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もし米国や台湾との間で戦争が勃発し、三峡ダムがミサイルで攻撃されてしまった場合、その結果は想像を絶するものになる。
三峡ダムが破壊されれば、戦争に必須の軍隊はもちろん、数億人もの民間人が洪水の被害に遭う可能性があるのだ。
このダムの安全性に関しては以前から警鐘が鳴らされており、ある学者は、もしダムが巡航ミサイルで攻撃され破壊された場合、上海を含む下流地域の6つの省市が壊滅的な影響を受け、数億人がその被害に直面するとの見解を示している。
今回は、三峡ダムが台湾有事における中国の三峡ダムが持つ戦略的価値について、そして過去の戦争で起きたダム破壊の事例について解説していこう。
台湾の中距離ミサイルが三峡ダムをターゲットにする理由
三峡ダムは、中国中部の長江に位置する世界最大級の水力発電施設だ。
洪水防止、電力供給、そして航路の改善を目的として建設されたこのダムは、軍事的にも非常に重要な価値を持っている。
この重力式コンクリートダムは、総貯水量が393億立方メートルにも及ぶ巨大な構造物で、その規模は日本の黒部ダムの約200倍に相当する。
建設期間は17年にわたり、その壮大さと技術的な挑戦は注目に値する。
アメリカ航空宇宙局が、三峡ダムの壮大さは、地球の自転すら影響を及ぼす可能性があると指摘したほどだ。
この巨大構造物は、2020年に洪水警報が出され、約4万人が避難する事態に追い込まれた。
ダムが立つ地域は、もともと軟弱な地盤による地滑りのリスクが高いとされており、建設に当たっては多くの懸念が寄せられていた。
実際、ダムが完成するや否や、その構造体には数え切れないほどの亀裂が生じ、安全性に対する不安が絶えない状態である。
その間、ダムの耐用年数は当初予想されていた1000年からわずか100年へと大幅に短縮され、さらには「10年持てば良い」との声も挙がった。
2019年には衛星画像からダムの変形が指摘され、その安全性について疑問視する声が高まった。
台湾の研究者によってダムの構造的欠陥が指摘され、長江に流れ込む大量の雨水がダムの崩壊の恐れをもたらしている状況は、四川省や重慶市での洪水を引き起こす原因ともなっている。
三峡ダムは同時に中国の脆弱性、いわば「アキレス腱」とも言える存在である。
「台湾有事」が起こった場合、台湾は射程1500キロメートルの中距離ミサイルを用いて、三峡ダムを攻撃する可能性がある。
台湾は、射程距離が1000~1200キロメートルに及ぶ地上発射型巡航ミサイル((ゆうしょう)」の量産を開始している。
このミサイルは、高性能爆薬型と広範囲を破壊可能な集束型の二つの弾頭バリエーションを持ち、主に中国軍の指揮所や滑走路などの軍事的要所、または台湾侵攻を目論む部隊の集結地を標的に設定している。
すでに配備されている巡航ミサイル「雄風2E」は、その射程が約600キロと推定されているが、「雄昇」はこの「雄風(ゆうふう)」の射程を延伸したバージョンであり、目的地への経路設定が可能であるため、敵の防空システムを巧みに避けて目標に到達する能力が強化されている。
台湾から三峡ダムまでの距離は約1100キロメートルで、この戦略的計画は台湾の防衛能力や抑止戦略の一環として考慮されている。
台湾はその防衛体制や中近距離ミサイルによる抑止戦略について公にはあまり語っていないが、関係者によると、中国本土にある三峡ダムを含む重要目標を狙う能力を含め、抑止体制の整備を進めているという。
三峡ダムがもし破壊された場合、その影響は計り知れない。
長江沿岸には多くの軍の駐屯地が存在し、ダムが決壊すれば、これらの軍事基地の運営にも大きな影響を及ぼし、戦力が著しく低下する可能性がある。
決壊シミュレーションによれば、約30億立方メートルの濁流が下流を襲い、武漢や南京が水没し、上海近郊の原子力発電所や軍事基地にも甚大な被害が出る可能性が指摘されている。
台湾が中国との紛争の際に三峡ダムをターゲットにする可能性があり、その攻撃は中国経済に深刻なダメージを与えるだろう。
ダム下流は中国経済の40%以上を支える重要地域であり、この地域が被害を受ければ、中国は壊滅的な影響を受けることになる。
さらに、大規模な洪水は穀物生産地帯にも影響を及ぼし、食糧危機に陥るリスクもある。
そもそも、ダムや原子力発電所などの民間インフラを意図的に破壊する行為はジュネーブ条約の枠組みの中で戦争犯罪にあたる。
これらの行為は、広範囲にわたる人命への脅威をもたらし、環境への甚大な被害を引き起こす可能性があるからだ。
しかしながら、戦争におけるダム破壊は、敵国の経済と社会に深刻な打撃を与える戦略として、長い歴史を持っている。
軍事作戦におけるダム破壊の重要性とリスク
ダム破壊という戦術は、電力供給の断絶、工業用水の不足、飲料水の確保困難、そして洪水による人命と生活の脅威という多方面にわたる戦略的影響を及ぼすことから、特に効果的とされてきた。
歴史上、第二次世界大戦や朝鮮戦争など、複数の衝突でこの戦術が採用された例がある。
第二次世界大戦中に特筆すべきは、イギリス空軍によるドイツのルール工業地帯へのダム破壊作戦である。
ルール地帯は、その時代にドイツの軍需品生産の中心であり、「ドイツ工業の心臓」とも称された。
この地域への攻撃は、イギリスにとって重要な戦略目標であったが、ドイツの強固な防衛により、イギリス側の損失も大きかった。
そこで、イギリス軍は新たなアプローチとして、ルール地帯に電力を供給している水力発電所のダムを破壊する作戦に目を向けた。
この作戦の成功は、軍需工場への電力供給と工業用水の供給を遮断するだけでなく、住民に対しては深刻な飲料水不足を引き起こし、さらには下流域に洪水をもたらすことで、敵国の軍事力だけでなく、社会経済全体に大きな打撃を与えることができた。
近年では、ロシアによるウクライナ侵攻中にダムへの攻撃が見られた。
ウクライナ南部のドニエプル川流域にあるカホフカ水力発電所のダムが爆破された事件は、その一例である。
この攻撃により、ダムが破壊され、下流の地域は洪水に見舞われ、多くの住民が避難を余儀なくされた。
この事態は、国際人道法の精神に反し、多くの無辜の人々に苦痛をもたらした。
ダムが内側からの爆破によって破壊されたとの声があり、この攻撃が行えるのはロシア軍に限られるとの見方が示されている。
反対に、もう一方の声はウクライナ軍がHIMARS(ハイマース)という多連装ロケットシステムを使用し、ダムを撃破したとの立場を取っている。
しかしながら、この件に関する真実はまだ謎に包まれている。
モスルダム「世界で最も危険」の称号 死者数150万人も
2006年、アメリカ陸軍工兵隊はイラクのモスルダムに関して非常に強い警告を発した。
彼らは、このダムを「世界で最も危険なダム」と表現し、その理由として、もしダムが壊れるような事態に陥った場合、イラクの第二の都市であるモスルが、わずか3~4時間の間に約20メートルの水深に沈む可能性があるという衝撃的な予測を挙げていた。
1981年に建設作業がスタートしたこの水力発電を目的としたダムは、設計初期段階から既に安全性への懸念が提示されていた。
ダムが築かれた地面は水分に触れると溶解しやすい、非常に不安定な特性を持つため、ダム構造の安定性を保ち続けるためには、地盤を定期的に補強する作業が欠かせないのだ。
モスルダムは、全長約4.5キロメートル、高さは約110メートルにも及び、貯水容量は11立方キロメートルという驚異的な規模を誇る。
この巨大な水量が制御を失い、下流に向けて放出された場合、その影響は想像を超えるものがある。
特にダムが決壊した場合、モスルを含む下流地域に住む人々に対し、甚大な被害がもたらされることになるだろう。
最悪のシナリオでは、死者数が150万人にも上る可能性が指摘されている。
このような背景から、モスルダムは「世界で最も危険なダム」と称されている。
ところで、アメリカが世界中で軍事的な足跡を残していく様子とは対照的に、中国は1979年に発生した中越国境紛争以来、実際に大規模な戦闘から一定の距離を保っている。
このことが、中国軍の実戦経験の欠如という問題を浮き彫りにしている。
特に、最近の中印国境紛争における原始的な戦いの様子は、この経験不足が現代戦におけるパフォーマンスにどのように影響するかを示唆している。
この経験のギャップを克服しようとする中国の試みの一つが、モンゴル自治区における特別な訓練場での活動である。
ここでは、台湾の都市や基地を再現した建物が建設され、人民解放軍が台湾侵攻のシミュレーションを行っている。
しかし、これらの模擬演習の成績は6勝48敗6引き分けというものであり、実際の戦闘での成功がいかに難しいかを物語っている。
こうした模擬演習の結果が示す通り、実戦とは異なる環境での訓練が、果たして現実の戦闘においてどれほどの効果を発揮するのかは疑問が残る。
実戦経験の不足は、技術や戦術の習得だけでは補えない深刻な問題であり、中国が今後直面するかもしれない軍事的挑戦に対する重大な障壁となりうる。
次の動画では、頑丈なダムを1発で破壊できるバンカーバスターの威力について解説しよう。
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