Amazonのオーディオブック12万タイトルの本を好きなだけお楽しみいただけます。・本の1冊分の月額で聴き放題
・料金をメリットが上回る
・いつでも読書できる
・読書量が格段に増え、積読が解消される
・長時間の読書も目が疲れない
・聴くたびに学びを感じる
1900年初頭、潜水艦の原動機はガソリンや蒸気によるものであった。
特にガソリン機関を採用していた潜水艦はその引火性の高さから爆発事故が多発しており、15年間で17件もの事故により100名を超える死者が発生している。
一方、蒸気機関においては起動に時間がかかり、大型のボイラーが潜水艦には不向きであったなどの理由からその姿を消すこととなった。
そして、現在の潜水艦においては通常動力と原子力の2種類となっている。
今回は、潜水艦の推進プラントについて、通常動力と原子力の仕組みや特徴について解説していこう。
この内容は動画でも見れるよ!
この記事に書かれている内容は
原子力潜水艦の原子炉の仕組み
原子力潜水艦は艦内に原子炉をもち、その中にはウラン235が格納されており、核分裂時に発生する熱で水蒸気を発生させる。
その水蒸気でタービンを回し、減速装置を経由して推進力を得つつ、水蒸気は循環水として水に戻り再利用される。
原子力で動く兵器は潜水艦のほかに空母やロシアの原子力巡洋艦キーロフなどがあり、これらは艦内に小型の原発があるようなものだ。
水中で空気が使えない潜水艦にとって原子力は空母よりもはるかにメリットがあるといえる。
ウランはたった1gで石油2000Lに相当するエネルギーを発生するため通常動力型と違い燃料に制限がなく半永久的に走り続けることができる。
充電も不要なため浮上してシュノーケルを上げる必要もないことから、必然的に敵に探知される確率も低くなる。
さらに、艦内の空気も水蒸気の中から取り出すことで充填することができるので、シュノーケルによる吸気も必要ない。
つまり、原子力潜水艦は事実上、無限の潜航能力を持っているため、一切浮上することなく作戦を遂行できるのが強みでもある。
アメリカの原子力潜水艦シーウルフは静粛性、攻撃力、潜航深度、水中速力など全てにおいて他を凌駕する性能でスーパーサブマリンといわれている。
シーウルフのスペックはこのようになっている。
全長107m
全幅12.0m
水中速力35kt(時速約65km)
潜航深度610m
排水量9200トン
乗員131名
兵器 長魚雷、対艦ミサイル、トマホーク
全長107m、排水量9200トンという巨体にもかかわらず、水中速力は39kt(時速約72km)を出すことができ、水上艦艇を合わせた軍艦の中でもその速度はトップクラスに入る。
兵器も、超魚雷のほか、対艦ミサイル「ハープーン」や対地攻撃ようのトマホークも装備しており、多様な任務に就くことができる。
しかしながらシーウルフの建造費は、イージス艦の2倍にあたる3000億円という、あまりにも高い価格のため当初29隻だった建造数は3番艦で打ち切りとなっている。
原子力潜水艦は通常の攻撃任務のほかに、海底の残骸回収や海底電線の盗聴のほか、情報収集機材の設置など特殊な任務も行っている。
通常動力型潜水艦の仕組みと攻撃方法
現在、世界では44カ国が潜水艦を保有しているが、その内の約80%がディーゼルエレクトリックと呼ばれる通常動力型を採用している。
仕組みを簡潔にいえば、ディーゼルエンジンで発電して電気で動くというものである。
車でいうならハイブリッドエンジンのようなイメージである。
ただし、ディーゼルエンジンは燃焼中に大量の空気を必要とするため海中では稼動することができない。
そのため通常動力型潜水艦は潜航中、バッテリーに依存している。
ただし、バッテリーは徐々に減っていくため、規定の残量になると充電する必要がある。
その充電方法として、シュノーケルと呼ばれる吸排気用の筒を海面に出し、そこから外気を取り込むことでディーゼルエンジンを回しつつ排気をおこなう。
エンジンは発電機と繋がっており、そこで発電された電気を鉛電池というバッテリーに充電するという仕組みである。
バッテリーは1つが家庭用冷蔵庫ほどのサイズで高さは160cm、重さは900kgもあり、それを480個搭載している。
通常動力型潜水艦の弱点としては、電気推進のため水中では高速が出せないことやバッテリー残量により潜航時間に制限があり、充電のたびにシュノーケルを上げる必要があることから、敵に
探知される可能性が高くなるという点である。
充電時間は30分~1時間ほどで、敵に見つからないように月明かりのない夜間を狙って行う。
一方、メリットとしては、潜航中は電気推進のおかげで「静粛性」が非常に高いということだ。
また建造費は原子力潜水艦の数分の1なので、数で対抗することもできる。
通常動力型潜水艦は基地を出て潜航可能な海域に達すると直ちに潜航し、作戦海域に向かって進出する。
作戦海域ではなるべく音を発しない低速で走り、警戒して攻撃目標を捜索する。
この間にバッテリーの残量が減ると、一度作戦海域を離脱して安全なポイントでシュノーゲルを上げて充電を行い、再度作戦海域に戻る。
これを繰り返しつつ、攻撃目標の情報をつかんだら最適の攻撃ポイントに移動して潜望鏡で最終確認したのち魚雷を発射し、速やかにその場所から離脱して反撃をかわす。
通常動力型潜水艦の戦術はこのようにして行われている。
一方、原子力潜水艦は潜航時間に制限がないため、戦術はかわってくる。
通常動力と原子力潜水艦の弱点
現在、原子力潜水艦を保有している国はアメリカ、ロシア、中国、インド、フランス、イギリスの6カ国だけである。
その内、アメリカ、イギリス、フランスにおいては配備されている全てが原子力潜水艦となっている。
しかし、原子炉や巨大な弾道ミサイルを搭載していることから通常動力型よりも船体サイズが大きくなり水深の浅い海域には近づくことができない。
また、原子炉は非常に高い熱を発生するので、大量の海水で冷却する必要があり、その冷却水を送るポンプは止めることができないので流体雑音が発生する。
また高速回転するタービン音や減速装置の音が発生する点も弱点といえる。
潜水艦にとって音を出すことは敵に探知される確率も高くなるということである。
この点においては、電気で走る通常動力潜水艦の方が圧倒的に勝っている。
一方、通常動力型潜水艦はバッテリーの残量が減ってくれば充電しなければならず、シュノーケルを上げてエンジンを回す際に敵にレーダー探知される恐れがある。
また充電中はディーゼルエンジンの音が発生し、排気熱が出るため、航空機などの赤外線センサーに探知される可能性も出てくる。
ちなみに空気を取り込む吸気口は水面上に出ているが、排気口は水中にあり、泡状にして海水で冷却しながら排気することで、赤外線センサーに探知されにくい工夫がされている。
原子力潜水艦は通常動力型潜水艦よりも建造費が高いため、望んでも手が出ない国もある。
ピットロード 1/700 スカイウェーブシリーズ 海上自衛隊 潜水艦 SS-501 そうりゅう 全長120mm プラモデル J93
また多くの国にとって潜水艦の任務は近海を防衛するためのものであり、アメリカのように外洋で長期にわたって作戦行動に出ることはない。
そのため、日本も原子力潜水艦は保有しておらず、仮に保有したとしても核ミサイルは憲法上、搭載することができないので抑止力としての効果は低くなる。
その変わりに静粛性が高く高性能な通常動力型潜水艦を22隻保有している。
潜水艦は水上艦艇のように波や気象の影響を受けることがなく、水中では3次元の動きができる最高の機動力をもつ軍艦である。
次の動画では魚雷が艦艇を撃沈する方法や水中爆発のメカニズムについては解説しよう。
Amazonのオーディオブック12万タイトルの本を好きなだけお楽しみいただけます。・本の1冊分の月額で聴き放題
・料金をメリットが上回る
・いつでも読書できる
・読書量が格段に増え、積読が解消される
・長時間の読書も目が疲れない
・聴くたびに学びを感じる