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東西冷戦以降、キューバ危機の影響もあり海軍の軍備増強に努めてきたロシア。
戦闘機事情はどうなっているのだろうか?
当然ながら、それなりの軍備増強を図っているであろうロシア。
そんなロシアの軍備増強や革新を知らせる報道が、2021年7月に飛び込んできた。
ロシアが、開発した新型戦闘機Su-75「チェックメイト」のプロトタイプが公開されたのだ。
プーチン大統領は、航空ショーで同機を視察し「ロシアの航空技術を示す戦闘機である」と称賛した。
まるで他国に終わりを突き付けるような「チェックメイト」という名称の戦闘機は、いったいどのようなものだろうか。
今回はロシアの新型戦闘機「チェックメイト」の性能とステルス戦闘機SU-57との違い、またアメリカのF-35との比較について解説していこう。
ロシアの新型戦闘機チェックメイトのドバイエアショーの様子や性能を動画でも見られるのでお楽しみに♪
この記事に書かれている内容は
新型戦闘機チェックメイトの性能
ロシアの最新戦闘機「チェックメイト」は、日本の航空自衛隊も導入を進めているステルス戦闘機F-35型と同じく、第5世代戦闘機として世に公開された。
高度なステルス性や高い飛行性能だけでなく、人工知能がパイロット操作をサポートするなど、革新的な技術が導入されているようだ。
ロシア国営軍需企業であるスホーイ設計部門が開発を担当した新型戦闘機「チェックメイト」は、外部の燃料タンクなしで最大航続距離を3000キロ、7.4トンの武装搭載力、最大速度はマッハ1.8~2、非常に優秀な推力重量比を有し、短い離着陸距離の高い運動性を持った単発エンジンの軽量戦闘機である。
その限界高度は1万2000メートル以上と言われ、アメリカの第5世代戦闘機に匹敵するのでは、とも見られている。
詳細スペックは非公開であり、これ以上に詳しい情報はまだないものの、公開された映像からは、空気取り入れ口が機首下方にあり、開口部が側面まで回り込む革新的なデザインであり、かつてアメリカが試作したX-32戦闘機にやや似ているようである。
この「チェックメイト」は、革新的なデザインだけでなく単発エンジンで製造から整備までのコストや時間、経費が低減される点や「チェックメイト」という英語名称から、海外への輸出を意識していると見られている。
ドバイで行われた「ドバイエアーショー2021」でも公開され、そうしたロシア側の意向を伺うことができる。
これは、現バイデン政権がF-35A戦闘機の売却に慎重な姿勢を見せたことを受け、アラブ首長国連邦に「チェックメイト」を購入してもらいたいという意図で、この「ドバイエアーショー2021」に展示したのではないか、という見方もある。
現在は、プロトタイプの公開に留まっている「チェックメイト」であるが、2024年からは量産体制に入ると言われており、ロシア本国での採用が決定した暁には、Su-75という名称になるのではないか、とされている。
SU-57との比較
「チェックメイト」はSu-75という名称であるが、現行で量産されているSu-57戦闘機をひっくり返したのか、と思われる方もいるだろう。
Su-57戦闘機も「チェックメイト」と同じスホーイ設計部門が開発した双発エンジンの重戦闘機である。
「チェックメイト」は単発エンジンの軽量戦闘機であるため、Su-57と比べて、販売コスト、製造コスト、整備コストなどで優位性があると見て取れる。
Su-57は一般的には3400万ドル(約34億円)であるのに対し、「チェックメイト」は2500万ドル程度(約25億円)の販売コストである。
また、Su-57は、高い運動性に重きをおいて、ステルス性ではやや劣るという見方もあったため、高い運動性を残したまま、ステルス性の向上を実現している。
「チェックメイト」は、2枚の尾翼をV字型に配置したほか、エアインテーク内には境界層隔壁を設けていない。
さらに、搭載武器はステルス性能向上のため内部に格納する設計だ。
また、高高度での飛行に耐えられるよう、Su-57よりも巨大な主翼を備えている。
その結果、限界高度は1万2000メートル以上と言われており、その部分での注目度も高い。
そういった特徴を持ちながら、単発エンジンで運用しやすく、Su-57戦闘機のおよそ70%強の価格で導入できる。
以上のことから「チェックメイト」が軍事力の増強という側面ではなく、航空戦闘機産業における、ロシアの地位向上を目指して投入される役割を持っている。
一方で、Su-57の製造技術を多く利用している点から、「Su-57のつぎはぎ」として、その性能を疑問視する見方もでている。
いずれベールを脱ぐであろう「チェックメイト」の本来の姿はどのようなものなのか、まずは2023年の試験飛行を筆頭に、今後の情報開示には注目したいところである。
アメリカや中国のステルス機との比較
「チェックメイト」は、F-35戦闘機に匹敵する、という見方もあるが、アメリカなどの戦闘機と比べると何か違いはあるのだろうか。
エンジンを見てみると、F-35戦闘機と同様に、単発エンジンの戦闘機となっており、戦闘機のトレンドとしては同等である。
ソフト面で見ると、アメリカのF-35戦闘機の自動整備情報システム(Autonomic Logistics Information System=ALIS)を導入している。
ALISとは地上からF-35を制御するコンピューター制御技術で、ALISによってパイロットはミッションや飛行パフォーマンスのサポートを受けられるだけでなく、故障部位を検出して特定することができる。
しかし、ALISは診断や予備部品の在庫管理において部品輸送の混乱を引き起こし、ミッションタイムのロスを生んでいる。
「チェックメイト」に搭載予定の同様のシステム自律型である、ロジスティクスサポートシステム「Matreshka(マトリョーシカ)」は、そういった混乱を回避することも前提に置いていると考えられている。
それに加えて、価格的に見れば「チェックメイト」は圧倒的に優位性がある。
F-35は1機辺り約8000万ドル(約80億円)であるのに比べて、「チェックメイト」は1機あたり2500万ドル(約25億円)と見られており、価格的にはF-35戦闘機のおよそ30%程度の価格となるであろう。
販売コストや運用コストの影響でF-35戦闘機を購入できない国々にとって、この差はあまりにも大きい。
この点に関しては、連邦軍事技術協力庁のドミトリー・シュガエフ長官も、「チェックメイトは、堅実な飛行性能と十分に広い攻撃、探知能力、レーダーに映りにくい機体を考慮すれば、第5世代戦闘機を生産する主導的な欧米諸国の製品といい勝負ができると思う」と述べるほどである。
さらには、この「チェックメイト」、顧客それぞれの必要に応じてカスタマイズできるとされており、こういった点では他の戦闘機には見られなかった特徴を有している。
また、プロトタイプを基に、無人機タイプの開発にも取り組んでいるようである。
チェックメイトの今後
軍事力の増強だけに留まらず、航空戦闘機産業を舞台として、大々的な輸出も視野に折れたロシアの「チェックメイト」
その全体像が、まだ明らかになっていないことも含めて、世界各国から注目を集めていることは間違いない。
戦闘機として格安である「チェックメイト」の世界的な浸透を元手に、将来的なさらなる軍備増強のための資金調達を成し得る可能性すら見えてきたロシア。
2023年の初の試験飛行、2024年の「チェックメイト」量産だけに留まらず、その中期的な軍事動向からも目が離せない。
「チェックメイト」の全容が明らかとなり量産が開始されたのちの、アメリカの動きも気になるところである。
世界の軍備増強におけるハイドアンドシークは、当面続いていくと見られる。
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