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アメリカが日本へのトマホーク巡航ミサイル売却を承認した。
売却額は合計で23億5000万ドル、日本円で約3500億円と見積もられている。
これにより日本は敵のミサイル基地を攻撃する能力を高める見込みである。
売却されるミサイルは、最大で400発に上り、その中には旧型の「ブロック4」最大200発と、最新型の「ブロック5」も含まれている。
そのような中、「型落ちのトマホーク」という誤解が広まっていることが注目される。
今回はトマホークは今のミサイルと比較して時代遅れなのか?
その真実となぜ速度の遅いミサイルが有効なのかについて解説していこう。
この内容は動画でも見れるよ!
トマホークは時代遅れなのか?遅いトマホークの75%が突破可能
トマホーク巡航ミサイルは、1980年代から配備が始まり、湾岸戦争やイラク戦争など多くの戦闘で使用されてきた。
これは「現存する中で最も信頼性の高い巡航ミサイル」として広く認識されている。
その一方で、「トマホークは時代遅れで役に立たない」という論者は主に二つのグループに分かれる。
一方は、反撃能力が憲法や専守防衛に反すると主張する「持ってはいけない論者」であり、もう一方は性能的に考えた結果としてその立場を取る人々だ。
前者は、トマホークの有効性に疑問を持つ議論を積極的に支持する傾向がある。
一部にはトマホークを40年前の古い設計の兵器と見なす意見もあるが、これは誤解である。
実際には、トマホークは最新技術を取り入れた改良型が常に開発されており、初期型と最新型はほとんど共通部品がないほど大きく進化している。
最新型のブロック5は2021年に登場し、更に新しい派生型ブロックⅤaとⅤbが開発中である。
ブロックⅠ 1983年 慣性航法システムおよび地形等高線照合による誘導
ブロックⅡ 1984年 デジタル式情景照合を追加
ブロックⅢ 1993年 GPSを追加
ブロックⅣ 2006年 エンジン換装、衛星通信システムなど
ブロックⅤ 2021年 航法システムと通信システムを強化
ブロックⅤa 2023年 海洋打撃トマホーク
ブロックⅤb 2023年 対地攻撃に特化
現行型は改修が容易なモジュール構造を採用しており、ブロックⅡ以降は10~15年ごとに新型が登場し、電子機器やジェットエンジンなど主要部品が大幅に更新されている。
トマホークは事前に目標の座標と画像を入力し、GPS機能と画像照合システムで飛行するため精密攻撃に適しているが、現在のモデルでは移動する目標を狙うことができない。
米軍は移動する目標に対応する改良型トマホークの開発を進めており、その配備は2~3年後を予定している。
トマホーク巡航ミサイルに関する一般的なメディア報道は、しばしばGPSによる誘導に注目しているが、実際にはGPSはトマホークにとって補助的な役割しか果たさない。
このミサイルの誘導システムには、より核心的な4つの技術が用いられている。
それらは、TERCOM(地形等高線照合装置)、DSMAC(デジタル式情景照合装置)、INS(慣性航法システム)、そしてGPSだ。
これらのシステムは、ミサイルの精密な誘導に不可欠な要素である。
そして、最新の「ブロックVb」モデルには、「JMEWS」という強力な弾頭が搭載されている。
これは厚い壁を一撃で貫通・破壊する能力を持ち、特に敵の指揮統制機能を標的とすることを意図している。
これにより、強固な防護壁で覆われた地下司令部なども破壊できる。
また、着弾時には無数の破片を生じる「爆破・破砕」機能を持ち、これによって防護壁内部の人員を殺傷できる。
この機能は、米軍が過去にイラクやアフガニスタンで使用した地中貫通爆弾やクラスター爆弾の特性を組み合わせたものである。
現在音速を超えるミサイルが主要となる中、トマホークの巡航速度は約800㎞である。
比較的遅い速度のために迎撃されやすいという特徴がある。
これを補うため、米軍では「飽和攻撃」と呼ばれる戦術を採用している。
この戦術では、敵の防空システムを圧倒するために、大量のミサイルを一斉に発射する
しかし、日本の自衛隊には、この種の大規模な飽和攻撃に対応するための装備や体制が現在のところ整っていないのが現状だ。
一方、高速ミサイルの燃費は非常に悪く、低速ミサイルに比べて重量が4~5倍にも増加し、大型化が必要になる。
その結果、調達コストが大幅に増加し、配備される数も限られることになる。
現代の戦争では、高速ミサイルだけでは充分ではない。
これらは高価であり、限られた数しか用意できないため、戦略上の多様性と柔軟性を持たせるために、低速ミサイルの使用も不可欠である。
高速ミサイルは敵の強固な防御を突破するために用いられる一方で、防備が薄い目標にはコスト効率の良い低速ミサイルが適している。
さらに、低速ミサイルでさえ、大量に使用すれば、敵の防空能力を圧倒する「飽和攻撃」となり得る。
世界の多くの国々も、速度が音速に満たない「亜音速ミサイル」を保有しており、これらはトマホークのような低速ミサイルと同様に戦場での価値を認められている。
中国や北朝鮮を含むこれらの国々は、低速ミサイルが高速ミサイルを補完する重要な役割を果たすと理解しており、決して時代遅れとは見なしていない。
したがって、「高速ミサイルがあれば低速ミサイルは不要」という考えは誤りである。
この事実は、日本、アメリカ、中国、ロシアといった国々によっても認められており、低速ミサイルの大量保有が重要であることが明らかだ。戦略上の多様性を持つことは、現代戦における成功の鍵となる。
反撃能力は必須!中国のミサイルとの圧倒的差
現在、中国が保有する対艦ミサイルはほとんどが海上自衛隊の射程を上回っている。
中国 YJ-18:約540km
日本 ハープーン約150㎞
ボクシングに例えるなら、リーチの差がありすぎて、まったくパンチが届かないのが現状である。
防衛省は新たな戦略に基づき、「12式地対艦誘導弾」については、防衛省が射程を約200キロから約1千キロに伸ばす能力向上型を今年度から量産し、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の導入を進めている。
これらの長射程の打撃力は、敵の重要施設に対する効果的な対応手段となる。
ただし、目標の正確な位置情報や攻撃効果の評価は、自衛隊だけでは難しいため、米軍との緊密な協力が求められる。
中国やロシアのような国が保有するS300やS400などの近代的な防空システムに直面する場合、トマホークは一部撃墜されるリスクがある。
しかし、敵を届く範囲内に持つ兵器の存在は、戦術的な効果を大きく変える。
トマホークの単独の性能に注目しがちだが、全体的な戦略の中で考えると、これは非常に有力な手段となり得るのだ。
このような視点は、将来の戦術的な計画立案において重要である。
ウクライナ戦におけるロシア軍の状況を見ると、イスカンデル短距離弾道ミサイルをほとんど使い果たしており、大規模な弾道ミサイル攻撃が困難になっている。
そのため、主要な攻撃手段として亜音速巡航ミサイルのカリブルなどが使用されている。
さらに、これらのミサイルの在庫も少なくなり、コストが低いイラン製の自爆ドローンに頼るようになっている。
今後、海上自衛隊では、イージス艦8隻をトマホーク配備可能にする計画が進行中だ。
防衛省は2023年度予算でトマホーク400発の購入費用として2113億円、そしてイージス艦にトマホークを搭載するための関連器材取得費として1104億円を計上している。
これは8隻分のコストだ。
2024年度にはイージス艦の改修費用を予算に盛り込み、2025年度以降のトマホーク配備を目指している。
新型イージス艦は、「イージス・アショア」の代替として導入され、ミサイル防衛の要となる。
トマホークの射程は1600キロで、海上自衛隊幹部はこれを「防空と反撃能力を合わせた浮かぶ要塞のような存在」と評している。
また、三菱重工業が開発中の12式対艦ミサイル改良型も2032年以降に搭載される予定だ。
新型イージス艦のサイズは長さ190メートル、幅25メートル、基準排水量12000トンで、これは現行の「まや」型(8200トン)を上回るサイズだ。
日本の安全保障環境が厳しくなっている現状を鑑みると、防衛設備の発注から生産、引き渡し、さらに操作員の養成には相当な時間が必要になる。
先手を打つことで、将来的な脅威や不確実性に対して、より効果的に対処することが可能となるのではないだろうか?
次の動画では、トマホークの性能についてより詳しく解説しよう。
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