軍は、現在7つの主要な艦隊を展開しており、それぞれが特定の地域の安全保障を司っている。

例えば、アメリカ本土のノーフォークを基地とする第2艦隊は大西洋を、バーレーンを拠点とする第5艦隊は中東をカバーしている。

アメリカ海軍

第2艦隊 – 北大西洋
第3艦隊 – 太平洋東部
第4艦隊 – 南米
第5艦隊 – 中東
第6艦隊 – 地中海
第7艦隊 – 太平洋、インド洋
第10艦隊 – サイバー空間

しかしながら、これらの艦隊間で戦力には大きな差があり、第4艦隊のように実戦用の艦艇がほとんどない例も存在する。

また、第1艦隊はかつて太平洋艦隊の一部として活動していたが、1973年にその役割が第3艦隊に移管された後、公式には使用されなくなった。

一方、第10艦隊は艦艇を持たない特殊な部隊だ。

サイバー空間における作戦を担当し、アメリカ海軍のサイバー戦、情報戦、電子戦、暗号戦の能力を統合・指揮している。

そして、アメリカ艦隊の中でも最も広大なエリアを担当するのが第7艦隊である。

この広大な地域を守るため、配備されているのは常時50隻以上の艦艇、150機以上の航空機、そして約2.7万人の兵士で、これは一国の軍と比べても見劣りしない兵力だ。

では、なぜ第7艦隊はこれほどまでに強力なのか?

そして、この圧倒的な力が世界の平和にどのような影響を与えているのか?

太平洋戦争の真っ只中である1943年、陸軍のマッカーサー将軍の指揮下に設立された第7艦隊は、その後も台湾危機、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争といった数々の紛争に積極的に参加してきた。

平和な時代でさえ、インド太平洋地域においてアメリカの存在感をアピールしつつ、緊急事態には迅速に対応できる体制を整えるのが、この艦隊の責務である。

こうした機動力を支えるには、横須賀や佐世保のような前線基地が不可欠だ。

(1963年の横須賀基地)空母ヨークタウンと空母ベニントン

第二次世界大戦を経て、整備されたドックや工廠を備えた横須賀・佐世保は、アメリカが本土から離れた地でも迅速に修理やメンテナンス、補給活動を行える戦略的拠点として活用されることになった。

もしもこれらの基地を利用できなかった場合、第7艦隊はハワイへと後退し、現地への到着には最短でも1週間から2週間を要することになるだろう。

遠征作戦では、「距離の暴虐」とも形容されるほどに、戦力の維持や補給が極めて困難となる。

特に広大な太平洋を横断する場合は、その課題はさらに大きくなる。

だからこそ、日本に横須賀という前方基地を設けておくことが、迅速な初動対応にとって極めて重要なのだ。

通称「世界最強」と称される第7艦隊は、その実態を紐解くと、様々な部隊によって構成される複雑な体系であることが分かる。

この艦隊には、原子力空母や巡洋艦、駆逐艦が横須賀に、水陸両用作戦を主導する強襲揚陸艦が佐世保に、そして原子力潜水艦がグアムに配備されているなど、地理的にも分散された配置が特徴だ。

さらに、特殊部隊や海兵隊の一部もこの艦隊に属し、対水上戦、対地戦、上陸支援といった幅広い任務を遂行する能力を有している。

しかし、艦隊の中核をなすのは、10万トンを超える原子力空母「ロナルド・レーガン」を中心とする空母打撃群である。

この空母打撃群は、任務に応じて編成され、F/A-18戦闘機を60機近く搭載する原子力空母と、それを守るイージス艦から成る水上戦力により構成されている。

この打撃群の戦闘能力は、中規模の国家や空軍と互角に渡り合う、あるいはそれを上回ると評されるほどのものだ。

第7艦隊が有する空母打撃群は、敵艦隊を撃破することはもちろん、戦闘機による空爆やイージス艦から放たれるトマホーク巡航ミサイルにより、敵国の基盤を強打する能力を持つ。

このような力は、海軍力をあまり持たない国、例えば北朝鮮にとっては、たった1つの空母打撃群でさえ恐怖の対象となる。

同様の空母打撃群を中国海軍も形成し、運用しているが、70年を超える運用経験を有するアメリカ海軍、特に第7艦隊の戦術的な柔軟性や任務に応じた戦力編成の能力には及ばない。

しかし、無敵に見える第7艦隊でさえ、のちに解説する隠された弱点が存在している。

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奇襲攻撃!爆破されたイージス艦と前方展開のリスク

空母打撃群はアメリカの軍事力を象徴する明確な存在であり、第7艦隊傘下の戦闘機部隊である「第5空母航空団」は、中国や北朝鮮をはじめとする潜在的な対立国に対して、常に圧力をかけ続けている。

この力の展示として、航空機だけでなく駆逐艦も重要な役割を果たしており、護衛任務を担う8隻の駆逐艦はすべて弾道ミサイル迎撃能力を有している。

しかし、原子力空母「ロナルド・レーガン」のような艦隊の中核となる艦船が常に作戦可能なわけではない。

整備や補給、乗組員の休息が必要であり、そのため空母打撃群が全力を発揮できない期間も存在する。

このような時期には、他の空母打撃群がカバーし、抑止力を維持する。

アメリカは年間1兆円の運用コストをかけて、計11個の空母打撃群を保持しており、そのうち常時2〜3個を世界中に展開できる体制を取っている。

これはアメリカが世界の大国としての地位を維持し、「世界警察」といわれる所以である。

第7艦隊が無敵とも思われる力を持つ一方で、その強大な力には隠された弱点も存在する。

特に、前方展開することのリスクがそれだ。

横須賀や佐世保といった主要基地は、中国軍のミサイル射程圏内に位置しており、奇襲攻撃によってこれらの基地が一気に狙われる危険性は否定できない。

過去にもアメリカの艦艇が停泊中の港で奇襲攻撃されて事例はある。

2000年10月12日は、アメリカ海軍史における悲劇の一ページとして記憶されている。

この日、イージス艦「コール」は、イエメンのアデン港にて定例の燃料補給のために停泊していた。

艦長カーク・リッポルド中佐の指揮のもと、燃料補給が順調に進んでいた。

しかし、現地時間の午前11時18分、小型ボートが艦の左舷に急接近し、自爆した。

この爆発は艦体に12×18メートルの巨大な穴を開け、艦内に大量の水が侵入した。

乗組員はダメージコントロールに奮闘し、機関部の浸水をその日のうちに食い止めたが、完全な復旧には3日間を要した。

この攻撃で17名の乗組員が命を落とし、さらに39名が重軽傷を負った。

負傷者はドイツのラムシュタイン空軍基地にあるラントシュトゥール戦域医療センターへ搬送され、後に本国へ帰還した。

この攻撃の背後には、オサマ・ビンラディンが率いるテロ組織アルカイダの影があり、彼らは以前にも同じ港で米艦艇を標的とした似たような攻撃を試みていたが、過剰な爆薬の重さで計画は失敗に終わっていた。

この事件は、海軍にとってただの襲撃以上の意味を持つ。

それは、世界のどこにいても安全は保障されないという厳しい現実と、テロリズムの脅威がいかに計り知れないかを示した瞬間だった。

確かに、台湾侵攻や尖閣諸島周辺での緊張が高まれば、アメリカは中国の軍事動向を事前に察知し、艦船を安全な海域へ緊急避難させる措置を講じるだろう。

しかし、中国が推進する「A2AD戦略」は、第7艦隊にとって無視できない脅威となる。

特に「空母キラー」と称される対艦弾道ミサイルの開発は、実戦配備されれば、第7艦隊の運用に大きな障害をもたらす可能性がある。

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1500km先から米空母を狙う! 中国の新型対艦ミサイルの実験

中国が開発中の対艦弾道ミサイル(ASBM)は、約1,500キロメートルの射程を持ち、衛星などを通じた精密誘導により、海上を航行するアメリカの空母を正確に攻撃する能力を有しているとされている。

このミサイルは対地攻撃にも使用可能で、在日米軍基地を含む潜在的な目標に対する脅威となり得る。

ASBMの成功は、中国の「接近拒否戦略」を強化し、東アジア地域における軍事紛争時の米軍介入を抑止する効果が期待されているのだ。

米宇宙技術会社による衛星写真では、弾道ミサイルの弾着地であるタクラマカン砂漠内に、アメリカ海軍の原子力空母や駆逐艦2隻、さらにはレール上に設置された空母を模した建造物が造られていることが確認された。

これは、中国が地上に造った動く米空母を模擬目標として、ASBMの射撃実験を近い将来行うことを示唆している。

この動く建造物を対象とした実弾射撃実験とその結果は、ASBMの実力を判断する上で重要な情報源となるだろう。

このように中国が非対称戦術に力を入れている背景には、従来の艦隊戦では第7艦隊に対抗する自信が持てない、という現実がある。

もし艦隊同士が直接対決する状況になれば、現段階では第7艦隊を凌駕する力を持つ国は存在しないと言えるだろう。

この事実は、第7艦隊が持つ圧倒的な力の証であると同時に、その弱点を克服し、未来の脅威に対応するための課題でもある。

次の動画では、日本に配備が始まった第7艦隊の歴史と編成について解説しよう。

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