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陸海空自衛隊には階級があり、制服についている階級章を見れば一目でその隊員の階級が分かるようになっている。
大きく分けると、幹部、曹、士の3つに分かれており、その中でさらに細かい階級に分けられている。
護衛艦や潜水艦の艦長、航空機のパイロットなど責任のある配置は幹部しかなることができない決まりとなっている。
もちろん階級によって給料や手当も変わり、その責任もかわってくる。
今回は、海上自衛隊の階級について、その種類や給料、また会社に例える階級ははのようになるのかについて解説していこう。
自衛隊の階級を動画で全て紹介するよ!給料や手当の解説も見てね!
海上自衛隊 階級の種類や特徴は?
海上自衛隊の階級は、全部で16階級。
役職者だけではなく、海上自衛隊に所属する者全てに階級がついている。
まず大まかな階級として、上から「将(しょう)・佐(さ)・尉(い)・曹(そう)・士(し)」の5種類の階級が存在している。
そしてこの5種類の階級の中に、それぞれ1・2・3の数字がつく階級がある。
「佐」の階級の中では、一等海佐が一番上、次に2佐、最後に3佐となっており、大佐、中佐、少佐にあたる。
ただし例外として、トップの将官の場合、階級は「将」と「将補」の二種類しかない。
そして一番上に海上自衛隊のトップである「海上幕僚長」が存在する。
さらに、陸海空をまとめる自衛官の最高位者として「統合幕僚長」が存在しており、警視庁長官と同等のレベルである。
入隊したばかりの隊員は幹部を除き、全員が二等海士の階級から始まる。
陸上自衛隊の場合は二等陸士、航空自衛隊の場合は二等空士という呼び方が変わるだけで、階級の種類は3自衛隊とも共通である。
また、尉官の場合、3尉の下に「准尉」という階級があるほか、曹の場合は1曹の上に「曹長」、士の場合は1士の上に士長がおり、3士という階級は平成23年をもって廃止された。
これは、15歳から自衛隊に入隊できる「自衛隊生徒」という制度で、入隊時は3等海士からスタートする。
自衛隊の階級を一般の会社で例えてみるとこのようになる。
将(統幕長):会 長
将(幕僚長):社 長
将:副社長
将補:専務,常務
1佐:本部長
2佐:部 長
3佐:次 長
1尉:課 長
2尉:課長代理
3尉:係 長
准尉:班 長
曹長:主 任
1曹:主任代理
2曹:副主任
3曹:正社員
士長:契約社員
1士:アルバイト
2士:アルバイト代理
では階級によって何が違うかと言えば、大きいところでは給料の金額である。
仕事内容も上に行くほど難しくなり、多くの部下を指揮したり、戦況を判断したりする必要があるため、階級が上がる方が給与もよくなるのである。
また、階級によって定年退職の年齢が変わってくるのも自衛隊の特徴である。
自衛隊の中のトップに君臨する一握りの人間だけは定年が60歳を超え、62歳と定義されているが、それ以外の役職の場合、皆50代で定年を迎える。
50代のいつに定年を迎えるかについては、その階級によるということになる。
もう一つ、海上自衛隊の階級の特徴としては、陸上自衛隊・航空自衛隊に比べて階級章の判別がつきにくいこと。
公式ホームページに階級ごとの階級章が載せられているので、是非確認してみてほしいのだが、特に1尉と2尉については素人には違いが分かりにくくなっている。
線の太さが変わる等、ぱっと見ではわからない違いになっている。
海上自衛隊の階級の平均年齢や給料など
海上自衛隊の階級ごとの年齢は、人によって様々である。
最も低い階級である「2士」が18歳から20代ばかりなのは当然だが、そこからの出世のスピードは人によって様々である。
自衛隊の場合、階級が上がれば上がるほど人数が少なくなるピラミッド型で形成されているため、スピード出世する人もいれば、上に行けずに下の階級のまま定年を迎える人まで様々なのである。
昔は年齢が高くなれば自動的に階級が上がる、という事もあったようだが、現在では年齢を重ねても自動的に階級を上げるようなことはできなくなっている。
自衛隊の学校における成績が将来の昇任に一番影響しており、幹部学校で主席の成績をとった場合、かなり早い昇任となることが多い。
そのため、スピード出世をして若い年齢で階級が上がるものもいるにはいるが、下位の階級で10年以上過ごすという者も少なくないのである。
特に、服務事故をおこした隊員や、仕事や人間関係に問題がある隊員は昇任できずに10年以上同じ階級の者もいる。
一方、海上自衛隊の階級ごとの給料は、一番低い「士」の階級の場合、18万円前後からスタートする。
次の階級「曹」の場合、20万円~24万円弱ほどの給与。
「尉」の階級の場合、24万円~28万円あたり。
「佐」になると、32万円~40万円弱と、階級が上がるごとに給与の金額が大きくなってくる。
最上級の「将」の階級になると、将補の場合、約51万円、将の場合は約70万円と、一気に跳ね上がる。
1佐から将補に階級が上がると給料が一気に月10万円程度増えることになるのである。
これは基本給なので、毎年数千円前後で給料が上がっていくほか、このほかに潜水艦や護衛艦、航空機乗りは別途で特別手当がつく。
潜水艦は給料の45%、護衛艦は33%、航空機は60%の手当てが給料に上乗せされる。
つまり、手当を合わせると給料の1.4倍、1.3倍、1.6倍が実際にもらえる金額となり、給料プラス10万円前後の手当てがつくことになる。
さらに、出港している間は毎日「航海手当」がつき、航空機も飛行するたびに「飛行手当」がつく。
階級にもよるが18歳で入隊した場合、40代の護衛艦乗りの1曹で、総支給額は50万円前後になり、家族を扶養している場合、ボーナスを合わせると年収800万円前後となる。
さらに、護衛艦や潜水艦乗りの食事や制服などはすべて無料である。
海上自衛官は手当の関係で、陸上自衛隊や航空自衛隊に比べて高給取りであるといわれている。
海上自衛隊の階級の昇任の方法
階級の昇任は、その種類によって異なる。
最も低い階級である「士」の場合、2士から1士への昇任と、1士から士長への昇任については、一定の勤務時間が過ぎれば自動で昇任する。
士長の場合は、入隊から約1年後にその階級を得ることになり、成績などは特に関係がない。
しかし、3曹以上の階級に昇任する場合には、昇任試験と体力測定に合格しなければならない。
分かりやすく言えば、「士長」までが契約社員、「3曹以上」が正社員ということになる。
海士で成績が悪い者は昇任できずに30代となり、退職を余儀なくされることもある。
自衛隊の階級は文字通り能力主義の階級社会なのである。
これとは別に、階級の昇任スピードは自衛隊に入隊した時の「入隊区分」にも左右される。
入隊する際に、「幹部自衛官」として入隊したのか「曹士自衛官」として入隊したかによって、出世のスピードも違ってくる。
「幹部自衛官」とは、防衛大学の学生か、自衛隊幹部候補生として入隊した者のことであり、曹士を経ずに最初から幹部自衛官として現場につく。
同じ幹部自衛官でも、階級が上がるスピードが比較的早いのが「防衛大学校学生」から幹部自衛官になった者である。
防衛大学卒業者は、幹部学校を終業したら階級は3尉からスタートし、将来、艦長や司令官、海上幕僚長など各配置のトップを任せられることが多い。
海上自衛隊の階級 まとめ
海上自衛隊の階級とその特色について紹介してきた。
階級については16階級とかなり種類が多いことに驚いたのではないだろうか。
そして、海上自衛隊は自衛隊の中では給与面などでは手当がついていることによって高い方であるが、「士」の階級など、一番低い階級では給与は低めに設定されているので、やはり階級を上げていかないと給与としては十分とはいえないかもしれない。
あなたの想像していた海上自衛隊の給与額との誤差はどの程度だっただろうか。
昔は年齢が上がればある程度階級を上げることができていたが、現在は階級を上げることは狭き門で、年齢ではなく能力を重要視しているので、階級を上げたい場合にはかなりの努力が必要と言えるだろう。
自衛官は入隊時や昇任時に国のために命をささげる「服務の宣誓」を全員で読み上げる。
「服務の宣誓」と公務員となった者が任官に際して行う宣誓のことであり、自衛官の場合、有事となれば、自らの命を犠牲にしてでも国と国民を守るために戦うという内容が記載されている。
自衛官になり階級をもらうということが、いかに重いかということが分かる。
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