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対戦車兵器とは、戦車という圧倒的な力を持つ敵を制圧するために開発された武器や技術のことだ。
戦車が初めて戦場に姿を現したのは第一次世界大戦の時期で、それに対抗する形で対戦車砲が生み出されたのが始まりだった。
時は流れ、第二次世界大戦を経由して、対戦車技術は砲からミサイルへと変遷していった。
今回は、ウクライナが使用した3種類の対戦車ミサイルと、それに対抗して開発されたロシアの新型装甲Relikt(レリクト)について解説していこう。
この記事に書かれている内容は
2,500m先から戦車を撃破!ウクライナの「ジャベリン」
ジャベリンミサイルは、ウクライナを守る鍵とも言える存在になっている。
重量は22キログラムであり、通常は射手と補助の運搬者によって操作される。
このミサイルには装甲目標に対して上部から攻撃を加えるトップアタックモードと、建物やヘリコプターなどの直接攻撃に用いるダイレクトアタックモードの二種類の攻撃方式がある。
初期型の射程は2,000メートル、最新型ではそれが2,500メートルに延伸され、遠くからでも敵を撃破できる。
弾頭には強力なタンデム成形炸薬が使われており、一発で戦車を無力化する能力を持つ。
ただし、ミサイル一発あたりのコストは約2000万円と高価である。
その先進的なタンデム弾頭技術により、最も堅牢な戦車装甲をも打ち破る能力を持つ。
このシステムでは、最初に小さな予備弾頭が爆発し、目標の防御を弱体化させる。
これに続き、より大きく、より強力な主弾頭が爆発し、装甲を貫通して内部に致命的なダメージを与える。
特に注目すべきは、ロシアのT90などの最新式戦車が装備する爆発反応装甲に対するジャベリンの有効性だ。
爆発反応装甲は、弾頭の爆発を感知して迅速に反応し、そのエネルギーを分散させることで被害を軽減させる先進的な防御システムである。
リアクティブアーマーと呼ばれ、戦車や装甲車両の防御力を強化するために開発された増加装甲の一形態である。
動作原理は、攻撃を受けた際に装甲板の一部である爆薬が瞬時に反応し、発生する爆発力で侵入する弾頭や成形炸薬の効果を減衰させる。
この反応により、敵弾の貫通力が大幅に低下し、車両内部への損傷を防ぐ。
しかし、ジャベリンのタンデム弾頭はこの種の装甲をも突破する設計となっており、初期の小規模な爆発が爆発反応装甲を無効化し、その直後に発生する大規模な爆発が装甲を貫通する。
ウクライナに対するロシアの侵攻時、アメリカから供給されたジャベリンは、ウクライナ軍がロシアの戦車や装甲車に対して大きな損害を与えるのに使用された。
キーウのアパートの外壁には、ジャベリンを抱える聖母を描いたアートがウクライナのアーティストによって作られた。
ロシアとウクライナの戦争では、NLAW、パンツァーファウスト3、ジャベリンといった対戦車兵器が数多くのロシア製戦車を破壊した。
この結果、日本国内ではジャベリンのような対戦車兵器の増強が議論されている。
ただし、これらの兵器は防衛目的で使用されることが前提であり、攻撃的な使用には向いていない。
テレビ報道ではジャベリンが高い成功率を持つかのような印象を与えることがあるが、実際には最適な射撃位置を確保し、敵の反撃から身を守ることが困難な場合が多い。
実際の戦闘では、10発撃ってようやく1台の戦車を破壊できる場合もある。
戦車と対戦車兵器の間にはバランスが必要であり、それぞれの配置には慎重な考慮が求められる。
命中率94%の対戦車ミサイル「NLAW」に対抗したロシアの新型装甲
イギリスから提供された次世代対戦車ミサイル、NLAWも軍事技術の世界で大きな注目を集めている。
NLAW(Next Generation Light Anti-tank Weapon)は、その名の通り次世代の軽対戦車兵器であり、たった1人の兵士だけで戦車を撃破する能力を持つ。
これまでに複数の国々に導入され2万発以上が生産されている。
特に注目すべきは、イギリスからウクライナへ供与された2,000発が、ロシア軍との戦闘で顕著な戦果を上げたことだ。
NLAWの特徴の一つは、その高い命中率である。
この高い命中率を支える技術的な秘訣は、慣性航法装置による軌道修正機能にある。
慣性航法とは、移動する物体の加速度から、方向、速度、距離を求め、位置を決定するものである。
兵士は目標を発見後、3秒間照準および追跡を行い、このプロセス中に目標までの距離やその他の関連情報がミサイルに入力される。
この情報に基づき、NLAWは発射後にその軌道を自動的に調整し、これにより移動する戦車に対しても、予測された未来位置に命中させることが可能となる。
発射後に方向を変えた戦車に対しては、オペレーターがジョイスティックを使ってミサイルを目標に精密誘導することができる。
ミサイルの重さは12.5kg、最大射程距離は800mであるが、この距離は、兵士がある程度敵戦車に比較的近づく必要があることを意味している。
NLAWには成形炸薬弾が装填されており、目標に当たると、一定の方向に高速で金属ジェットを発射し、戦車の装甲を容易に貫通する能力を持つ。
成形炸薬弾の使用は、高速で砲弾を発射する必要がなく、正確に命中さえすれば、敵戦車の撃破が比較的容易になるという利点がある。
この弾頭は、装甲を「貫通」するというよりは、装甲を「破裂させる」といったイメージで、最大 600 mm の厚さの装甲を貫通することができる。
ところが、ロシアはNLAWの攻撃に耐える革新的な防御技術を開発した。
それが、Relikt(レリクト)爆発性反応装甲である。
この先進的な装甲システムは、現在T-90MやT-14 戦車に装備可能とされている。
Reliktは、対戦車ミサイルが持つ破壊力を無効化するために爆薬と金属プレートを組み合わせた設計を採用している。
このシステムの特徴は、ミサイルの接触と同時に爆薬が炸裂し、強力な衝撃波を生み出してミサイルの進路を狂わせ、その貫通能力を削ぐ点にある。
その後、金属プレートが残ったエネルギーを吸収し、戦車の本体へのダメージを防ぐ。
この技術はNLAWミサイルを含む様々な対戦車ミサイルに対して高い防御効果を発揮する。
特に、兵士やエンジン、弾薬室など戦車の重要部分を守るための保護レベルが注目に値し、攻撃を受けても動力を失わずに移動することができる。
さらに、装甲はモジュール式で設計されており、戦場での損傷部品の迅速な交換が可能となっている。
果たして、この新しい装甲が将来的にどのような影響を与えるのだろうか?
700mm鋼板を貫く圧倒的貫通力 「パンツァーファウスト3」
パンツァーファウスト3の起源は、第二次世界大戦中のドイツ軍で、手軽な操作性を備えた携帯式対戦車兵器として開発された。
この兵器は無反動砲に分類され、発射時の反動を極力抑制する設計が特徴である。
日本の陸上自衛隊では「110mm個人携帯対戦車弾」の名称で採用している。
この反動の軽減は、発射される砲弾と同等の運動量を持つ物体や爆風を砲の反対側から排出することにより実現されている。
射程については、固定目標に対しては最大500m、移動する目標に対しては300mまでとなっており、かなり近距離まで敵に近づく必要性を物語っている。
無反動砲という特性から、発射装置には衝撃吸収器が不要で、その結果、大口径の弾丸をより小さく、軽量な発射装置で使用できるようになっている。
この特徴は、軽装甲車両にも搭載可能な高い対戦車能力を実現している。
操作性は極めてシンプルに設計されており、訓練を十分に受けていない兵士でも容易に使用できるようになっている。
発射された弾頭は、飛行中に安定翼が展開し、ロケットモーターが点火されることで加速し、目標に向かって飛んでいく。
弾頭には成形炸薬弾が採用されており、爆発反応装甲を持つ目標には、特殊なタンデムHET弾頭が用いられる。
この二段階攻撃機構は、爆発反応装甲への対抗策として開発されたもので、先行する小型のサブ弾頭が爆発反応装甲を無効化し、その後のメイン弾頭が目標の装甲を貫通する仕組みとなっている。
この兵器の貫通力は、700mmの鋼板を突き破る能力があるとされており、爆発反応装甲がもたらす対戦車ミサイルの威力減衰問題に対する効果的な解決策となっている。
現代における対戦車ミサイルは、さまざまな発射プラットフォームを持っている。
これには、地上の車両はもちろんのこと、攻撃ヘリコプターや攻撃機からの発射も含まれる。
一時期、「陸上の王者」とも称された戦車だが、対戦車ミサイルの台頭により、その地位は大きく揺らいだ。
多数の戦車がミサイルで撃破され、存在意義自体が再考されるようになったのである。
しかし、戦車は複合装甲という新たな防御策を導入し、ミサイル攻撃に対する耐性を高めている。
これは、戦車と対戦車兵器の間の永遠の駆け引き、互いの技術的進化の証である。
次の動画では、65キロ先からロシア戦車を貫く「エクスカリバー誘導砲弾」について解説しよう。
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