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戦争をするうえで報道などから聞こえてくる言葉のひとつに義勇兵というものがある。
通常は、政府や国が所有する軍隊が戦闘を行うのだが、自発的に戦闘に参加する兵士のことを義勇兵と呼んでいる。
この義勇兵は、国際法上「交戦資格」を有しており、敵軍につかまった場合は捕虜として扱われる。
一見、傭兵(ようへい)のような捉え方をする人もいるだろうが、義勇兵は金銭などの報酬とは別の、自らの理念や信念、思想によって戦闘に自発的に参加するものであり、傭兵とは明確な区別がなされている。
原則として15歳以上60歳以下の男性であるが、17歳以上40歳以下の女性も軍隊への編入資格があるため、まれに女性兵士も見受けられる。
ロシアのウクライナ侵攻で、日本人がウクライナの義勇兵として参加するケースもあるが、私戦予備罪にあたるのではないかとの指摘もある。
日本人義勇兵へのインタビューを動画で見てね!
この記事に書かれている内容は
日本人義勇兵の動機と経緯
ここで紹介するのは元自衛隊隊員であるA氏の例である。
彼は、自衛隊を退役後にロシアに留学しており、物理的に行動しやすい場所であるという前提があることは最初に触れておく。
留学先の同級生である外国人が多数ウクライナに義勇兵として向かったことに端を発し、A氏も次第に「弱者的立場のウクライナのために」と考えるようになり、自衛官としての軍事訓練経験を生かすべくウクライナへ向かった。
A氏は陸路でウクライナへ入国し、国境近くの外国人部隊募集所にて義勇兵登録、ヤヴォリウの基地に配属される。
配属先は、欧米人やアジア人など多様な人種で構成された部隊だった。
夜間には空襲に備えた訓練があると聞いていたが、爆発音や吹き飛んでくるガラス片などから、それが訓練ではなく本当の爆撃であったと気がつき、命からがら逃げだしたこともあった。
30発強のミサイルが着弾し、死亡したり、四肢を失うなどの大怪我を負った同僚もいたという。
この経験から、戦争という恐怖を目の当たりにした義勇兵が逃亡する事態も起きるが、A氏は前線に留まり続けた。
自衛隊での身体的思想的訓練があったためか、A氏は前線での偵察や戦闘に参加した。
A氏には「ウクライナのために」という信念があり、前線に留まり続け、留学先で接触のあった民間企業に就職し、今もEU内でウクライナ難民とともに働いている。
A氏のように軍事的な訓練の上に信念のある義勇兵であれば、このような行動や対応も可能かもしれないが、衝動だけで義勇兵に参加する行為に対しての是非はある。
戦闘の前線で起こる出来事や光景を受け止める強烈な覚悟があっても容易にできることではないことは、よく理解しておくべきではないだろうか。
義勇兵として希望するのは、スキルのある自衛隊員だけではない。
中には元暴力団員という肩書を持ったものもいる。
暴力団構成員からウクライナ義勇兵へ
ウクライナでの義勇兵は、配属や職務内容によって月間数万円の手当があるようだ。
場合によっては最前線での対応や戦闘などによって月額40万円強の待遇もありうる。
とはいえ、純粋に金額だけではない部分もあるため、その部分にも少し触れてみたい。
B氏は、元暴力団で「これまで犯してきた罪の贖罪の意味もあって」義勇兵を希望したという。
先に紹介したA氏のように軍事訓練を受けた人間は前線部隊に送られ偵察や戦闘要員として行動するが、それとは少し異なる状況だ。
B氏は、日本で暴力団構成員としての生活を送っていた。
抗争のなかで事件を起こし、人を傷つけ10年間服役した過去を持つ。
出所したところで日本での生活や労働には限界がある。
そんな出所のタイミングとウクライナ侵攻のタイミングか重なり、男性は「生活のため、お金のための仕事」として、そして「お年寄りや子供の犠牲者を見ていて、このまま傍観しているだけで良いのか?」という気持ちになってウクライナでの義勇兵を選択し、渡航したのだという。
暴力団であれ一般人であれ、人身傷害事件や殺人を犯してしまった人間が、その後国内で更生して生活を送っていくことは非常に難しいため、まったく別の環境に身を置くこと以外に活路が見いだせなかったのかもしれない。
これは非常に悲しい動機である。
生きていくために、己の命を使うしか方法のない状況。
犯した罪はさておき、そういった状況下にある人間の感じる絶望感やどうにもできない状況には、思うところがある。
しかし、義勇兵として登録された以上は兵士である。
そのような彼らは一体どのような訓練を受けているのだろうか?
義勇兵に対する訓練と戦術
B氏は、時折銃を持たされてスナイパーとしての訓練を受けている。
本来、兵士は軍事学校などで戦闘や戦争、兵器、戦闘全体の仕組みや目的、その中での命の守り方なども学び徐々に肉体的にも精神的にも訓練されていくが、そういった余裕や時間は義勇兵にはない。
そのような事情からある程度短期のうちに戦場に送られると思われるが、最前線での戦闘となるとすぐには適応できないためかある程激戦地とは距離をとって戦闘に参加するスナイパーの役割を担うのではないだろうか。
その後は、戦場の中である意味では博打のような「習うより慣れろ」の中で戦闘に参加していくのだと思われる。
その訓練中も身振り手振りでやり取りをしているが、その最中、戦闘機が上空を通過するなど、日本での日常とはかけ離れたものである。
この状況で正しく銃を扱ったり、スナイパーとしての役割を果たすことができるのかは疑問の残るところである。
食事中にも、戦闘機や砲撃音などが飛び交い、常に死と隣り合わせの激しい環境にさらされていることがうかがえる。
的確な戦術や訓練が施される訳でもなく、付け焼刃の状態で兵士となり戦闘に組み込まれていく、それが日本人義勇兵の現実である。
本丸であるウクライナ軍自体には戦術も戦略もあるであろう。
しかし、義勇軍の末端の部隊にまでそういったものが正しく落ちてくるのかは正直不透明だ。
まるで部品のように戦闘の一部に組み込まれ、壊れてしまえば交換するだけのような状況だとしたら、仮に月収40万円を得たとして、その収入を使う時間も余裕も場所すらなく、一体何のために命を懸けているのだろうか。
日本人義勇兵の戦死報道
ある28歳の日本人義勇は陸上自衛隊に入隊したのち、今年2月の開戦後にウクライナへ入国した。
「現地で人助けをしたい」
「自衛隊で得た経験をウクライナのために活かしたい」と語っていたという。
しかし、戦闘中に彼の目の前に砲弾が着弾し、その破片が側頭部を直撃し即死だったという。
ロシアという軍事大国が理不尽に侵攻をはじめたウクライナ。
罪のない民間人や民間施設、子どもたちまで犠牲になってしまうウクライナに対する様々な感情や正義感から義勇兵になる人間がいることも理解できる。
それに対して否定するつもりは毛頭ないが、戦闘経験はおろか戦闘というもの自体の予備知識が一切ない、平和の中でした生きていない日本人が、こういった環境に身を投じることにはいささかの無理があるのではないだろうか。
政府もウクライナへの渡航禁止や義勇軍参加の場合のパスポートのはく奪など水際での措置、呼びかけなども行っている。
生活のため、平和の中でしかいきてこなかった感覚の中で生まれる正義感だけで行動できるレベルではないことを十分に理解しておく必要はあるだろう。
戦闘は、仕事ではなく戦闘なのである。この記事を読んだあなたは、果たしてこの現実をどう受け止めるだろうか。
次の動画では、アメリカがウクライナに供与した兵器について解説しよう。
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