ザワヒリ容疑者を殺害!ドローンから発射された秘密兵器「忍者爆弾」
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2022年、7月31日午前6時過ぎに作戦は決行された。

アルカイダのナンバー2であったザワヒリ容疑者はアフガニスタンの首都カブール中心部の建物で潜伏生活を送っていた。

しかし、早朝バルコニーに出る習慣があるという情報を入手したアメリカ軍は、高高度から軍事ドローンMQ–9リーパーに搭載された通称「忍者爆弾」を発射した。

忍者爆弾とは爆発によるものではなく、6枚の刃物が高速で飛来してターゲットを切り裂く秘密兵器である。

その後、アルカイダの現在の指導者であるザワヒリ容疑者を仕留めたとアメリカ政府が発表した。

今回は、ザワヒリ容疑者とはどのような人物か?

しまかぜ

襲撃した際に使用された軍事ドローンMQ-9と発射された忍者爆弾について動画でも解説するよ

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 アルカイダの指導者ザワヒリ容疑者

2001年、アメリカ同時多発テロを境にアルカイダとアメリカの戦いは始まった。

2011年に、9.11同時多発テロを起こしたアルカイダの首謀者ウサマ・ヴィン・ラディン氏はパキスタンの隠れ家に潜伏しているところをアメリカの特殊部隊によって襲撃された。

この隠れ家には3人の妻、8人の子ども、4人の孫と共に暮らしており、洗濯物の量や大きさなどから邸宅にいることを確信したという。

2014年頃からは、アルカイダよりも更に規模が大きいISILが勢力を伸ばしており、テロとの戦いが終わったわけではない。

アルカイダのザワヒリ容疑者は2001年9月に発生したアメリカ同時テロに深く関与したとされており、2011年5月にそれまでアルカイダを率いていたウサマ・ヴィン・ラディン氏亡き後は、後継指導者としてアルカイダを率いる人物であった。

ザワヒリ容疑者はアルカイダが活動を激化し始めた頃からヴィン・ラディン氏が最も信頼した最高幹部であり、アルカイダの中でナンバー2とされる副官として、アルカイダの組織を強めることに貢献した。

ヴィン・ラディン氏が亡くなってからは、組織の結束力に打撃を受けつつも、ヴィン・ラディン氏に代わってアルカイダを率いて、イスラム過激派の首謀者として存在を強めていた。

アメリカ政府は、ヴィン・ラディン氏を襲撃した後、ヴィン・ライディン氏に代わってアルカイダを率いていると見られるザワヒリ容疑者に対して、拘束に繋がる直接的な情報を寄せる者に対しては、最大2500万ドルを出すとして懸賞金を公表し、ザワヒリ容疑者の行方と居所を追い続けていた。

アメリカ政府は今回のザワヒリ容疑者の襲撃に関して、情報提供があったのか、懸賞金が支払われた相手がいるのかは一切公表していない。

しかし、情報提供や懸賞金の支払いの有無に関係なく、ザワヒリ容疑者が襲撃されたことは、アルカイダにとって大きな痛手であることは確かで、これまでより弱体化することは避けられず、体制に壊滅的な打撃を受けた可能性があるとの見方もできる。

それほどザワヒリ容疑者は、アルカイダにとって大きな影響を与える人物であったということだろう。

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アメリカが使用したドローン MQ-9リーパー

今回の作戦ではアメリカのMQ–9リーパーと呼ばれるドローンが使用された。

MQ–9リーパーは、航続距離5900㎞、監視能力の高さ、さらに攻撃能力を兼ね備えた無人攻撃機である。

原型には、MQ-1 プレデターという同じ無人機があるものの、これに比べると、機体が大きくなり、性能が向上している。

アメリカ空軍には、MQ-9を基盤とした非武装ドローンがあり、国境や洋上を監視するほか、研究に利用されている。

機体は、推進式と呼ばれるもので、機体後部に単発のエンジンを搭載しプロペラによって推進力を得ており、滞空時間は28時間で最大速度は482㎞である。

衛星通信に使用されるパラボラアンテナが、膨らんだ機首の上部に搭載されており、搭載されたカメラは「富士山の頂上から車を識別できる」ほどの精度をもつ。

また尾翼はY字型で、下を向いた垂直尾翼とV字が組み合わされた形になっている。

主翼は取り外しが可能なボルトで接続されており、分解してコンテナに収容しC-130輸送機などに搭載して運ぶことができる。

両翼にはそれぞれ3つずつのハードポイントがあり、ヘルファイア対戦車ミサイル、ペイブウェイIIレーザー誘導爆弾、スティンガー空対空ミサイルを搭載可能である。

近年では2015年11月13日にはISILメンバーのモハメッド・エムワジを、2020年1月にはイスラム革命防衛隊のガーセム・ソレイマーニー司令官に対し攻撃を行ったと発表されている。

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ターゲットをピンポイント攻撃できる忍者爆弾

ザワヒリ容疑者が潜伏していたのはアフガニスタンの首都カブール中心部で、タリバンがかくまっていたとされている。

ザワヒリ容疑者襲撃に使用されたヘルファイアR9Xミサイルは、ヘルファイアの改良型でターゲット以外の犠牲を最小限に抑えるように設計されており、弾頭の代わりには刃が装備されいる。

爆発しない兵器であることから、「忍者爆弾」とも呼ばれており、ターゲットをピンポイントで攻撃できるのが特徴だ。

ザワヒリ容疑者は、攻撃された時に家族と一緒にいたが、アメリカのバイデン大統領は演説で、民間人やザワヒリ容疑者の家族を巻き込むことはなかったと強調している。

インターネット上で公開されている写真でも、激しい爆発や戦闘がなかったことが確認できる。

アメリカ政府は、ザワヒリ容疑者の襲撃に関して、ヘルファイアミサイルの具体的な種類は公表を避けている。

しかし、家族が一緒にいたと公表しながら、家族を巻き込むことはなかったと公表しており、その他の被害者がいないことから「ヘルファイアR9X」の系統が使われたのではないかという見方が強まっている。

弾頭には爆発物の代わりに6枚の長い刃が取り付けられ、目標到達寸前に開く仕組みで、ターゲットは猛烈なスピートで飛んでくる刃で引き裂かれることになる。

爆発を伴わないことから、周囲に与える影響を最小限に止めることが可能で、ターゲットのみを攻撃することが可能でありながら、民間人を巻き込む能性が極めて低い。

空爆といった爆発を伴わないことから、容疑者だけ確実に攻撃できるミサイルとされている。

今後のアルカイダとアメリカの関係

バイデン大統領は「どんなに時間がかかろうと、どこに隠れようと、必ず見つけ出し排除する」と述べ、ザワヒリ容疑者の殺害は国の威信をかけた報復だった。

ヴィン・ラディン氏亡き後のアメリカ政府にとってザワヒリ容疑者は、最も重要なテロリストという位置付けであった。

そのザワヒリ容疑者を討ち取ったことは、長く続いた対テロ戦争にとって、大きな区切りを迎えたことになる。

しかし、これに対しタリバンは「国際原則に反し、アメリカやアフガニスタンなどの地域の利益に反する」としており、アメリカの攻撃を非難する姿勢を示している。

またアルカイダにとってザワヒリ容疑者の影響力は攻撃以前から衰退しつつあり、今回の襲撃が直接的な打撃には繋がらないという見方もある。

タリバンやアルカイダに限らず、テロ戦争に影響力を及ぼした人物が攻撃されたという衝撃は新たなテロを生む理由付けになりかねないことは事実であり、報復を試みたテロが発生する可能性は否めず、テロ戦争の終結とはならないだろう。

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